弁護士コラム

2026.06.03

別居中の不貞行為で慰謝料は請求できる?離婚時への影響と婚姻関係の破綻について弁護士が解説


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別居中の不貞行為で慰謝料は請求できる?離婚時への影響と婚姻関係の破綻について弁護士が解説

 

別居中の配偶者に不貞行為があった場合、「別居していたから慰謝料は取れないのでは」と思うかもしれません。しかし、別居中であっても、不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していなければ、慰謝料請求を検討できる可能性があります。本記事では、別居中の不貞行為が離婚や慰謝料にどう影響するのかを弁護士が解説します。

第1章 別居中に不貞された場合でも、慰謝料請求は可能

1-1 別居中だからといって不貞慰謝料が当然に否定されるわけではない

別居中であっても、法律上の婚姻関係が続いている以上、不貞行為に対する慰謝料請求は可能です。
もっとも、別居中の不貞行為では、通常の同居中の不貞と比べて、「その時点で夫婦関係がどうなっていたのか」が争点になりやすいです。単に別居していたというだけで慰謝料請求が否定されるわけではありませんが、反対に、別居中であっても必ず慰謝料が認められるともいえません。

1-2 離婚時に影響するのは主に慰謝料と離婚原因の場面

別居中の不貞行為が離婚に影響する場面としては、主に次の3つが考えられます。

・配偶者に対する慰謝料請求
・不貞相手に対する慰謝料請求
・不貞をした側から離婚を求められた場合の対応

たとえば、別居後であっても、不貞行為によって夫婦関係が決定的に悪化し、離婚に至ったといえる場合には、配偶者に対して慰謝料請求を検討することがあります。また、不貞相手が、相手に配偶者がいることを知っていた、または通常であれば知ることができたといえる場合には、不貞相手に対する慰謝料請求も問題になります。
さらに、不貞をした配偶者の側から離婚を求められた場合には、夫婦関係を壊した側からの離婚請求ではないかという形で争点になることもあります。

1-3 財産分与・親権・養育費とは分けて考える必要がある

別居中の不貞行為があったからといって、離婚条件のすべてが当然に有利になるわけではありません。
特に、財産分与、親権、養育費は、不貞慰謝料とは判断の枠組みが異なります。財産分与は、基本的には夫婦が婚姻中に築いた財産を清算する制度です。不貞をされた側だから財産分与が大きく増える、不貞をした側だから当然に財産分与を受けられない、という関係ではありません。
親権についても、不貞行為をしたことだけで直ちに親権者として不適格と判断されるわけではありません。子どもの監護実績、生活環境、子どもの意思、今後の養育体制など、子どもの利益を中心に判断されます。
そのため、別居中の不貞行為をめぐる問題では、慰謝料の問題と、財産分与・親権・養育費の問題をそれぞれ分けて整理することが大切です。

第2章 別居中の不貞では、「不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していたか」が重要になる

2-1 不貞行為の時点で夫婦関係が続いていれば、慰謝料請求の対象になり得る

別居中の不貞行為で慰謝料請求を検討する場合、最も重要なのは、不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していたかどうかです。
ここでいう破綻とは、夫婦としての共同生活を回復する見込みがなく、実質的に婚姻関係が終わっていると評価できる状態を指します。
別居はしているものの普段の生活費や子供のことについて日々連絡を取り合っている、同居再開について話し合いをしていたなどの場合は、婚姻関係が完全に破綻しているわけではないとして不貞に対する慰謝料請求を検討できるといえます。

2-2 不貞行為の時点ですでに婚姻関係が破綻していた場合、慰謝料請求は難しくなる

一方で、不貞行為の時点ですでに婚姻関係が破綻していたと判断される場合には、慰謝料請求が難しくなることがあります。特に不貞相手への慰謝料請求では、不貞行為の時点で夫婦関係がすでに破綻していたかどうかが重要な争点になります。
なお、夫婦関係の破綻の有無については、別居の期間や理由、日々の夫婦間のやり取りやお子さんとの関わりなどから総合的に判断されるため、相手が「破綻していた」と言っていることだけを理由に夫婦関係が破綻しているといえるわけではないです。

