弁護士コラム

2026.07.14

刑事事件で示談での解決に応じてもらえない・示談に応じたくないときは?被害者・加害者それぞれの対応を弁護士が解説


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刑事事件で示談での解決に応じてもらえない・示談に応じたくないときは?被害者・加害者それぞれの対応を弁護士が解説

 

刑事事件における示談は刑事処分や損害賠償に影響する重要な要素の一つですが、加害者側が示談を申し入れても被害者に応じてもらえない場合や、被害者側として示談条件や示談内容に不安を感じることもあるでしょう。
本記事では、示談交渉の際に、加害者・被害者それぞれが取るべき対応や弁護士に相談すべきポイントをわかりやすく解説します。

第1章 刑事事件における示談とは何か

1-1 示談は被害者と加害者の間で行う民事上の解決

刑事事件と聞くと、警察・検察・裁判所が関与する手続を思い浮かべやすいですが、示談そのものは基本的に民事上の解決です。
たとえば、暴行事件では治療費や慰謝料の支払い、窃盗事件では被害品の弁償、迷惑行為や性犯罪では今後一切接触しないことを約束するといった取り決めを示談で行います。
こうした合意によって、加害者の責任を被害者が一定の形で受け入れることになります。

1-2 示談は刑事処分に影響することがある

示談が成立したからといって、必ず不起訴になるわけではなく、起訴された場合も当然に刑が軽くなるわけではありません。しかし、検察官が起訴の可否を判断する際には、犯罪の内容だけでなく、犯罪後の状況も考慮されます。そのため、示談の成立や被害弁償の有無は、判断材料の一つとして扱われる可能性があります。
また、起訴後に刑事裁判が進行する場合も、被害弁償や謝罪の有無、被害者の処罰感情は、量刑判断の事情として考慮されます。示談の有無が直接的に刑を決めるわけではありませんが、加害者の反省や誠意を示す重要な要素となることがあります。

1-3 被害者に示談を強制することはできない

示談は、あくまで被害者と加害者の合意によって成立します。
加害者側が示談を申し入れても、被害者が応じなければ成立しません。
示談を成立させたいからといって、加害者本人が直接連絡を続けたり、周囲の人を通じて接触を試みたりすると、被害者の不安を増幅させ、かえって刑事手続における評価を不利にする可能性があります。
示談は重要ですが、被害者の意思を尊重して進める必要があります。

第2章 (加害者側向け)示談に応じてもらえないときの対応

2-1 示談拒否が刑事処分に与える影響

加害者側にとって、被害者が示談に応じない場合、刑事処分への影響は無視できません。示談が成立していない場合、被害回復が不十分である、被害者の処罰感情が強いと評価される可能性があります。
その結果、事案によっては起訴猶予による不起訴の可能性が下がったり、起訴後の量刑において不利に働いたりすることもあります。
もちろん、示談が成立しなかったからといって必ず起訴される、あるいは必ず実刑になるというわけではありません。犯罪の内容、前科前歴、被害の程度、反省状況、監督者の有無、再犯防止策なども総合的に考慮されます。

2-2 被害弁償の意思を示す方法として供託を検討する

被害者が被害弁償としての金銭の受け取りを拒否している場合、供託を検討することがあります。
供託とは、一定の要件のもとで金銭などを供託所に預ける制度です。
刑事事件では、被害者が弁償金を受け取らない場合、加害者側が被害弁償の意思を示す方法として利用されることがあります。
ただし、供託は原則として示談の代わりとはなりません。
示談では、被害者が金銭を受け取り、加害者を許す意思や処罰感情に関する意思が示されます。一方で、供託はあくまで加害者側が一定の金銭を預けた事実にとどまります。

また、事案によっては供託が適切でない場合もあります。
被害者が「お金を受け取りたくない」「関わりたくない」と明確に拒否している場合、形式的に供託だけを進めると、被害者の感情をさらに悪化させる可能性があります。
性犯罪や重大な身体被害が伴う事件では、金銭の問題だけでなく、被害者の尊厳や安心の確保が特に重視されますので、供託を行うかどうかは慎重な判断が求められます。

2-3 供託が難しい場合には贖罪寄付を検討する

贖罪寄付とは、犯罪への反省を示すために、弁護士会などに寄付を行う方法です。
日弁連では、被害者のいない刑事事件や、示談が成立しない場合に、改悛の意思を示す手段として受け付けています。
裁判所においても、贖罪寄付は情状資料として評価されることがあります。
しかし、贖罪寄付は万能ではありません。
被害者がいる事件では、やはり被害弁償や謝罪が中心です。贖罪寄付は、直接被害者の損害を回復するものではなく、示談や被害弁償と同等の効果は期待できません。

例えば、窃盗などの財産犯では、まず被害者への弁償を検討し、受領不能の場合に補充的に贖罪寄付を活用するのが一般的です。
贖罪寄付を行う際は、単に寄付した事実だけでなく、示談が成立しなかった理由や被害者への対応、再犯防止策をあわせて整理し、刑事手続で適切に示すことが大切です。

2-4 謝罪文・反省文は弁護士を通じて提出する

示談に応じてもらえない場合でも、謝罪文や反省文を作成し、弁護士を通じて提出することがあります。被害者が直接の連絡を拒んでいる場合、加害者本人が手紙を送るよりも、弁護士を通じて検察官や裁判所に提出する方が安全です。

謝罪文では、言い訳や責任転嫁に見える表現を避ける必要があります。
「酔っていて覚えていない」「相手にも原因があった」「大ごとになるとは思わなかった」といった表現は、本人としては事情説明のつもりでも、被害者や捜査機関からは反省が不十分と受け止められることがあります。
反省文も同様で、単に「反省しています」と書くだけでは不十分です。
事件に至った原因の分析、与えた被害の理解、再発防止策などを具体的に整理する必要があります。示談が成立しない状況では、謝罪文・反省文に加え、再犯防止策や監督体制、治療やカウンセリングの状況など加害者側の事情を丁寧に示すことが大切です。

第3章 被害者側が示談に応じたくないときの対処法

3-1 示談を拒否しても法的に問題はない

被害者側としてまず押さえておきたいのは、示談に応じる義務はないという点です。
加害者やその弁護士から連絡があると、「応じないと不利になるのでは」と不安に感じる方もいますが、示談はあくまで合意によって成立します。
納得できなければ示談を断っても、刑事手続上の権利には影響ありません。
特に以下のような場合は、すぐに応じる必要はありません。

・加害者への怒りや恐怖が強く、まだ話し合える状況ではない
・提示された示談金の妥当性が判断できない
・示談書に「許す」「処罰を求めない」といった文言が含まれている
・今後の接触禁止や再発防止の約束が不十分
・加害者側から急かされていると感じる

示談書に署名すると、後から内容を覆すことは簡単ではありません。
特に、清算条項に「この件について今後お互いに請求しない」と記載される場合、追加で損害賠償を請求することが難しくなる可能性があります。

示談に応じないことは、加害者に「安易に許すつもりはない」「刑事処分をきちんと受けてほしい」という意思を示すことにもつながりますので、ご自身が示談をしたくないと感じている場合は無理やり示談を受け入れずとも大丈夫です。

3-2 示談に応じない場合の損害回復の方法

示談をしないと決めた場合でも、損害回復の手段がなくなるわけではありません。
たとえば、犯罪によってけがをした場合には、治療費や後遺障害が残った場合の逸失利益、慰謝料などを損害として民事訴訟で請求することはできます。
もっとも、これらの損害を請求するためには、損害の発生と犯罪行為との因果関係を資料に基づいて立証する必要がありますので、診断書や収入資料、通院状況が分かる資料などを保管しておきましょう。

また、一定の事件では、賠償請求の手段として損害賠償命令制度を利用できる場合があります。
損害賠償命令制度は、刑事裁判で有罪判決を受けた加害者に対し、その犯罪を原因とする被害者への金銭賠償を、刑事裁判を行った裁判所と同じ裁判所が引き続き審理して命じる制度です。通常の民事訴訟に比べて、被害者側の手続の負担を軽減できますが、対象となる犯罪が限られている点には留意が必要です。(過失犯は制度対象となっていません。)

このように、示談には応じないが、民事上の損害賠償は別途請求するという方向性で動くことは可能ですが、損害回復の手段があるかどうかという点と、実際に金銭賠償を受けられる見込みがどの程度あるのか(加害者側の支払能力等)という点は分けて考える必要があります。
また、加害者との接触を避けたい場合や、個人情報を知られたくない場合には、その点も含めて、弁護士を通じた対応を検討したほうが望ましいでしょう。

3-3 厳罰を求めたい場合は意見申出や意見陳述を検討する

示談に応じない理由が、「加害者に厳しい処分を受けてほしい」という点にある場合には、単に示談を断るだけでなく、被害者としての処罰感情を、刑事手続の中で適切に伝えることも重要です。
自分の意思を伝える手段としては、起訴後の意見陳述制度や、一定の事件では被害者参加制度を利用することで、法廷で被害に関する心情や事件についての意見を述べられる場合があります。
もちろん、最終的な刑事処分や量刑を決めるのは検察官や裁判所であり、被害者の希望だけで処分内容が決まるわけではありませんが、被害者がどのような被害を受け、事件後の生活にどのような影響が生じているのかは、処分や量刑を判断するうえで考慮される事情の一つになり得ますので、ご自身の負担にならない範囲で意見陳述等を検討されてください。

3-4 刑事裁判に関与したい場合は被害者参加制度を確認する

補足:被害者参加制度とは

被害者参加制度とは、対象事件の被害者や遺族が刑事裁判に参加し、公判期日に出席したり、被告人に質問したりできる制度です。
参加を希望する場合は、事件担当の検察官に申し出て、裁判所が適当と判断すれば参加が許可されます。希望すれば必ず参加できるわけではありませんが、刑事裁判に関与するための重要な制度です。
被害者参加人になると、公判期日に出席するだけでなく、検察官の訴訟活動に意見を述べたり、被告人へ質問したりすることができますが、事件の内容や精神的負担に応じて関与する範囲は慎重に決める方が望ましいでしょう。一定の要件を満たせば国選被害者参加弁護士制度を利用できる場合もありますので、ご不安な点がある場合は弁護士にご相談ください。

第4章 示談交渉が難航しているときは弁護士に相談を

私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスでは、刑事事件の示談交渉、刑事弁護、被害者側の損害賠償請求についてのご相談を受け付けています。
那珂川市および周辺地域にお住まいの方にとって、身近に相談できる地域密着型の窓口として、事案の内容やお気持ちを丁寧に確認しながら必要な対応を整理します。
示談を拒否された場合、示談に応じるべきか迷っている場合、また加害者側とのやり取りを弁護士に任せたい場合は、自己判断で進める前にぜひご相談ください。

 

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2026.07.13

【オーナー向け】原状回復はどこまで請求できる?賃貸契約書で定めておくべき特約のポイントを弁護士が解説


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【オーナー向け】原状回復はどこまで請求できる?賃貸契約書で定めておくべき特約のポイントを弁護士が解説

 

賃貸物件の不動産オーナーをしていると、退去時に、壁紙の汚れや床の傷、水回りの汚損などが見つかり、「この原状回復費用はどこまで入居者に請求できるのか」と対応に悩むことがあります。原状回復費用を請求できるかは、賃貸借契約書にどのような特約があるか、傷や汚れの原因が入居者の故意・過失によるものかなどによって判断が変わります。
本記事では、すでに締結している賃貸借契約でどこまで請求できるのか、次回以降の契約書作成時に定めておくべき原状回復特約の要点を弁護士が解説します。

第1章 現状の賃貸契約書で原状回復費用はどこまで請求できるか

賃貸借契約書に原状回復特約がある場合でも、特約の内容が常にそのまま有効になるわけではありません。反対に、明確な特約がない場合でも、入居者の故意・過失や善管注意義務違反による損傷であれば、費用請求が認められる余地があります。

1-1 今の契約書の「原状回復特約」はどこまで有効か?

退去時のトラブルを防ぐために、賃貸借契約書には「特約」がよく使われます。例えば「退去時のルームクリーニング代は借主の負担とする」といった内容です。
では、いま手元にある契約書に書かれている特約は、実務上、およそどこまで法的に認められるのでしょうか。

実務では、契約書に具体的な金額や負担対象(例:ハウスクリーニング費用として一律〇万円を負担する、など)が明記されていることが重要です。金額が書かれていない場合は、負担対象が明確であり、その内容について、契約時に入居者が理解して合意したことが客観的に説明できることがポイントになります。

1-2 特約が弱くても故意や過失による傷みは請求できる可能性がある

明確な原状回復特約が明示されていないなど、特約の記載内容が不十分な場合も、入居者の故意・過失、または、社会通念上で一般的に求められる当然の注意や配慮(善管注意義務)を怠ったことによって発生した汚損・破損については、修繕費用を請求できる可能性があります。
たとえば、物をぶつけてできた壁の穴、通常の使用を超える床の傷、清掃を怠ったことによる著しい油汚れ、結露を放置したことによるカビなどは、通常損耗ではなく、入居者の使用方法や管理状況に起因する損傷として問題になり得ます。

1-3 国交省ガイドラインを主張された場合、全額あきらめなければならないか

退去費用の精算のとき、クロスの貼り換えなどについて、入居者から「国のガイドラインでは大家さんの負担のはずだ」と主張されることがあります。ここでいうガイドラインとは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」のことです。
たしかに、ガイドラインは原状回復費用の負担を考えるうえで重要な資料ですが、法律そのものではありません。
実際の負担は、賃貸借契約書の内容や、当該の傷や汚れが生じた原因、通常損耗や経年劣化との区別、補修の必要性などを踏まえて判断されます。

第2章 なぜ不動産管理会社は原状回復費用を強く請求してくれないのか

オーナーから見ると、退去後の汚れや傷みについて、不動産管理会社が入居者に強く請求してくれないと感じることがあります。しかし、管理会社が慎重になる背景には、管理会社の業務範囲や法律上の制約といった事情があります。

2-1 管理会社が回収に消極的になる理由

不動産管理会社が原状回復の請求に積極的に動きにくい理由として、費用回収が管理会社の本来業務とは性質を異にする面があることがあげられます。
管理会社の主な業務は、物件の維持管理、入居者対応、退去精算、入居者募集などです。原状回復費用をめぐる争いが長期化すると、次の募集や入居開始に影響が出る可能性があり、慎重な対応をとることが考えられます。

2-2 管理会社は法的トラブルの専門家ではない

管理会社が深く踏み込めない理由には、法律上の問題も関係しています。日本の法律では、弁護士ではない人が、報酬を得る目的で、業として他人の法律事件について交渉などを行うことを非弁行為として禁止しています。
そのため、管理会社としての対応範囲を超えて具体的な交渉や法的な費用回収に踏み込むことには限界があります。

原状回復トラブルは弁護士への相談を検討する

そのため、原状回復費用をめぐる問題で入居者が支払いを明確に拒否している場合、敷金を超える追加請求を検討する場合、損傷の原因や特約の有効性について法的な判断が必要になる場合には、管理会社だけで対応することは難しくなります。
請求できる見通しや証拠の整理について検討したい場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

第3章 賃貸契約書に入れておきたい原状回復特約

退去時の原状回復トラブルをあらかじめ防ぐには、賃貸借契約書の見直しが重要といえます。実務上、賃貸借契約書は不動産管理会社が用意している標準書式や、以前から使っているものを使いまわす場合も少なくありません。ひな形を使うこと自体が悪いわけではありませんが、物件の状態や入居者層にあわせて設計されていなければ、本来守りたい部分が反映されない可能性があります。

3-1 退去時の清掃費でもめないために定額クリーニング特約を明記する

退去時のハウスクリーニング費用は、入居者から「普通に住んでいただけなのに、なぜ負担するのか」と争われやすい項目です。
そのため、賃貸借契約書には「清掃費用は借主負担」などと抽象的に書くのではなく、「退去時の室内清掃費用として〇万円」「エアコン内部洗浄費用として1台あたり〇円」など、対象項目と金額を具体的に記載しておくことが重要です。
金額や作業範囲が明確であれば、不動産会社も入居者に説明しやすく、退去時の精算も進めやすくなります。

