弁護士コラム

2019.04.26

【離婚問題】子連れ離婚とお金の問題

子連れ離婚に限らず、離婚にはお金の問題が絡んできます。
離婚成立前の「婚姻費用」や成立後の「慰謝料」、「財産分与」という言葉を何となく耳にしたことがある人も多いかと思います。
今回はこの3つについて詳しく見ていきましょう。

1. 慰謝料

離婚とお金と聞くと、多くの方が「慰謝料」を思い浮かべるのではないでしょうか。
では、そもそも「慰謝料」とはどういうときにもらえるお金なのでしょう?

慰謝料とは、精神的被害に対する損害賠償のことで、その被害の度合いを金銭に換算し、賠償するものです。
離婚をすると慰謝料が必ずもらえると勘違いされていることもありますが、慰謝料が発生するのは、賠償をしてもらうだけの被害があったときだけですので、必ずしもすべての離婚案件で慰謝料が認められるわけではありません。

例えば、離婚原因が「性格や価値観の不一致」などに該当する場合は、ある程度お互い合意の上での離婚になりますので、損害賠償をもらうに値する原因にはならず、慰謝料請求は難しいと考えられます。

慰謝料請求というのは、法律論で言うところだと、不法行為に基づく損害賠償請求ですので、違法性がある場合にしか認められません。そのため、「性格や価値観の不一致」などではなかなか認められないのが一般的です。

では、具体的にどのような場合であれば慰謝料請求を行えるのでしょうか?
離婚の際の慰謝料が認められるものとしては、以下の4つが代表的です。

① 配偶者の不貞行為があった場合
② 悪意の遺棄があった場合
③ DVを受けた場合
④ モラルハラスメントを受けた場合

不貞行為や悪意の遺棄、DVは「認められる離婚理由と離婚方法・離婚後の手続きってどうなっているの?法定離婚事由」で述べている法的離婚事由にも該当しています。

モラルハラスメントは、相手に対して暴言を吐いたり、無視や過度な束縛を行ったりするなど、道徳を外れた行為で相手を精神的に追い詰めることをいい、精神的被害の程度によって慰謝料額が算定されます。

また、離婚が成立した後に元配偶者の不貞が発覚した場合など、離婚後であっても慰謝料請求を行うことは可能です。

ただし、離婚後の慰謝料請求には時効が存在しますので、該当する事由があったとしても慰謝料請求ができないケースもあります。
慰謝料の発生原因から3年が経過すると時効が完成し慰謝料を請求する権利が消滅してしまいますので、注意しておきましょう。

2. 婚姻費用

婚姻費用とは、夫婦の間で支払われる生活費のことで、夫婦双方の収入と未成年の子どもの人数などから算定されます。

「なんで離婚前提で別居してるのに、相手の生活費を払わないといけないの?」と思われる方も多いと思いますが、民法上、夫婦には収入の多い方がもう一方に生活費としてお金を渡すという扶養義務があり、この義務は婚姻関係が継続している限り果たさなければなりません。

民法第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

ですので、まだ離婚が成立する前であれば、たとえ別居中であっても、配偶者の生活費を分担しなければならないのです。

婚姻費用を受け取っていない場合は配偶者に対し請求ができますが、一つ注意をしておきたいのはその支払いの期間についてです。
婚姻費用の支払い義務は、請求をした日以降の分のみとなっているため、それ以前の婚姻費用については法的には支払わなくてもよいとされています。

ですので、過去にもらえるはずだった婚姻費用については、相手が任意で払ってくれなければ受け取ることは難しいといえます。

これは、裁判所での調停や審判でも同じことで、申し立てを行った時点より前の支払いが命じられることはほとんどありません。

慰謝料や次に説明する財産分与のようにさかのぼって請求することができないので、別居を始める前に取り決めて書面に残しておくとよいでしょう。

また、請求をしていたことを履歴として残しておいた方が良いでしょうから、婚姻費用を支払って欲しい旨の内容証明郵便などを早めに発送して記録化しておきましょう。

 

<婚姻費用と養育費>
配偶者と子どもの生活費である婚姻費用の支払い義務が生じるのは離婚前までです。
離婚が成立した段階で、婚姻費用は支払う必要がなくなりますが、新たに支払い義務が発生するものがあります。それが「養育費」です。

養育費は子どもの権利として認められており、離れて暮らす親にはこれを支払う義務があります。(なお、養育費はあくまで「子どものための」生活費ですので、元配偶者の生活費は含まれません。)

たとえ離婚で子どもと離れたとしても、親としての扶養義務は消えることはありません。
子どもの生活のためにも、離婚時は必ず養育費についても取り決めをし、万が一支払いが滞った場合に強制執行がかけられるよう、公正証書にしておくことが望ましいです。

 

3. 財産分与

財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚の際に2人で分け合うことを言います。

民法第七百六十八条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

財産分与は慰謝料とは異なり、離婚原因を作った側でも請求をすることができます。
また、離婚成立後でも請求は可能ですが、離婚後2年が経過した段階で時効にかかってしまうので、その点は注意が必要です。

では、具体的にどこまでが財産分与の対象となるのでしょうか?

夫婦が所有している財産は、大きく分けて以下の2種類があります。
① 共有財産・・・結婚後に二人で得た財産
② 特有財産・・・結婚前から互いが所有していた財産

このうち財産分与の対象となるのは共有財産で、以下のようなものが例として挙げられます。

(共有財産の例)
・預貯金
・自動車
・不動産
・家財道具
・生命保険・年金
・住宅ローン

「結婚後に2人の共同生活の中で」得たものは、基本的に共有財産に分類されます。
ですので、「貯金の大半は夫の稼ぎである」「住宅の名義も夫」という場合でも、これは妻の協力があっての財産であるため、共有財産として財産分与の対象になります。

ただし、住宅ローンなど夫婦が共同で作ったマイナスの財産についても共有財産として分与の対象になりますので、そこは注意が必要です。

反対に、結婚前からお互いに所有していた預貯金や親から受け継いだ財産など、一方が独自で形成した財産については夫婦が共同して築いたとはいえないので財産分与の対象にはなりません。
また、婚姻中に一方が個人的に抱えた借金に関しても同様です。

財産の分け方については、平等に1対1の割合で分与するのが一般的ですが、夫婦のどちらかのみが著しく財産を築いていた場合は、その貢献度を考慮した割合での分与になるケースもあります。

万が一、夫婦間で協議をしても話がまとまらなかった場合は、家庭裁判所を通して何をどこまで分与するかを決めることになりますが、調停や訴訟となるとご自身のみでの対応が難しくなってくる場面も多くみられます。

当事者間のみでの対応が厳しそうな場合は、早い段階で一度弁護士にご相談に行かれることをお勧めします。

4.まとめ

離婚とお金の問題は切っても切り離せません。
とりあえず離婚をしたいという点だけを優先させ、養育費や財産分与については取り決めをしていなかったことが原因で、後々揉めてしまうケースもあります。
難しい問題だからと先延ばしにせず、しっかり話し合ってから離婚を進めることが大切です。