2-3 不貞がいつ始まったかも慰謝料請求に関係します

別居中の不貞行為に対する慰謝料請求では、不貞関係がいつから始まっていたのかも重要です。
たとえば、別居前から不貞関係があり、それが原因で別居に至った場合と、長期間の別居が続き離婚協議も進んでいる最中で不貞が始まった場合とでは慰謝料請求の見通しや金額が変わってきます。

第3章 婚姻関係が破綻していたかを判断するときに見られやすい事情

3-1 別居期間がどのくらい続いていたか

婚姻関係の破綻を判断する際、別居期間は重要な事情の一つです。
一般的には、長期間別居している場合、夫婦としての共同生活が失われていたと評価される方向に働きやすくなります。特に、何年も別居が続き、生活も完全に別々で、離婚に向けた話し合いも進んでいたような場合には、婚姻関係が破綻していたと主張されやすいでしょう。
一方で、別居期間が短い場合や、冷却期間として一時的に別居していたような場合には、別居していたというだけで破綻と評価するのは早いことがあります。

3-2 離婚協議や離婚調停がどこまで進んでいたか

離婚協議や離婚調停の進行状況も、婚姻関係が破綻していたかを判断するうえで重要です。
すでに離婚条件について具体的に話し合っていた、離婚届の提出を前提に財産分与や親権について協議していた、離婚調停が申し立てられていたといった事情があれば、夫婦関係が相当程度悪化していたことを示す事情になります。
もっとも、一方が離婚したいと言っていただけで、他方は離婚を拒否していたという場合には、直ちに婚姻関係が破綻していたとはいえません。夫婦の一方が離婚を希望していたとしても、他方が関係修復を望んでいた場合や、実際には離婚条件の話し合いが進んでいなかった場合には、破綻の有無を慎重に見る必要があります。

3-3 夫婦間の連絡や生活上のつながりが残っていたか

別居中であっても、夫婦間に生活上のつながりが残っているかどうかというのも重要なポイントです。
たとえば、次のような事情です。

・生活費のやり取りが続いていた
・子どもの行事や進学について相談していた
・将来の生活について話し合っていた
・同居再開について連絡を取っていた
・家族として会う機会が残っていた

一時的に別居はしていたものの、夫婦としての関係修復を前提とした連絡があった場合や、お互いの生活を完全に切り離していないような場合には、婚姻関係が完全には破綻していなかったということを主張できる材料になり得ます。

3-4 不貞が別居や離婚の原因になったか

不貞行為が、別居や離婚の原因になったかどうかも重要です。
たとえば、不貞行為が発覚したことで夫婦関係が悪化し、別居に至った場合には、不貞が婚姻関係を壊したという主張がしやすくなります。また、もともと夫婦仲に問題があったとしても、不貞行為が決定打となって離婚を決意した場合には、慰謝料請求の余地があります。
反対に、不貞行為より前から夫婦関係が実質的に終わっており、別居も長期間続き、双方が離婚を前提に生活していた場合には、不貞行為と離婚との関係が薄いと判断される可能性があります。

第4章 別居中の不貞で慰謝料請求できる相手

4-1 不貞をした配偶者に対する慰謝料請求

別居中の不貞行為について、まず検討するのは、不貞をした配偶者に対する慰謝料請求です。
配偶者に対する慰謝料請求では、不貞行為そのものによる精神的苦痛や、不貞行為によって婚姻関係が破綻し、離婚に至ったことによる精神的苦痛が問題になります。
離婚協議の中では、財産分与、親権、養育費、婚姻費用などとあわせて、慰謝料の有無や金額を話し合うことが多いです。ただし、財産分与と慰謝料は性質が異なるため、相手から「財産分与で多めに渡すから慰謝料はなしにしてほしい」と言われた場合には、その内容が本当に妥当かを慎重に確認する必要があります。

4-2 不貞相手に対する慰謝料請求

不貞相手が、相手に配偶者がいることを知っていたもしくは通常であれば知ることができたといえる場合は、配偶者だけでなく、不貞相手に対しても、慰謝料請求を検討できます。
なお、不貞相手に慰謝料を請求する場合には、「不貞行為そのものを理由とする慰謝料」と「不貞を理由に離婚したこと自体を理由とする慰謝料」を混同しないこともポイントになり、不貞行為そのものを理由とする慰謝料請求だけでなく、離婚したこと自体についてまで責任を問えるかは別問題となります。

