弁護士コラム

2023.05.16

飛行機内での逮捕

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最近ニュースで、海外で活動していた特殊詐欺グループの人が逮捕されたニュースをよく見ます。
ここでいきなり質問ですが、犯罪を犯した日本人が海外に逃げていた場合、日本の警察に逮捕される瞬間はどの時点になるでしょうか?

ニュースなどをよく聞いているとわかると思いますが、正解は、海外から日本に向けて飛んでいる飛行機が、日本の領空内に入った時点になります。

逮捕の要件などについては、刑事訴訟法に規定されているのですが、この刑事訴訟法は、日本国内でのみしか適用されないため、日本の警察は犯罪者を海外で逮捕することはできません。

飛行機内での逮捕

そこで、国際指名手配されている犯罪者や、日本と犯罪人引渡し条約を締結している国が、犯人を確保し、身柄を警察に引き渡し、飛行機で日本の領空内に入った時点で、裁判所から発令された逮捕状を用いて、犯人を逮捕することになります。

少し話は変わりますが、逆に、海外の領空を飛んでいる日本の飛行機内で犯罪が起こった場合には、領空は海外ですが、「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」により、その飛行機が所属している国の法律が適用されることになるため、日本の法律(刑法)が適用されることになります。

上記の犯罪者を海外から日本へ運ぶのは、通常の乗客が乗る飛行機になります。
飛行機の機長が「日本の領空内に入りました」というアナウンスを行った場合には、逮捕をすぐに行うために知らせるアナウンスであるため、犯罪者が同じ飛行機に乗っているかもしれないという噂がありますが、私が学生時代に何回か海外に行った際に、必ずこのアナウンスがながれていたため、都市伝説である可能性が高いでしょう。

 

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2023.05.09

ギックリ腰にご注意を!!

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皆さんは、ギックリ腰になられたことはありますか?
私は、高校時代柔道をしていたことや、仕事がほとんどデスクワークのため、慢性的に腰が痛いです。
疲れなどがたまっているときに、変な姿勢になった際、グキッっとやられてしまうことがたまにあります。(運動しないと・・・)

厚生労働省の発表では、業務上の疾病(ケガや病気)で一番多いのが腰痛とされています。

 ギックリ腰にご注意を!!

業種では、建設業、製造業、運送業など重量物等を運ぶ仕事で多く見られています。
このようにギックリ腰などの腰痛については、重量物等を運ぶことが原因で発症することが多いのですが、法律上、持ち運びをすることができる、重量には制限があるのをご存じでしょうか。

労働基準法62条1項及び年少者労働基準規則7条により、満18未満の男女について、重量物を持ち運ぶ際の規制がされています。
内容についての詳細は省略しますが、18歳未満では、男性は20kg未満、女性は15kg未満とされています(断続作業と、継続作業とで制限の重量が異なります。)

また、労働基準法64条の3第1項、第2項及び女性労働基準規則第2条により、18歳以上の女性については、断続的作業の場合には30kg、継続作業の場合には20kgと重量が制限されています。

ギックリ腰にご注意を!!

さらに、18歳以上の男性も、通達により、体重の約40%以下の重量物が限度とされています。
このように、人力で運ぶ重量には法律上の制限があり、使用者(企業)がこの決まりに反して重いものを持たせていた場合には、刑罰の対象などになる可能性だけでなく、安全配慮義務違反として損害賠償の対象にもなるため、注意が必要です(あくまでも人力で運ぶ場合の規制であり、フォークリフト等の機械を使用する場合には上記の規制の対象にはなりません。)。

今、この記事を作成している間も、少し腰が痛いですが、健康的な生活を送り、しっかり働くためにも自分の体も少し労わってあげないといけないなと思いました。

 

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2023.04.12

動画の引用は著作権法違反??