3-2 壁紙や床の張り替え範囲でもめないよう補修範囲の考え方を契約書に入れておく

壁紙や床の損傷をめぐっては、退去時に「一部分だけ直せばよいのか」「壁一面や床一面の張り替えまで借主に請求できるのか」が争いになることがあります。
そのため、賃貸借契約書を作成する際には、借主の故意・過失による損傷がある場合に、どの範囲の補修費用を借主負担とするのかをあらかじめ整理しておくことが重要です。

ただし、「小さな傷でも部屋全体を張り替える」といった広すぎる特約は、過度な負担として認められない可能性があります。
契約書では、損傷箇所を含む合理的な施工単位で補修すること、部分補修では色合わせや仕上がりに支障がある場合には壁一面や床一面を単位とすることがある、という形で定めておくと、退去時にも説明しやすくなります。

3-3 クロスの耐用年数を理由に全額拒否されないよう実費の扱いを定めておく

クロスの張り替えでは、入居者から「クロスは6年で価値がなくなるので、貼り換え費用は払わない」と主張されることがあります。
これは、国土交通省のガイドラインで、クロスなどの内装材について、年数が経つほど価値が下がっていくという考え方が示されているためです。たとえば、長期間入居していた場合、クロスそのものの価値は大きく下がっていると判断されることがあります。

もっとも、クロスの価値が下がっていることと、損傷の修繕にかかる費用を一切請求できないことは同じではありません。入居者の故意・過失による損傷がある場合には、クロスの下にあるボードの補修費、人件費、廃材処分費などが別途問題になります。
そのため、契約書では、借主の故意・過失による損傷の修繕に必要な下地補修費、施工費、処分費などの合理的な実費を借主負担とする旨を定めておくことが有用です。

ただし、「経過年数に関係なくすべて全額請求できる」といった定め方をすると、入居者に過度な負担を課す条項として有効性を争われるリスクがあります。
契約書に記載する際は、借主の故意・過失による損傷との関係があること、修繕に必要な範囲であること、金額が相当であることを前提に、客観的に説明しやすい内容にしておくことが重要です。

第4章 物件の種類に合わせて原状回復特約を調整する

単身者向け物件、ファミリー向け物件、ペット可物件など、物件の特徴によって室内の使われ方や発生しやすい汚損は異なります。賃貸借契約書を作成する際には、こうした物件の特徴や入居者層に合わせて、必要な特約を調整しておくことも大切です。

4-1 単身者向け物件では短期退去と清掃費の持ち出しを防ぐ条項を入れる

ワンルームなどの単身者向け物件では、入居期間が短くなりやすく、退去のたびに清掃費用、修繕費用、次の募集費用が発生します。
そのため、定額クリーニング特約を設けるだけでなく、短期解約違約金の条項を検討することがあります。たとえば、「契約開始日から1年未満で解約する場合には、短期解約違約金として賃料1か月分を支払う」といった内容です。
これにより、短期間で退去された場合のオーナー側の持ち出しを一定程度抑えることができます。

4-2 ファミリー向けやペット可物件では日常の管理義務を具体的に書く

ファミリー向け物件やペット可物件では、単身者向け物件とは異なる損耗リスクがあります。たとえば、子どもの落書きやシール跡、複数人での生活により、ドアや建具への傷、水回りのカビや汚れなども生じやすくなる傾向があります。
ペット可物件では、ペットによる壁や床の傷、臭気、排泄物による汚損などが想定されます。

このようなトラブルは、退去時になってから通常損耗か借主負担かを判断しようとすると、争いになりやすい部分です。そのため、賃貸借契約書に、日常的に注意してほしい内容を具体的に定めておくことが重要です。

たとえば、家具の移動や大型家具の設置によって床を傷つけないよう保護材を使用すること、壁を汚した場合は原状回復の対象となること、ペット飼育時には臭気や汚損を防ぐために必要な清掃を行うことなどを明記します。
また、ペット飼育に伴う汚損や臭気除去、修繕に必要な合理的な実費については、敷金から控除できる旨を定めることも検討されます。

特約は第三者にも説明しやすい内容に整理することが重要

ただし、特約はオーナーに有利に書けばよいというものではありません。借主に過度な負担を求める内容は争われる可能性があるため、物件の実情に照らして、第三者にも説明できる合理的な内容にしておくことが大切です。

第5章 契約書に書いた内容を退去時に使えるよう証拠を残す

原状回復特約は、契約書に書いてあるだけでは十分とはいえません。退去時に入居者から「そのような説明は受けていない」「この傷は入居時からあった」と言われた場合、オーナー側がどのような記録を残しているかによって、請求のしやすさが変わります。

5-1 契約時に署名やチェックで確認した記録を残す

賃貸契約書において特約の記載を整えたとしても、退去時に入居者から「そんな細かい内容までは聞いていない」と主張されることがあります。
そこで、原状回復特約の近くに、借主が内容を確認したことを示す署名欄、チェック欄などを設けておく方法が考えられます。
例えば、「退去時の室内清掃費用として金〇万円を借主が負担することを確認しました」といった確認欄を設けておけば、後から合意の有無を確認しやすくなります。

5-2 入居時の傷は写真で残す運用を決めておく

原状回復でよく問題になるのが、退去時に「この傷は入居時からあった」と主張されるケースです。
このような争いを防ぐためには、入居時の室内状況を写真で残しておくことが有効です。管理会社が写真を撮影する方法のほか、入居者自身にスマートフォンで気になる傷や汚れを撮影してもらい、入居後数日以内に指定のメールアドレスや管理アプリへ送ってもらう方法もあります。

第6章 まとめ

近年は、入居者側もインターネットや生成AIを使って情報を調べることが増えています。そのため、退去時に「国交省のガイドラインでは貸主負担のはずだ」「クロスは6年で価値がないはずだ」といった主張が出され、原状回復費用をめぐるトラブルに発展することも少なくありません。
トラブルになった場合に、主張の根拠となるのが賃貸借契約書です。もっとも、賃貸借契約書は不動産会社のひな形や過去の契約書をもとに作成されることも多く、オーナーが細かな特約の内容まで十分に確認できていないこともあります。

だからこそ、次の募集や契約更新のタイミングでは、現在の契約書がご自身の物件の状態や入居者層に合っているか、原状回復費用を請求したい場面で根拠として使える内容になっているかを、一度確認しておくことが大切です。
現在使用している契約書に少しでも不安がある場合は、私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスまでお気軽にご相談ください。賃貸借契約書をご持参いただければ、原状回復特約の内容や、退去時にトラブルになりやすい部分を弁護士が確認いたします。

那珂川オフィスが不動産オーナー様向けにサポートできること。

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2026.07.06

養育費を一括で支払ってもらうことはできる?未払い不安・贈与税・追加請求の注意点を弁護士が解説


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養育費を一括で支払ってもらうことはできる?未払い不安・贈与税・追加請求の注意点を弁護士が解説

 

離婚後の養育費について、「途中で支払いが止まるくらいなら、一括で受け取りたい」と考える方は少なくありません。養育費は、夫婦間で合意できれば一括払いにすることも可能です。ただし、贈与税、将来の追加請求、公正証書の作り方を誤ると、後から不利な合意になってしまうことがあります。この記事では、養育費を一括で支払ってもらう場合の注意点を弁護士が解説します。

第1章 養育費を一括で支払ってもらうことは法的に可能なのか

1-1 夫婦間で合意できれば養育費の一括払いは選択できる

養育費とは、子どもの監護や教育のために必要となる費用のことです。衣食住に必要な費用だけでなく、学費、教材費、医療費なども含まれます。
養育費は、実務上は「月額〇万円を毎月末日までに支払う」という形で取り決められることが一般的です。しかし、父母間で合意できるのであれば、将来分の養育費をまとめて一括で支払う内容にすることも可能です。

たとえば、子どもが10歳で、20歳まで支払うと合意する場合、月額5万円で単純計算すると10年分で600万円になります。この金額を、離婚時に一括で支払うという合意をすること自体は、法律上ただちに禁止されているわけではありません。

ただし、一括払いは、相手がまとまった資金を用意できるか、その金額が子どもの生活費・教育費として相当か、税務上問題がないか、将来の事情変更に対応できるかといった点を慎重に確認する必要があります。

1-2 相手が拒否した場合、裁判所で一括払いを命じてもらうのは簡単ではない

相手が任意に一括払いへ応じる場合は、協議離婚や離婚調停の中で合意を目指すことになります。
問題は、相手が「毎月払いなら応じるが、一括払いはできない」と拒否した場合です。
この場合、家庭裁判所に調停や審判を申し立てたとしても、将来分の養育費を必ず一括で支払うよう命じてもらえるとは限りません。
家庭裁判所では、父母双方の収入、子どもの年齢、人数などをもとに、養育費算定表を参考にしながら月額を検討することが一般的です。

そのため、一括払いを希望する場合には、裁判所に一括払いを強く求めるというよりも、まずは相手方との交渉で合意形成を目指すことが現実的です。
相手の資産状況、預貯金、不動産売却予定、親族からの援助の有無などを踏まえ、どの程度であれば一括払いが可能なのかを見極める必要があります。

1-3 裁判所手続では月払いが前提になりやすい理由を理解しておく

裁判所手続で月払いが前提になりやすいのは、養育費が子どもの成長に応じて継続的に発生する費用だからです。
子どもが小学生の時点では教育費がそれほど高くなかったとしても、中学・高校・大学への進学、塾代、部活動、病気やけが、進路変更などによって、将来必要となる費用は変わります。
また、支払う側の収入が減ったり、受け取る側の収入が増えたりすることもあります。

養育費は、離婚時に一度決めれば絶対に変わらないものではありません。事情が大きく変わった場合には、増額や減額が問題になることがあります。そのため、裁判所手続では、将来分をすべて現時点で確定させる一括払いではなく、月払いを前提に整理されやすいのです。

第2章 養育費を一括で受け取るメリットと安心できる場面

2-1 将来の未払いや滞納への不安を大きく減らせる

養育費を一括で受け取る最大のメリットは、将来の未払いリスクを減らせることです。
令和3年度全国ひとり親世帯等調査では、離婚した父親から養育費を「現在も受けている」母子世帯は28.1%とされています。養育費を取り決めても、長期間にわたって確実に支払いを受け続けることが簡単ではない現実がうかがえます。

離婚時には、毎月きちんと払うと言っていたとしても、数年後に転職、失業、再婚、病気、自営業の業績悪化などが起きることがあります。支払う側に悪意がなくても、結果的に養育費が滞るケースは珍しくありません。

一括払いであれば、少なくとも合意した金額については、離婚時点で確保できます。
特に、相手にまとまった預貯金がある場合や、離婚時に不動産売却代金・退職金・解決金などが入る見込みがある場合には、一括払いを検討する価値があるといえます。

2-2 離婚後に元配偶者と連絡を取り続ける負担を軽くできる

養育費の月払いでは、支払いが遅れるたびに元配偶者へ連絡をしなければならないことがあります。今月分が振り込まれていない、いつまでに振り込めるのかといった連絡を、離婚後何年も続けることは精神的負担になります。
特に、夫の浮気や長年の不仲が原因で離婚する場合には、できるだけ関わりたくないと感じるのも自然なことです。

一括払いにより、通常の養育費部分については支払いの確認や督促の必要がなくなります。
もちろん、子どもの進学や病気などで別途協議が必要になることはありますが、毎月の支払いをめぐる連絡がなくなるだけでも、離婚後の生活を落ち着かせやすくなるといえます。

2-3 子どもの進学や生活設計に必要な教育資金を確保しやすい

一括払いには、子どものための資金を早い段階で確保できるというメリットもあります。
たとえば、私立中学・高校への進学、大学進学、留学、塾代など、子どもの教育にはまとまった費用が必要になる場面があります。毎月の養育費だけでは、その時々の大きな支出に対応しにくいこともあります。

離婚時に一定額を確保できれば、教育資金として計画的に管理できます。特に、相手が自営業で将来の収入に波がある場合や、現在は収入が高いものの今後の収入が読みにくい場合には、今ある資金から子どものための費用を確保しておく意味があります。

第3章 養育費を一括で受け取る場合の注意点とリスク

3-1 まとまった金額を受け取る場合は贈与税の問題に注意する

養育費は、通常、子どもの生活費や教育費として必要な範囲で支払われる限り、贈与税の対象にはなりにくいものです。
ただし、一括払いの場合は金額が大きくなります。そのため、税務上、本当に養育費なのか、子どもの生活費・教育費として通常必要な範囲なのかといった点が問題になることがあります。

国税庁は、扶養義務者から生活費や教育費に充てるため取得した財産で、通常必要と認められるものは贈与税がかからないと説明しています。一方で、生活費や教育費として必要な都度直接充てるためのものに限られ、預金したままにしたり、株式や不動産の購入資金に充てたりする場合には贈与税がかかることがあるとしています。

つまり、養育費という名目で受け取れば常に非課税になるわけではありません。
特に、数百万円から数千万円単位の一括払いを受ける場合には、贈与税の問題について、弁護士や税理士に確認したうえで進める方が安心といえます。

3-2 贈与税の課税対象と疑われやすい具体的なケース

贈与税の問題が生じやすいのは、養育費としての実態が不明確な場合です。
たとえば、次のようなケースでは注意が必要です。

・算定表や子どもの年齢から見て、明らかに高額な一括金を受け取る場合
・養育費として受け取った金銭を、親自身の住宅購入資金や投資資金に使う場合
・子どもの生活費や教育費に使った記録がほとんど残っていない場合
・慰謝料、財産分与、解決金、養育費の区別をしないまま総額だけを決めている場合
・夫本人ではなく、夫の両親から直接まとまった金銭を受け取る場合

特に、夫の実家に資金力があり、夫の両親が支払いを援助するケースでは、資金の流れを整理する必要があります。夫の両親から妻や子へ直接支払われる形にすると、養育費なのか、祖父母からの贈与なのかが曖昧になりやすいためです。
このような場合には、夫が両親から借入れや援助を受け、その資金をもとに父として養育費を支払う形にするのか、祖父母から子への教育資金として整理するのかなど、法務・税務の両面からの検討が求められます。

3-3 子どもの状況が変わったときに追加請求できるかを確認しておく

一括払いを受けた後に、子どもの状況が変わることがあります。
たとえば、離婚時には公立高校への進学を前提にしていたものの、後に私立高校や大学への進学を希望することがあります。子どもが病気やけがをして、継続的な医療費が必要になることもあります。発達特性への支援、療育、専門的な学習支援など、離婚時には具体的に想定できなかった費用が生じる場合もあります。

このような事情が生じた場合に、追加で請求できるかどうかは、離婚時の合意内容に左右されます。
離婚協議書や離婚公正証書に、「将来の教育費、医療費を含めて一切請求しない」といった文言を入れてしまうと、後から追加請求をしたい場面で相手から拒まれる可能性があります。
一方で、「通常の生活費・教育費として本合意をするが、進学、病気、事故その他予期しない特別の費用が生じた場合は、父母で別途協議する」といった文言を入れておけば、将来の協議の余地を残しやすくなります。
一括払いを受ける場合ほど、将来の例外場面を書面に残しておくことが重要です。

3-4 一括払いの合意で将来請求を制限する文言に注意する

離婚協議書や公正証書では、最後に「本件離婚に関し、当事者間には本書に定めるほか何らの債権債務がないことを確認する」という清算条項を入れることがあります。
清算条項自体は、離婚後の紛争を防ぐために用いられる一般的な条項です。しかし、養育費の一括払いと組み合わせる場合には注意が必要です。

たとえば、養育費、慰謝料、財産分与をまとめて「解決金」として受け取り、さらに清算条項で今後一切請求しないと記載してしまうと、後になって、清算条項を根拠に養育費の追加請求を拒まれるおそれがあります。

養育費は子どものための費用であり、親同士の慰謝料や財産分与とは性質が異なります。そのため、離婚協議書や公正証書では、養育費、慰謝料、財産分与をできる限り分けて記載することが望ましいです。
特に、一括払いを受ける場合には、どの金額が養育費なのか、何歳までのどの費用を対象にしているのか、特別費用は別途協議できるのかなどの点まで明確にしておく必要があります。