4-3 配偶者と不貞相手の両方に請求する場合の注意点

配偶者と不貞相手の両方に慰謝料請求を行うこともできますが、同じ精神的損害について二重取りができるわけではありません。たとえば、配偶者から相当額の慰謝料を受け取った場合には、不貞相手に対して請求できる慰謝料の金額が調整される可能性があります。
また、配偶者と不貞相手の両方に請求できる可能性がある場合、どちらに先に請求するかという点も検討が必要です。

離婚条件を優先するなら配偶者との協議を先に検討する

たとえば、離婚の成立や条件の話し合いを優先したい場合には、まず配偶者との間で、慰謝料、財産分与、親権、養育費などをまとめて協議した方が進めやすいことがあります。不貞相手への請求を先に行うことで、配偶者との対立が強まり、離婚協議全体がこじれる可能性があるためです。

不貞の証拠や交際開始時期を重視するなら不貞相手への請求を先に検討する

一方で、不貞相手に対する請求を早めに検討した方がよいケースもあります。たとえば、配偶者と不貞相手が口裏を合わせるおそれがある場合、時間の経過によってLINEやSNSの投稿などの証拠が消えてしまうおそれがある場合、不貞相手への請求や交渉を通じて、不貞の事実や交際開始時期を明らかにしたい場合などです。

第5章 別居中の不貞で慰謝料請求を検討する場合に重要な証拠

5-1 不貞行為があったことを示す証拠が必要

別居中の不貞慰謝料を請求する場合でも、まずは不貞行為があったことを示す証拠が必要です。
単に親しくしている証拠だけでなく、肉体関係を推認できる証拠があるかが重要になります。
たとえば、ラブホテルに出入りしている写真や動画、不貞相手の自宅に宿泊していることが分かる資料、肉体関係をうかがわせるメールやSNSのやり取りなどが証拠になり得ます。
特に、別居中に配偶者が不貞相手と同棲している場合、その事実は不貞行為を推認させる重要な事情になります。

5-2 不貞関係が始まった時期を示す証拠

別居中の不貞慰謝料では、不貞行為そのものの証拠だけでなく、それがいつ始まったのかを示す証拠も重要となります。
まずは、次のような資料がないかを確認します。

・宿泊や同棲が始まった時期が特定できるやり取りや写真
・プレゼントや旅行などの写真
・不貞関係の開始時期をうかがわせるSNS投稿
・知人や関係者からの情報

直接的な証拠がなくても、複数の事情を組み合わせることで、別居前から関係が続いていたと推認できる場合があります。

5-3 不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していなかったことを示す証拠

別居中の不貞行為では、その時点で婚姻関係が破綻していなかったことも重要です。
たとえば、次のような資料がある場合には、夫婦関係が完全には終わっていなかったことを示す事情になり得ます。

・日常的なLINEやメールのやりとり
・生活費等の支払記録
・家族で会っていた写真や予定表
・別居が一時的なものであることを示すやり取り
・離婚ではなく関係修復を前提にした話し合いの記録

特に、別居直後の不貞や、別居理由そのものが不貞に関係している場合には、早めに証拠を整理しておくことが重要です。

第6章 別居中の不貞慰謝料に関するよくある質問

Q1. 別居中に相手が不貞相手と同棲している場合、慰謝料は増えますか?

A1. 増額事情になる可能性があります

相手が不貞相手と同棲している場合、その関係が一時的なものではなく、継続的・安定的な関係であることを示す事情になり得ます。また、不貞相手との同棲によって、夫婦関係の修復がさらに難しくなったといえる場合には、慰謝料額の判断で考慮される可能性があります。
ただし、慰謝料額は婚姻期間や別居の経緯など、さまざまな事情を総合的にみて判断されるため、同棲しているから必ず慰謝料が大きく増える、というわけではありません。

Q2. 別居後に初めて不貞関係が始まった場合でも、慰謝料は取れますか?