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皆さんは、YouTubeなどの動画配信サイトを見ていますか?
我が家では、もっぱら息子がYouTubeにはまっており、放っておくと、スマホでずっと見続けてしまうので、今は「ひらがななどのおけいこをしてから見ようね」と言って、時間を区切ってみています。
息子はテレビも見ますが、同じくらいYouTubeも見ており、息子の中での一番の有名人はHIKAKINさんだと思います。

動画の引用は著作権法違反??

最近はブログ等で、YouTube等の動画配信サイトでアップされている動画を引用しているサイトを見かけます。
サイトの中で、動画の再生ボタンを押すと、そのサイト上で、動画が再生されるという「埋め込み型」の引用がなされていることも多いです。
私自身、いい曲だなと思ったアーティストの他のおススメの曲を聞くために検索すると、MVをまとめているサイトの埋め込み動画にたどり着くことがあります。

その際、『他人の動画を引用する行為は著作権を侵害しないのかな』と気になったことがありました。
感覚として、他人の動画を引用することで自身のサイトの閲覧数を増やして収益を得ることができるので、『著作権者の同意が必要なのではないか』と思ったのです。
そこで少し調べてみたところ、過去に、動画の引用が著作権侵害であるとして、損害賠償等を請求した事件の裁判例が見つかりました。

この事件では、①動画を引用したことが著作権を侵害するか、②引用した動画自体が、著作権を侵害していた場合には、著作権を侵害を助長(法律上「幇助」といいます。)したことにならないかという2つの争点がありました。

①の争点について、裁判所は、動画の引用(リンクを貼る)という行為は、著作権者の著作権を侵害するものではないと判断しました。
理由については、簡単にいうと、動画のリンクを貼ったとしても、あくまで動画を配信しているのはリンク元(すなわち著作権者)であるため、著作権を侵害していないとしました。

次に、②の争点については、当該動画自体が著作権を侵害してしているかどうか判断しづらい動画を引用することは直ちに著作権侵害の幇助には該当しないとした上で、当該事件の事情として、著作権者から抗議を受けた時点(当該動画が著作権を侵害していると認識した時点)で直ちにリンクを削除していることから、不法行為は成立しないと判断しました。

このように、動画の引用については、著作権者自身が配信している動画のリンクを貼る行為は当然に適法であるということになります(経済産業省が発表している「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」においても、著作権を侵害しないことが明記されています。

動画の引用は著作権法違反??

つぎに、著作権者の承諾が得られているか不明な動画については、著作権者から指摘され、直ちに削除をした場合には、上記の裁判例では不法行為とはならないということになります。
もっとも、この裁判例を前提にすると、著作権を侵害している動画であることを知りながら引用した場合には、不法行為となる可能性が高くなります。
また、著作権者から指摘されても引用を続けた場合にも同様に不法行為となる可能性が高いです。

したがって、著作権者の承諾があるかどうか不明な動画については、後々訴訟などの紛争に巻き込まれるリスクがあるため、なるべくであれば引用しないほうがいいのではないかと思います。

 

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2023.03.24

カタカナ言葉と法律

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先日、妻と話しているときに、妻から、「カタカナ言葉がよく会話にでてくるね」と言われました。
言われるまであまり意識していなかったのですが、小さいころからカタカナ言葉はよく覚えており、世界一名前の長い湖の名称なども小さいころに覚えてから今でもすぐに言えるので、無意識のうちにカタカナ言葉がかっこいいとおもって使っているのかもしれません(湖の名前は本当に長いので、興味のある方は調べてみてください)。

Google検索はこちら⇒「世界一名前の長い湖

そんなカタカナ言葉ですが、法律の世界にもカタカナ言葉があります。
僕自身、きちんと意味を理解していない部分もあったので、この機会に意味を調べて皆さんにお知らせしたいと思います。