2019.04.24

【離婚問題】不貞と離婚~不倫がばれても離婚できる?~

芸能人の不倫のニュースが話題になったり、身近でも不倫が原因で離婚をしたという人の話を聞くことがあると思います。

不倫をされて離婚を決意するというケースはよく聞きますが、不倫した側から、交際相手と再婚したいなどの理由で離婚を申し出ることはできるのでしょうか。いわゆる不倫のことを法律用語で「不貞」といいます。今回は、不貞と離婚にまつわる問題についてご説明します。

1.離婚原因

日本では夫婦で話し合って離婚の合意をし、離婚届を提出する協議離婚が一般的です。しかし、どちらか一方が離婚に反対している場合や、慰謝料などの離婚条件をめぐって合意が成立しない場合には、家庭裁判所での離婚調停を経て、それでも決着がつかなければ離婚判決をもらって離婚するしかありません。

裁判離婚が認められるのは、法律上、次のいずれかに該当する場合に限られます(民法7701項)。

①配偶者に不貞な行為があったとき

②配偶者から悪意で遺棄されたとき

③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

このうち①の不貞とは、夫婦間の貞操義務に反すること、不倫のことです。したがって、婚姻中に配偶者以外の異性と性交渉をした場合は「不貞」にあたり、配偶者から離婚裁判を起こされ裁判所が不貞を認定すると、離婚判決が出されます。

なお、特定の異性とメールやSNSで親密なやりとりを行ったり、継続的に食事やデートに行く関係にあったとしても、性交渉に至っていない場合には「不貞」にはあたりません。

ただし場合によっては、この事実を知った配偶者がショックを受け、⑤の「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する可能性はあります。

2.有責配偶者からの離婚請求

では反対に、不貞をした側から離婚を求めることはできるでしょうか。これは「有責配偶者からの離婚請求」と呼ばれる問題です。有責とは、夫婦関係が破綻するに至った原因を作り出した責任があるということです。

かつての最高裁判所は、有責配偶者からの離婚請求を認めてしまうと、相手配偶者は踏んだり蹴ったりであるという理由で離婚を認めませんでした(最判昭和27219日)。しかしその後最高裁判所は方針を変更して、一定の要件の下では有責配偶者からの離婚請求を認めるようになりました(最大判昭和6292日)。

一定の要件とは、

①別居期間が長期間に及ぶこと

②未成熟の子どもが存在しないこと

③離婚することによって配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態にならないこと

3要件です。

①は、5年程度以上の別居期間が必要とされるのが一般的です。したがって、再婚するために離婚判決を勝ち取るには、相当長い期間、配偶者と別居しておかなければなりません。

②の未成熟の子どもとは、未成年者という意味ではなく、まだ経済的に独立していない子どもを指します。ただし、未成熟の子どもがいても、有責配偶者からの離婚請求が認められる場合があります。例えば、高校生の子どもがいても、3歳のときから一貫して妻が育て、夫は生活費の送金を続けてきたことから、未成熟の子どもがいることは離婚請求の妨げにならないとした判例があります(最判平成628日)。

③は、様々な事情が考慮されます。裁判例の中には、約13年間もの長期間別居しているにもかかわらず、有責配偶者からの離婚請求を認めなかったものがあります(東京高判平成91119日)。

この事案は、夫が不貞をして、妻とは約13年間も別居生活を続けていましたが、夫は月額約80万円の給料を得るなどの高額所得者でありながら、妻子(子は高校生と中学生)には少額を送金するのみで、やむを得ず妻が実家から援助を受けていたという事情がありました。

このような状況で離婚を認めてしまうと、ますます妻子の生活が苦しくなってしまうおそれがあることが考慮されています。

これらの3要件に照らしてみると、不貞を行った有責配偶者からの離婚請求が認められるのは、相当にハードルが高いことがわかります。

3.婚姻が破綻した後の不貞

一方、夫婦関係が破綻した後に不貞が行われた場合には、前述の考え方は当てはまらず、不貞を行った者からの離婚請求であっても離婚が認められます。なぜならこの場合は、不貞が原因となって夫婦関係が破綻したのではなく、ほかの理由で既に破綻しているからです。

とはいえ、早く離婚したいからといって自ら積極的に夫婦関係を破綻に至らせると(たとえば生活費を全く家に入れない、暴力をふるって妻を家から追い出すなど)、このこと自体が理由となって、不貞以外の理由で有責配偶者と認定されてしまい、離婚請求が認められないことになってしまいます。

どういう状態になれば夫婦関係の「破綻」といえるのでしょうか。これは一概には言えません。例えば夫婦仲が悪く口論ばかりしている、寝室が別々、性交渉がないという事情があってもこれだけではまだ破綻とは言えません。

夫婦関係が破綻したか否かは、離婚の意思が相当に固く、修復する気持ちが皆無であるといった内心の事情のほかに、ある程度の長期間別居しているといった外形的な事情を総合的に考慮して判断することになります。家庭内別居という夫婦もいますが、同じ屋根の下で生活している以上、それだけでは夫婦関係が破綻したとは言いにくいでしょう。

4.まとめ

裁判実務では、不貞を行った有責配偶者からの離婚請求はなかなか認められないのが実情です。しかし、不貞相手と再婚したい等、どうしても離婚したいと考える方も多いでしょう。その場合、有責配偶者としては、離婚裁判では敗訴してしまうリスクが高いので、裁判を回避しなければなりません。

つまり、できるだけ話合いで離婚するように、協議離婚または調停離婚で決着をつける必要があります。そのためには、高額の慰謝料や財産分与に関する相手方の要求をそのまま受け入れるといった厳しい選択を迫られることになるかもしれません。慎重に行動する必要があるでしょう。

2019.04.24

【行動科学×消費者法】法学部でもやらない「消費者契約法第1条」の読み方と啓発

私を含め、このリスクを知らないが故に損をさせられていらっしゃる消費者が多いものと考えられるため、消費者契約法第1条の読み方を記事にすることといたしました。
事業者と並んで危険性が極めて高い存在を発見しましたので、ご紹介いたします。この記事で抑えて欲しいポイントはただ一つなので下部にそのポイントを記載します。

この考えの周知がされれば、消費者問題のほとんどのものが無くなるものと思われます。年金でやっと生活できているご老人に対する詐欺や、お金を失ってしまったがゆえに命を落としてしまうような悲劇を防ぐことができるのです。
わたしたちの力で、この仕組みを周知し、今お金を奪われて危機にさらされている生命を守るために「共有」のご協力をお願いします。

1.はじめに

突然ですが、ご自身のスマホをご覧になって4月のメールを見返して目を引くメールがある方、特に4月12日に目をひくメールが届いている方はこの記事を読み、行動しなければ損をするかもしれません。