3-5 相手方から減額を求められることがある

養育費を一括で受け取る場合、相手方から「まとめて払うのだから、その分は減額してほしい」と言われることがあります。
これは、中間利息控除という考え方に近い主張です。
簡単にいうと、将来受け取る予定だったお金を今受け取る場合、受け取る側はそのお金を早く使ったり管理したりできるため、将来の総額をそのまま現在支払うのは多すぎるのではないか、という発想です。
たとえば、月額5万円を10年間受け取る場合、単純計算では600万円です。しかし、相手方が「一括で支払うなら500万円にしてほしい」と交渉してくることがあるのです。

このような減額に応じるべきかどうかは、一概にはいえません。
一括で確実に受け取れるメリット、相手の支払能力、財産分与や慰謝料との全体バランスなどを踏まえて判断する必要があります。
単純に「本来の総額より低いから損」と見るのではなく、実際に回収できる可能性がどの程度あるかという視点も重要です。

第4章 養育費の一括払いを安全に進めるための実務ポイント

4-1 税務リスクを抑えるために養育費信託などを検討する

養育費を一括で受け取る場合、税務リスクや資金管理の問題を抑える方法として、いわゆる養育費信託などの活用が検討されることがあります。
信託とは、一定の財産を信託銀行などに預け、決められた目的に従って管理・給付してもらう仕組みです。養育費の場面では、将来分の養育費に相当する金銭を信託し、子どものために毎月または一定時期ごとに支払われるように設計することが考えられます。

このような設計ができれば、受け取った側が自由に全額を使える状態にはなりにくく、子どもの生活費・教育費として管理していることを客観的に説明しやすくなります。また、支払う側にとっても、本当に子どものために使われるのかという不安を軽減しやすく、一括払いに応じる動機になることがあります。
ただし、実際に信託を利用できるか、どのような税務上の扱いになるかは設計内容によって異なるため、弁護士や税理士、金融機関に確認しながら進める必要があります。

4-2 贈与とみなされにくいように離婚協議書や公正証書の記載を具体化する

養育費の一括払いでは、離婚協議書や離婚公正証書の作り方が非常に重要です。
単に「夫は妻に解決金として〇〇万円を支払う」と記載するだけでは、その金額の内訳が分かりません。後から、養育費なのか、慰謝料なのか、財産分与なのかが客観的に説明しにくくなる可能性があります。

そのため、離婚協議書や離婚公正証書では、養育費の対象期間、その金銭が子どもの生活費・教育費に充てられること、慰謝料、財産分与、解決金とは別の性質であること、特別な教育費・医療費が発生した場合の協議方法などを整理しておくことが望ましいです。

税務上は、金額の根拠を資料で示せる状態にしておくことも大切です。
算定表を参考にした月額、子どもの年齢、支払期間、進学予定などをもとに計算過程を残しておくと、養育費としての相当性を整理しやすくなります。

4-3 将来の予期しない事情変更に備えた文言を残しておく

養育費の一括払いで避けたいのは、離婚時点で予想できなかった事情が起きたにもかかわらず、追加の協議ができなくなってしまうことです。
離婚協議書や離婚公正証書には、通常の養育費に含める範囲と、将来別途協議する範囲を分けて記載することが考えられます。

たとえば、通常の衣食住、学校生活に必要な基本的費用、一般的な教材費などは一括払いの対象に含める一方で、私立学校への進学、大学進学、留学、長期入院、高額な医療費、特別な支援費用などについては、発生時に父母で協議するという形です。

もちろん、協議条項を入れたからといって、必ず相手が追加負担に応じるわけではありません。しかし、何も記載がない場合と比べると、一括払いで全て解決済みと反論をされるリスクを下げやすくなります。

4-4 口約束や私的な念書で終わらせず離婚公正証書を作成する

養育費の一括払いを合意する場合は、口約束や簡単な念書で終わらせるべきではありません。できる限り、離婚公正証書を作成することを検討してください。
公正証書とは、公証人が作成する公的な文書です。
養育費について、支払義務者が支払いを怠った場合には強制執行を受けてもよいという強制執行認諾文言を入れておくことで、調停や審判を経ずに強制執行手続を利用できる場合があります。

一括払いの場合でも、支払期限を離婚成立後や不動産売却後に設定することがあります。その場合、約束どおり支払われなかったときに備え、公正証書で支払義務を明確にしておく意味があります。

一括払いではなく、「半分を離婚時、残りを半年後に支払う」といった何回かに分けて支払うという設計になることもあります。このような場合には、なおさら公正証書の重要性が高まります。

第5章 まとめ

養育費を一括で支払ってもらうことは、夫婦間で合意できれば可能です。離婚後の未払いや滞納への不安を減らし、元配偶者との連絡負担を軽くできるという意味では、一括払いには大きなメリットがあります。
もっとも、養育費の一括払いは、金額が大きくなれば贈与税の問題が生じる可能性がありますし、離婚協議書や公正証書の書き方によっては、将来、子どもの進学費用や医療費が必要になったときに追加請求が難しくなるおそれもあります。また、相手方から中間利息控除を理由に減額を求められることもあり、財産分与や慰謝料を含めた離婚条件全体の中で検討する必要があります。
私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスでは、弁護士だけでなく、税理士などの士業が連携し、離婚条件の整理、公正証書作成、贈与税を含む税務面の確認までワンストップで対応できる体制を整えています。養育費を一括で支払ってもらいたいと考えている方や、相手方から一括払いを提案されて不安を感じている方は、合意書を作成する前に、一度ご相談ください。

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2026.06.25

正当な事由はある?入居者の退去交渉が進まない場合の弁護士への相談のポイント


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正当な事由はある?入居者の退去交渉が進まない場合の弁護士への相談のポイント

 

賃貸物件の経営では、家賃滞納や近隣トラブルなど入居者側の問題だけでなく、建物の建て替えや売却といった貸主側の事情により、入居者に退去を求めたい場面があります。しかし、建物賃貸借では借主の権利が強く保護されており、貸主の意向だけで明渡を求めることは容易ではありません。本コラムでは、入居者に明渡を求める場合の法律上の考え方、管理会社に対応を求められる範囲、弁護士へ相談する際のポイントを整理します。

第1章 入居者の明渡が簡単には認められない理由

1-1 借地借家法が定める借主の保護

自己が所有するアパートやマンション、戸建て住宅であっても、賃貸借契約を締結して他者に貸し出した場合、貸主の都合だけで自由に入居者を退去させることはできません。建物の賃貸借においては、借地借家法によって、借主の居住の安定が強く保護されているためです。

特に居住用物件では、借主にとってその部屋が生活の本拠であることが少なくありません。急に退去を求められると、次の住まいを探す必要があり、引越費用や新居の初期費用の発生、学校や勤務先などの生活環境に影響が出ることもあります。
そのため、普通建物賃貸借では、契約期間が満了したからといって当然に契約が終了するわけではなく、借主が継続して住み続けることを希望すれば、契約は原則として更新される仕組みになっています。

所有者が物件を売却したい、あるいは親族を住まわせたいといった事情が生じたとしても、それだけの理由で借主に対して一方的に退去を求めることは、法的な観点から認められにくいのが実情です。

1-2 更新拒絶や解約申入れには正当事由が必要になる

入居者に対して、貸主側から建物賃貸借契約の更新を拒絶したり、解約を申し入れたりする場合に重要になるのが、借地借家法に定められている、いわゆる正当事由です。
正当事由とは、簡単にいえば、契約を終了させて明渡を求めるにあたって、客観的に見て正当といえる理由のことです。

この正当事由があるかどうかは、主に以下の要素を総合的に考慮して判断されます。

・貸主と借主がそれぞれ建物を使用する必要性
・賃貸借契約に関するこれまでの経緯
・建物の利用状況
・建物の老朽化や修繕状況などの現況
・明渡と引き換えに立ち退き料などの財産上の給付を申し出ているか

実務上、特に重要になるのは、貸主側がその建物を使用する必要性と、借主側がその建物を使用し続ける必要性の比較です。
たとえば、老朽化が進み、安全面から建て替えの必要性が高い場合や、貸主自身または親族が住む必要性が具体的にある場合には、正当事由を基礎づける事情になり得ます。一方で、より高い賃料で貸したい、売却しやすくしたいといった事情だけでは、正当事由として不十分と判断される可能性があります。

第2章 なぜ不動産管理会社だけでは明渡対応が難しいのか

2-1 管理会社ができるのは督促や注意喚起などの任意対応まで

不動産管理会社は、家賃滞納や騒音トラブルが発生した場合に、入居者へ連絡を入れたり、注意文書を送ったりすることがあります。家賃滞納であれば、電話や書面で支払いを促す、保証会社に連絡するなどの対応、騒音やゴミ出しなどの生活トラブルであれば、注意文を投函したり、掲示をしたり、本人に改善を求めたりすることがあります。

しかし、管理会社の対応は、あくまで入居者に任意の対応を求めるものです。
入居者が電話に出ない、書面を無視する、督促に応じない、あるいは「退去するつもりはない」と明確に拒否している場合、管理会社にはそれ以上の手段がなく、対応できない状態になっていると考えられます。

2-2 法的紛争になると非弁行為の問題が生じる

家賃滞納が長期に及んでいる場合や入居者に明渡を求める段階になると、法的な紛争として整理する必要が出てきます。
入居者に対して賃貸借契約の解除を通告する、明渡を求めて交渉する、立ち退き料の金額を協議する、退去日や未払賃料の支払方法を定める合意書の内容を調整するといった対応は、法律上の権利義務に関わる行為です。

ここで問題になるのが、非弁行為です。非弁行為とは、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、法律事件について代理人として交渉したり、法律事務を業として取り扱ったりすることをいいます。管理会社が貸主の代理人として、契約解除や立ち退きに関する交渉を進めると、非弁行為の問題が生じる可能性があります。

そのため、管理会社から「これ以上の対応は難しい」と言われた場合には、管理会社として対応可能な業務の範囲を超えていると理解した方がよいかもしれません。
貸主としては、段階が変わったと捉え、明渡を求めるための法的な見通しについて、弁護士への相談を検討することが現実的な対策といえます。

第3章 入居者に明渡を求める際の法的な対応策

3-1 契約違反がある場合は信頼関係の破壊を理由に契約解除を求める

入居者側に重大な契約違反がある場合には、正当事由や立ち退き料の問題ではなく、賃貸借契約の解除を検討することになります。

賃貸借契約では、形式的な契約違反だけでなく、貸主と借主の間の信頼関係が著しく破壊されたといえるかが重要になります。
たとえば、次のような事情がある場合には、契約解除を検討できる可能性があります。

3ヶ月以上の家賃滞納

数日程度の遅れではなく、数ヶ月にわたって累積し、支払いの意思が見られない場合

無断転貸や用途違反

貸主に無断で第三者に部屋をまた貸ししたり、住居用契約であるにもかかわらず不特定多数が出入りする営業店舗として使用したりしている場合

深刻な近隣迷惑行為

昼夜を問わない騒音、ゴミの放置による悪臭や害虫の発生など、他の入居者の生活環境を著しく脅かし、改善要求にも応じない場合

ただし、これらに該当するような事情があっても、直ちに解除が認められるとは限りません。家賃滞納であれば、滞納期間や督促時の入居者の対応など、近隣トラブルであれば、具体的な苦情内容や注意後の改善状況など、貸主側として打てる対策を行ったにもかかわらず、入居者が応じなかったという客観的な事実を積み上げておく必要があります。

3-2 正当事由が弱い場合は立ち退き料の提示を検討する

一方で、入居者に家賃滞納や迷惑行為などの明確な契約違反があるとはいえず、建物の老朽化や売却、親族の居住など、貸主側の事情で退去を求めたい場合には、契約解除ではなく、更新拒絶や解約申入れを前提とした立ち退き交渉を検討することになります。
しかし、貸主側の事情だけで法律上の正当事由として認められる可能性は低いのが実情です。そこで、実務上、検討されるのが一般的に立ち退き料と呼ばれる金員の提供です。

立ち退き料は、借主が退去することによって発生する経済的負担や生活上の不利益を一定程度補うために、貸主が支払う金銭です。月額賃料の何か月分という形で語られることもありますが、実際には契約期間や貸主側の必要性、移転の難易度などが考慮され、決まった相場があるわけではありません。

また、立ち退き料を提示しても当然に退去を求められるというものではありません。
そのため、更新拒絶や解約申入れを前提とした立ち退き交渉では、法的な見通しと入居者との交渉上の現実性を踏まえた対策が重要になります。

第4章 明渡を求める際に貸主が避けるべき対応

どれほど入居者側に問題がある場合でも、交渉や裁判所の手続きを経ずに貸主が強制的に退去させる行為は原則として認められません。
たとえば、次のような行為は、明渡を求める方法として行うべきではありません。

・入居者の留守中に部屋の鍵を勝手に交換し、入れなくする
・電気、ガス、水道などのライフラインを独断で止める
・部屋の中にある家具や私物を、貸主の判断で搬出して処分する

また、上記まではしなくとも、入居者に対して過度な頻度で電話をかける、深夜や早朝に訪問する、玄関前で大声で退去を求める、部屋の前で長時間待ち続けるといった対応も、態様によっては脅迫的な言動や社会通念上相当性を欠く督促として、損害賠償請求などのトラブルにつながるおそれがあります。

さらに、本人が応じないからといって、連帯保証人ではない親族、勤務先などへ連絡し、本人への伝言を促すような行為も慎重に考えるべきです。関係のない第三者を巻き込む形になるため、入居者から不当な圧力を受けたと主張されるリスクがあるためです。

入居者に明渡を求める場面では、貸主側の不満が大きくなりやすく、強い対応を取りたくなることが少なくありません。しかし、自己判断で督促や退去要請を進めると、後に弁護士が介入した際の交渉や訴訟で不利に働いてしまうことがあります。一人で対応に悩むよりも、早めに弁護士など専門家に相談し、明渡に向けた具体的な対策の検討を始めることをおすすめします。

第5章 弁護士に明渡を相談する前に整理しておくこと

5-1 滞納や迷惑行為の経緯を時系列でまとめる

弁護士が法的な対策を判断する上で、いつ何が起きたのかという客観的事実が重要です。
家賃の滞納であれば、いつから未払いなのか、管理会社が何月何日にどのような方法で督促し、相手がどう返答したかなどを日付順のメモにまとめます。
騒音やゴミ放置などの迷惑行為であれば、被害のあった日時、苦情の回数、注意した履歴を記録します。
主観的な感情は交えず、事実関係のみを時間の流れに沿って記述しておくことで、弁護士は信頼関係の破壊が認められる段階にあるかを精査しやすくなります。

5-2 契約書や入金履歴などの資料を一式そろえる

相談時には、客観的な証拠書類となる関係書類を持参しましょう。
必ず準備すべき基本資料は以下の2点です。

・賃貸借契約書(契約日、解除条項、連帯保証人の記載などを確認するため)
・滞納額を証明する通帳のコピーや管理会社の家賃管理表

さらに、これまでに送付した催告書や、入居者とのメールやメッセージのやり取り、迷惑行為の録音・写真、近隣からの苦情申入書なども証拠になり得ます。
これらの資料があることで、契約違反を理由とする解除による明渡を目指せるか、任意退去を促すために解決金の提示を検討すべきかといった法的対策の選択肢を導き出しやすくなります。

5-3 交渉・訴訟・強制執行を見据えて自身の優先順位を整理する

明渡の進め方としては、主に、弁護士名義の書面による「任意交渉」、裁判を起こす「明渡訴訟」、最終手段である「強制執行」という段階があります。
たとえば、費用がかかってもいいから一刻も早く退去させたい(スピード重視)のか、時間はかかっても滞納家賃を全額回収したい(経済性重視)のか、ご自身の優先順位を固めておくことも重要です。
これにより、弁護士も任意交渉をどこまで行うか、早期に訴訟へ移行すべきか、強制執行まで見据えるべきかを判断しやすくなります。

第6章 大切な資産の安定運用のために

不動産管理会社による対応範囲を超えてしまった入居者の明渡問題は、単なる管理の領域ではなく、法的な見通しを踏まえて対応すべき段階に入っているといえます。日本の法律において借主の権利が強く保護されていることや、正当事由の立証が複雑であることなどを理解しないまま独断で動くことは、予期せぬリスクを背負うことにもなりかねません。