カタカナ言葉と法律

●コンプライアンス…この言葉は、ニュースなどでよく聞かれている方も多いと思いますが、「法令順守」という意味です。
法律だけでなく、社会的規範、倫理、良識を守って運営することを意味します。
よく、「コンプライアンスを遵守して」と発言されている方がいらっしゃいますが、コンプライアンスの中に遵守という意味もあるので、この表現は、厳密にいうとトートロジー(「同御反復」という意味です。せっかくなんでカタカナ言葉使ってみました)となります。
●デッド・エクイティ・スワップ(DES)…おそらく一般の方は聞いたことのない言葉だと思います。
これは、企業における債務(デッド)を株式(エクイティ)に交換(スワップ)することで、会社の財務を改善するという手法になります。
DESをするこで、債務が資本(株式)になるため過剰債務の状態が解消されることになります。
司法試験に合格する前に、ロースクールでこの言葉を聞いたときに、いつかこの言葉を使って仕事をする時が来るのかなと思って今したが、弁護士になって約10年、一度も使っていません。
なお、DESに似た言葉で、債務を劣後ローンとして借り換えるという「デッド・デッド・スワップ(DDS)」というものもあります。
●ノンリケット…この言葉は民事訴訟で使われる言葉です(実際に裁判などで使われることはなく、学問上の言葉になります)。
日本語では「真偽不明」と訳されます。
民事訴訟において、争いになっている事実の存否について、裁判所としても過去に戻ることはできないので、その事実が存在したのか存在していなかったのかがわからない(判断できない)という状態になることがありそれを「ノンリケット」といいます。
このノンリケットの状態になった場合には、立証責任(その事実が存在するということを証拠に基づいて立証しなければいけない責任のことをいいます。)を追っている当事者が、不利益(その事実は証拠上認定することができないと扱われます)を被ることになります。

日常生活を送っていると、上記のような、カタカナ言葉がたくさんあると思いますが、あまり多用しすぎると、会話がストレス(これもカタカナ言葉ですね)になってしまうので、上手に使っていければと思います。

 

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2023.03.06

タイムパラドックスと裁判

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皆さんは、過去に戻ってみたいと思ったことはありますか?
私は、高校時代、大学時代や、司法試験合格後の司法修習生の1年間非常に楽しかったため、もう一度その楽しかった経験をしたいという気持ちや、財布を落としたり、酔いすぎてしまい終電でへんぴな終点で下りて野宿するところを探したりなどいやな出来事が起きないようにしたいなと思ったりします。

先日、オーストラリアの大学で行われた研究により、タイムトラベルで過去に行った人間は、自らの自由意思に従って行動することが可能なものの、パラドックスを起こすような行動は修正され、パラドックスが発生しない結果に落ち着くことが示されました。

タイムパラドックスと裁判

タイムトラベルでのパラドックスとは、「親殺し(祖父殺し)のパラドックス」と呼ばれ、ある人物が、過去に行き、幼い自分の両親(祖父母)を殺害した場合、親を殺害した本人は生まれてこないことになり、「生まれてこない子どもに殺害された親」という背理の状態になってしまうというものです。

私自身、パラドックスについて関心があったのですが、パラドックスは生じないと聞いて少しがっかりしました。

刑事事件にしろ、民事事件にせよ、裁判では事実関係に争いがあるケースが多く(むしろほとんどがそうです。)、仮にタイムマシン等が開発され、みんなが過去に戻ることができるようになった場合には、事実関係に争いがなくなるため、弁護士の仕事や、裁判所の仕事がなくなってしまうのではないかと思います。

しかし、現時点で、過去に戻ることはできないため、裁判所において全ての事件で事実関係を確定することができないということも出てくることになります(防犯カメラ、ドライブレコーダー等があれば事実関係を確定することはできます)。

タイムパラドックスと裁判

よくご相談者様や依頼者が誤解されている点なのですが、裁判所では、厳密に、その事実があったのかなかったのかという事実を探求する場ではなく、「ある事実を証拠上認定することができるか否か」を判断する場ということです。