私は、4月10日にローボール・テクニック(一度契約を結んだら不利益な変更にも私たちは従ってしまう)の例として、ある有名なサイトを例に出して記事を作成しました。
実際に掲載される前の案の状態でしたが、2日後にはそのサイトは1,000円の値上げに踏み切り、大胆な判断がなされていました。疑いをもっていたサイトがローボール・テクニックを使っていたことが証明されたのです。

とはいえ、マーケティングに行動科学などのテクニックを使うのは事業者からすれば正当な範囲内の事なので事業者には何の問題もありません。
では、消費者はどのように立ち向かえばよいのでしょうか。
以下でご説明したいと思います。

2.消費者契約法第1条を捉える

改めて、消費者として事業者と結ぶ契約の恐ろしさを申し添えたいと思っています。
ここでは、消費者契約法第1条の読み方として、消費者庁から発表されている資料を用いて解説したいと思います。

多くの法律は型のようなものが決まっていて、その立法趣旨は前のほうにあります。
特に第一条に目的規定がおかれることが多く、その法律のピュアな上澄みの部分が目的に規定されます。

消費者契約法をみてみると目的が前に出ているつくりになっています。

第一条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

消費者契約法はざっくり言うと「消費者」と「事業者」の間の「情報の質及び量・交渉力の格差」に鑑みて、「消費者の利益の擁護」を図っている法律なのです。

抽象的に書かれていますが、事業者の持つ情報(あえて知識や知恵・手法も含まれると読みます)と消費者が持つ情報は格差があまりにも大きいので、消費者の利益を擁護しましょうということを規定しているのです。

なお、消費者庁の定義では、情報の質:入手される情報の詳しさ、入手される情報の正確性、 入手される情報の整理の度合い情報の量:入手される情報量と定義されています。

消費者契約法第1条は、大半の法学部で開講される、消費者法や市民生活と法のような授業あるいは民法の授業で取り扱われないか、取り扱われはするが、パワーがあまりないがゆえにさほど重要視されないものです。

もちろん、消費者法の各条項をもって、悪徳業者を疑うのは大切ですが、手始めにもっと危険性の高い存在を疑わなければなりません。
そして、この条文をただ消費者保護の法律という視点から見たときに、それは99.9%、見えない存在なのでさらに厄介です。
このただ一文から、必死に本質をみようとしたときに、その危険性の高い存在は、うっすらと見えてきます。

それは誰のことでしょう?

それは1条の「事業者」よりも、「消費者」、つまり私達のほうだったのです。

この記事では、次の一文だけでいいので押さえて下さい。

ご自身の『判断力・解約力』を疑うという意識です。

自分は相応の対価を得ているからと思って支払い続けているお金はありませんか?
映画見放題・音楽聞き放題サービスも付いてくるなら!という考えで、毎月お金を納めていませんか?

以前も書きましたが、一度結んだ契約を、(たとえ解約する権利があっても)私たちは事実上なかなか解約できません。これは、私達自身の問題なのです。

そこで、私たちが率先して不要な契約については解約をしてゆくのが理想的な形です。
今自分が結んでいる契約の動きを観察することで解約すべきか否か検討することができます。

以前私は、毎月通信量が多く余っているのでそもそものベースプランを変えようと思い、かつて携帯電話にべったりとはりついた不要なサービスをすべて解約し、通信量も一番小さいプランへ変更しました。すると結構スッキリし、支出も減りました。

このように、契約は不都合が生じない程度に身の程にあわせてゆくことと、不要なものは解約してしまうことが重要なものと思われます。

3.おわりに

契約の評価や、契約の解約は第三者である法律事務所でも行えます。
すべての契約を把握できていない方は、一度法律事務所の無料相談を利用して、ご自身の出費に毎月どれだけのロスがあるかを把握するだけでも生活の質が違ってくるかもしれません。

2019.04.24

【交通事故】自動車保険は必ず加入しないといけない?必要性について

交通事故を起こしてしまったと仮定しましょう。
相手の方には怪我を負わせてしまい、さらに一生後遺障害が残るという結果になってしまいました。
このとき、あなたは相手の方やそのご家族に対してどうやって保障をしていけばいいと思いますか?
また、死亡させてしまった場合、今やその賠償金額が億を超えることも珍しくありません。
あなたはその金額を用意することができますか?
このような損害賠償に備えるための「保険制度」について、今回はご説明します。

1.保険加入の必要性

①万が一に備える

交通事故を起こしてしまった場合、車の所有車や運転者には、被害者に対して損害賠償の責任が生じます。この損害賠償に備えるのが保険です。
万一の場合に備えて必ず保険には加入しておきましょう。

②自動車保険の種類

自動車保険には、法律によって必ず加入しなければならないもの(強制保険)と、所有者や運転者が任意で加入するもの(任意保険)の2種類があります。

・強制保険(自動車損害賠償責任保険=自賠責保険)
自動車(農業作業用小型特殊自動車を除く)や原動機付自転車は、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)、または自動車損害賠償責任共済(責任共済)に加入していなければ、運転してはいけません。要するに、ナンバーのついた車は、所有者の意思に関係なく加入する義務があります。

・任意保険(損害保険会社などの自動車保険)
強制保険で保障してもらえるのは、人身事故に限られ、しかも自損事故は含まれません。また、賠償額にも限度があり、強制保険だけでは十分に賠償できるとは限りません。高額な損害賠償や物損事故、自損事故などに備えて任意保険に加入しておきましょう。

2.保険金の請求について

①強制保険の保険金請求方法

自賠責保険は、交通事故の被害者救済を目的に国が事業として行っている保険です。
交通事故による強制保険の保険金の請求方法には、次の2つの手段があります。

・加害者請求
加害者は、被害者に損害を賠償した範囲内で、保険会社に対し保険金の支払いを請求することができます。ただし、この請求は領収書や必要書類を添えた上で、被害者に支払いをしてから3年以内に行わないと時効になります。

・被害者請求
示談が円満に解決しないような場合、被害者は加害者に損害賠償を請求する代わりに、加害者が加入している自賠責保険に対し損害賠償額の支払いを直接請求することができます。
また、さしあたりの費用として必要があれば、損害賠償額の一部を仮渡金として請求することもできます。

②任意保険の保険金請求の流れ

強制保険と同様に、任意保険の場合にも「加害者(被保険者)の請求」「被害者の請求」2つがあります。

・加害者の請求
通常、加害者は加入している損害保険会社に保険金の請求手続きを行っていれば、損害保険会社が被害者との示談交渉を代行し、示談成立後に保険金を被害者に支払ってくれます。この場合には、損害保険会社が自賠責保険の請求手続も一括して行いますので、加害者は別途に自賠責保険の請求手続きを行う必要はありません。

・被害者の請求
任意保険会社への請求は、保険契約者からの請求が原則です。
任意保険会社は、あくまで保険会社にすぎないため、被害者に対して損害賠償の支払義務を負っているわけでありません。