専門的な対応が必要な場合は、私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスへお気軽にご相談ください。賃貸不動産という価値ある資産を安定的に運用していくために、まずは現在の状況をお聞かせください。

 

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2026.06.22

賃貸物件を取得した新オーナーが確認すべき契約書と手続き|入居者がいる場合・いない場合を弁護士が解説


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賃貸物件を取得した新オーナーが確認すべき契約書と手続き|入居者がいる場合・いない場合を弁護士が解説

 

賃貸物件を購入したり、相続で収益不動産を引き継いだりした場合、前オーナーが結んだ賃貸借契約を引き継ぐか、契約書を作り直す必要があるのかといった実務上の疑問が生じがちです。本記事では、オーナー変更時の契約書の扱いと実務上の注意点を弁護士が解説します。

第1章 オーナー変更の基本|賃貸人の地位承継と登記の重要性

1-1. 賃貸人の地位は新オーナーに自動的に引き継がれる

売買によって賃貸物件を取得した場合や、相続によって賃貸物件を承継した場合、貸主としての権利や義務は、原則として新しい所有者や相続人に引き継がれます。実務上は、これを賃貸人の地位承継と整理します。
このような地位承継は、通常、賃借人(入居者)の同意を得なくても生じます。そのため、前オーナーと入居者の間で結ばれていた賃貸借契約の内容(賃料の額、契約期間、更新の条件など)は、そのまま新オーナーとの間でも維持されることになります。

1-2. 所有権移転登記は、賃貸経営上も重要になる

法律上は自動的に地位が引き継がれるものの、新オーナーが所有者としての権利を公的に主張するためには、所有権移転登記を完了させておく必要があります。
未登記の状態では、入居者に対して自分が新しい貸主であることを主張し、今後は自分に家賃を支払うよう求める場面で、支払先を争われる可能性があるためです。もし入居者から、登記簿謄本などの客観的な証明がないことを理由に賃料の支払いを拒否された場合も、それに対抗することがむずかしくなります。

特に、相続によって物件を引き継いだオーナーの場合、遺産分割協議が長引くなどの理由で相続登記が後回しになるケースが見られます。しかし、2024年4月からは相続登記が法律上義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から一定期間内に申請する必要があります。

入居者との権利関係を明確にし、賃料の回収を円滑に行うためにも、売買・相続を問わず、不動産の取得後は速やかに登記手続きを進めることが重要です。

第2章 入居者がいる場合|既存契約の確認と書面対応

すでに入居者が居住している物件を取得した場合、前オーナーから引き継いだ契約関係を実務上どのように整理すべきか、具体的な手続きと注意点を解説します。

2-1. 現行の賃貸借契約書を当然に作り直す必要はない

新オーナーになってまず気になるのが、取得した物件の入居者全員と賃貸借契約書を結び直さなければならないのか、という問題ではないでしょうか。
結論からいうと、法律上の義務としては、当然に契約書を作り直す必要はありません。

前述の通り、従前の契約内容がそのまま新オーナーに引き継がれるため、旧契約書のままでも法的な効力は維持されます。
しかし、実務においては、契約書そのものは作り直さなくても、新オーナーの連絡先や新しい賃料の振込口座などを明確にした覚書(または変更合意書)を交わすことが推奨されます。
これにより、新しい貸主の情報を書面で残すことができ、将来、連絡先や支払先をめぐる認識の違いを防ぎやすくなります。

2-2. オーナー変更通知書では、支払先と連絡窓口を明確にする

新オーナーへの変更に伴い、入居者に対して「賃貸人変更通知書」(オーナー変更通知書)を送付します。この通知は、一般的に前オーナーと新オーナーの連名で行うなど、入居者がオーナー変更の事実を確認しやすい形で行うのが実務上安全です。
新オーナー単独の名義で通知を送った場合、入居者が本当にオーナーが変わったのか判断が付かず、疑念を抱き、支払いを躊躇する原因になり得るためです。

また、通知が届くまでの過渡期に、入居者が従来の口座(前オーナーの口座)に家賃を振り込んでしまうケースがあります。
法律上、適切な変更通知が届く前に入居者が前オーナーに家賃を支払ってしまった場合、新オーナーが入居者に対して、再度の支払いを求められるかが問題になることがあります。
そのため、前オーナーとの売買決済時や引き継ぎ時に、通知の発送タイミングと賃料の切り替え時期を日割り計算等で厳密に取り決めておくことが重要となります。

2-3. 敷金は原則として、新オーナーが返還義務を負う

入居者が前オーナーに預けていた敷金に関する返還義務は、物件の所有権移転に伴い、原則として新オーナーに自動的に引き継がれます。

将来、その入居者が退去する際、新オーナーは入居者から直接敷金を預かっていない状態であっても、敷金の返還(原状回復費用等を差し引いた残額の返還)を行わなければなりません。そのため、物件の売買決済の段階で、前オーナーが預かっていた敷金の総額を確認し、売買代金からその金額を差し引く形で精算を行っておくことが必要です。

2-4. 前オーナー時代の滞納賃料は別途整理が必要になる

一方で、前オーナーの所有期間中に発生していた入居者の滞納家賃(未収賃料)を請求する権利は、物件の所有権が移転しても、新オーナーに自動的には引き継がれません。過去の滞納家賃は、あくまで前オーナーと入居者の間の債権債務関係として残るためです。

もし新オーナーが、過去の滞納分も含めて未払い家賃を回収したい場合は、前オーナーとの間で「債権譲渡契約」を個別に結ぶ必要があります。また、滞納状態を理由に入居者に対して契約解除や明渡しを求める場合は、滞納の経緯、催告の有無、現在の支払状況なども含めて別途検討する必要があります。

第3章 入居者がいない場合|新規契約書作成と将来のリスク管理

取得した物件が現在空室である、あるいは新築アパートを建築してこれから新たに賃借人を募集する場合、新オーナーは白紙の状態から賃貸借契約書を作成することができます。
一般的な雛形をそのまま使用するケースもありますが、将来的な管理・明渡し実務に備えるためには、物件の状況を踏まえて条項を確認し、必要に応じて内容を調整することが推奨されます。

3-1. 原状回復特約を法的に有効にするには

退去時の原状回復費用をめぐるトラブルは、賃貸経営において多い紛争の一つです。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年劣化や通常損耗(普通に暮らしていて発生する汚れや傷)の修繕費用は、貸主負担が原則とされています。
居住用賃貸借で借主が消費者にあたる場合、特約によってハウスクリーニング費用など特段の清掃費用を借主負担とすることは法律上可能ですが、単に「退去時の清掃費用は借主の負担とする」と明記しただけでは、内容が曖昧であるとして消費者契約法との関係で、無効と判断されるリスクがあります。

特約を法的に有効に機能させるためには、少なくとも以下のような点を意識する必要があります。

• 特約によって借主負担とする通常損耗の具体的な範囲(例:畳の表替え、ハウスクリーニング費用など)が契約書に明記されていること
• 金額または算定根拠(例:㎡単価や一律○万円など)が具体的に示されていること
• 契約締結時に、貸主から借主に対してその特約の内容について十分な説明がなされ、借主がそれを認識して合意していること

契約書作成時には、これらの条件を満たす具体的な文言を盛り込む必要があります。

3-2. 実務上、契約書に記載しても認められにくい家賃滞納の対応策

日本の賃貸借法務においては、判例上、貸主と借主の信頼関係破壊の原則が重視されやすい傾向があります。たとえ契約書に「家賃を1ヶ月でも滞納した場合は、貸主は何らの催告を要せず直ちに契約を解除できる」といった無催告解除条項を記載していたとしても、数日間の支払遅延や1ヶ月程度の滞納では、貸主と借主の間の信頼関係が根本的に破壊されたとはみなされず、直ちに解除を主張しても、裁判で認められない可能性が高いといえます。

実務上、契約解除の有効性を主張しやすくするためには、一定期間の滞納があり、かつ相当期間を定めて催告したにもかかわらず支払われないという経緯を整理しておく必要があります。
契約書には、催告の手順や期間を合理的に定め、紛争時に説明しやすくしておくことが現実的な対策といえます。

3-3. 残置物処理および孤独死に関する対応

高齢者世帯の増加に伴い、入居者が室内で孤独死されたり、認知症等で施設に入所したまま連絡が取れなくなったりするリスクが高まっています。
入居者と連絡が取れなくなったからといって、貸主が室内に残された家具や荷物(残置物)を無断で処分することは、不法行為として入居者やその相続人から損害賠償を請求される原因にもなり得ます。

この問題に対応するには、入居者が死亡した場合に備えて、賃貸借契約の解除や残置物処理に関する死後事務委任契約等をあらかじめ締結しておく方法があります。賃貸借契約書には、そのような委任契約の締結を前提とした特約を盛り込むことが考えられます。
将来的な明渡しや賃貸スペースの早期再稼働を可能にするため、こうした契約を併せて検討することが推奨されます。

第4章 前オーナーとの間で確認・回収すべき重要書類

物件まわりのトラブルは、前オーナーからの引き継ぎ不足が原因で発生することも少なくありません。
物件の引渡しを受ける際、新オーナーが法的な権利を守るために確認・回収すべき書類は以下の通りです。

書類名 確認・回収の目的と法的な重要性
現行の賃貸借契約書(原本) 特約の有無、更新料の定め、契約期間などを正確に把握するため。原本の確保が基本です。
入居申込書・本人確認書類 入居者の属性や連絡先、緊急連絡先の情報を把握するため。
連帯保証人の同意書・印鑑証明書 賃料滞納時に保証人へ法的な請求を行うための証拠能力を確保するため。
過去の変更合意書や覚書 前オーナーと入居者の間で「賃料を減額する」「ペット飼育を許可する」といった個別の合意(口約束を含む)がなかったか確認するため。
家賃保証会社との保証契約関係書類 オーナー変更に伴う名義変更手続きを行うため。手続きを怠ると、滞納発生時に保証会社の対応を受けられないおそれがあります。

前オーナーと入居者との間で過去に交わされた書面や合意の有無は、現在の正しい契約条件を把握するだけでなく、将来的な条件変更を申し入れる際の大前提となる判断材料です。もし過去の覚書などが紛失している場合は、物件の引渡し前に、前オーナーを通じて入居者へ確認をとり、当時の合意内容を明記した確認書等の書面を引渡し前までに作成することが重要です。

第5章 まとめ|オーナー変更時は契約書と引継資料の確認が重要

賃貸物件を取得した新オーナーは、現行の賃貸借契約書を含め、前オーナーと入居者との間で交わされた覚書、変更合意書、保証会社関係の書類なども確認し、契約関係を正確に把握しておく必要があります。
賃貸借契約では一般的なひな形が使われることもありますが、不動産は物件ごとに事情が異なります。そのうえ、契約書の内容は退去時の原状回復や滞納対応、保証人への請求などに大きく影響します。
トラブルを未然に防ぐためにも、契約書や前オーナーとの引き継ぎ内容に不安がある場合は、私たちNexill&Partners那珂川オフィスまでお気軽にご相談ください。

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2026.06.03

別居中の不貞行為で慰謝料は請求できる?離婚時への影響と婚姻関係の破綻について弁護士が解説


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別居中の不貞行為で慰謝料は請求できる?離婚時への影響と婚姻関係の破綻について弁護士が解説

 

別居中の配偶者に不貞行為があった場合、「別居していたから慰謝料は取れないのでは」と思うかもしれません。しかし、別居中であっても、不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していなければ、慰謝料請求を検討できる可能性があります。本記事では、別居中の不貞行為が離婚や慰謝料にどう影響するのかを弁護士が解説します。

第1章 別居中に不貞された場合でも、慰謝料請求は可能

1-1 別居中だからといって不貞慰謝料が当然に否定されるわけではない

別居中であっても、法律上の婚姻関係が続いている以上、不貞行為に対する慰謝料請求は可能です。
もっとも、別居中の不貞行為では、通常の同居中の不貞と比べて、「その時点で夫婦関係がどうなっていたのか」が争点になりやすいです。単に別居していたというだけで慰謝料請求が否定されるわけではありませんが、反対に、別居中であっても必ず慰謝料が認められるともいえません。

1-2 離婚時に影響するのは主に慰謝料と離婚原因の場面

別居中の不貞行為が離婚に影響する場面としては、主に次の3つが考えられます。

・配偶者に対する慰謝料請求
・不貞相手に対する慰謝料請求
・不貞をした側から離婚を求められた場合の対応

たとえば、別居後であっても、不貞行為によって夫婦関係が決定的に悪化し、離婚に至ったといえる場合には、配偶者に対して慰謝料請求を検討することがあります。また、不貞相手が、相手に配偶者がいることを知っていた、または通常であれば知ることができたといえる場合には、不貞相手に対する慰謝料請求も問題になります。
さらに、不貞をした配偶者の側から離婚を求められた場合には、夫婦関係を壊した側からの離婚請求ではないかという形で争点になることもあります。

1-3 財産分与・親権・養育費とは分けて考える必要がある

別居中の不貞行為があったからといって、離婚条件のすべてが当然に有利になるわけではありません。
特に、財産分与、親権、養育費は、不貞慰謝料とは判断の枠組みが異なります。財産分与は、基本的には夫婦が婚姻中に築いた財産を清算する制度です。不貞をされた側だから財産分与が大きく増える、不貞をした側だから当然に財産分与を受けられない、という関係ではありません。
親権についても、不貞行為をしたことだけで直ちに親権者として不適格と判断されるわけではありません。子どもの監護実績、生活環境、子どもの意思、今後の養育体制など、子どもの利益を中心に判断されます。
そのため、別居中の不貞行為をめぐる問題では、慰謝料の問題と、財産分与・親権・養育費の問題をそれぞれ分けて整理することが大切です。

第2章 別居中の不貞では、「不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していたか」が重要になる

2-1 不貞行為の時点で夫婦関係が続いていれば、慰謝料請求の対象になり得る

別居中の不貞行為で慰謝料請求を検討する場合、最も重要なのは、不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していたかどうかです。
ここでいう破綻とは、夫婦としての共同生活を回復する見込みがなく、実質的に婚姻関係が終わっていると評価できる状態を指します。
別居はしているものの普段の生活費や子供のことについて日々連絡を取り合っている、同居再開について話し合いをしていたなどの場合は、婚姻関係が完全に破綻しているわけではないとして不貞に対する慰謝料請求を検討できるといえます。

2-2 不貞行為の時点ですでに婚姻関係が破綻していた場合、慰謝料請求は難しくなる

一方で、不貞行為の時点ですでに婚姻関係が破綻していたと判断される場合には、慰謝料請求が難しくなることがあります。特に不貞相手への慰謝料請求では、不貞行為の時点で夫婦関係がすでに破綻していたかどうかが重要な争点になります。
なお、夫婦関係の破綻の有無については、別居の期間や理由、日々の夫婦間のやり取りやお子さんとの関わりなどから総合的に判断されるため、相手が「破綻していた」と言っていることだけを理由に夫婦関係が破綻しているといえるわけではないです。

2-3 不貞がいつ始まったかも慰謝料請求に関係します

別居中の不貞行為に対する慰謝料請求では、不貞関係がいつから始まっていたのかも重要です。
たとえば、別居前から不貞関係があり、それが原因で別居に至った場合と、長期間の別居が続き離婚協議も進んでいる最中で不貞が始まった場合とでは慰謝料請求の見通しや金額が変わってきます。

第3章 婚姻関係が破綻していたかを判断するときに見られやすい事情

3-1 別居期間がどのくらい続いていたか

婚姻関係の破綻を判断する際、別居期間は重要な事情の一つです。
一般的には、長期間別居している場合、夫婦としての共同生活が失われていたと評価される方向に働きやすくなります。特に、何年も別居が続き、生活も完全に別々で、離婚に向けた話し合いも進んでいたような場合には、婚姻関係が破綻していたと主張されやすいでしょう。
一方で、別居期間が短い場合や、冷却期間として一時的に別居していたような場合には、別居していたというだけで破綻と評価するのは早いことがあります。

