弁護士コラム

2023.10.17

棺をのぞき込んで死亡!?

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当事務所は、相続事件を専門に取り扱っている事務所ですので、日々、相続に関するご相談が非常に多く寄せられます。

相続が発生するということは、ある方がお亡くなりになっています。
そして人がお亡くなりになると、葬儀が執り行われます。

先日、この葬儀に関連して、とても驚いたニュースがありました。
葬儀において、火葬、埋葬などを行う前にご遺体を保存するための棺で二酸化炭素中毒による死亡事故が起きており、消費者庁と国民健康センターが注意喚起しているとのことでした。

棺

このニュースのタイトルを見たときに、霊的なもので、亡くなられた方が、家族を道連れにしてしまったのかと思いましたが、ニュースの中身を見ると、棺の中には、ご遺体の状態を保つためにドライアイスが入っていることがあり、換気されていない部屋などで、棺を覗き込んだ際に、気化した高濃度の二酸化炭素を吸い込んだことが原因でなくなっているとのことでした。

通常、空気中にも二酸化酸素は存在するのですが、その割合は、わずか0.03%しかありません。 しかし、この二酸化炭素の濃度がわずか3%の環境になると、その環境に長時間いると呼吸困難やめまいなどの症状が出始め、濃度が30%になるとほぼ即時に意識を失ってしまうそうです。

冷凍食品やケーキの保管などで頻繁に使うドライアイスでこんな事故が起きてしまうことがあるとはとても驚きましたが、消費者庁などが注意喚起をしている以上、めったに起きない事故というものではないのではないかと思います。

こうした注意喚起がなされている以上、葬儀場等を運営する会社においては、葬儀の主催者や参列者に対し、貼り紙などで棺をのぞき込まないように注意喚起したり、換気を徹底するなどして、最悪の事態が起きるのを防ぐ義務があり、そのような措置を怠り、事故が発生した場合には、損害賠償責任を追うことになると思います。

お葬式は人がお亡くなりになって、決して楽しい行事ではないため、そのような場でさらなる悲しいことが起きないように、注意したいですね。

 

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2023.10.12

119番通報の適切な利用について

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2019年12月に新型コロナウイルスの感染がはじまってから、もうすぐで4年が経過しようとしています。
一時期の感染拡大時には119番通報しても救急車が来られない等、医療現場もひっ迫した状態でした。
そんなコロナも今年にはインフルエンザと同じ第5類に分類され、ワクチン接種などもあり、以前の爆発的に感染が広まっていた時と比べると感染状況も収まってはいるようです。

しかし、先日、ニュースで、東京では現在119番通報がつながりにくいという状況が続いていると報じられていました。
そして、東京消防庁が、令和5年9月に「X(旧Twitter)」において、
『不要不急の電話については最後までお話を効かずに切断する場合があります。 他の緊急通報を優先するための措置ですので、ご理解をお願いします。』
という呼びかけを行ったことも報じられていました。
不要不急の119番通報の場合には、救急車が臨場しませんという呼びかけなら一般的にあるかなと思うのですが、電話を途中で切断する場合がありますという呼びかけをしている時点で、そもそも通報が非常に多いことに加え、不要不急でない通報も多く、現場はひっ迫しているのだなと感じます(ニュースでは、暑くて歩けない、虫が出たので何とかしてほしいなど、救急車をなんだと思っているのかというような通報があるようです。)。

客観的に救急車を呼ぶ必要がないのに119番通報してしまったとしてもそれだけでは何も罰則はありません。
しかし、呼ぶ必要がないという状況を超えて、そもそも、何もないにもかかわらず、ケガをした、体調が悪いなどといって119番通報する行為(要は嘘の通報をする行為です)は犯罪になります。

具体的には虚偽の事実を伝えて、消防署等の業務を妨害しているので偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立します。
また、消防法44条20号によって、火災の発生や傷病者(ケガや病気をした人)に関する虚偽の事実を通報した場合には、30万円以下の罰金等が課せられることが規定されています。