損害賠償の支払義務を負うのは、あくまでも加害者であり、被害者は一度加害者に請求してからでなければ、任意保険会社からの支払いを受けられません。

しかし、示談が成立しても加害者が賠償金を支払わない場合、被害者は加害者の加入している損害保険会社に被害者請求をすることになります。

ここで問題となるのが、被害者の直接請求権は保険約款上(※1)の権利であり、必ず任意保険会社対し直接請求できるとは限らないという点です。一度加害者に請求してからでなければ、任意保険会社からの支払いを受けられないというのは、被害者の方にとって大きな負担となることでしょう。

そこで、対人賠償・対物賠償等の任意保険においては、被害者は任意保険会社に対して、直接請求することが認められています。
被害者から任意保険会社に対して直接請求権が認められる場合とは、保険契約約款上で被害者が直接請求権の行使が認められている場合ということになります。

これは逆にいうと、被害の直接請求権が保険約款で規定されていない場合には、被害者から任意保険会社に対する直接請求を行ったとしても請求が通らない可能性が十分に考えられます。
だからこそ、専門家に相談しながら、手続きしたほうがよりスムーズに話が進むと考えられます。

※1 約款とは契約条項のことをいいます。企業と個人が契約する際の、決まりのようなもので、保険に関していえば、どのような条件で保険金が支払われる、支払われないなどが書かれています。

3.まとめ

事故の当事者間で話合いがつかない場合など、どうしたら良いのか分からない点が沢山出てくることだと思います。

交通事故の示談は、事故で生じた損害賠償額を話し合いで決めていくため、加害者も被害者も損害賠償額の目安を知っておかなくてはいけません。

損害賠償額の主な目安としては、保険会社基準(自賠責保険・各保険会社の支払い基準)と日弁連基準(財団法人 日本連交通事故相談センターの「交通事故損害額算定基準」)があります。

保険会社基準の場合、裁判を前提としていないため、本来受け取ることが出来る損害賠償額より低くなる可能性もあります。
もしお悩み事や不安な点等がございましたら、是非弁護士にご相談下さい。

※本記事に搭載されている内容は、あくまで一般的な流れであり、発生事故によって異なることもございます。ご了承ください。

2019.04.24

ネットでのビジネスを始める前に知っておきたい法的リスクとポイント

最近ではインターネットが普及し、家にいながらでも様々な商品が購入でき、翌日には自宅や指定した場所に配達してくれるネットショッピングや、旅行の予定を立てた場合、宿の予約や航空券の手配などをネットで行うことができたりと、大変便利な世の中になってきました。
このようなネットビジネスは個人でも立ち上げることができ、中には多くの利益を生んでいるサービスも見受けられます。
そんなネットビジネスを始めようとする際に重要になるのが、法務です。法に則した認可を得ていなかったために業務停止命令を受けるなどのケースもあり、リスクとなる部分もあります。
今回は、ネットビジネスに必要な認可や、サービスによって異なる法的リスクについて説明します。

1.ビジネスのモデルによって法的リスクは異なる

実店舗において店や商売を始める際には、法律で定められた認可を得なければならないケースがあります。例えば、食品の販売であれば食品衛生法であったり、酒の販売であれば酒税法、旅券発行や宿泊の仲介は旅行業法などです。

これはネット上のビジネスにおいても同様で、ネットビジネス特有でもある仮想通貨を扱うサービスであれば資金決済法、景品表示法であったり、クラウドファンディングであれば出資法などが関係してくることになります。

立ち上げたいビジネスがどのようなものかを考えた際に、どのような認可が必要か、もしその認可を得ずに始めてしまうとどのような法的リスクがあるのか、ということも併せてピックアップし、洗い出すことが重要です。

2.誰と契約し、誰から利益を得るのかを明確に

法的リスクを洗い出す、といってもどうやって行えばよいのでしょうか。
まず、「誰が」「誰に」向けたサービスで、「どんなものを行う」のかを考えましょう。
例えば、ハンドメイド作家の商品を販売するサイトを開設した場合では、以下のようなケースが考えられます。

①事業者である自分と購入希望者で直接売買契約を結び、商品代金も事業者へ支払うケース。商品はハンドメイド作家から購入者へ送られる。

②事業者はハンドメイド作家や商品の紹介をサイトで行う。その商品の購入希望者はハンドメイド作家と売買契約を結び、商品代金は購入希望者がハンドメイド作家へ支払うという仲介型サイトのケース。

①では、商品に不備やクレームがあった場合、購入者と売買契約を結んでいるのは事業者ですから、事業者である自分が責任を負うことになります。

一方、②のケースでは、ハンドメイド作家と購入者が決済まで含んだ契約を結ぶという形になるため、クレーム等は事業者へは届きにくくなります。

法的リスクは①に比べて低いですが、仲介型のサービスには一定程度の規制がありサービス内容や業種によっては不可であることや、既製品をあたかもハンドメイドのように見せかけ、高額で販売していた場合などの違反に対して、事業者である自分はどのように対処すればよいかなど、不安はどちらのケースであっても起こり得るものです。

そのような不安のもととなる、予想される問題をすべて洗い出し、先手を打つことでスムーズにネットビジネスを始められるのです。

3.ネットサービスで異なる法的リスク

2.では商品販売サイトを例に出して説明しましたが、ネットが普及し技術が発展するにしたがって多様なサービスが現れてきました。

やはりサービスごとに法的リスクも異なるので注意する点も様々です。
もし多岐にわたってネット上でサービスを展開していく予定であるなら、サービスごとの特徴を知り、それぞれのリスクも把握しておきましょう。

①ECサイト

現在、実店舗で商品を販売していることを、そのままネットの世界で行うようなサービスです。実店舗では直接商品を見たり触ったりできますが、サイト上では写真や説明文を見て判断し、購入します。

その際に写真と実物のイメージが異なっていると、購入者とのトラブルにつながりかねません。
しかしながら、実物をそっくりそのまま写真にすることは物理的に無理であり、対処法としては会員登録をするタイミングなどで、責任の範囲や返金や返品についての記載をサイト内で示す必要があります。

②ショッピングモールサイト

ECサイトと同じかと思われるかもしれませんが、多くのショッピングモールサイトは「商品を売りたい」販売者と「購入したい」希望者をつなげるサービスで、どちらかと言えば仲介をし、販売者から出店料を得るというような形になるでしょう。
その場合は、販売者と購入希望者間のトラブルについて対処法を考えねばなりません。

③課金制アプリ、WEBサイト

スタートフォンアプリや、会員制(課金制)のWEBサービスを立ち上げる際も、様々なトラブルを想定しなければなりません。

スマートフォンアプリに多く見られるものは、一部のサービスが無料で使用でき、それ以上の機能を追加する場合は有料プランに移行する、というようなものです。

アプリ発売当初に世間へ周知する内容の中に、「すべて無料でできる」などとまぎらしい文言を入れてしまうなどすると、後でトラブルになり得ます。

集客を狙い、事実とは異なる表現をすることは景品表示法違反にもなり、早々に業務停止になることもあるのです。

④その他

他にも2016年頃に問題となったキュレーションサイト、まとめサイト等の著作権問題や、金融商品に関係するサービス等の資金移動業者登録についての問題などもあります。

WEBサービスとして一括りにせず、特徴から考えられるトラブルを洗い出しましょう。

4.まとめ

今回は自分でWEBサービスを立ち上げる際の法的リスクについて考えてみました。
多くはお金が発生した時点でのトラブルです。
商品を準備し、購入者に販売、フォローするまでの流れを考え、予測されるトラブルや法律に関係する部分をよく把握しておきましょう。

2019.04.22

【退職の仕方】入社した会社を「やめたい」方へ~「退職代行サービス」ではなく法律事務所を使って確実に退職へ(私達がとる態度の豆知識つき)~

「退職代行サービス」というサービスを聞いたことがありますか?

