お客様は神様??~旅館業法の改正~
以前、ハラスメントについて紹介した際、カスタマーハラスメント(カスハラ)という言葉を紹介しました。
前回の記事はこちらから:従業員の名札は必要?
前回の記事はこちらから:なんでもハラスメント?~現代のハラスメントの問題点~
客が店員に対し、過剰な要求や暴言を吐くなどの行為を行うことを指します。
このようなカスハラを行う人の根底には、「お客様は神様」というような考えがあるのでしょう。
ただ、このような行為は、お店の業務を阻害するばかりか、他の利用客に迷惑をかける行為であり、最近では、迷惑をかける人に対しては毅然と対応するお店も出てきているようです。
しかし、ホテルや旅館では、こういった迷惑客の対応を強いられて来ました。
それは、これまで旅館業法という法律で、宿側は原則として宿泊を拒否することができないと規定されており、拒否できる事由が、伝染性の疾病患者や、犯罪を行う恐れのある人などきわめて限られた場合に限定されていました。
この規定により、上記のようなカスハラを行う人であっても、宿泊を認めざるを得ず、その対応に従業員の方なども苦慮していたようです(暴言や暴行等きわめて対応が悪質な場合には、業務妨害に関する犯罪行為であるため警察に通報するなど対応は可能なのでしょうが、現場でその判断を行うのは難しいという実情があるそうです。)。
そんな中、令和5年6月に旅館業法が改正され、宿泊しようとする人が、営業者に対し、過剰な負担を強いる要求をした場合や、他の宿泊者へのサービスを阻害する恐れがある要求を繰り返した場合には、宿泊を拒否することができるようなり、まさにカスハラを行う人の宿泊を拒否することができるようになりました。
このように、法律で、宿泊拒否を行うことができることが明確に規定されたため、ホテル側としても、具体的にこういった場合にはこの条文に該当するというようなケースを想定して準備をしておけば、現場の従業員の方の負担も軽減されるのではないでしょうか。
お客側も、金銭(対価)を払うという点でなぜか上の立場になったように錯覚し、度を越えた迷惑行為を行ってしまうのかもしれません。
しかし、お金を払う側とサービスを提供する側が対等な立場であることは明らかで、あくまでも「お客様はお客様」でしかないので、お店の人にもお互い敬意をもって対応してきたいですね。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
相続解決事例:海外に住んでいる相続人がいる遺産分割事件
ご相談事例
異母兄弟とこれまで一切連絡を取ったことがないので、遺産分割の話し合いができません。
- 相談者…後妻の子(依頼者)
- 被相続人…父
- 相続人…前妻との間の子3名、後妻(依頼者の母)、依頼者
父は若いころに、前妻と結婚し、前妻との間に子どもが3人います。
その後、父は前妻と離婚し、後妻(依頼者の母)と再婚し、私が生まれました。
前妻との間の子(依頼者の異母兄弟)とはこれまで一切連絡を取ったことがないので、遺産分割の話し合いを自分たちではできません。
なお、遺産については預貯金として約300万、不動産(自宅)約1,500万円があります。
弁護士の対応
遺産分割協議として受任。
まず、被相続人の相続人の所在を調査することから開始しました。
住民票を取得したところ、前妻の子3人のうち、1人が海外に移住していることが判明しました。
通常、遺産分割協議を行う場合には、遺産分割協議書等の書面に実印を押してもらい、印鑑証明書を添付して相続手続きを行うことになります。
しかし、海外にお住いになられている方の場合には印鑑証明がありません。
この場合、印鑑証明書の代わりとして、お住いになられている国の在外公館(大使館など)へ行ってもらい、在留証明書と署名証明(サイン証明)というものを貰ってきてもらう必要があります。
サイン証明とは簡単に言うとこの書面(遺産分割協議書)に署名をした人は、在留証明書記載の人物(相続人)であることは間違いないという証明を在外公館でしてもらう手続きになります。
このような状況でしたので、まず、前妻の子のうち、国内にお住いの人達にお手紙を送り、遺産分割に協力してほしいことと、海外にお住いの方のご住所や連絡先を教えてほしいとお願いしたところ、海外のお住いの方のメールアドレス等の情報を聞くことができました。
なお、国内のお子さんたちは、父親(被相続人)と一切疎遠であったため、相続財産は不要であるとのことであり、相続分を全て依頼者に譲渡してもらうことが出来ました。
そして、海外にお住いの相続人の方と連絡をとり、丁重にサイン証明の取得を依頼したところ、協力していただけたため、相続人全員との間で遺産分割協議が完了しました。
相続人に海外にお住いの方がいらっしゃる場合には、通常の手続きとはことなる手続きが必要となりますので、相続を専門に取り扱っている当事務所に是非ご相談ください。
ご相談事例・解決事例の掲載について
事例回答はあくまでご参考となります。 実際にご自身のご相談で同じ結論になるかどうかは、個別の判断が必要となります。
当事務所の初回無料相談をご利用いただき、個別のご相談および弁護士からのアドバイスをお受けください。
※弁護士又は弁護士法人の場合、所属弁護士会を経て国税局長に通知することで、その国税局の管轄区域内において税理士業務を行っており、当事務所所属弁護士も通知届出を行っております。
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転売に関する法規制
皆さんは、子どものころ、トレーディングカード等で遊んだことはありますか??