3-2 離婚協議や離婚調停がどこまで進んでいたか

離婚協議や離婚調停の進行状況も、婚姻関係が破綻していたかを判断するうえで重要です。
すでに離婚条件について具体的に話し合っていた、離婚届の提出を前提に財産分与や親権について協議していた、離婚調停が申し立てられていたといった事情があれば、夫婦関係が相当程度悪化していたことを示す事情になります。
もっとも、一方が離婚したいと言っていただけで、他方は離婚を拒否していたという場合には、直ちに婚姻関係が破綻していたとはいえません。夫婦の一方が離婚を希望していたとしても、他方が関係修復を望んでいた場合や、実際には離婚条件の話し合いが進んでいなかった場合には、破綻の有無を慎重に見る必要があります。

3-3 夫婦間の連絡や生活上のつながりが残っていたか

別居中であっても、夫婦間に生活上のつながりが残っているかどうかというのも重要なポイントです。
たとえば、次のような事情です。

・生活費のやり取りが続いていた
・子どもの行事や進学について相談していた
・将来の生活について話し合っていた
・同居再開について連絡を取っていた
・家族として会う機会が残っていた

一時的に別居はしていたものの、夫婦としての関係修復を前提とした連絡があった場合や、お互いの生活を完全に切り離していないような場合には、婚姻関係が完全には破綻していなかったということを主張できる材料になり得ます。

3-4 不貞が別居や離婚の原因になったか

不貞行為が、別居や離婚の原因になったかどうかも重要です。
たとえば、不貞行為が発覚したことで夫婦関係が悪化し、別居に至った場合には、不貞が婚姻関係を壊したという主張がしやすくなります。また、もともと夫婦仲に問題があったとしても、不貞行為が決定打となって離婚を決意した場合には、慰謝料請求の余地があります。
反対に、不貞行為より前から夫婦関係が実質的に終わっており、別居も長期間続き、双方が離婚を前提に生活していた場合には、不貞行為と離婚との関係が薄いと判断される可能性があります。

第4章 別居中の不貞で慰謝料請求できる相手

4-1 不貞をした配偶者に対する慰謝料請求

別居中の不貞行為について、まず検討するのは、不貞をした配偶者に対する慰謝料請求です。
配偶者に対する慰謝料請求では、不貞行為そのものによる精神的苦痛や、不貞行為によって婚姻関係が破綻し、離婚に至ったことによる精神的苦痛が問題になります。
離婚協議の中では、財産分与、親権、養育費、婚姻費用などとあわせて、慰謝料の有無や金額を話し合うことが多いです。ただし、財産分与と慰謝料は性質が異なるため、相手から「財産分与で多めに渡すから慰謝料はなしにしてほしい」と言われた場合には、その内容が本当に妥当かを慎重に確認する必要があります。

4-2 不貞相手に対する慰謝料請求

不貞相手が、相手に配偶者がいることを知っていたもしくは通常であれば知ることができたといえる場合は、配偶者だけでなく、不貞相手に対しても、慰謝料請求を検討できます。
なお、不貞相手に慰謝料を請求する場合には、「不貞行為そのものを理由とする慰謝料」と「不貞を理由に離婚したこと自体を理由とする慰謝料」を混同しないこともポイントになり、不貞行為そのものを理由とする慰謝料請求だけでなく、離婚したこと自体についてまで責任を問えるかは別問題となります。

4-3 配偶者と不貞相手の両方に請求する場合の注意点

配偶者と不貞相手の両方に慰謝料請求を行うこともできますが、同じ精神的損害について二重取りができるわけではありません。たとえば、配偶者から相当額の慰謝料を受け取った場合には、不貞相手に対して請求できる慰謝料の金額が調整される可能性があります。
また、配偶者と不貞相手の両方に請求できる可能性がある場合、どちらに先に請求するかという点も検討が必要です。

離婚条件を優先するなら配偶者との協議を先に検討する

たとえば、離婚の成立や条件の話し合いを優先したい場合には、まず配偶者との間で、慰謝料、財産分与、親権、養育費などをまとめて協議した方が進めやすいことがあります。不貞相手への請求を先に行うことで、配偶者との対立が強まり、離婚協議全体がこじれる可能性があるためです。

不貞の証拠や交際開始時期を重視するなら不貞相手への請求を先に検討する

一方で、不貞相手に対する請求を早めに検討した方がよいケースもあります。たとえば、配偶者と不貞相手が口裏を合わせるおそれがある場合、時間の経過によってLINEやSNSの投稿などの証拠が消えてしまうおそれがある場合、不貞相手への請求や交渉を通じて、不貞の事実や交際開始時期を明らかにしたい場合などです。

第5章 別居中の不貞で慰謝料請求を検討する場合に重要な証拠

5-1 不貞行為があったことを示す証拠が必要

別居中の不貞慰謝料を請求する場合でも、まずは不貞行為があったことを示す証拠が必要です。
単に親しくしている証拠だけでなく、肉体関係を推認できる証拠があるかが重要になります。
たとえば、ラブホテルに出入りしている写真や動画、不貞相手の自宅に宿泊していることが分かる資料、肉体関係をうかがわせるメールやSNSのやり取りなどが証拠になり得ます。
特に、別居中に配偶者が不貞相手と同棲している場合、その事実は不貞行為を推認させる重要な事情になります。

5-2 不貞関係が始まった時期を示す証拠

別居中の不貞慰謝料では、不貞行為そのものの証拠だけでなく、それがいつ始まったのかを示す証拠も重要となります。
まずは、次のような資料がないかを確認します。

・宿泊や同棲が始まった時期が特定できるやり取りや写真
・プレゼントや旅行などの写真
・不貞関係の開始時期をうかがわせるSNS投稿
・知人や関係者からの情報

直接的な証拠がなくても、複数の事情を組み合わせることで、別居前から関係が続いていたと推認できる場合があります。

5-3 不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していなかったことを示す証拠

別居中の不貞行為では、その時点で婚姻関係が破綻していなかったことも重要です。
たとえば、次のような資料がある場合には、夫婦関係が完全には終わっていなかったことを示す事情になり得ます。

・日常的なLINEやメールのやりとり
・生活費等の支払記録
・家族で会っていた写真や予定表
・別居が一時的なものであることを示すやり取り
・離婚ではなく関係修復を前提にした話し合いの記録

特に、別居直後の不貞や、別居理由そのものが不貞に関係している場合には、早めに証拠を整理しておくことが重要です。

第6章 別居中の不貞慰謝料に関するよくある質問

Q1. 別居中に相手が不貞相手と同棲している場合、慰謝料は増えますか?

A1. 増額事情になる可能性があります

相手が不貞相手と同棲している場合、その関係が一時的なものではなく、継続的・安定的な関係であることを示す事情になり得ます。また、不貞相手との同棲によって、夫婦関係の修復がさらに難しくなったといえる場合には、慰謝料額の判断で考慮される可能性があります。
ただし、慰謝料額は婚姻期間や別居の経緯など、さまざまな事情を総合的にみて判断されるため、同棲しているから必ず慰謝料が大きく増える、というわけではありません。

Q2. 別居後に初めて不貞関係が始まった場合でも、慰謝料は取れますか?

A2. 請求できる余地はあります

別居後に不貞関係が始まった場合でも、不貞関係が始まった時点で婚姻関係が破綻していなかったといえるのであれば、慰謝料請求を検討できる可能性があります。たとえば、冷却期間として別居していた、復縁に向けて話し合っていた、生活費や子どものことで夫婦としての連絡が続いていた、といった事情がある場合、別居後に始まった不貞関係が夫婦の修復を難しくさせたと判断され、慰謝料請求の対象になる可能性があります。

Q3. 離婚せず別居を続ける場合も、不貞慰謝料は請求できますか?

A3. 請求できる場合があります

離婚しない場合でも、不貞行為によって精神的苦痛を受けたとして、慰謝料請求を検討できることがあります。もっとも、離婚せずに別居を続ける場合や、将来的に同居再開・関係修復を考えている場合には、慰謝料請求の進め方に注意が必要です。不貞相手に請求することで、配偶者との関係がさらに悪化したり、別居解消に向けた話し合いが難しくなったりすることがあるためです。
また、離婚に至った場合と比べると、慰謝料額は低く評価される傾向があります。離婚しない場合の慰謝料請求では、法的に請求できるかだけでなく、今後も別居を続けるのか、同居再開を目指すのか、最終的には離婚も視野に入れるのかを整理したうえで判断する必要があります。

第7章 別居中の不貞で悩んだら、早めに弁護士へ相談することが大切です

別居中に不貞行為があった場合に慰謝料請求ができるかどうかの重要な判断ポイントになるのは、不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していたといえるかどうかです。
特に、相手が夫婦関係はすでに破綻していたと主張している場合は、その言い分だけで判断せず、早めに弁護士に相談することをおすすめします。また、不貞相手と同棲している場合、別居後の証拠しか手元にない場合、離婚条件と慰謝料請求を同時に整理したい場合にも、ケースごとの状況整理や証拠の収集などをふまえたうえで法的な見通しを立てる必要があるため、自己判断だけで進めることは避けた方がよいでしょう。
私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスでは、離婚に関する幅広い相談に対応しています。別居中の不貞行為について、慰謝料を請求できるのか、離婚時にどのような影響があるのか不安がある場合は、早めにご相談ください。

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2026.05.29

共同親権は子連れ再婚にどう関係する?再婚相手との養子縁組・元配偶者の親権を弁護士が解説


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共同親権は子連れ再婚にどう関係する?再婚相手との養子縁組・元配偶者の親権を弁護士が解説

 

2026年4月1日施行の法改正により、離婚後も共同親権を定めることができるようになりました。現在、単独親権者として子どもを育てている人が再婚する場合、共同親権の問題は、再婚相手と子どもが養子縁組を行うかどうかによって変わります。本記事では、共同親権と子連れ再婚の関係を弁護士が整理します。

第1章 共同親権の法改正は子連れ再婚にどう関係するのか

単独親権で子どもを育てている場合、自動的に共同親権へ変わるわけではない

2026年4月1日から、離婚後の親権に関するルールが変わり、離婚後も父母双方を親権者とする共同親権を定めることができるようになりました。しかし、この法改正はあくまで共同親権という選択肢が設けられた、というものです。
現在、既に単独親権で子どもを育てている場合、この法改正によって自動的に共同親権へ変わるわけではありません。また、元配偶者が役所へ届出をしたり、戸籍を変更したりするだけで、ただちに元配偶者が親権者になるものでもありません。
ただし、元配偶者が家庭裁判所に親権者変更を申し立て、共同親権を求めてくる可能性はあります。つまり、自動的には変わらないが、将来的に手続の中で争われる可能性はあることを理解しておく必要があります。

第2章 まず確認すべきは、再婚相手と子どもが養子縁組をするかどうか

子連れ再婚では、再婚相手と子どもが一緒に生活するため、法律上も親子のように扱われると考えがちです。しかし、再婚と養子縁組は別の手続です。

2-1 再婚しただけでは、再婚相手は子どもの法律上の親にはならない

自分が単独親権者として子どもを育てており、その後に再婚した場合でも、再婚相手は当然には子どもの親権者になりません。
つまり、学校行事に参加したり、日常的に子どもの世話をしたりしていても、法律上の親権者として重要事項を決められる立場になるわけではありません。法律上の親子関係を作るには、原則として養子縁組が必要です。

2-2 養子縁組をする場合としない場合で、親権者の整理が変わる

養子縁組をしない場合、現在の親権関係は基本的にそのままです。現在、自分が単独親権者であれば、再婚後も自分が親権者であり、再婚相手は親権者にはなりません。
一方、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合、再婚相手と子どもの間に法律上の親子関係が生じます。連れ子養子の場合には、養親となった再婚相手と、実親であるあなたが親権者になります。

第3章 再婚相手と養子縁組をする場合、親権関係はどうなるのか

ここでは、再婚相手と子どもが養子縁組をする場合を整理します。

3-1 単独親権の状態で、再婚相手と子どもが養子縁組をすると、元配偶者は共同親権を求めにくくなる

単独親権者として子どもを育てている場合、元配偶者はそもそも親権者ではありません。
この状態で、再婚相手と子どもが養子縁組をすると、連れ子養子として、再婚相手が親権者になります。つまり、子どもの親権者はあなた(実親)と再婚相手になります。
この養子縁組後に、元配偶者が共同親権を求めて親権者変更を申し立てても、すでに再婚相手が親権者になっているため、通常の親権者変更とは場面が異なります。そのため、元配偶者が当然に共同親権者になれるわけではありません。

3-2 共同親権の場合、再婚相手との養子縁組を進めること自体が難しくなる

法改正後に元配偶者と共同親権になっていた場合も、養子縁組が成立した後の親権関係については、基本的に同じ考え方になります。一方の実親の再婚相手と子どもの養子縁組が有効に成立した場合は、その再婚相手が親権者となり、共同親権者であっても、他方の実親は親権を失います。

ただし、15歳未満の子どもが養子縁組をする場合は、親権者が養子縁組の手続に関与する必要があります。そのため、元配偶者と共同親権になっている場合、元配偶者が再婚相手との養子縁組に反対する可能性が高く、養子縁組の手続きを進めること自体が難航することが想定されます。

家庭裁判所が養子縁組について親権行使者を指定する場合がある

法改正では、こうした対立を家庭裁判所が調整する手続きも新設されました。子どもの利益のために必要があると認めるときに限り、家庭裁判所はどちらかの親権者を特定の事項について単独で行使できる親権行使者を指定します。
そのため、家庭裁判所によって養子縁組についての親権行使者に指定された場合は、元配偶者の同意を得ずに、再婚相手と子どもの養子縁組を進めることができます。

第4章 再婚相手と養子縁組をしない場合、共同親権は再婚後の生活にどう影響するのか

次に、再婚相手と子どもが養子縁組をしない場合を整理します。養子縁組をしない場合、再婚相手は子どもの親権者にはなりません。送迎や学校行事への参加、生活費の負担などをしていても、法律上の親権者ではないため、子どもの重要事項を決める立場にはない状態です。

元配偶者から共同親権への変更を求められる可能性は残る

養子縁組をしていない場合、元配偶者から共同親権への変更を求められる可能性は残ります。
もっとも、元配偶者が希望すれば必ず共同親権になるわけではありません。当事者間で話し合いが行われることはありますが、実際に親権者を変更するには、家庭裁判所の手続が必要です。家庭裁判所では、子どもの利益を基準に、単独親権を維持するか、共同親権に変更するかが判断されます。

元配偶者に共同親権を求められた場合の具体的な流れは、以下の記事の2章で確認いただけます。

共同親権はすでに離婚している場合でも関係ある?元配偶者から共同親権を求められた場合や単独親権を維持したい場合のポイントを弁護士が解説

第5章 既に再婚している場合・これから再婚する場合で確認すべきこと

5-1 再婚済みの場合|養子縁組の有無と現在の親権者を確認する

既に子連れで再婚している場合、まず確認すべきなのは、再婚相手と子どもが養子縁組をしているかどうかです。再婚相手と子どもの養子縁組が有効に成立していれば、再婚相手と実親であるあなたがすでに親権者になっています。
一方、養子縁組をしていなければ、再婚相手は法律上の親権者ではなく、現在の単独親権の状態が基本的に続いていると考えられます。この場合、元配偶者から突然、共同親権を求める連絡や書面が届く可能性があります。

5-2 これから再婚する場合|共同親権のリスクも踏まえて養子縁組を検討する

これから子連れで再婚する場合、再婚相手と子どもを養子縁組するかどうかは、再婚時点で一度整理しておくことが大切です。以前であれば、再婚相手と子どもを養子縁組するかどうかは、新しい家庭での親子関係、氏や戸籍、扶養、相続などを中心に検討されることが多かったかもしれません。
しかし、共同親権の法改正後は、元配偶者から将来共同親権への変更を求められる可能性も踏まえて検討する必要があるといえます。養子縁組をしない場合に、元配偶者から共同親権を求められたときどう対応するのかも、再婚時に検討しておくとよいでしょう。

第6章 【FAQ】子連れ再婚と共同親権についてよくある疑問

Q1. 子連れ再婚後に共同親権になった場合、再婚相手との新しい家庭生活に元配偶者が関与してくることになりますか?