もしかすると、この記事にたどりついた方はご存知かもしれません。退職代行サービスのウェブサイトには甘い言葉が書いてありますが、実は退職代行サービスは弁護士法違反にあたる可能性があるのです。

退職代行サービスの多くは、歴史が浅く、方法も不透明な上、やめようとする会社に対する権限も弱いため、退職時に揉めたりするケースや、退職後に訴訟を起こされる事例には一切対応が出来ません。会社が本腰をあげた場合に対処できないのです。

しかし!この世には退職代行サービスよりも強力な退職の助っ人がいるのをご存知でしょうか?

 ―弁護士とよばれる者です。―

後腐れなく退職したい場合は、退職代行サービスを使った場合よりも、予め法律事務所(特に労働に強い弁護士を擁する法律事務所)に「退職をしたい」という依頼を行った方が円満・安全・確実に退職を行えます。

1.合法的なやめ方のすすめ

リクルートスーツを着て、つらい就職活動をし、無事大学を出て、就職してみたものの、何か違和感をおぼえていらっしゃる方や、とにかく理由は抜きにして会社なんか辞めてしまいたい方は必見です。
思っていたのと違った。なんか嫌だ。拘束時間が長い。残業地獄。とにかくだるい。やめさせてもらえない。ご覧の方にはそういった思いもあるかもしれません。

一度きりの人生ですから、自分に素直に行動してみようと思われる方もいらっしゃると思います。

ウェブ上に公開されている、ある退職代行サービスは、誰にでもできる「とりあえずやめる」ことの代行だけで5万円もかかります。その点をみると、弁護士に依頼して「確実にやめて自由になる」ほうが、やめた後の嫌がらせへの対応や訴訟を提起された場合等を考えると安心です。

このように、確実に辞めて、その後の干渉もさせないほどに徹底するには法律の専門家に依頼するのがいいと思われます。退職代行業者と比較すると、法律事務所には証拠の残し方や交渉のノウハウがあり、会社に対しても丁々発止な対応が出来るため、退職代行を依頼するのであれば、法律事務所への依頼が合法的・円満・確実でよいものと思われます。

グレーなビジネスが出現しているからこそ、この「安心の退職方法」が、全ての会社を辞めたい人の保険のような形で周知されればよいなと思っています。

危険性のあるサービスではなく、安心できる辞め方として、周知にご協力いただければ、一人でも多くの方が救われるものと思います。

また、退職代行サービスは上記の通りとりあえずやめるというだけですが、法律事務所の退職代行依頼であれば、場合によっては会社に併せて「損害賠償請求」ができるケースもあるので、いずれにしても法律事務所を使った退職に軍配があがりそうです。

なお、福岡ではゴールデンウィークの10連休のうち、4月30日・5月2日・5月6日に営業している法律事務所もありますので、退職をご検討の方はこの3日を狙って無料相談がある法律事務所に行ってみるとよいかもしれません。

退職代行サービス会社 法律事務所
欠勤・退職の意思表示の確実な伝達
退職日の交渉 ×
有給消化の交渉 ×
引継ぎに関する交渉 ×
私物の引取り ×
離職票、年金資格喪失証明書等の発行依頼 ×
未払い賃金(残業代)や退職金などの請求 ×
訴訟になった場合の対応 ×
会社への損害賠償請求 ×
違法性 グレーな行為 適法行為

2.ありがちな言葉を考えてみる

あらためて、考えを整理するために、よく説得で使われがちな言葉を、あえて違った角度から考えてみると気付きを得ることがあります。その過程で自ずと自分の価値観が明らかになることもあります。

【物事をうやむやにさせる言葉】
① 「社会人として云々」「人として云々」「常識が・・・」
→この言葉が使われている場面を思い出してみてください。それは、ある一定の価値観がおしつけられている場面ではないですか?常識とはなんでしょう?よく考えてみると個々人の思い込みとも捉えられませんか?
アインシュタインも「常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションのことをいう」というように、常識は個人が勝手に決めつけた各人で偏りのあるものの見方とも捉えられるのです。

② 「おかれた場所で咲きなさい」等のことわざ
→上にアインシュタインの言葉を引用しましたが、アインシュタインが出てくるだけで少し納得しませんでしたか?人はことわざや偉人の格言に弱いという研究があるので、説得されている場合はことわざや格言の力に惑わされないようにしましょう。
よくよく考えると、案外逆のことわざもあるものです。

③ 「○年は続けろ」という言葉
→辞める勇気のなかった者が言う、新卒者の人生を狂わせてしまう危険な言葉です。3年も経つと第二新卒という範囲からも外れてしまい、選択肢が減ってしまいます。具体的に続けることに何の意味があるのかを考えて、発見できれば続けてみるというのもよいかもしれません。

なお、上で様々なよくいわれる言葉の一つの見方を批判的にご紹介しましたが、実はこのものの見方も一つの見方・偏見でしかなく共感する必要もありません。
本来私達は、自由に考え、自由に職業を選び、自由に暮らすことができるはずなのです。

3.あとがき・【ローボール・テクニック】が人に思ってもない行動をさせている話

私はこれを知り、「ああ、ローボールだなぁ」という状況によく出くわすことがあります。日常で、気づいたときに、本心では嫌だけれどもなぜか受け入れてしまっている状況はないですか?

もっというと、なぜかあまり使わないのに継続して加入している通販サイトの会員プランや、スマホの課金はないですか?