私も小学校の頃は、友達とカードゲームにのめりこみ、レアカードや強いカードを手に入れるために、お年玉やお小遣いなどためていたお金をはたいていました。
しかし、成長していくなかで、集めたカードもどこにあるのか分からない状態になりました。
今思えば何であんなにも熱中していたのかと思ってしまうのは、年を取った証でしょうか。
私が子どものころは、欲しいと思ったカードやおもちゃなどは、お店に売ってあり、どこのお店を探しても買えないといったような事態はなかったように思いますが、最近ではいわゆる転売ヤーが登場したことにより、転売ヤーによって大量に商品が買い占められ、本当に遊びたい子どもたちの手に渡らないという事態が続いているようです。
このように転売ヤーなどという表現から転売自体にいい印象をお持ちでない方は少なくないと思いますが、法律で転売についてはどのような規制がされているのでしょうか。
まず、転売という行為事態は何ら違法な行為ではありません。
転売には一般的に、在庫を有した状態(仕入れた状態)で買い手を探す場合と、買い手からの注文が入った時点で、在庫を仕入れる場合(いわゆる「無在庫転売」というそうです。)がありますが、どちらも違法ではありません。
ただ、無在庫転売の場合には、契約が成立し、代金が支払われた後、商品を仕入れることが出来なかった場合には、代金を返還する義務がありますし、はじめから仕入れる意図がないにもかかわらず、買い手から代金を受け取った場合には詐欺罪として刑事罰の対象ともなってしまいます。
このように転売自体は法律上違法な行為ではないですが、中古品を安く仕入れて高く転売することをビジネスとしている場合には、古物商許可を得る必要があり、古物商の許可を得ることなく、刑事罰の対象となってしまうので注意が必要です。(これに対し、新品を転売する場合や仕入れずに自分で使用していたものを売却する場合には古物商許可は不要とされています。)。
また、商品とは若干異なるのですが、コンサート等のチケットに関しては、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(通称:チケット不正転売禁止法といいます。)という法律が、平成30年12月に成立しています(令和元年6月から施行されています。)
この法律では、要件を満たすチケットについて、不正転売(興行主の事前の同意を得ず、反復継続の意思をもって、販売価格を超える価格で転売する行為)を行うこと及び、不正転売を目的としたチケットの譲り受け(購入、仕入れ行為)を禁じており、これに違反した場合には刑事罰の対象となります。
平令和2年には、人気アイドルグループのチケットを不正に転売した者に対し、懲役1年6か月(執行猶予3年)、罰金30万円等の有罪判決がだされています。
なお、この法律では、不正転売されたチケットを購入した人を罰するものではありませんが、不正転売されたチケットを購入した人については興行主側で入場禁止などのペナルティが課せられる可能性があるため、本当に参加したいのであれば、正規(公式)のリセールサイト等から購入するのがよいでしょう。
物品の転売やチケットの転売は、その物を本当に欲しい人やファンの人に物やチケットが行きわたらなくなってしまうので、転売を行う人も節度をもって行ってほしいと思います。
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相続解決事例:遺留分侵害額請求、預金の引き出し(不当利得返還請求事件)