A2. 請求できる余地はあります

別居後に不貞関係が始まった場合でも、不貞関係が始まった時点で婚姻関係が破綻していなかったといえるのであれば、慰謝料請求を検討できる可能性があります。たとえば、冷却期間として別居していた、復縁に向けて話し合っていた、生活費や子どものことで夫婦としての連絡が続いていた、といった事情がある場合、別居後に始まった不貞関係が夫婦の修復を難しくさせたと判断され、慰謝料請求の対象になる可能性があります。

Q3. 離婚せず別居を続ける場合も、不貞慰謝料は請求できますか?

A3. 請求できる場合があります

離婚しない場合でも、不貞行為によって精神的苦痛を受けたとして、慰謝料請求を検討できることがあります。もっとも、離婚せずに別居を続ける場合や、将来的に同居再開・関係修復を考えている場合には、慰謝料請求の進め方に注意が必要です。不貞相手に請求することで、配偶者との関係がさらに悪化したり、別居解消に向けた話し合いが難しくなったりすることがあるためです。
また、離婚に至った場合と比べると、慰謝料額は低く評価される傾向があります。離婚しない場合の慰謝料請求では、法的に請求できるかだけでなく、今後も別居を続けるのか、同居再開を目指すのか、最終的には離婚も視野に入れるのかを整理したうえで判断する必要があります。

第7章 別居中の不貞で悩んだら、早めに弁護士へ相談することが大切です

別居中に不貞行為があった場合に慰謝料請求ができるかどうかの重要な判断ポイントになるのは、不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していたといえるかどうかです。
特に、相手が夫婦関係はすでに破綻していたと主張している場合は、その言い分だけで判断せず、早めに弁護士に相談することをおすすめします。また、不貞相手と同棲している場合、別居後の証拠しか手元にない場合、離婚条件と慰謝料請求を同時に整理したい場合にも、ケースごとの状況整理や証拠の収集などをふまえたうえで法的な見通しを立てる必要があるため、自己判断だけで進めることは避けた方がよいでしょう。
私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスでは、離婚に関する幅広い相談に対応しています。別居中の不貞行為について、慰謝料を請求できるのか、離婚時にどのような影響があるのか不安がある場合は、早めにご相談ください。

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2026.02.13

籍を入れていない相手の浮気で慰謝料は請求できる?婚約中・同棲中・事実婚の違いと弁護士が教える慰謝料が認められる条件


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籍を入れていない相手の浮気で慰謝料は請求できる?婚約中・同棲中・事実婚の違いと弁護士が教える慰謝料が認められる条件

 

籍を入れていない関係であっても、パートナーに浮気をされたショックは計りきれません。しかし、いざ慰謝料を請求しようと考えたとき「法的な夫婦ではないから無理なのでは」と諦めてしまう方がいます。結論から申し上げると、籍を入れていない場合でも、婚約や事実婚(内縁関係)と認められる状況であれば、法律上の不法行為として慰謝料を請求できる可能性があります。

第1章 籍を入れてない関係でも浮気の慰謝料請求ができる2つのケース

一般的に、単なる交際相手(恋人)の浮気に対しては、法的な慰謝料請求は認められないことが多いです。しかし、法律が「婚姻に準ずる関係」として保護を与えるケースが2つあります。

1-1 法的に「婚約」が成立していると認められる場合

「婚約」とは、将来、適法な婚姻を成立させようとする当事者間の合意を指します。法律用語では「婚姻予約」とも呼ばれます。婚約が成立している場合、当事者同士には「結婚に向けて誠実に向き合うこと」が求められます。そこに反して、他の異性と不貞行為(肉体関係を伴う浮気)をして婚約が実質的に壊れてしまったような場合は、状況によって、不法行為(民法709条・710条)に基づく慰謝料が認められる可能性があります。
法的に認められる婚約の定義は第2章で詳しく解説します。

1-2 「事実婚(内縁関係)」として共同生活を送っている場合

「事実婚」とは、婚姻届は提出していないものの、当事者間に婚姻の意思があり、かつ、夫婦としての共同生活の実態がある関係を指します。日本の法律では、この事実婚(内縁)を「準婚関係」として、法律婚に準じた保護を与えています。
そのため、法律婚に準じた形で保護されることがあり、パートナーには貞操義務(浮気をしない義務)が生じます。これを破って事実婚関係の平穏を侵害する不貞行為があった場合には、事情により、パートナーや相手方に対して慰謝料請求が認められることがあります。
事実婚が法的に保護される条件については第3章で詳しく解説します。