上記のように過去に戻ることができない以上、ある事実があったのか否かについては証拠に基づいて判断することになり、証拠に基づいて、ある事実があったのか否かについて明確に確定することができる事案ももちろんありますが、証拠が十分ではない場合もあるためある事実があったのかなかったのかわからないという状況になることも多いです。

ある事実があったのかなかったのかわからないという状態になった場合には、裁判所は「その事実があったことは証拠上認定することができない」として、その事実を証明する責任を負っている当事者に対し、その事実を認定することができないため、請求は認められないと判断することになります。

証拠上認定できないので訴訟での勝ち目はあまりないということを、ご相談者様に説明する際に「私が嘘をついているということですか!?」などとおっしゃられることもまれにあったりするのですが、上記のような説明をしっかりしてご納得いただく作業があるため、その時には、いっそタイムマシンなどで過去に戻ることができたらいいのになと思ったりもします。

 

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2023.02.21

スポーツと損害賠償

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以前、サッカーと法律の関係について書いたブログの中で、サッカーと損害賠償の関係について、管理責任などが問題となって損害賠償が発生することがあるとご説明させていただきましたが、管理責任などが問題となって、発生する損害賠償事件はサッカーだけではなく、スポーツ全般で問題となります。 以前の記事はこちらから:サッカーと法律

そんな中、スポーツと損害賠償についての判決が最近出されたのでご紹介させていただきます。

スポーツと損害賠償 

事件は、石川県の県立高校の野球部で発生しました。
その高校の野球部の生徒が、川に落ちたホームランボールを拾うために、ガードレールを乗り越えて、岸辺にいったところ、足を滑らせて川に落ちてしまい、死亡してしまいました。

死亡してしまった生徒のご両親が、川に落ちたボールの回収をやめさせたりしていれば、事故は起きなかったとして、野球部の監督らに管理責任(注意義務違反)があると主張し、県に対し、慰謝料などの損害賠償を請求したのがこの事件です。

そして、金沢地方裁判所は、ガードレールを乗り越えてボールを回収しないように指導していなかったことを認め、そのような指導をし、注意義務を尽くしていれば事故を回避できたとして、監督らの注意義務違反を認め、かつ、注意義務違反と死亡という結果との間には因果関係が認められると判断しました。

スポーツと損害賠償

他方で、監督らにおいて、ボールの回収を諦めた部員を叱責するなどしたことはなく、事故当時の状況について、危険を冒してまでボールを回収しなければならない状況ではなかったとして、ガードレールを乗り越えてボールを回収しようとした部員にも一定の落ち度(過失)があると判断し、損害額の3割の額を過失相殺として減額した金額を認定しました。

自分も、子どもが生まれ、もう少しで習い事等に通わせてみようと思っていますが、このような事例を見ても、安全面がしっかり確保されているところかどうかを判断するのは難しいと感じました。
スポーツの監督や指導をする側は、単にスポーツを教えればよいというわけではなく、競技する人や周りの人の安全も確保する必要があるということだと思います。

 

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2023.02.07

チョコをあげたら犯罪に!?

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2月に入るとバレンタインの季節になりますね。 小学生のころ、普段何にも意識していなかったクラスの女の子からチョコをもらい、あとで母親伝いで、その子がチョコをあげたのは、私と別のクラスの男子の2人だけであると聞いて急に意識してしまったというような淡い思い出があったような気がしています(何十年も前の話で美化されているかもしれません)。

チョコをあげたら犯罪に!?