ご相談事例
遺言が長男にすべて財産を相続させるという内容でした。自分が一切もらえないことに納得できません。
- 相談者…長女(依頼者)
- 被相続人…母
- 相続人…長男、長女(依頼者)の2名
父の死後、父が公正証書遺言を作成していること及び、遺言の内容として、長男にすべて財産を相続させるとなっていることが判明しました。
また、父は従前認知症になっており、長男が預貯金を管理していたのですが、認知症で病院で寝たきりの状態になっている時期に父名義の預貯金から多額の預金が引き出されていることが判明しました。
父の面倒は長男が見ていたのですが、自分が一切もらえないことは納得できません。
弁護士の対応
まず、ご相談者様には、遺留分という相続人に認められている最低限の相続財産があるところ、上記遺言は全てを長男に相続させるという内容になっており、ご相談者様の遺留分が認められない(侵害されている)状態になっていたので、代理人として直ちに、長男に対し、遺留分侵害額請求の内容証明郵便を送付しました。
また、預貯金の引き出しについては、銀行から取引履歴を取得し、使途が不明な預金を精査し、長男に対し、不当利得返還請求を行いました。
長男にも代理人が就任し、代理人間で協議を行うことになりました。
不動産の評価額や、出金した預金の使途などが争点となりました。
不動産の評価額について
双方が不動産の査定書を提出して金額を争いましたが、こちらの査定額の方が適切であると説得的に出張したところ、相手の弁護士もこちらの査定金額で合意し、結果として遺留分として請求できる金額を増額することができました。
預金の引き出しについて
預金の引出した店舗の場所や医療記録などを精査し、長男による引き出しであると追及すると、使い込みであることを認めたため、交渉により早期に返還が認められました。
遺留分侵害額請求については請求できる期限があることや、不動産の評価額や過去の贈与などにより請求できる金額が大きく異なってくるため、ノウハウを有した専門家に依頼することが必要不可欠です。
預金の引き出しについては、様々な論点があり、こちらも通常の法律事務所ではなく、相続を専門に取り扱う弁護士に依頼することが必要不可欠です。
遺留分や預金の引き出しでお困りの方は、できるだけ早く当事務所へご相談ください。
ご相談事例・解決事例の掲載について
事例回答はあくまでご参考となります。 実際にご自身のご相談で同じ結論になるかどうかは、個別の判断が必要となります。
当事務所の初回無料相談をご利用いただき、個別のご相談および弁護士からのアドバイスをお受けください。
※弁護士又は弁護士法人の場合、所属弁護士会を経て国税局長に通知することで、その国税局の管轄区域内において税理士業務を行っており、当事務所所属弁護士も通知届出を行っております。
相続セミナー動画でわかりやすく解説!
当事務所・弁護士法人菰田総合法律事務所は、博多マルイ5Fに相続のご相談に特化した相続LOUNGEを運営しています。
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相続LOUNGEでは、Youtubeチャンネルを開設し、弁護士による相続セミナー動画を配信しています。
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はみ出た木の枝は切ってもいい??