実は、人は一度約束をすると、後に約束の内容が不利益に変更されても撤回するのは難しいといわれています。

世間でもよく使われている技法で、例えば、週1である簡単なタスクをやると評定の点数に加味するとしておき、点数はそのままで週2に頻度を増やすなど、はじめは容易な条件で次第に条件が厳しくなっていっている状況であっても、最終的には大半の人は受け入れてしまいます。これがローボール・テクニックといわれるものです。

初月無料や初年度無料というサービスがよくありますがまさにこれです。

現時点の退職理由で、「労働が割に合わない」ということを考えてらっしゃるような場合はこのことを警戒して、少し様子をみてみるのもよいかもしれません。

このように、一見甘い餌をまかれているような時は、不利益を被る可能性があるので警戒が必要だと考えられます。

4.さいごに

私たちの態度は私達が決めているものと思っていますが、往々にして決められているようにも考えられます。ただ、行動がどのような経緯であれ、自分自身が意思をもって辞職を決意するのであれば、その意思は尊厳をもって扱われるべきであるといえるでしょう。

そして、その尊厳を護ることが出来るのは法律をもってして代理人となることのできる弁護士でもあります。

退職をお考えの方は、無料相談を行っている法律事務所などもありますので、この記事も踏まえ様々な角度から検討のうえ、ご自身の自由な意思で依頼先を選択されることがよいと思われます。

2019.04.18

恋人の自傷癖・薬物使用等でお悩みの方へ~法律で保護できるひと~

「大切な人が自分を見失っている」

恋人に自傷癖があり、自殺をほのめかされてお困りの方や、恋人の薬物使用でお困りの方は一定数いらっしゃいます。

自傷癖と薬物依存、どちらも、精神衛生上、放置しておくことは望ましいものではありません。だからと言って大切な人を警察につき出すのも気が引ける・・・。どこに相談すればいいかわからない・・・。なんだか自分も気分が沈んできた・・・。

そんな方に、なるべく関係を壊さないで穏便に解決する一手段をご紹介したいと思います。
知っておくだけでも安心な情報で、なおかつあまり公にはされていない情報なので是非要点だけでも知っておくといいですよ。

要点は前半にまとめています。根拠となっている法律の解説は後半にまとめています。
要点だけ知りたい方は前半をお読みになって下さい。

1.話し合いでなんとか出来ないことだってある

例えば、身近な人が自傷癖を持っていたり、薬物依存に陥っていたりしてお困りの際に、なんとか説得して、立ち直らせられないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、精神医学の専門知識がない場合、話し合いや、道具の取り上げを行うことで逆に自傷や薬物依存に拍車をかけてしまう場合もあります。

自分だけが相手のことを一番分かっているとは思わずに、一旦、客観的な専門家の意見をあおぐことも本人のためを思えば適切な判断であると思われます。

そして、往々にして自傷行為や薬物使用をしている本人は病院へは行きたがらないケースが多いものと思われます。本当に立ち直ってほしいと思うのであれば、公共の制度を利用し、治療を受けてもらうのが最適解でしょう。

2.不幸にも病んでしまった大切な人を保護する制度

突然ですが、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律という法律をご存知ですか?
簡単にいえばこの法律は精神的な健康を促進するための法律です。

この法律には、錯乱や過度な自傷・薬物使用など精神的な疾患の疑いがある方のうち、ご本人に病識がない場合に、ドクターに適切な治療を行ってもらう制度があります。

パートナーが自傷行為をやめないのに、病院に行きたがらない場合や、パートナーが薬物を使用して錯乱することがある場合には、この法律によって、保健所に申請し、調査・指定医に診察をしてもらうという手段があるのです。

しかしながら、精神的な錯乱状態にある方・希死念慮の方で治療を拒否している方を保健所へ連れて行くことは現実的には困難ですので、治療をさせようとする方がご本人の症状を記録し、その他の記載事項を書いて申請することとなります。
その後保健所の調査のうえ、指定医の診察を経て治療や措置入院が開始される運びとなります。

このように治療を受けさせるには「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に基づいた都道府県知事に対する申請を経ることが必須条件になりますので、まず法律事務所に依頼して、事情を弁護士などに話した上で、法律事務所を通して申請することもできます。
また、法律事務所を通すことで申請後の本人の処遇の流れを知ることができます。

申請が認められ、指定医2名の診察により、措置入院が妥当であるという判断がされれば、病床において、本人を治療させることができます。
病床の区分には一般病床・療養病床・精神病床・結核病床・感染症病床と5種類ありますが、そのうちの精神病床に入院することになります。

精神病床というと「隔離」をご想像されるかもしれませんが、精神病床にも開放病棟という施錠されていない病棟もあり、一定の自由は保証されています。

なお、希死念慮をお持ちの方などは、「保護室」などと称される、閉鎖・隔離で、自傷に使える道具のない、施錠・閉鎖された病床に入院することになります。
ここへ入院することになると、自傷や薬物は使えず、一定期間は治療を受けてもらうことが出来るので一安心といえるでしょう。

なお、今回は恋人の自傷他害行為についてご紹介しましたが、ご家族が自傷他害のおそれのある状態に陥っている場合には、少しソフトな医療保護入院制度というものもあります。

医療保護入院は申請を行う必要はなく、本人を病院に連れて行き入院させ、治療させるものですので特段の申請を行う必要はありません。
詳しくは「医療保護入院」で検索をかければ制度が出てきます。

3.法律上の根拠

法律上、人の自由を制限することはそう簡単には認められていません。
人の自由を制限する場合は法律の根拠が必要となります。今回のように法律の規定によって精神病床に入院させる場合も一定の手続が要求されています。

申請による措置入院の場合であれば精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第22条1項で都道府県に申請し、第27条1項で指定医の診察、第29条で都道府県知事の措置入院決定となります。

4.まとめ

よく恋人がリストカットやアームカットをしているといったことや、薬物を身近な人が使っていてやめさせたいという話を聞きます。

法律には、自傷行為を止めて保護する制度もありますので、身近にそのような方がいらっしゃったら、法制度を使うことも手段の一つとしてお考えになるのもよいのかもしれません。

2019.04.18

【離婚問題】認められる離婚理由と離婚方法・離婚後の手続きってどうなっているの?

夫婦間で離婚を考えたとき、離婚ってどうやってするの? 離婚ってどんな理由でも認められるの? 離婚届はどうやって提出するの?など分からないことばかりだと思います。
今回は、離婚方法、法的に認められる離婚理由(法的離婚事由)、離婚後の手続きについてお話しします。

1. 離婚をする3つの方法

離婚をする際、夫婦間で双方の合意があればその理由が何であれ、離婚をすることは可能です。逆をいうと双方の合意がなければ離婚は成立しません。双方の合意を得るための離婚方法が3つあります。

1つ目は協議離婚です。離婚をする夫婦の多くはこの「協議(夫婦間での話し合い)」によって双方の合意を得ることで離婚を成立させています。

2つ目は調停離婚です。協議離婚が成立しなかった場合に、家庭裁判所で調停手続きをとって、調停委員が間に入り話し合いを行います。離婚についてだけではなく、子どもの親権や、面会交流や養育費、財産分与や年金分割、慰謝料などについても話し合うことができます。

3つ目は裁判離婚です。ただ、原則として、いきなり離婚の裁判をすることはできません。調停でも離婚が成立しない場合に初めて、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、裁判に進むことになります。裁判離婚の場合、両当事者で協議の上で合意をするのではなく、裁判では双方が主張立証を行ったうえで裁判長が判決を下します。判決に不服がある場合は控訴・上告という流れになります。