1-3 単なる恋人同士(交際中)では請求が難しい

一方で、単なる「彼氏・彼女」の関係では、基本的に慰謝料請求は認められません。なぜなら自由な交際においては、別れることも他の人を好きになることも、原則として個人の自由の範囲内とみなされるからです。
たとえ「結婚しようね」と口約束をしていても、それだけでは法的な婚約とは認められにくいのが現実です。また、同棲していても、それが将来の結婚を見据えたものではなく、利便性や楽しみのための共同生活であれば、事実婚としての保護は受けられません。
慰謝料請求の可否は、関係が「法的に保護されるべき段階」に達していたかどうかが最大の分かれ目となります。

第2章 「婚約中」とみなされるために必要な具体的な基準とは

慰謝料を請求するためには、まず「婚約していた事実」を記録として残る事情で証明する必要があります。裁判所は、単なる主観的な思い込みではなく、外から見て「明らかに結婚する予定だった」と言える状況があるかを重視します。

2-1 プロポーズの承諾や婚約指輪の授受があるか

最も分かりやすいのは、プロポーズがあり、それを承諾したという事実です。
プロポーズの様子を記録した動画や写真、あるいは「結婚してください」「はい」といったやり取りが明確に残っているLINEやメールの履歴も有力な手がかりとなります。また、婚約指輪を購入した際の領収書や、実際に指輪を贈られた事実、さらにはお互いにペアリングを「婚約の証」として購入した背景があれば、それも重要な補強材料になります。
ただし、単なるプレゼントとしての指輪ではなく、それが「婚姻の約束」と密接に関わっていることを示す要素が重要です。具体的には、指輪を渡す際のメッセージカードや、その後の親への報告といった一連の流れが伴っていることで、法的な「婚約」としての保護を受けやすくなります。

2-2 親族への紹介や結婚式場の予約など準備状況

当事者間だけの約束以上に重視されるのが、社会的な準備が進んでいたかどうかです。例えば、以下のようなものです。

親族への挨拶

お互いの両親に「結婚します」と報告し、結納を行ったり、顔合わせの食事会を開いたりしている場合。

結婚式の準備

結婚式場の予約、内金(予約金)の支払い、招待客のリスト作成、ウェディングドレスの試着など。

新生活の準備

結婚後に住むためのマンションの賃貸契約や購入、引越し業者の手配。
これらは「結婚に向けて引き返せない段階」に入っていることを示すため、婚約成立を裏付ける強い要素となります。

2-3 周囲から「将来結婚する二人」と認識されているか

友人や職場の人々に対して「婚約者です」と紹介していたり、会社に結婚に伴う慶弔休暇の申請や家族手当の確認をしていたりする場合も考慮されます。また、年賀状やSNSなどで「来年結婚します」と公表している事実も、客観的な認識を証明する材料になります。
実務上は、これらの要素が複数組み合わさることで、初めて「法的な婚約」として認定されることになります。

第3章 「事実婚(内縁関係)」が法的に保護される条件と判断材料

「籍を入れていない」期間が長く、すでに夫婦同然の生活を送っている場合は、「事実婚」としての保護が受けられる場合があります。事実婚の立証では、以下の3つのポイントが重要視されます。

3-1 婚姻の意思を持って共同生活(同居)を継続していること

単なる同棲と事実婚の違いは、当事者に「夫婦になる意思」があったかどうかです。事実婚と評価されるためには、単に一緒に住んでいるという事実だけでなく、将来的に夫婦として生活していく意思を持ち、その前提で共同生活を送っていることが重要になります。
法律上「何年以上であれば事実婚」という明確な基準はありませんが、実務上は、数か月程度の同居よりも一定期間にわたって安定した共同生活が続いている方が、事実婚と評価されやすい傾向があります。
もっとも、同居期間だけで事実婚と認められるわけではありません。同居期間が長くても、家賃や生活費を完全に折半し、生活実態がルームシェアに近い場合には、単なる同棲にとどまると判断されることもあります。