A1. 重要事項では協議が必要になる可能性があります。

共同親権になった場合でも、再婚後の家庭生活のすべてについて元配偶者の同意が必要になるわけではありません。一方で、子どもの転居、進学先の決定、重大な医療行為など、子どもの生活や将来に大きく関わる事項については協議が必要になる可能性があります。そのため、再婚相手の転勤、住宅購入などにより、転居や転校を予定している場合には、元配偶者との協議が必要になる場面も生じ得ます。

共同親権で具体的に何が変わるのか、変更点の詳細については以下の記事でも確認いただけます。

関連記事「共同親権で何が変わる?法改正で見直された親権・養育費・親子交流のポイントを弁護士がわかりやすく解説」

Q2. 元配偶者が共同親権を主張してきそうです。先に再婚相手と子どもを養子縁組すれば対策になりますか?

A2. 親権上の影響はありますが、慎重な判断が必要です。

現在、単独親権者であり、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合、あなたと再婚相手が親権者になります。養子縁組後は、元配偶者が共同親権を求めることは原則として難しくなる状況と考えられます。
ただし、養子縁組は、共同親権対策だけを目的に決めるものではありません。養子縁組をすると、再婚相手と子どもの間に法律上の親子関係が生じ、扶養、相続、氏、戸籍など、親権以外の家族関係にも影響します。共同親権を避けたいという理由だけで養子縁組を急ぐのではなく、子どもの生活全体にとって適切かどうかを慎重に検討する必要があります。

Q3. 共同親権の元配偶者が再婚し、その再婚相手と子どもを養子縁組させたいと言ってきた場合、どうなりますか?

A3. 成立すれば、あなたが親権を失う可能性があります。

共同親権の元配偶者が再婚し、その再婚相手と子供の養子縁組が有効に成立した場合、元配偶者とその再婚相手が親権者になり、あなたが親権を失う可能性があります。もっとも、実際に養子縁組を成立させられるかどうかは別問題です。特に、子どもがあなたと生活している場合は、より慎重に判断されるといえます。ただし、元配偶者側からこのような話が出た場合には、親権に影響し得る重要な問題として早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

第7章 子連れ再婚で共同親権に不安がある場合は早めに相談を

法改正によって日本でも共同親権が選択できるようになりました。既に離婚し、単独親権者として子どもを育てている場合、単独親権から共同親権へ自動的に変わるわけではありません。しかし、元配偶者から、ある日突然、共同親権への変更を求められる可能性はあります。
共同親権の問題は、家庭ごとの事情によって対応が大きく変わります。不仲な元配偶者から共同親権を求める通知が届いた、元配偶者が反対しているが再婚相手と子どもの養子縁組をしたいなどの問題がある場合は、Nexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスへお気軽にご相談ください。

 

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2026.05.20

共同親権はすでに離婚している場合でも関係ある?元配偶者から共同親権を求められた場合や単独親権を維持したい場合のポイントを弁護士が解説


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共同親権はすでに離婚している場合でも関係ある?元配偶者から共同親権を求められた場合や単独親権を維持したい場合のポイントを弁護士が解説

 

2026年4月1日から日本でも共同親権制度が始まりました。すでに離婚して単独親権となっている場合、「自動的に共同親権へ変わってしまうのではないか」と不安を感じている方もいるかもしれません。結論からいうと、自動的に共同親権へ変更されることはありません。ただし、元配偶者から親権者変更を求められる可能性はあります。本記事では、現在単独親権の方が今の状態を維持するために、共同親権について知っておきたいポイントを弁護士が整理します。

第1章 【結論】既に離婚している場合、単独親権が自動的に共同親権へ変わることはない

まず押さえておきたいのは、今回の法改正によって現在の単独親権が自動的に共同親権へ変更されることはない、という点です。

1-1 法改正後も現在の単独親権はそのまま維持される

これまでの日本の法律では、離婚後は父母のどちらか一方を親権者として定める必要がありました。今回の法改正によって変わったのは、「共同親権を選択することもできるようになった」という点です。つまり、法改正後も単独親権という制度自体がなくなるわけではなく、共同親権と単独親権のいずれも選択できる形になります。
そのため、既に離婚して単独親権となっている場合、それが自動的に共同親権へ変更されるものではありません。したがって、役所へ新たな届出をしたり、戸籍の変更手続をしたりする必要もありません。

1-2 ただし、元配偶者が共同親権を求める可能性はある

単独親権が共同親権へと自動的に変わることはありませんが、今後も単独親権を維持できるかが確定しているわけでもありません。
今回の法改正によって、既に離婚している場合でも、家庭裁判所の手続を通じて単独親権から共同親権への変更が制度上可能になりました。そのため、元配偶者からある日突然、共同親権への変更を申し立てられる可能性はあります。

第2章 元配偶者が共同親権を求めた場合、どのような流れで決まるのか

元配偶者から共同親権を求められた場合、共同親権になるか、そのまま単独親権が維持されるかは、話し合いや家庭裁判所の手続を経て決まることになります。

2-1 まずは父母間で協議が行われることが多い

実務上は、まずは父母間で話し合いが行われるケースが多いと考えられます。例えば、元配偶者から「今後は共同親権にしたい」といった連絡が来る可能性がありますが、相手から共同親権を求められたとしても、直ちに応じなければならないわけではありません。
共同親権は、親の希望だけで決まるものではなく、あくまで子どもの利益にかなうかどうかが重視されます。そのため、不安や疑問がある場合には、安易に返事をしたり、結論を出したりはしないようにしましょう。

2-2 協議がまとまらない場合、家庭裁判所の調停へ進む

父母間で話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での調停手続へ進むことになります。
調停は、現在親権を持っていない親が、共同親権への変更を求めて家庭裁判所へ「親権者変更」の手続を申し立てることから始まります。そのため、現在親権を持っている親は、家庭裁判所から書類が届いて初めて申し立てが行われたことを知ることになります。
共同親権に関する調停では、どのような事情が重要視されるのか、どの資料を整理しておくべきかによって、その後の対応が大きく変わる可能性があります。そのため、家庭裁判所から書類が届いた段階で、申立書の内容を確認し、ご自身だけでよくわからなければ裁判所から届いた書類を持参の上で一度弁護士に相談に行かれることをお勧めします。

2-3 調停で合意できなければ家庭裁判所が審判で判断する

調停で合意に至らなかった場合、家庭裁判所が審判という形で判断を行います。
審判では、父母双方の主張や提出資料、必要に応じた家庭裁判所調査官による調査結果などを踏まえながら、どの親権形態が子どもの利益にかなうのかを裁判所が判断します。
例えば、現在の生活環境が安定しているか、主に誰が監護を担ってきたか、父母間で必要な協議ができる状況にあるか、子どもへ精神的負担が生じないかなど、さまざまな事情が具体的に検討されることになります。

2-4 家庭裁判所は「子どもの利益」を最優先に判断する

共同親権に関する手続で、最も重要になる考え方が「子どもの利益」です。今回の法改正でも、親権は「子どもの利益のために行使しなければならない」と明記されています。
そのため、家庭裁判所は、どの形が子どもにとって安定した生活につながるかという観点から判断を行います。
例えば、DVや虐待のおそれがある場合や、父母間の対立が極めて強く、現実的に共同での意思決定が困難と考えられる場合には、共同親権が認められない可能性があります。
一方で、離婚後も一定の協力関係が保たれ、子どもの養育について現実的な連携ができているケースでは、共同親権が検討される可能性もあります。

第3章 共同親権になった場合、生活上は何が変わるのか

共同親権になった場合、子どもの生活や将来に大きく関わる事項については、父母間で協議が必要になる場面が増える可能性があります。

3-1 日常的な監護や急迫の事情がある場合は単独で判断できる場面もある

共同親権となった場合でも、すべてについて常に元配偶者の同意が必要になるわけではありません。例えば、食事や服装、習い事などの日常的な監護教育に関する事項や、緊急の医療行為が必要なケース、DV・虐待から避難するために転居が必要なケースなどでは、単独で親権を行使できるとされています。
しかし、将来や生活環境に関わる重要事項については、元配偶者との協議が必要になる可能性があります。

3-2 転居・進学・重大な医療行為では協議が必要になる可能性がある

共同親権になった場合、子どもの生活環境や将来に大きな影響を与える事項については、双方で協議しながら決める必要があるとされています。
例えば、県外への引っ越しを考えている場合や進学や受験、海外留学、病気の際の治療方針など、子どもの将来や生活環境に大きく関わる事項については、これまでのように自分だけで決められるとは限らなくなります。
離婚後、長期間にわたって実際に子どもを育ててきた側からすると、「なぜ今さら、普段子育てをしていない相手と重要事項を協議しなければならないのか」と感じる場面も出てくるかもしれません。

共同親権で具体的に何が変わるのか、変更点の詳細については以下の記事でも確認いただけます。

関連記事「共同親権で何が変わる?法改正で見直された親権・養育費・親子交流のポイントを弁護士がわかりやすく解説」

3-3 父母の意見が対立した場合に利用される「親権行使者」制度

共同親権では、父母双方で協議して決めるべき事項について、意見がまとまらないケースも想定されています。
法改正では、そのような場合に家庭裁判所へ親権行使者の指定を求める手続が設けられました。例えば、子どもの留学や進学、転居などについて父母間で意見が対立した場合、家庭裁判所が、子どもの利益のため必要があると判断した場合は、その事項に限って一方の親が単独で親権を行使できる可能性があります。
もっとも、どのような状況の場合に家庭裁判所が親権行使者の指定を認めるのかについては個別の事情によって判断されるため、一概にはいえません。

第4章 単独親権を維持したい場合に整理しておきたいこと

元配偶者から共同親権への変更を求められた場合、共同親権にはしたくないと主張するだけでは足りません。重要なのは、「現在の単独親権を維持する方が子どもの利益にかなう」と家庭裁判所に判断してもらえるかどうかです。そのため、単独親権を維持したい場合には現在の生活環境の安定性や、父母間の関係性、これまでの監護状況などを客観的な事情に基づいて整理していくことが重要になります。

4-1 これまでの監護実績や現在の生活状況を記録しておく

家庭裁判所は、現在の子どもの生活環境が安定しているかどうかを重視します。そのため、これまで誰が主に監護を担ってきたのか、現在どのような生活状況にあるのかを整理しておくことが大切です。
例えば、毎日の送迎や通院対応、学校との連絡、食事や生活管理など、日々の子育てを継続して担ってきた実績は重要な事情になり得ます。具体的には、学校や保育園との連絡アプリ、通院履歴、子どもに関するLINEのやり取り、学校行事の写真など、日常生活の中で自然に残っているものが後から重要な資料になることもあります。
もっとも、こうした資料は意識していない段階では、スマホの機種変更やデータ整理の際に消去してしまうことも少なくありません。将来的に共同親権への変更を求められる可能性が想定される場合には、子どもの生活状況や監護実績を示す記録を、意識して残しておくことが望ましいといえます。

4-2 元配偶者との協議が困難であることを示す客観的事情を整理する

共同親権では、父母間で継続的に協議できる関係にあることが重要になります。そのため、現実的に協議が難しい場合には、その状況を整理しておく必要があります。
例えば、離婚後も強い対立状態が続いている場合や、暴言・威圧的な連絡が繰り返されている場合、必要な連絡すら円滑に成立しないようなケースでは、共同で意思決定を行うこと自体が難しい可能性があります。
そのような問題が起きている場合には、それを証明する客観的な記録が必要です。具体的には、相手方とのメールやLINE、調停記録などを保存しておくことが重要といえます。

4-3 養育費の支払状況や親子交流の実態を整理しておく

家庭裁判所では、離婚後に元配偶者がどのように子どもの養育へ関与してきたかも確認されます。
例えば、養育費が継続して支払われていたのか、親子交流がどのように実施されてきたのか、子どもとの関係性がどの程度築かれているのかといった事情です。
もっとも、養育費を支払っているから必ず共同親権になるわけではなく、逆に未払いがあるから直ちに認められないというものでもありません。
ただ、離婚後にどのような形で子どもと関わってきたのかは、家庭裁判所が子どもの利益を考える上で無関係ではないため、一定程度親権を考慮するうえで重要視されるといえるでしょう。

第5章 【FAQ】既に離婚している場合の共同親権についてよくある質問

Q1. 共同親権への変更を求める申立てに回数制限はありますか?一度、単独親権維持の判断が出た場合でも、再び申し立てられることはあるのでしょうか?

A1. 再度申し立てられる可能性はあります。

親権者変更の手続について、「一度変更が却下されたら二度と申し立てできない」という回数制限は設けられていません。そのため、過去に単独親権維持の判断が出ていたとしても、その後の事情変化などを理由に、再び相手方が親権者変更を申し立てる可能性はあります。もっとも、過去の調停や審判の内容が無意味になるわけではなく、家庭裁判所はこれまでの経緯や現在の状況も踏まえて判断を行います。

Q2. 共同親権になった場合、児童手当など育児に関する補助金は父母で半分ずつになるのでしょうか?

A2. 自動的に半分ずつになるわけではありません。

共同親権になった場合でも、児童手当などの支給方法が直ちに父母で半分ずつになるわけではありません。実際には、制度ごとに受給要件や取扱いが異なっており、誰が主として子どもを監護しているのか、どちらと同居しているのかなどが考慮される場合があります。

Q3. 「共同親権にしないでほしい」と家庭裁判所へ申し立てることはできますか?

A3. 単独で予防的に止める制度はありません。

現時点では、相手方による共同親権への変更申立てを、あらかじめ制限する制度はありません。そのため、単独親権者の側から先に家庭裁判所に「共同親権は認めない」という判断を取ってもらうことはできず、相手方から親権者変更の申立てが行われて初めて対応することになります。離婚時に親権をめぐって大きな負担を経験している方にとっては、不安を感じることもあるでしょう。将来的に相手方から申立てがされる可能性も見据えて、早い段階から状況整理をしておくことが備えになるといえます。

Q4. 面会交流を認めない方が単独親権の維持のために有利になるのでしょうか?