先月の話ですが、息子も幼稚園で、七夕会があったらしく、短冊がついた笹の葉を持って帰ってきました。
短冊には幼稚園の先生が願い事を書いてくれたらしく、「やきゅうがじょうずになりますように」と書いてありました。
去年は、「おいしゃさんになれますように」と書いてあったのですが・・・・来年はなんて書いてあるか楽しみです。
子どもが持って帰ってくる笹の葉はとても小ぶりでかわいらしいのですが、これが、実際に生えている樹木となると、とてもかわいいでは済まないもんだとなってきます。
当事務所にも何度か相談に来られる方もいらっしゃるのですが、隣の家から木の枝等がはみ出てきているのを勝手に切ってもよいのかという問題があります。
この相談の回答ですが、以前までですと、「はみ出ていても他人の所有物なので勝手に切ってはいけません。①まず、撤去してくださいと交渉し、ダメであれば②訴訟を提起して、判決をもらってから③強制執行の申立てをすることで初めて切ることがになります。」というものであり、最終的な解決までに費用や労力がかかってしまうため、諦めるという方も少なくありませんでした。
このように、隣地から樹木等がはみ出ており、迷惑をしているという案件は全国でも多数あり、隣地だけでなく、公道にはみ出ている場合には道路の安全も害されることになってしまい、社会的な問題にもなっていました。
しかし、令和3年4月に民法改正法案において(令和5年4月1日から施行となりました。)、民法233条に新たな条項が追加されました。
それは、土地の所有者は、竹木の所有者に対し枝を切除するよう請求できるということを原則(233条1項)としつつ、一定の場合には、土地の所有者が、竹木の所有者の許可なく、はみ出した枝を切除することができるようになりました(233条3項)。 具体的には、次のいずれかの場合には、土地の所有者が枝を切除することができるようになりました。
②⽵⽊の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき
③急迫の事情があるとき
つい先日、道路(市道)にはみ出した枝について、市が樹木の所有者に対し、何度も連絡したが応じてもらえなかったため、市において、道路にはみ出した樹木を切除したというニュースがありましたが市が行った措置の根拠となる法令がこの改正された民法233条3項となります。
このように、民法の改正により、一定の場合には土地の所有者が裁判を起こすことなく、はみ出した枝を切ることができるようになりました(切るために要した費用については、本来であれば樹木の所有者が負担すべき費用であるため、樹木の所有者に請求できると考えられています。)。
もっとも、はみ出していればすぐに切っていいというものではなく、上記①~③のいずれかの場合に該当する必要があります。
後々にトラブルにならないようにするために、弁護士に書面の作成の依頼や、代理人としての対応の依頼など検討された方がいいと思いますので、隣地の樹木などでお困りの方はぜひご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
【青少年健全育成条例】夏休みに多発!子どもだけの外出について
子どもたちは夏休みに入りましたね。
夏休みといえば夏祭りがありますね。
私は、福岡に住んで約7年になるのですが、昨年始めて家族で放生会(ほうじょうや)に行きました。
息子は初めての縁日だったのでとてもはしゃいでいました。
途中で買ったチョコバナナを落とし泣いており、他のお菓子で釣ろうとしてもずっと泣いていたので、もう一度チョコバナナを買ってあげると、少し恥ずかしかったのかはにかみながら今度は落とさず食べていました。
今年も行くことを予定していますが、今度は初めから落とさずに食べて欲しいなと思います。
お祭りとなると、夜に活気がで出すイメージがありますが、夜に子どもだけで出歩いていたり、親がついていても夜に子どもを連れまわしたりすることは法的に問題はないのでしょうか。
また、夜といっても何時までなら大丈夫なのでしょうか。
青少年の夜間の外出等について規定してものとして、各都道府県ごとに定められている青少年健全育成条例というものがあります。
この条例では、各都道府県ごとに定めは違いますが、例えば福岡県青少年健全育成条例では、
と規定がされています。
なお、この深夜の定義ですが、各都道府県ごとに異なっているので、気になる方はご自身のお住いになられている都道府県の条例を確認されてみてください。
つまり、保護者は深夜に外出させないよう努める義務(努力義務)にとどまっています。
また、青少年健全育成条例では、深夜に出歩いている子どもを規制対象にしていないため、子どもたちだけで出歩いたとしても条例違反にはなりません。
では、子どもだけで出歩いていいかというとそうではなく、警察官が危険だと判断した場合には、出歩いている子どもを補導することになります。
明確な定めはないですが、警察官の補導も、青少年健全育成条例を基準として、補導を行っているようであるため、夜に子どもたちだけで出歩くのは避けるべきでしょう。
なお、午後11時より前であっても警察官が危険と判断した場合には補導の対象になることがあるため注意が必要です。
また、保護者が同伴している場合であっても、あまりにも遅い時間に子どもと一緒にいる場合には、補導ではなく職務質問などがなされる可能性もあります。