3-2 住民票の世帯主との続柄が「未届の妻(夫)」になっているか

これは事実婚を証明する上で、強力な行政上の証拠となり得ます。通常、住民票の続柄には「同居人」と記載されることが多いですが、自治体の窓口で手続きを行うことで「妻(未届)」や「夫(未届)」という記載に変更できます。
自治体の運用により取り扱いが異なる場合もありますが、住民票上の続柄が未届の妻(夫)となっている場合、内縁関係をうかがわせる資料の一つになり得ます。あえてこの記載を選択しているということは、単なる同棲相手ではなく、お互いを生涯の伴侶として認め、責任を持って共同生活を送っているという根拠になりやすいためです。

3-3 家計を同一にし、社会保険の扶養に入っているなどの実態

事実婚を法的に証明する上で、精神的な結びつきと同等に重視されるのが「経済的な一体性」です。単なる同棲相手であれば、お互いの財布は別々で自立しているのが一般的ですが、事実婚の場合は「ひとつの世帯として生計を共にしているか」という実態が見られます。
例えば、どちらか一方が生活費の大部分を負担していたり、共通の生活費口座を設けて将来のための貯蓄を共に行っていたりする場合、それは単なる同居を超えた「夫婦としての共同生活」の現れとみなされる判断材料となり得ます。特に、以下のような資料が残っている場合は、法的な保護を受けるための有力な材料となります。

社会保険の扶養

パートナーの会社の健康保険で扶養家族として認められている場合。

家計の共有

共通の生活費口座を持っている、一方が他方の生活費を全面的に負担しているなどの実態。

連名での契約

住宅ローンのペアローンを組んでいる、賃貸物件の契約時に「婚約者」や「配偶者」として記載している。

冠婚葬祭への出席

お互いの親族の葬儀や法事に親族の一員として出席している。

第4章 慰謝料請求で重要となる証拠と慰謝料額の相場

4-1 浮気(不貞行為)の事実を証明するための直接的な証拠

慰謝料請求において最も重要なのは、パートナーが他の相手と不貞行為(肉体関係)に及んだことを示す第三者から見て分かる事情です。

浮気現場の写真・動画

ラブホテルに出入りする写真(2人揃って、かつ滞在時間が判別できるもの)は、決定的な証拠となり得ます。

性交渉を推認させるデータ

LINEやメールで「昨日の夜は最高だったね」といった直接的なやり取り、性交時の写真や動画など。

本人の自白

浮気を認めた内容の音声録音や、事実を認めて署名・押印した書面(自認書)。
一方で、「仲良く歩いていた」「カフェで楽しそうに話していた」だけでは、法的な不貞行為の証拠としては十分ではありません。

4-2 パートナーと浮気相手のどちらにいくら請求すべきか

籍を入れていない場合の慰謝料相場は、目安として一般的に50万円〜150万円程度とされることが多いです。不貞行為がパートナーと浮気相手の2人による「共同不法行為」とみなされた場合、原則として両者に対して慰謝料請求が検討されることになります。
ただし、慰謝料額は2人分を別々に算定するものではありません。例えば、相当な慰謝料額が100万円と判断された場合、それは2人からの合計で100万円という意味であり、それぞれから100万円ずつ受け取れるということではありません。
不貞行為が共同不法行為と評価される場合には、相手方の一方に対して慰謝料全額を請求できると整理されることもありますが、実際には回収の見込みや、パートナーとの関係を今後どうしたいかといった事情を踏まえて、請求相手や請求方法を検討することが一般的です。

4-3 関係の継続・破綻が金額に与える影響

慰謝料の額を左右する判断の一つが、「浮気の結果として関係がどうなったか」という点です。

婚約解消・関係性解消に至った場合

結婚が破談になり、人生設計が大きく狂ったと判断された場合、金額は高くなる傾向にあります。また、出産を控えていた、あるいは高齢で今後の結婚が困難であるといった事情がある場合は、精神的苦痛が大きいとされ増額事由になる場合があります。