A4. 単純に「交流を減らせば有利」とはいえません。

「面会交流を認めていると、後から共同親権を主張されやすくなるのではないか」と不安に感じる方もいるかもしれません。実際、相手方が継続的に親子交流を行い、子どもとの関係を築いていることは、家庭裁判所が事情を判断する際に無関係ではありません。だからといって、単独親権を維持したいという理由で相手方の親子交流を不当に制限した場合には、こちらが不利に評価される可能性があります。

第6章 既に離婚済みの単独親権者こそ、早めに状況整理をしておくことが大切

今回の法改正によって、既に離婚して単独親権となっているケースでも、将来的に元配偶者から共同親権への変更を求められる可能性が生じることになりました。単独親権者が知っておきたい事実として、相手方が親権者変更を申し立てることをあらかじめ禁止したり、防いだりする制度はないという点です。つまり、相手方が共同親権を希望した場合には、ある日突然、家庭裁判所から調停関係書類が届き、再び親権に関する手続へ対応しなければならなくなる可能性があります。
特に、父母間の対立が大きいケースでは、相手方も早い段階で弁護士へ相談し、法的主張や資料準備を進めていることが考えられます。そのため、共同親権への変更を求められた場合には、早い段階で弁護士へ相談し、現在の状況を整理することが重要といえます。
私たちNexill&Partners那珂川オフィスでは、離婚後の親権問題や共同親権に関するご相談にも対応しています。「相手から共同親権の話をされた」「家庭裁判所から書類が届いた」「自分のケースでは何を準備すべきか分からない」といった段階でもご相談いただけますので、お一人で不安を抱え込まず早めにご相談ください。

 

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2026.05.18

逮捕された本人と連絡が取れない場合、家族ができること|弁護士が解説


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逮捕された本人と連絡が取れない場合、家族ができること|弁護士が解説

 

突然、大切な家族が逮捕された場合、その後の対応に不安を感じるのは当然のことです。特に、逮捕後に本人と連絡が取れない状況では、どのように行動すればよいのか分からず、戸惑ってしまうことも多いでしょう。本記事では、家族が逮捕された場合に直面しがちな「本人と連絡が取れない」という問題について、弁護士がどう対応するか、家族として何をすべきかを詳しく解説します。

第1章 逮捕された本人と連絡がとれない理由

1-1 逮捕直後は家族でも面会できないことが多い

家族が逮捕されたと知ったとき、多くの方は「すぐに警察署に行けば会えるのではないか」と考えます。
しかし、実際には、逮捕直後の段階で家族が本人と面会できるとは限りません。
むしろ、逮捕されてから勾留が決まるまでの初期段階では、家族による面会が認められないことが一般的です。
逮捕後の刑事手続では、警察が逮捕してから検察官へ送致するまでに原則として48時間以内、その後、検察官が勾留請求をするかどうかを判断するまでに原則として24時間以内という時間制限があります。
つまり、逮捕後、警察が検察官へ送致するまでの時間と、検察官が勾留請求をするか判断する時間を合わせて、最大72時間程度が重要な初期段階となります。
この間は、事件の内容確認や取調べが進められるため、家族との面会が認められないことが多いです。
家族としては、「本人は無事なのか」「何を疑われているのか」「こちらから何かできないのか」と不安になるのが当然です。
しかし、逮捕直後に連絡がとれないこと自体は、制度上起こり得る状況です。
そのため、「本人が連絡してこないから何か隠しているのではないか」「家族を避けているのではないか」と考える必要はありません。
本人自身も、外部と自由に連絡できない状況に置かれていることが多いのです。

1-2 接見禁止が付くと家族との面会や手紙も制限される

逮捕から勾留に進んだ後であれば、通常は家族との面会が認められる可能性があります。
しかし、事件の内容によっては、裁判所が「接見禁止」という処分を付けることがあります。接見禁止とは、弁護士以外の人との面会や手紙のやり取りを制限する命令です。
接見禁止が付くと、たとえ配偶者、親、子どもであっても、本人と面会できないことがあります。警察署の窓口に行っても、「接見禁止が付いているため面会できません」と言われてしまいます。
接見禁止は、主に次のような事件で付くことがあります。

・共犯者がいると疑われている事件
・本人が容疑を否認している事件
・証拠隠滅の可能性があると判断されている事件
・薬物事件や組織的な事件
・関係者との口裏合わせが疑われる事件

もっとも、接見禁止が付くかどうか、どの範囲で制限されるかは、事件の内容や捜査状況によって異なります。すべての事件で必ず接見禁止が付くわけではありません。
ただし、家族からすれば、接見禁止が付いているかどうか自体も分かりにくく、
「なぜ会えないのか」「いつになれば会えるのか」が見えないまま時間が過ぎてしまいます。
このような場合には、弁護士を通じて本人の状況を確認することが重要になります。

1-3 スマートフォンや電話を本人が自由に使えない

逮捕された本人と連絡がとれない大きな理由の一つが、スマートフォンや電話を自由に使えないことです。
逮捕されると、本人が持っていたスマートフォン、財布、鍵、身分証などの所持品は、
警察に預けられることになります。スマートフォンについては、事件との関係で証拠品として扱われる場合もありますし、証拠品でない場合でも、留置中に本人が自由に操作することは通常できません。
そのため、本人が家族に電話をかけたり、LINEやメールで連絡したり、SNSで状況を伝えたりすることはできません。
家族の側からすると、「なぜ一言も連絡してこないのか」と感じるかもしれません。
しかし、本人が連絡したくても、物理的に連絡手段を使えない状態に置かれている可能性が高いのです。
特に、普段からスマートフォンで連絡を取り合っているご家族ほど、急に既読が付かなくなったり、電話がつながらなくなったりすると強い不安を感じます。
このように、逮捕後に連絡がとれないことは、本人の意思というよりも、刑事手続上の制限によるものと理解しておく必要があります。

第2章 警察への問い合わせで分かること・分からないこと

2-1 収容先や安否を確認できる場合がある

家族が逮捕された可能性がある場合、まず気になるのは「本人がどこにいるのか」という点です。警察から家族に連絡が入っていれば、まずは連絡元の警察署に本人が収容されているかを確認することになります。
その場合は、警察署の代表番号に電話し、留置係などに取り次いでもらうことで、面会や差し入れの可否を確認できることがあります。
警察へ問い合わせる際には、次の情報を整理しておくとよいでしょう。

・本人の氏名
・本人の生年月日
・本人との関係
・警察から連絡があった日時
・心当たりのある事件や場所
・本人の住所や勤務先

ただし、電話では本人確認が難しいため、警察が詳細を教えてくれないこともあります。
実際に警察署へ行き、身分証明書を提示することで、収容の有無や差し入れの可否などを教えてもらえる場合もあります。
もっとも、警察から得られる情報には限界があります。
警察に問い合わせれば事件の全体像が分かる、というわけではありません。

2-2 事件の詳しい内容や本人の言い分は教えてもらえない

警察への問い合わせで、家族が最も知りたいのは、「本人は何をしたと疑われているのか」「本人は認めているのか、否認しているのか」「今後どうなるのか」という点だと思います。
しかし、警察が家族に対して、事件の詳細や取調べの内容、本人の供述内容を詳しく説明することは通常ありません。
たとえば、次のような情報は、家族であっても教えてもらえないことが多いです。

・具体的な事件内容
・被害者の氏名や連絡先
・本人が容疑を認めているかどうか
・取調べで何を話しているか
・証拠がどの程度あるか
・今後、勾留されるかどうか
・起訴・不起訴の見込み

これは、捜査の秘密を守る必要があるためです。
また、家族を通じて関係者に情報が伝わり、証拠隠滅や口裏合わせにつながることを防ぐ
目的もあります。「家族なのに教えてもらえないのか」と感じるかもしれません。
しかし、刑事事件では、家族であっても捜査情報を自由に知ることはできません。
そのため、警察への問い合わせだけで本人の状況を把握しようとすると、どうしても限界があります。

2-3 どこの警察署にいるか分からない場合の確認方法

本人が逮捕されたらしいものの、どこの警察署にいるか分からないというケースもあります。
この場合は、まず次のような警察署に問い合わせることが考えられます。

・本人の住所地を管轄する警察署
・事件が起きたと思われる場所を管轄する警察署
・本人の勤務先や学校の近くの警察署
・警察から着信があった番号の警察署

問い合わせる際には、「家族の〇〇と連絡がとれず、逮捕された可能性があるため、
収容の有無を確認したい」と丁寧に伝えるとよいでしょう。
ただし、警察署によって対応は異なります。電話で収容の有無を明確に教えてもらえないこともありますし、個人情報や捜査上の理由から回答を控えられる場合もあります。
このようなときも、弁護士に相談することで、収容先の確認や今後の対応について助言を受けられる可能性があります。

第3章 逮捕後に本人の状況を確認するには弁護士の接見が重要

3-1 弁護士であれば接見禁止中でも本人と会える場合がある

逮捕されて本人と連絡がとれない場合、状況を確認するために重要になるのが、弁護士による接見です。
接見とは、弁護士が逮捕・勾留されている本人と面会し、事件の内容や本人の状況を確認することをいいます。
刑事事件では、弁護人または弁護人になろうとする弁護士は、原則として、立会人なく本人と面会し、書類や物の授受をすることが認められています。接見禁止が付いている場合でも、弁護士との接見は通常、家族との面会とは別に扱われます。
そのため、家族が会えない状況でも、弁護士であれば本人と接見し、状況を確認できる場合があります。
ただし、弁護士の接見についても、捜査の必要性から日時や場所などが調整されることはあります。

3-2 本人の状況や家族への伝言を確認できる

弁護士が接見を行うことで、家族が知りたい情報を一定程度確認できる可能性があります。
たとえば、弁護士は本人から次のような内容を聞き取ります。

・本人の健康状態
・逮捕された経緯
・容疑を認めているか、否認しているか
・取調べでどのような対応をしているか
・家族に伝えたいこと
・職場や学校に連絡してほしいこと
・差し入れてほしい物
・今後の弁護方針に関する希望

家族にとっては、「本人が無事なのか」「何を考えているのか」「家族に何を求めているのか」が分からない時間が一番つらいものです。
弁護士が接見して、「本人は落ち着いて話せていました」「体調に大きな問題はなさそうです」「家族にこのように伝えてほしいと言っていました」と報告できれば、ご家族の不安は大きく軽減されます。
もちろん、弁護士には守秘義務があるため、本人が家族に伝えないでほしいと話した内容まで無断で伝えることはできません。しかし、本人の了解を得た範囲で、家族に必要な情報を共有することは可能です。

3-3 取調べへの対応を早い段階で助言できる

弁護士の接見が重要なのは、家族への情報共有だけではありません。
逮捕直後の本人は、強い不安と緊張の中で取調べを受けることになります。何を話してよいのか、黙っていてよいのか、調書に署名してよいのか分からないまま、捜査機関の質問に答えてしまうこともあります。
特に注意が必要なのは、供述調書です。
供述調書とは、取調べで話した内容を警察官や検察官が書面にまとめたものです。
内容を十分に確認しないまま署名・押印してしまうと、後から「本当はそういう意味で言ったわけではない」と主張することが難しくなることがあります。
弁護士は、接見の場で次のような助言を行います。

・黙秘権を使うべきかどうか
・供述調書を確認する際の注意点
・分からないことを無理に認めないこと
・事実と違う内容には署名しないこと
・取調べで不当な誘導があった場合の対応
・今後の見通しと防御方針

逮捕直後の対応は、その後の処分や裁判に影響することがあります。
だからこそ、できるだけ早い段階で弁護士が本人と接見し、適切な助言をすることが大切です。

第4章 家族が本人のためにできる具体的な対応

4-1 現金や衣類などの差し入れを準備する

本人と直接連絡がとれなくても、家族ができる支援はあります。その一つが差し入れです。
留置場での生活は制限が多く、本人にとって精神的にも身体的にも負担が大きいものです。家族から必要な物が差し入れられることは、本人にとって大きな支えになります。
差し入れとして検討されることが多いものは、現金、衣類、眼鏡、書籍などです。
現金は、本人が留置場内で日用品などを購入するときに必要になるため、差し入れができると本人も役立ちます。
衣類については、警察署によって受け入れ基準が異なりますが、紐付きのパーカーやズボン、金具の多い服、フード付きの服などは受け取ってもらえないことがあります。
自傷防止などの観点から制限されるためです。
差し入れに行く前には、必ず警察署の留置係に連絡し、差し入れ可能な物、受付時間、必要な身分証明書などを確認しておきましょう。

4-2 職場や学校への連絡は慎重に行う

逮捕によって本人が仕事や学校を休むことになった場合、職場や学校への連絡をどうするかは非常に悩ましい問題です。
何も連絡しないまま無断欠勤・無断欠席が続けば、本人の社会生活に大きな影響が出る可能性があります。一方で、逮捕された事実を不用意に伝えてしまうと、職場や学校での立場が急速に悪化することもあります。実務上は、逮捕直後の段階では、まず詳細を伏せた形で欠勤・欠席の連絡をすることがあります。
たとえば、次のような表現が考えられます。

・体調不良のため、数日間お休みをいただきます。
・一身上の都合により、しばらく出勤が難しい状況です。
・詳細が分かり次第、改めてご連絡いたします。

ただし、勤務先との関係、本人の職種、事件の内容、報道の可能性などによって、適切な対応は変わります。
特に、勤務先に対してどこまで説明するかは慎重に判断する必要があります。
弁護士に相談し、今後の身柄拘束の見通しを踏まえて、説明内容を検討することが望ましいです。

4-3 証拠隠滅を疑われる行動は避ける

家族が本人を心配するあまり、善意で動いたことが、結果的に本人に不利益を及ぼすことがあります。
特に避けるべきなのは、証拠隠滅を疑われる行動です。
たとえば、本人のスマートフォンやパソコンを勝手に操作する、メッセージや写真を削除する、関係者に連絡して口裏合わせのように受け取られるやり取りをする、被害者に直接連絡するなどの行動は危険です。
家族としては、「本人のために何かしたい」という気持ちから動いているかもしれません。しかし、捜査機関から見れば、証拠隠滅や関係者への働きかけと評価される可能性があります。その結果、接見禁止が付いたり、勾留が長引いたり、本人の立場が悪くなったりするおそれがあります。
被害者への謝罪や弁償についても、家族が直接行うのではなく、弁護士を通じて慎重に進めるべきです。被害者側が不安や怒りを感じている段階で不用意に接触すると、かえってトラブルが大きくなることがあります。

第5章 早期釈放や処分軽減のために弁護士ができること

5-1 勾留を避けるための活動を早期に行う

逮捕された本人のために弁護士が行う重要な活動の一つが、勾留を避けるための働きかけです。
勾留とは、逮捕後も引き続き身体拘束を続ける手続です。勾留が認められると、原則10日間、さらに延長されると最大でさらに10日間、身体拘束が続く可能性があります。
長期間仕事や学校を休むことになれば、本人の社会生活への影響は大きくなります。
家族の生活にも負担が生じます。
弁護士は、検察官や裁判官に対して、次のような事情を主張し、勾留を避けるための活動を行います。

・本人に逃亡のおそれが小さいこと
・住所や勤務先が安定していること
・家族が身元を引き受ける意思を持っていること
・証拠隠滅のおそれが小さいこと
・被害者や関係者に接触しない体制を整えていること
・本人が取調べに応じる意思を示していること

勾留を避けられれば、本人は早期に釈放され、在宅事件として捜査が進む可能性があります。
もっとも、すべての事件で勾留を避けられるわけではありません。
事件の内容、証拠関係、本人の生活状況、前科前歴の有無などによって判断は変わります。
それでも、逮捕直後に弁護士が動くことで、早期釈放の可能性を高めるための準備ができます。

5-2 家族が身元引受人として協力する

早期釈放を目指すうえで、家族の協力が重要になることがあります。
特に、家族が身元引受人となり、本人を監督する意思を示すことは、逃亡や証拠隠滅のおそれが小さいことを説明するうえで有利な事情になる場合があります。
身元引受人とは、本人が釈放された後、生活状況を見守り、必要に応じて本人に注意を促す立場の人です。刑事事件で身元引受人になる場合には、単に「家族だから引き受ける」というだけでなく、具体的にどのように本人を監督するかを整理することが大切です。
たとえば、次のような事情を整理します。

・本人が釈放後にどこで生活するか
・家族と同居するか
・仕事や学校にどう復帰するか
・被害者や関係者に接触しないようどう管理するか
・再発防止のために家族がどのように関わるか
・本人の通院や生活改善が必要な場合にどう支えるか

弁護士は、これらの事情を踏まえて身元引受書などを作成し、裁判官や検察官に提出することがあります。
家族の協力体制が具体的であればあるほど、「釈放後も適切に生活できる」という説明がしやすくなります。

5-3 被害者がいる事件では示談交渉を進める

暴行、傷害、窃盗、痴漢、交通事故など、被害者がいる事件では、示談交渉が重要になることがあります。
示談とは、被害者に謝罪し、被害弁償や慰謝料の支払いなどについて合意することです。
被害者から許しを得られたかどうかは、処分の判断に影響することがあります。
ただし、本人は逮捕されているため、自分で被害者と連絡を取ることはできません。
また、家族が直接被害者に連絡することも、慎重に考える必要があります。
被害者側が連絡を望んでいない場合や、感情的な対立が強い場合、家族からの連絡がかえって負担になることがあります。場合によっては、「圧力をかけられた」と受け取られるおそれもあります。
そのため、示談交渉は弁護士を通じて行うことが望ましいです。弁護士であれば、被害者の意向を尊重しながら、謝罪の意思や被害弁償の提案を冷静に伝えることができます。
示談が成立すれば、早期釈放や不起訴処分に向けた事情として考慮される可能性があります。
ただし、示談が成立すれば必ず不起訴になる、必ず釈放されるとまではいえません。
事件の内容や証拠関係によって判断は変わります。
だからこそ、過度な期待を持つのではなく、弁護士と相談しながら現実的な見通しを確認することが大切です。