2. 法的離婚事由

裁判では法的離婚事由(法律で認められる離婚理由)がないと、離婚は成立しません。
法的離婚事由は民法第770条で定められていて、以下の5つです。

①配偶者に不貞な行為があったとき。

これは俗にいう「不倫」のことで、配偶者以外の異性と性行為を行った場合は、その配偶者がこれを理由に離婚を請求することが可能です。

②配偶者から悪意で遺棄されたとき。

夫婦には3つの義務が存在し、「同居義務」・「協力義務」・「扶養義務」です。夫婦関係が破綻することが分かっていながらこれらの義務を果たさないことは、悪意の遺棄と見なされ、離婚を認められます。

③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

夫婦のどちらかが家を出ていったりして、行方が分からず、その生死も明らかでない場合は3年が経過すると離婚が認められます。ただし、本当に生死が不明なときであって、単なる行方不明の場合には該当しませんので、注意が必要です。

④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

この場合は調停を行うことができないため、例外的に調停を経ず、裁判で離婚を請求することができます。
夫婦のどちらかが、夫婦関係を破綻させる程度の精神病にかかってしまった場合は離婚事由になり得ます。
医師の判断が必要で、離婚後の配偶者の生活についても心配がないという状況でないと離婚は認められません。

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

離婚をしたい原因が1~4に該当しない場合でも、DVや性の不一致、親族との不和、過度な宗教活動、金銭問題などが離婚事由になることがあります。必ずしも離婚が認められる訳ではなく、その度合いによって裁判所が判断します。

3.離婚後の手続きや提出書類

離婚成立後、各方面に書類の提出、各種手続きが必要となります。

① 離婚届の提出

離婚届は、市区町村役場でもらうことが出来ます。窓口で直接、もしくは郵送にて提出が可能です。
提出に伴い、戸籍謄本や届出人の印鑑、が必要です。協議離婚の場合は本人確認書類、調停離婚や裁判離婚の場合はさらに調停調書や判決書の謄本などが必要となります。

②協議離婚の場合は公正証書を作成する

調停や裁判によって離婚が成立した場合は、養育費や面会など決定事項が証拠として残りますが、協議離婚の場合は第三者を介さないため、証拠が残りません。後で2人の間で食い違いがあったり、決定事項が守られなかったりする可能性があるので、書面で残しておくのが良いです。

離婚協議書を作成し、できれば公正証書を作成した方が良いでしょう。離婚協議書を公正証書で作成し、執行認諾文言を付与することによって、万が一決定事項が守られない場合、後に差押えなどの強制執行が可能となりますので安心です。

③子どもの姓や戸籍

親は、離婚届を出せば、婚姻前の姓と戸籍に戻りますが、子は婚姻中の姓・戸籍のままです。離婚時に籍を抜けて子を引き取る際は、新たに戸籍を作らなければなりません。その場合、管轄の家庭裁判所へ子の氏の変更許可申立書を、役所に入籍届を提出します。
子の籍を移さず、婚姻中の戸籍のままでも問題はありませんが、子供の戸籍が必要になる機会もあろうかと思います。その場合、親権者の戸籍に入っていた方が何かと都合が良いでしょうから、なるべく移すのが良いでしょう。

4.まとめ

離婚をするときに、その決定方法は3通りあります。協議や調停の段階では、夫婦の合意が得られれば離婚は成立しますが、裁判まで進むと法律で決められた理由がないと離婚は認められません。
証明するには証拠が必要な場合が多いので、事前の準備が不可欠です。
また、離婚が成立した後も、書類の提出や子どもの姓や戸籍の変更などやるべきことがあります。
体力も使い、精神的にも苦労が多くなりますが、子どもと自分たちの未来のためにはやらなければならないでしょう。

2019.04.18

【離婚問題】子連れ離婚の子どもに関する3つの権利

離婚は夫婦間の問題だというところにスポットが当たりがちですが、夫婦間に子どもがいる場合は、夫婦だけの問題ではなくなります。親子の問題なのです。離婚の成立後には、夫婦で子どもに関する取り決めを行うことになります。その中でも、子どもに関する事柄で重要なのは親権、面会交流、養育費の3つでしょう。

今回は子どもに関する事柄についてお話ししたいと思います。

  1. 1. 親権   

  2. 親権は、

    父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない

    と民法第819条で定められています。 親権とは、親が子どもを監護・教育し、財産を管理する権利義務であり、離婚の際には、その権利義務を夫婦のどちらが持つのかを決めなければなりません。
    親権者をいずれにするかは、離婚届を提出するときに取り決めて離婚届に記載をしなければ、離婚届は受理されませんので夫婦間でしっかりと話合わなければなりません。
    では、親権を持たない親(非親権者)の立場はどうなるのでしょうか。

  3. まず、非親権者は、通常、子どもの監護をしていないため、親権者に対して毎月養育費を払わなければなりません。親権はなくても、扶養義務があるからです。
    ただ例外的に、親権と監護権を分離して持つことも可能です。
    離婚する際、夫婦双方が親権を欲するケースが多いですが、仕事や子育て経験の問題もあり、父親が現実的に育児をすることが難しいケースも多いです。そのようなとき、父親は親権を持ち、実際の子育ては監護権者として母親が行うという分け方をする場合もあります。

  4. 【親権と監護権を分離するメリット】
    ●実際に子どもを育てない方の親も、子どもとの繋がりを感じることができ、精神的な支えになります。
    ●親権者をいずれにするかで離婚協議が成立しない場合に、両者の気持ちの落としどころとなり、離婚を成立させることができるケースもあります。
    【親権と監護権を分離するデメリット】
    ●親権者の同意が必要な手続きを行う際、実際に一緒に住んでいる監護権者に親権がないため、書類提出などの事務手続きが面倒な場合があります。
    ●母親が監護権者となり、父親が親権者となった場合は、子どもは父親の戸籍に入るため、苗字は親権者である父親と同一となります。つまり、実際に同居している母親と苗字が別々になってしまいます。(家庭裁判所で子の氏の変更は可能です。)
    以上の通り、メリットもありますが、デメリットもあります。親権と監護権を分離することは可能ですが、子どもへの負担等を考えると、分けずに親権者を決めておくのが一番良いといえるでしょう。

    2. 面会交流    

  5. 次に、非親権者と子どもとの関わり方についてお話ししましょう。親権が得られなかったからといって、子どもと顔を合わせられなくなる訳ではありません。非親権者が子どもと接するための面会交流という権利が存在します。
    民法第766条において

  6. 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
  7. と規定されています。親の子どもに会いたいという気持ちも大切ですが、民法上は子どもの利益を最優先として面会交流を実施することになります。
    まずは、面会交流を実施するに当たって、その頻度や時間などを取り決めなくてはなりません。そして、取り決めがあるにも関わらず、その約束を守らずに面会交流を拒否してしまうと、間接強制として裁判所から罰金を命じられる場合もあります。