関係を継続する場合

謝罪を受け入れ、婚約や事実婚を継続する場合は、法的には精神的苦痛が緩和されたとみなされ、金額は低くなる傾向にあります。

4-4 浮気相手が婚約や事実婚を知っていた(過失があった)場合

浮気相手に慰謝料を請求する場合、重要なポイントとなるのが「過失があったか」です。
浮気相手が「相手に婚約者(あるいは内縁者など)がいるとは知らなかったし、知るはずもなかった」と主張し、それが認められてしまうと、浮気相手への請求が認められない結果となる可能性があります。
「独身だと思っていた」「彼女(彼氏)はいないと聞いていた」という言い逃れを防ぐためには、浮気相手が婚約・事実婚の事実を知っていたこと(故意)、あるいは注意すれば知ることができたこと(過失)を示す証拠(例:SNSで婚約を公表していた、共通の友人が伝えていた等)が重要になります。

第5章 【FAQ】籍を入れていない相手の浮気トラブルに関するよくある疑問

Q1. 同棲して1年ですが、これだけで事実婚と認められますか?

A1. 他の事情次第で認められる可能性もあります。

一般的に事実婚の認定には、一定の同居が求められる場合が多いです。しかし、同棲期間1年であっても「結婚式を挙げた」「住民票を未届の妻とした」「不妊治療を夫婦として受けていた」など、そのほかの事情があれば認められる可能性はあります。

Q2. 浮気相手から「結婚していないなら自由だと思った」と言い逃れされたら?

A2. 法的な婚約・事実婚の成立の立証で反論できます。

単なる恋人なら自由ですが、法的な婚約・事実婚が成立していれば貞操義務が生じます。浮気相手が「籍を入れていないなら法的な責任はないと思った」と主張しても、それが直ちに認められるわけではありません。判断のうえで重要なのは、浮気相手が法的な責任のある・なしを理解していたかではなく、婚約・事実婚の相手がいることを知っていたか(あるいは少し注意すればわかる状態にあったか)です。

Q3. 婚約破棄された後でも、後から発覚した浮気の慰謝料は請求できますか?

A3. 時効(通常は3年)の前であれば、請求できる可能性があります。

婚約破棄や事実婚を解消した後で、実は相手が当時浮気をしていたことが判明するケースは実務上少なくありません。解消時に「性格の不一致」など別の理由を告げられていたとしても、真の解消原因が不貞行為(浮気)であったなら、関係解消から一定の時間が経過していても慰謝料請求は可能です。
消滅時効は原則として、不貞の事実および浮気相手を知った時から3年ですので、別れてから3年が経過していても、浮気が発覚したのが最近であれば請求できる可能性があります。ただし、別れた時点で「今後お互いに一切の請求をしない」という清算条項を含む合意書を交わしている場合は、請求が難しくなることもあります。また、行為の時から20年が経過すると請求が難しくなります。

Q4. 相手に「慰謝料を払う」という念書を書かせた場合、効力はありますか?

A4. 法的な証拠として極めて有効ですが、作成時の状況には注意が必要です。

本人が自発的に署名した念書は、不貞の事実と支払い義務を認める有力な資料になります。ただし、相手が後に「脅されて書かされた」などと主張し、無効を訴えてくるリスクもあります。
自発的な署名であることを客観的に証明するためには、以下の工夫が有効です。まず、念書をすべて「相手の自筆」で書いてもらうことです。パソコンで作成された書面に署名するだけよりも、全文自筆の方が「自分の意思で内容を構成し、記入した」という推認が働きます。また、作成時の様子を録音しておくことも重要です。威圧的な言動がなく、冷静なやり取りの中で署名がなされた記録があれば、強迫の主張を退けることができます。さらに、可能であれば後日、公証役場で執行認諾文言入りの公正証書として結び直すことが、より確実な証明方法となります。

第6章 一人で悩まずに適切な法的サポートを

「籍を入れていないから」という理由で、浮気による心の傷を一人で抱え込む必要はありません。本記事で解説した通り、婚約の成立や事実婚の実態を客観的に証明することができれば、法的に正当な慰謝料請求を検討すべき状況といえます。
まずは以下のポイントを振り返ってみてください。

1. 親族への挨拶や式場の予約など、結婚に向けた具体的な動きがあったか
2. 住民票の続柄や社会保険の扶養など、夫婦同然の生活実態があったか
3. 不貞行為(肉体関係)を証明できる写真やメッセージが残っているか

これらの判断は非常にデリケートであり、個別の状況によって判断がなされます。「自分のケースはどうなんだろう?」と迷われたら、私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスへお気軽にご相談ください。

 

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