弁護士コラム

2023.09.27

増えている無縁墓~お墓の管理について~

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お盆などにご先祖のお墓参りに行かれる方は多いと思います。
家の近くにお墓がある方はお墓参りやお墓のお世話も比較的簡単にできるかもしれませんが、離れたところにあるとなかなかお墓参りも一苦労ですね。
私は、父方のお墓は九州、母方のお墓は四国、妻の先祖のお墓は九州にあるため、今は、実家に帰省した際にお墓参りをすることはできていますが、先々お墓の管理などどうすればいいのかなと考えることがあります。

先日、ニュースで、高齢化や核家族化を原因として、管理がまったくされていないお墓、いわゆる無縁墓の実態を国が調査をしたところ、公営墓地において引き継ぐ人がいなくて放置されている無縁墓があると回答した自治体が半数以上にのぼることが明らかになったと報じていました。
私のケースではありませんが、お墓がはなれた所にある人やそもそもお墓の存在を知らない親族の方もいられると思いますので、今後このような無縁墓は増えていくのではないかと思います。

無縁墓が放置されてしまうと、墓石やブロック塀の老朽化等による倒壊リスク等が考えられます。
このような危険性のある無縁墓ですが、先ほどの国の調査では、多くの自治体において、対応に苦慮しているとのことでした。

理由としては、まず、無縁墓に関する法律の規定などがないため、どの状態に至ったら無縁墓と判断すべきであるのかという明確な基準がないということがあります。
また、無縁墓と判断した場合、遺骨などは合同のお墓(合葬墓)に入れたうえで、墓石を処分する必要があるのですが、墓石自体の所有権は、後述する通り実際にお墓を管理している人(祭祀承継者)にあるため、勝手に処分をしてしまうと、後々所有権を侵害したとして損害賠償請求されるリスクがあるためです。

こうした問題が生ずる一つの原因としては、無縁墓や、放置された墓石の所有権に関する法律の規定が整っていないことが考えられます。
おそらく今後、空き家問題等などで最近法改正された特定空き家などのような法規制がされていくと思いますが、無縁墓を作らないようにするためにも、いまの世代の人で将来墓地の管理が難しくなると予想される場合には、墓じまいなどの対策も考えなければいけないのかもしれません。

なお、余談になりますが、墓石や仏壇などの祭祀については、相続の遺産分割の対象とはならず、祭祀承継といって、誰がそういった祭祀を承継すべきなのかを話し合って決めたり、場合によっては裁判所が、従前の状況や慣習などを根拠に判断していくことになります。
相続のご相談をいただく際には多くの場合こういった祭祀の承継についても問題となりますので、相続や祭祀のことでお困りの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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