    3. 養育費   

  8. 離婚後、子どもと離れて暮らす親は、子どもが大人になるまでの間、養育費を払わなければなりません。この「大人になるまで」というのは、20歳までと決まっている訳ではなく、ケースバイケースです。あくまで親の子に対する扶養の問題ですから、必ずしも成人するまでと限定する必要はなく、大学や大学院まで進学するのであれば、そこまで親が子を扶養する必要があります。つまり、当初養育費の取り決めを行うに当たって、いつまで養育費を発生させるか、離婚協議や調停の際にその旨をしっかり取り決めておかなければなりません。

  9. 現実的には、取り決められた養育費が問題なく支払い続けられているケースの方が少ないのが現状です。つまり、途中で支払いが滞ることが多いのが養育費なのです。
    そうならないためにも離婚届を出す段階で取り決めた事項を公正証書に残しておくことが不可欠なのです。強制執行認諾文言付き公正証書を残すことで、不払いが生じた際に給与などの差押えを行うことが可能です。公正証書を残していない場合は、家庭裁判所に養育費請求の調停を申し立てます。
    親権は決まっていないと離婚届は受理されませんが、養育費に関しては決まっていなくても離婚届は受理されます。そのため先延ばしにしてしまう方もいるのですが、決めていなかったために後から請求するのが難しい場合もあるのでしっかりと決めておきましょう。

    4. まとめ

  10. 離婚は、子どもがいれば夫婦だけの問題ではなくなります。子どもの将来、幸せを十分に考えて様々な取り決めをしなければなりません。
    親権を持つべきなのはどちらなのか、親権を持たない方の養育費の支払いや面会交流について具体的に決めておくと、後のトラブルも大きくならずに済みます。
    そのためにも、話し合いをするには冷静に1つ1つ取り決めていくことが大事でしょう。

2019.04.11

LED照明が発火したら!~消費者庁の発表資料を踏まえて~

近年、コンビニをはじめとした商業施設・オフィスの照明や、列車・旅客機内などの照明の多くが、従来の蛍光灯照明からLED照明に切り替わっている場面をよく見かけると思います。
また、ご自宅でも、使っていた電球が切れてしまった際や部屋の模様替えに伴って電球を交換しようと思った際などに、ホームセンターでLED電球を購入して交換することがあるかもしれません。
LED電球は非常に利便性が高いですが、交換した照明機器がLED照明に対応していない場合、後に何らかの事故が起こる可能性があります。

そこで、今回は、LED照明をめぐる事故とトラブル対応についてご紹介いたします。

1.LEDの利便性と誤使用による事故

LED照明は、寿命が4万時間程度とされており、電球交換の手間がかからないことや、消費電力が少なく済み、電気代の削減になることから、非常に利便性が高く、白熱電球や蛍光灯から切り替えを決意する方も増えてきています。

照明器具によっては、取替に工事が必要な場合もあり、LED電球を本来使用してはならない機器に取り付けることで、発煙するなどの事故が起こっています。

消費者庁の発表(平成30年3月27日付)によると、LEDランプを本来使用してはならない機器等に使用してしまい、発煙するなどの事故が多発しているとのことです。
消費者庁に寄せられた情報では、LED照明に関する事故は、平成25年度のピークから平成27年度まで、件数が減少していましたが、平成28年度から平成30年度は増加を続け、平成30年度は、直近10年間で3番目の水準にあります。

発表されている事故事例には、照明器具にLED電球を接続したところ、電球が発火して壊れた事例や、同様の事例で、バチッバチッという音とともにランプが切れてしまい、燃えたような異臭が充満して、LEDランプが黒く焦げ管が溶けてしまっていた、というような危険な事例が報告されています。

2.消費者庁からの提言

① 従来の照明器具を替えずに LED ランプに切り替えるときは、その照明器具に使用可能かどうか、LED ランプの注意表示等で確認しましょう。

② また、LEDに限らず、照明器具は経年劣化が事故の原因になることがありますので、定期的に点検しましょう。一般的に照明器具は10年を過ぎると故障しやすくなると言われています。
照明器具のラベルで製造年が確認できます。また、使用しているランプや照明器具がリコール対象品でないか確認しましょう。

3.LED照明への切り替えをお考えの方

LED照明への切り替えをお考えの方は、LED照明の正しい使い方の啓発活動を行っている、日本照明工業会が配布している照明についての安全チェックシート(https://www.jlma.or.jp/anzen/anzen_cs.htm)等を参照されて、予めお使いの照明機器がLEDへの移行に適合しているかを確認して、事故を未然に防ぐのがよいでしょう。

4.電球や電子機器などで安全被害を受けた場合・取引で被害にあった場合

近年は科学技術の進歩で様々な電子機器・機械が安く市場に出回り、身近なものになってきていますが、電子機器などの中には、通常の使用でも高温になるものや、純正の機器と接続しないと発火するなど安全性の観点から問題のあるものもあります。

もしも、機械の使用で安全被害を受けてしまった時は、直接メーカーのお客様窓口などに連絡するというのも一つの手ではありますが、消費者に関係する法律を知る弁護士に相談し、交渉や請求で最大限被害を回復するという方法もあります。

的確で冷静に判断が出来るように、被害を受けた際には無料相談などを用いて弁護士に相談してみるというのも良いかもしれません。

なお、LEDランプ自体に欠陥があったが故にLED照明の照明機器等に損害が生じてしまったような場合、一つの手段として「製造物責任に関する法律」に基づいて製造物責任をメーカーに対し追及出来る法的手段をとることが出来ます。

また、商品が粗悪品だった場合は、売主に対し、瑕疵担保責任や債務不履行責任を追及して契約を解除し、返金を受けることが出来る場合もあります。
また、事業者からの訪問販売で勧められて購入した場合などは、クーリングオフができる場合もあります。

そのほかにも、消費者に関する契約の場合(いわゆる個人と事業者の間で締結される消費者契約の場合)やインターネット取引の場合などには、通常の法令上の決まりに加えて、消費者保護のための法令が使える場合があり、ルールを知らないが故に損をしてしまっているケースも多く存在します。

以上の通り、商品の使用に伴い安全被害が生じた場合には、購入先やメーカーに対して何か請求できる可能性がある場合もありますので、消費者センターや消費者問題に詳しい専門家に相談をされるのも一つです。

5. まとめ

近年は次々と新しいものが市場に出回りますので、自然と新しいものや便利なものを生活に取り入れる機会も多くなってきています。

新しいものを取り入れる際は、リスクの側面にも目を配って慎重に選び、気を付けて取り入れてゆくことが重要な時代が来ているかもしれません。

そして、リスクから生じた被害を回復する方法を知らなかったが故に損をしてしまう前に、専門家に相談することも大切であると考えられるでしょう。

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