そもそも、あまり遅い時間に出歩くこと自体、お子さんに育成にとってよいことではないため、できるだけ控えた方がいいですね。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
熱中症における労務管理
7月に入り、暑さがますます強くなってきましたね。
息子が幼稚園に通っているのですが、いつも幼稚園が終わると、近くに公園でお友達と遊びたがります。
天気予報で最高気温のニュースを見るたび、妻は、「この気温の中、外で遊ぶのかしら・・・」と戦々恐々としています。
ちなみにこの記事を書いている今日は、お友達がみんな習い事等で公園に行かなかったため、無事、自宅へ直帰できたそうです。
このような暑い日に気をつけなければならないのが、熱中症です。
たかが熱中症と侮っていると、重症になってしまい、特に高齢の方の場合には熱中症が原因でお亡くなりになってしまうこともあるので非常に注意が必要です(ご高齢の方の場合、暑いと感じなくなり、エアコンを使わないで日中も過ごす方がおり、室内で熱中症になられる方も少なくないようです。)。
熱中症については仕事をしているときにも問題となります。
法律上、労働安全衛生法や労働安全衛生規則、労働基準法施行規則等において、多量の高熱物体を取り扱う業務の場合や、暑い場所や多湿の場所での屋内作業の際には、法定労働時間外に2時間を越えての就業を禁じていたり、18歳未満の年少者の就業を禁じており、日常的に暑い環境に置かれている業務について、熱中症などの疾病にならないよう対策がされています。
上記のような業務以外にも、会社の営業や、現場作業の方、外での警備、引越業務等熱中症になる可能性が高い業務は色々あると思います。
こういった業務を行う従業員が業務中に熱中症になってしまった場合、その熱中症に「業務起因性」が認められた場合、労災事故となります。
それだけではなく、企業において、従業員の熱中症対策を一切行っていなかった場合には、いざ、従業員が業務中に熱中症になった場合、労災になるだけでなく、安全配慮義務違反として損害賠償の対象になるリスクがあるので注意が必要です。
そのような事態を避けるためにも、気象情報の確認、熱中症警戒アラートの確認、単独作業を避け、こまめな水分、塩分の補給を促すなどの管理が必要になってくるでしょう。
企業が対策すべき熱中症の予防については、厚生労働省から通達やマニュアルがあるため、気になる方はご確認ください。
年々気温が高くなり、熱中症のリスクも増えてきていると思いますので、働かれる方も、会社もみんなで注意しておいたほうがいいと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
進むWeb手続き
IT社会の発達に伴い、裁判所における手続きも着々とWebの手続きが進められています。
先日、離婚や遺産分割といった家事調停だけでなく、破産など裁判以外の手続きをオンラインで可能にする法律の改正が国会で可決されたとのニュースを目にしました。
すでに、昨年5月に成立した民事訴訟法の改正により、民事訴訟については訴訟の提起から、判決に至るまでWebで行うことができるようになっており、順次Webの手続きが福岡の裁判所でも進められています。
裁判所からはWeb対応可能ですかと聞かれることが多く、当事務所は対応可能な体制であるため、対応可能と回答しているのですが、相手方の代理人などが、高齢の方の場合には、対応不可などと言われ(双方の代理人が対応可能でなければ使うことができないのです。)、現時点で、Webでの書面提出の手続きは一度も行ったことがありません。
周りの弁護士からは、今までの郵送やFAXで書面を提出していたのがなんだったのかというくらい便利との評判ですので、早く使ってみたいなと思っています。
今回の改正は、こうした民事裁判だけでなく、破産などの手続きもWebですることができるようになると決まりました。
破産の場合、従前は申立書や添付資料(収入資料、財産資料(通帳の写し)など大量の枚数を印刷し、裁判所へ郵送していたのですが、それが、今後、印刷せず、Webでできることを考えると、申立てに至る労力だけでなく、資源も節約できるため、具体的な運用が始まるのを今か今かと待っています(ニュースでは令和10年までに順次始まっていくとのことですので、気長に待とうと思います)。
このように、IT化が進むことは非常に利便性が向上し、喜ばしいことなのですが、ITを活用するのはあくまでも人間であるため、人為的なミスが発生する危険性があります。
また、先日、他人の情報がマイナンバーに紐づけされていたというニュースもあったように、国が運用するシステムだから安全だということは決してないため、セキュリティ面の安全性にも注視しておく必要があると考えています。
特に裁判所に提出する文書や資料は、クライアントだけでなく多数の人の極めて重要な個人情報が大量に記載されているため、より慎重な対応が必要です。
当事務所でもこうしたIT技術を利用する際に、ヒューマンエラーが生じないよう、ネットリテラシーを高め、適切にIT技術を利用できるよう更にこころがけたいと考えています。
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社内資料で著作権侵害に?