こうした犯罪行為はもってのほかですが、そうでない場合でも上記のように、タクシーや便利屋と勘違いしているような119番通報がなされることにより、本当に救急車を必要としている人のもとに駆けつけることができなくなってしまい、人命にかかわることにもなりかねないため、絶対にひかえていただきたいです。

もっとも、客観的には自分や家族の症状をみて、119番通報してもいいのかな通報を躊躇されてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方や119番通報してもよいのかわからないという方のために、消防庁において「救急安心センター」(♯7119)という事業を行っています。
この「♯7119」に電話すると電話口で医師、看護師、相談員が話を聞き、病気やケガの症状を把握したうえで、救急車を呼んだ方がいいか、急いで病院を受診した方がいいか、受診できる医療機関はどこか等を案内してくれます。

症状から見て明らかに問題がある場合には119番、そこまではないけど、どうすればいいかわからないという場合には♯7119というようにうまく使い分けて対応するように心がけたいですね。

 

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2023.09.27

増えている無縁墓~お墓の管理について~

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お盆などにご先祖のお墓参りに行かれる方は多いと思います。
家の近くにお墓がある方はお墓参りやお墓のお世話も比較的簡単にできるかもしれませんが、離れたところにあるとなかなかお墓参りも一苦労ですね。
私は、父方のお墓は九州、母方のお墓は四国、妻の先祖のお墓は九州にあるため、今は、実家に帰省した際にお墓参りをすることはできていますが、先々お墓の管理などどうすればいいのかなと考えることがあります。

先日、ニュースで、高齢化や核家族化を原因として、管理がまったくされていないお墓、いわゆる無縁墓の実態を国が調査をしたところ、公営墓地において引き継ぐ人がいなくて放置されている無縁墓があると回答した自治体が半数以上にのぼることが明らかになったと報じていました。
私のケースではありませんが、お墓がはなれた所にある人やそもそもお墓の存在を知らない親族の方もいられると思いますので、今後このような無縁墓は増えていくのではないかと思います。

無縁墓が放置されてしまうと、墓石やブロック塀の老朽化等による倒壊リスク等が考えられます。
このような危険性のある無縁墓ですが、先ほどの国の調査では、多くの自治体において、対応に苦慮しているとのことでした。

理由としては、まず、無縁墓に関する法律の規定などがないため、どの状態に至ったら無縁墓と判断すべきであるのかという明確な基準がないということがあります。
また、無縁墓と判断した場合、遺骨などは合同のお墓(合葬墓)に入れたうえで、墓石を処分する必要があるのですが、墓石自体の所有権は、後述する通り実際にお墓を管理している人(祭祀承継者)にあるため、勝手に処分をしてしまうと、後々所有権を侵害したとして損害賠償請求されるリスクがあるためです。

こうした問題が生ずる一つの原因としては、無縁墓や、放置された墓石の所有権に関する法律の規定が整っていないことが考えられます。
おそらく今後、空き家問題等などで最近法改正された特定空き家などのような法規制がされていくと思いますが、無縁墓を作らないようにするためにも、いまの世代の人で将来墓地の管理が難しくなると予想される場合には、墓じまいなどの対策も考えなければいけないのかもしれません。

なお、余談になりますが、墓石や仏壇などの祭祀については、相続の遺産分割の対象とはならず、祭祀承継といって、誰がそういった祭祀を承継すべきなのかを話し合って決めたり、場合によっては裁判所が、従前の状況や慣習などを根拠に判断していくことになります。
相続のご相談をいただく際には多くの場合こういった祭祀の承継についても問題となりますので、相続や祭祀のことでお困りの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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2023.09.19