1月の下旬から百貨店でもバレンタインフェアが開催されており、いろんなチョコが売っているのを見ると、自分でも欲しくなってしまいます(最近では、他の人にあげるという目的よりも自分へのご褒美として高いチョコレートを買うという方も多いそうです。)。

そんなバレンタインのチョコレートですが、チョコレートをあげることで犯罪になってしまう恐れがあるケースをご紹介します。

過去に実際にニュースになっていたのですが、とある市議会議員が、後援者の家を訪問し、自身の活動(近況)を報告する際に、約500円のチョコレートを配った行為が、公職選挙法が禁止する政治家の寄付行為に該当するのではないかと警察が議員に対し、事情確認を行ったという事件があったそうです。

公職選挙法においてのバレンタインチョコ

公職選挙法は、選挙の中立性、公正性を確保するために、政治家の選挙区内での寄付行為を禁じており、違反した場合には罰則も設けられています。
寄付行為に該当する行為として、総務省がホームページであげている行為としては、地域の運動会やスポーツ大会への差し入れ、病気見舞い、入学祝、卒業祝い等が該当するとされています(あくまでも選挙区内の人このような行為をすることを禁じており、選挙区外への人などへの行為は禁じられていません)。

以前、大臣が有権者にうちわを配ったことでも問題となったように、選挙の中立性や公正性を確保することは非常に重要なので、こんなことでもというような行為も寄付行為に該当することになります。

公職選挙法では、有権者から政治家に対し、寄付行為を要求することも禁じています。
したがって、先ほどのニュースのように、意中の議員に対してチョコレートを要求する行為も禁じられた行為になる恐れがあると思うとなんだか切ないなと思ってしまいます。

 

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2023.01.24

コンセントで勝手に充電をしたら犯罪??

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今や、多くの人が持っているスマートフォンをはじめとする携帯電話ですが、便利な半面、充電が切れてしまうと使い物にならなくなってしまいます。
わたしも仕事柄スマートフォンを使うため、モバイルバッテリーを持っているのですが、肝心な時にモバイルバッテリーの充電が切れてしまい焦ったりしてしまいます。

先日、電車内の業務用コンセントで充電し続けた人が駅員から注意される動画が拡散されているというニュースを目にしました。
皆さんも外出先などでコンセントを見つけて充電するため使用する人も少なくないと思いますが、ケースによってはこの行為が犯罪になる可能性もあります。

刑法第235条は、
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
と記載されており、窃盗罪について規定されています。
そして、刑法第245条では「この章の罪については、電気は、財物とみなす。」
と規定されており、電気も財物とみなされ、電気を盗む行為は電気窃盗として窃盗罪で処罰されることになります。

コンセントで勝手に充電をしたら犯罪??

もっとも、窃盗罪として犯罪が成立するためには、「窃取」に該当する行為を行う必要があり、簡単にいうと、占有している人の意思に反して、物の占有を移す行為を行った場合は「窃取」にあたります。

したがって、カフェのテーブルなどに設置されているコンセントはあくまでもカフェの利用者のために使用することが許容されているものであるため、意思に反する占有移転とはならず、窃盗罪は成立しません。
これに対し、先ほどの電車の業務用のコンセントについては、乗客が利用することを前提としたものではないため(車両の清掃等に使用する目的であると考えるべきでしょう。)、窃盗罪が成立すると考えられます。

コンセントの無断使用については、すぐに逮捕される等事件化するケースは多くないと思いますが、再三禁止しているにもかかわらず使用を継続していた場合などは逮捕されるリスクもあると思います。
現に、コンビニエンスストアの店の外にあるコンセントに無断で炊飯器をつないで米を炊くなどの調理をしていた人が電気窃盗で逮捕されたことがあるそうです。

コンセントで勝手に充電をしたら犯罪??

ちょっとコンセントを借りるだけという安易な気持ちで無断使用してしまいたくなる気持ちはわからなくはないですが、電気代も発生するものですし、みんなが使用してしまうと停電などのリスクもあります。
無断で使用するのではなく、使ってよいかをあらかじめ確認するなどして、マナーのある対応を心がけたいですね。

 

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2023.01.18

激甚災害指定とは?