会社にお勤めされている方などは、社内でのプレゼン資料や、会報など、外部に公開することを予定されていない、資料を作成される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういった、資料を作成する際に、ネットなどでちょうどいい写真などを見つけて、資料に貼り付けたり、社内の資料であるからとして、キャラクター等を使った資料を作られてはいないでしょうか。
今回は、そうした社内資料を作成する際の著作権についての注意点をご説明させていただきます。
まず、創作者(著作権者)の権利(著作権)を保護するために規程されている法律に著作権法があります。
そして、著作権者には、著作物の複製や利用に関する独占的な権利が認められており、第三者が著作物を利用する場合には、原則として、著作権者の許諾が必要となり、許諾を得るために利用料(ライセンス料)を支払う必要があることが多いです。
もっとも、例外的に、他人に著作権があるものであっても、「私的利用」すなわち、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」場合には、著作権者の許可を得ることなく著作物を利用(複製)することができます。
では、社内でのみ利用す資料に著作物を利用する場合が、この「私的利用」に該当するのでしょうか。
この点については、裁判例があり、いかに内部でのみ利用する資料であっても、企業が著作物を利用する場合には、「私的利用」には該当せず、著作権者の許諾を得る必要があると判断しています。
このように、企業の場合には内部資料であっても「私的利用」とは認定されません。
内部資料であっても著作権者に無許可で著作物を利用してしまった場合には利用料相当額の損害賠償を支払う必要があります。
もっとも、他人の著作物を利用する場合、著作権者の許可を得る以外には、著作権法第32条1項に規定される「引用」の要件を満たす必要があり、会社の内部資料等で使用する場合にはこの引用目的で利用する場合がほとんどであると思います。
その場合には、引用の必要性があり、出典を明示するなど、厳密な要件が必要になりますので、資料を作成する際には、ぜひ弁護士にご相談いただいた上で、適法に作成されることをおススメします。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
保釈中の被告人にGPSの装着
皆さんも、刑事事件のニュースで、保釈という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
保釈とは、刑事事件において起訴された被告人が保釈金を支払うことで、勾留されている状態から釈放される制度で、刑事事件訴訟法に規定されています。
保釈により、逮捕、勾留されていた人も、釈放され日常生活に戻ることができますが、後日行われる刑事裁判(公判といいます。)に出廷しなかったり、逃走してしまった場合には、再び勾留されることになり、また、支払った保釈金も没収されてしまうことになります(他方、きちんと公判に出廷している場合には、保釈金は後日返金されることになります。)。
このように、保釈金を担保として逃亡することを防いでいた保釈制度ですが、皆さんもご記憶に新しいと思いますが、日産の元会長であるカルロス・ゴーンが保釈中に海外に逃亡してしまう事件が起きたように、保釈金のみでは、釈放された被告人の逃亡を防ぐことができない状態になりました。
そのような中、先日、国会で、改正刑事訴訟法の法案が衆参両議院で可決されました。
その改正の1つとして、裁判所が保釈許可時に海外逃亡を防ぐ必要があると判断すれば、被告にGPS端末の装着を命令できるようになりました。
そのうえで、空港や港湾施設の周辺といった「所在禁止区域」への立ち入りや、端末の損壊・取り外しを行った場合、端末が違反を検知して裁判所に通知し、身柄が確保されることになります。
このように被告人がGPSの装着をすることにより、逃亡の恐れはなくなることにはなりますが、他方で、被告人の位置情報が把握されることによりプライバシーなどの人権侵害が起こる可能性があります。
改正刑事訴訟法では、被告人のプライバシーに配慮するために、裁判所や検察官は、違反行為が行われない限りGPSによる位置情報を確認することはできないとされているようです。
アメリカの一部の州では、性犯罪等一定の犯罪を起こした人に対し、居住する場所を制限し、かつ、GPSの装着を義務付けるなど、再犯を防ぐために課しているところもあります。
犯罪をなくすという必要性と、犯罪を犯してしまった人の人権というどちらも重要な利益の衝突場面で、どういった方策が正解なのか非常に難しい問題です(よく司法試験の憲法の問題でも出題されることが多い分野です。)。 時代の変化に伴い、新しい制度や法律が制定されますが、人権を過度に侵害したものではないかという点は、法律家として常に意識していきたいと思います。
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