第6章 逮捕されて連絡がとれないときは早めに弁護士へ相談を

家族や大切な人が逮捕され、本人と連絡がとれない状況になると、ご家族は強い不安を抱えることになります。電話がつながらず、警察に問い合わせても詳しい説明を受けられず、面会もできないとなれば、「今、本人に何が起きているのか」と考え続けてしまうのは当然です。
ですが、逮捕直後の対応は、その後の身柄拘束の長さや処分に影響することがあり、ご家族だけで判断しようとすると、どこまで何をしてよいのか分からず、かえって本人に不利益な行動を取ってしまうこともあり得ます。
Nexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)グループでは、刑事事件に関するご相談に対応するとともに、弁護士、社会保険労務士、税理士、司法書士、行政書士などが連携するワンストップ体制により、事件後に生じる生活面・職場面の不安にも幅広く対応できる体制を整えています。那珂川オフィスは、福岡県那珂川市および周辺地域に根ざした法律相談の窓口として、ご家族の不安に寄り添いながら、必要な対応を一つずつ整理してまいります。
逮捕されて本人と連絡がとれないときは、時間が経つほど不安が大きくなります。
状況が分からないまま悩み続けるのではなく、まずは弁護士に相談し、本人の状況を確認することから始めてください。
専門的な対応が必要な場合は、私たちNexill&Partnersグループへお気軽にご相談ください。

 

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2026.04.28

共同親権で何が変わる?法改正で見直された親権・養育費・親子交流のポイントを弁護士がわかりやすく解説


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共同親権で何が変わる?法改正で見直された親権・養育費・親子交流のポイントを弁護士がわかりやすく解説

 

2026年4月1日より、離婚後の親権について、従来の単独親権に加えて共同親権を選択できるようになりました。これにより、「共同親権で何が変わるのか」「自分のケースにどう影響するのか」といった点が気になっている方も多いのではないでしょうか。本記事では、法改正によって見直された制度のポイントを整理し、離婚時に押さえておきたい点を弁護士がわかりやすく解説します。

第1章 共同親権で何が変わるのか

1-1 離婚後の親権は「共同」か「単独」かを選べるようになった

これまでの日本の法律では、父母が離婚した場合には、どちらか一方のみを親権者とする「単独親権」しか認められていませんでした。
しかし、2026年(令和8年)4月1日より施行された改正民法により、離婚後の親権について、父母双方が親権を持つ「共同親権」を選択することも可能になりました。
親権とは、未成年の子どもを養育・保護し、その財産を管理する権利と義務の総称です。これまでは、離婚した場合、どちら一方の親が親権を諦めなければなりませんでしたが、改正後は、離婚後も父母が協力して子どもの成長を支えていける選択肢が加わりました。

1-2 共同親権と単独親権のどちらになるかは父母の協議または家庭裁判所の判断で決まる

共同親権にするか、あるいはどちらか一方の単独親権にするかは、まずは父母の話し合い(協議)によって決めます。もし話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が子どもの利益を最優先に考えて、どちらの形式が適切かを判断することになります。
裁判所が判断を下す際は、これまでの育児の実績や父母それぞれの生活環境、子どもの意向などが総合的に考慮されます。

1-3 一定の場合には単独親権が選ばれる

共同親権が選択肢に加わったとはいえ、どんなケースでも共同親権が認められるわけではありません。子どもの心身に危害が及ぶおそれがある場合や、父母が協力して親権を行使することが明らかに困難な場合には、裁判所は単独親権とする方向で判断することになります。
具体的には、一方の親によるDV(ドメスティック・バイオレンス)や子どもへの虐待がある場合です。
また、父母間の対立が極めて激しく、子どもに関する意思決定を共同で行うことが、かえって子どもの利益を害するおそれがあると裁判所が判断した場合も、単独親権を命じられることになります。

第2章 共同親権で何が変わる?① 離婚時に決めるべき事項が増えている

2-1 共同か単独か、親権の形を選ぶ必要がある

法改正によって選択肢が増えたということは、裏を返せば、離婚時に決めなければならない重要な項目が増えたことを意味します。これまで離婚における親権は「どちらが親権者になるか」を争うことが中心でしたが、今後は「そもそも共同親権を目指すべきか、それとも単独親権の方が子どものためになるか」という一段階手前の検討が必要になります。
共同親権は、父母が円滑にコミュニケーションを取れる場合には機能しやすいと考えられますが、そうでない場合には、離婚後にも対立を生じさせる要因となる可能性があります。このような点を踏まえ、まずは自身の状況において、どちらの形態が適切かを見極めることが重要です。

2-2 共同親権の場合は役割分担を整理することが重要になる

共同親権を選択した場合、単に「二人で親権を持つ」という抽象的な合意だけでは不十分です。実務上は、どちらが主に子どもと一緒に暮らすのか(監護者を定めるかどうか)や、重要事項の決定方法をどのように整理するかといったことを具体的に検討しておくことが重要になります。
例えば、進路相談や高額な医療行為が必要になった際、どのような手順で話し合うのか。あるいは、日常的な習い事の選択などはどちらの判断に委ねるのか。
こうした具体的なルールを決めておかないと、共同親権とした場合に、かえって子どもの生活に混乱を招く可能性があります。

2-3 親子交流や養育費についても具体的に決める必要がある

親権のあり方に注目が集まりがちですが、子どもの生活を支える養育費や、親子の関係を維持する親子交流(面会交流)についても、今回の法改正によりルールが見直されています。
共同親権を選択したからといって養育費の支払義務がなくなるわけではなく、また、単独親権であっても親子交流が当然に制限されるものではありません。
こうした前提を踏まえ、経済的な支援と親子交流の双方について、具体的な取り決めを行っておくことが重要になります。

第3章 共同親権で何が変わる?② 親権の行使方法が明確化された

3-1 共同親権では、重要な事項は父母で話し合って決める

共同親権のもとでは、親権は父母が共同して行使することが原則とされています。そのうえで、子どもの進学や転居など、重要な事項については、父母が協議のうえで決定することになります。
重要な事項の代表例としては、以下のようなものが挙げられます。

・高校や大学への進学、転校などの教育に関する決定
・手術や長期の入院を伴う治療方針などの医療に関する決定
・居住地の指定や変更(引っ越し)

これらは子どもの生活に大きな影響を与えるため、離婚後も父母が意見をすり合わせ、合意形成を図る努力が求められます。

3-2 日常のことや緊急時は単独で判断できる場面もある

子どもについてすべての物事を二人で決めなければならないとすると、日常生活に支障が生じるおそれがあります。そのため、改正法では、親権は父母が共同して行使することを原則としつつも、一定の場合には一方の親が単独で判断できる場面があることが明確にされています。
具体的には、食事や通学、習い事の選択など日々の生活における監護や教育に関する事項については、日常の監護教育に関する行為として単独で判断することができます。
また、子どもの生命や身体に関わるような緊急の医療対応や、DVなどからの避難といった急迫の事情がある場合にも、相手の同意を待たずに判断することが認められています。

3-3 意見が対立した場合は家庭裁判所の関与も想定される

重要な事項について父母の意見がどうしても一致しない場合、そのままでは子どもの生活に支障が生じるおそれがあります。このような場合には、家庭裁判所に対して申し立てを行い、特定の事項についてどちらの親が親権を行使するかを定めることができます。
裁判所は、父母それぞれの状況や子どもの利益を踏まえたうえで、個別の事情に応じて判断を行います。ただし、こうした手続きは時間や労力がかかることも少なくありません。こうした点を踏まえ、できる限り協議の段階で、意見が対立した場合の対応方法(例えば第三者を介した話し合いの利用など)についても整理しておくことが、実務上は有効といえます。

第4章 共同親権で何が変わる?③ 養育費のルールが強化されている

4-1 養育費の支払を確保する仕組みが強化された

共同親権が選択できるようになったとしても、子どもの生活を支えるための養育費の支払義務がなくなるわけではありません。親権の形にかかわらず、父母はそれぞれ子どもを扶養する責務を負うことになります。
これまで養育費については、取り決めをしても実際に支払われないという問題が指摘されてきました。今回の改正では、こうした問題に対応するため、養育費の支払を確保する仕組みが見直されており、その一つとして、養育費債権に「先取特権(さきどりとっけん)」と呼ばれる優先権が付与されることとなりました。
従来は差押えを行うために公正証書や調停調書などの債務名義が必要とされていましたが、今回の改正により、父母間で作成した文書(離婚協議書や養育費に関する合意書など)に基づいて差押えの手続を進めることができるようになります。

4-2 養育費の金額が決まる前でも暫定的に一定額を請求できる制度が新設された

共同親権を選択した場合であっても、養育費について事前に十分な取り決めがされていないケースは少なくありません。
これまでは、離婚時に養育費の取り決めをしていない場合、改めて調停などを申し立てて金額を決める必要があり、その間は養育費を受け取れない状態が生じることがありました。
今回の改正では「法定養育費」という制度が新設されました。これは、事前に取り決めがない場合であっても、離婚のときから引き続き子供の監護を主としている側の親が、もう一方の親に対して暫定的に一定額の養育費を請求できる仕組みです。
具体的には、子ども1人あたり月額2万円の養育費を請求することができ、この請求は離婚時から発生し、当事者間で養育費の取り決めが成立するか、家庭裁判所の審判が確定するまで継続します。
この制度はあくまで暫定的なものであり、最終的には収入などを踏まえた適切な金額を別途定める必要がありますが、離婚直後の生活を支える最低限の仕組みとして位置付けられています。

4-3 相手の収入が分からない場合の手続も整備された

共同親権のもとでは、父母双方が関わりながら子どもの養育を行うことになりますが、その前提として、養育費の金額を適切に定めることが重要になります。その際に問題となりやすいのが、相手方の収入状況が分からないという点です。
今回の改正では、こうした問題に対応するため、家庭裁判所が当事者に対して収入情報の開示を求めることができる仕組みが整備されています。
これにより、相手の収入状況が明らかでない場合であっても、一定の範囲で情報を把握したうえで、より適切に金額を決めていくことが可能になります。

第5章 共同親権で何が変わる?④ 親子交流(面会)の考え方が整理された

5-1 親子交流は子の利益を最優先に定められる

共同親権を選択した場合には、離婚後も父母双方が子どもと関わることになりますが、親子交流の在り方については、親権の形にかかわらず、子どもの利益を最優先に判断される点は変わりません。
改正法では、親子交流について「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記されており、別居している親の意向だけでなく、子どもが健全に成長していくためにどのような関わり方が望ましいかという観点から検討されることになります。
したがって、単に会う回数を決めるだけでなく、子どもの体調や学校行事、精神的な負担を十分に考慮したスケジュールを組むことが重要になります。

5-2 祖父母などとの交流についても制度が整備された

共同親権のもとでは、父母双方が子どもに関わる形になりますが、それに加えて、父母以外の親族(祖父母など)との関係についても問題となる場面があります。
今回の改正では、一定の場合に家庭裁判所が関与し、祖父母などと子どもとの交流について判断できる仕組みが設けられています。
これにより、父母の離婚後であっても、子どもの利益の観点から必要と認められる場合には、祖父母などとの交流を継続することができる可能性があります。

第6章 親の関係性によって裁判所の共同親権・単独親権の判断はどう変わるか

6-1 協議ができる関係かどうかが大きな判断要素になる

共同親権が適切に機能するかどうかは、父母間で一定の意思疎通が可能な関係にあるかどうかに大きく左右されます。
形式的に共同親権を選択したとしても、連絡が取れない状況が続いたり、意思決定のたびに対立が生じたりする場合には、子どもの生活に影響が及ぶおそれがあります。
このような事情を踏まえ、裁判所は、父母が協力して親権を行使することができる状態にあるかどうかを踏まえて判断を行います。父母間で建設的な話し合いが可能な関係にある場合には共同親権が検討されますが、そうでない場合には単独親権が相当と判断されることもあります。

6-2 共同での意思決定が難しい場合は単独親権が選ばれることがある

すでに別居期間が長く交流がほとんどない場合や、価値観の相違が大きく、教育方針などについて継続的な協議が困難と考えられる場合には、共同親権とした場合に意思決定が円滑に進まないおそれがあります。
このような状況では、重要な事項について判断が滞ることを避けるため、裁判所は父母の関係性や子どもの利益を踏まえたうえで、単独親権とすることを含めて検討することになります。
自身のケースにおいて、共同親権のもとで適切に意思決定ができる状況にあるかどうかについては、個別の事情を踏まえた検討が重要になります。

第7章 共同親権に関して誤解されやすいポイント

7-1 共同親権が原則になるわけではない

ニュースなどの見出しで「共同親権導入」と大きく報じられたため、これからは離婚したら必ず共同親権になるといった誤解をされているケースも多いようです。しかし、あくまで今回の改正は「共同親権という選択肢が増えた」のであり、原則としてどちらかに決まったわけではありません。単独親権が適切なケースでは引き続き単独親権が採用されます。
制度としては、個別の事情に応じて適切な親権のあり方を選択できるようにするものとされています。

7-2 自動的に共同親権に切り替わるわけではない

すでに離婚して単独親権となっている方が、法改正によって「自動的に共同親権になる」ということもありません。
既に離婚している場合でも、法改正後に改めて家庭裁判所に申し立てを行い、親権者の変更が認められれば共同親権に移行することは可能です。ただし、そのためには、現在の監護状況や子どもの意向などを踏まえ、変更することが子どもの利益にかなうことを個別に証明する必要があります。

既に離婚している場合の共同親権については以下の記事で詳細を確認いただけます。

共同親権はすでに離婚している場合でも関係ある?元配偶者から共同親権を求められた場合や単独親権を維持したい場合のポイントを弁護士が解説

第8章 弁護士に相談すべきタイミングとポイント

共同親権という選択肢が広がったことで、離婚時に検討すべき事項は従来よりも増えています。もっとも、制度の内容を理解するだけでは足りず、実際の状況に当てはめてどのように判断すべきか、またどのような取り決めを行うべきかについて迷う場面も少なくありません。このような場面では、法的な観点から状況を整理し、どのように進めるべきかを考えるうえで、弁護士が一つの支えとなります。ここでは、共同親権に関する判断や取り決めにおいて、弁護士に相談することが有効となる代表的な場面を整理します。

8-1 親権の方針について相手と意見が対立している場合

例えば、単独親権を希望しているにもかかわらず相手が共同親権を主張している場合や、反対に、共同親権を希望しているのに相手が単独親権を主張している場合には、早い段階で弁護士に相談することが有効といえます。
親権の判断は、これまでの監護状況だけでなく、父母の関係性や将来の意思決定の在り方なども踏まえて行われます。当事者同士の主張が食い違ったままでは、何を基準に判断されるのかが分からず、議論がかみ合わないまま長期化することも少なくありません。
弁護士に相談することで、どのような事情が重視されるのかを踏まえて主張を整理し、適切な形で対応を進めていくことができます。

8-2 共同親権にした場合の運用に不安がある場合

共同親権を選択する場合には、その後の運用が現実的に可能かどうかを事前に検討しておくことが重要になります。例えば、日常的に連絡が取れる関係にあるか、重要な意思決定について話し合いができるかといった点は、意思決定や子どもの養育環境に大きく影響します。
こうした点に不安がある場合には、どのような取り決めをしておくべきか、また共同親権以外の選択肢も含めて検討する必要があるかについて、弁護士の助言を受けることで判断の精度を高めることができます。

8-3 共同親権を前提とした取り決めが不十分なまま進みそうな場合

共同親権は、離婚後も父母の双方が関与して意思決定を行うことを前提とした制度です。例えば、進学や転居といった重要な事項についてどのように判断するのか、意見が対立した場合にどのように調整するのかといった点が曖昧なままでは、離婚後、共同親権とした場合に意思決定が滞るおそれがあります。
そのため、共同親権を前提とするのであれば、将来の生活を見据えて、どのような取り決めが必要になるのかを事前に整理しておくことが重要になります。
こうした点について不安がある場合には、弁護士の助言を受けながら具体的な内容を詰めていくことが有効です。

第9章 共同親権で後悔しないために

共同親権という選択肢が増えることで、離婚後も父母が協力して子どもを育てる道が開かれました。しかし一方では、取り決めの不備や関係性の悪化が、かえって子どもの生活を不安定にするリスクもあります。
大切なのは、子どもの健やかな成長のために、親として取れる最善の形は何かを真摯に検討することです。共同親権と単独親権、それぞれのメリットとデメリットを正しく理解し、養育費や親子交流といった実務的なルールを盤石に整えることが、後悔しない離婚への鍵となります。
私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスは、お一人おひとりの状況に寄り添いながら最適な解決策をご提案いたします。これからのお子さまの未来を守るために、少しでも不安を感じられたら、ぜひお気軽に私たちへご相談ください。

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