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ここ数年、九州のみならず、全国で台風や線状降水帯等による大雨で、甚大な被害が出てしまう天災が多数発生しています。
ニュースを見ていると「100年に1度の・・・」という見出しを目にすることもあり、異常気象が起きることが日常的になってしまっているようでとても怖く感じています。

令和4年10月28日に、日本政府は九州や静岡県で発生した台風14号・15号の大雨災害について「激甚災害」に指定することを閣議で決定したと発表されました。

この激甚災害とは、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」(激甚災害法)において定められた、地震・台風・豪雨などによる、著しく被災自治体への財政援助や被災者への助成がとくに必要となる大災害のことをいいます。

激甚災害指定とは? 

激甚災害には、地域などをくぎらずに災害そのものを指定する「激甚災害指定基準による指定(本激)」と、局地的豪雨などを市町村単位で指定する「局地激甚災害指定基準による指定(局激)」の2種類があります。

激甚災害に指定されると、地方公共団体の復旧事業における、国庫補助率の嵩上げ等が行われ、公共施設の復旧を助成することになります。
また、天災によって被害を受けた農林漁業者や、中小企業に対しても、中小企業信用保険法による災害関係保証や、特別の貸し付けがされたり、貸付金の償還期間が優遇される等の特別の財政助成措置が講じられることになります。

このように、激甚災害に指定されると、中小企業の皆さま等にも大きくかかわってくることになります。
先ほど述べた通り、異常気象が日常的に発生するようになっているため、企業としてもそういった異常気象によるリスクも考えて企業活動を行っていかなければならないのではないかと感じています。

 

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2023.01.11

タクシーでのトラブルについて

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新年明けましておめでとうございます。
昨年は、息子が仮面ライダーにドはまりして、変身ベルトを購入したり、遊園地へショーを見に行ったりと仮面ライダー一色の1年だった気がします(今1歳の娘がもう少ししたらプリキュアとかにはまりだしたら仮面ライダーとプリキュアに忙殺されるのかと思うと少し怖いです。)。

話は全然変わってしまいますが、皆さんは忘年会や新年会に行かれましたか?
そういった席ではお酒を飲まれる方多いため、会が終わり帰宅される際にはタクシーを利用される方が多いのではないでしょうか。
今回は、タクシーでのトラブルについてお話ししようと思います。

タクシーでのトラブルについて 

まず、SNSなどでよく話題になるのが、乗客が1万円札しか持っていない場合に運転手から文句を言われたり、コンビニで崩してくるように言われたというような釣銭トラブルがあります。
民法402条1項では、
「債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。
ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。」
と規定されています。

つまり、タクシーの料金を支払う場合(金銭債権の支払い)については、債務者(乗客)が、支払う通貨を任意に選択し支払うことができます。

例えば、乗客が支払う通貨を1万円と選択した場合には、有効な支払いとなるので、タクシー側は支払いを受ける必要があります。
したがって、法律の観点からは、乗客は1万円札で支払っても何ら問題はなくお釣りをタクシー側が準備しておく必要があると思います。
また、タクシー側が1万円札での支払いを拒否した場合には、法律上有効な弁済の提供がなされているため、お釣りが出せないなら乗客が1万円を渡せないとすることに問題はありません。

次に、お客がクレジットカードやキャッシュレス支払いを希望している場合に、タクシー側が拒否をすることができるかという問題ですが、あくま債務者(乗客)は金銭の支払いを行う義務を有しているので、クレジットカード等の利用については、債権者(タクシー側)が承諾して初めて有効になります。
したがって、タクシー側がクレジットカードやキャッシュレスを使えないと拒否した場合には、乗客は現金で代金を支払う義務を有していることになります。

タクシーは気軽に使える移動手段としてとても便利ですが、密室でのやり取りになるため、トラブルに巻き込まれる可能性があります。
トラブルを避けるため、法律上の結論はさておき、スムーズに支払いができるよう準備はしておいた方がいいかなと思います。

 

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