お客様は神様??~旅館業法の改正~

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以前、ハラスメントについて紹介した際、カスタマーハラスメント(カスハラ)という言葉を紹介しました。
前回の記事はこちらから:従業員の名札は必要?
前回の記事はこちらから:なんでもハラスメント?~現代のハラスメントの問題点~
客が店員に対し、過剰な要求や暴言を吐くなどの行為を行うことを指します。
このようなカスハラを行う人の根底には、「お客様は神様」というような考えがあるのでしょう。
ただ、このような行為は、お店の業務を阻害するばかりか、他の利用客に迷惑をかける行為であり、最近では、迷惑をかける人に対しては毅然と対応するお店も出てきているようです。

しかし、ホテルや旅館では、こういった迷惑客の対応を強いられて来ました。
それは、これまで旅館業法という法律で、宿側は原則として宿泊を拒否することができないと規定されており、拒否できる事由が、伝染性の疾病患者や、犯罪を行う恐れのある人などきわめて限られた場合に限定されていました。

旅館

この規定により、上記のようなカスハラを行う人であっても、宿泊を認めざるを得ず、その対応に従業員の方なども苦慮していたようです(暴言や暴行等きわめて対応が悪質な場合には、業務妨害に関する犯罪行為であるため警察に通報するなど対応は可能なのでしょうが、現場でその判断を行うのは難しいという実情があるそうです。)。

そんな中、令和5年6月に旅館業法が改正され、宿泊しようとする人が、営業者に対し、過剰な負担を強いる要求をした場合や、他の宿泊者へのサービスを阻害する恐れがある要求を繰り返した場合には、宿泊を拒否することができるようなり、まさにカスハラを行う人の宿泊を拒否することができるようになりました。

このように、法律で、宿泊拒否を行うことができることが明確に規定されたため、ホテル側としても、具体的にこういった場合にはこの条文に該当するというようなケースを想定して準備をしておけば、現場の従業員の方の負担も軽減されるのではないでしょうか。

お客側も、金銭(対価)を払うという点でなぜか上の立場になったように錯覚し、度を越えた迷惑行為を行ってしまうのかもしれません。
しかし、お金を払う側とサービスを提供する側が対等な立場であることは明らかで、あくまでも「お客様はお客様」でしかないので、お店の人にもお互い敬意をもって対応してきたいですね。

 

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2023.09.07

相続解決事例:海外に住んでいる相続人がいる遺産分割事件

プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響しない範囲で内容を変更して紹介しております。

ご相談事例

異母兄弟とこれまで一切連絡を取ったことがないので、遺産分割の話し合いができません。
相談内容

  • 相談者…後妻の子(依頼者)
  • 被相続人…父
  • 相続人…前妻との間の子3名、後妻(依頼者の母)、依頼者

父は若いころに、前妻と結婚し、前妻との間に子どもが3人います。
その後、父は前妻と離婚し、後妻(依頼者の母)と再婚し、私が生まれました。
前妻との間の子(依頼者の異母兄弟)とはこれまで一切連絡を取ったことがないので、遺産分割の話し合いを自分たちではできません。
なお、遺産については預貯金として約300万、不動産(自宅)約1,500万円があります。

弁護士の対応

遺産分割協議として受任。

まず、被相続人の相続人の所在を調査することから開始しました。
住民票を取得したところ、前妻の子3人のうち、1人が海外に移住していることが判明しました。

通常、遺産分割協議を行う場合には、遺産分割協議書等の書面に実印を押してもらい、印鑑証明書を添付して相続手続きを行うことになります。

しかし、海外にお住いになられている方の場合には印鑑証明がありません。
この場合、印鑑証明書の代わりとして、お住いになられている国の在外公館(大使館など)へ行ってもらい、在留証明書と署名証明(サイン証明)というものを貰ってきてもらう必要があります。
サイン証明とは簡単に言うとこの書面(遺産分割協議書)に署名をした人は、在留証明書記載の人物(相続人)であることは間違いないという証明を在外公館でしてもらう手続きになります。

このような状況でしたので、まず、前妻の子のうち、国内にお住いの人達にお手紙を送り、遺産分割に協力してほしいことと、海外にお住いの方のご住所や連絡先を教えてほしいとお願いしたところ、海外のお住いの方のメールアドレス等の情報を聞くことができました。

なお、国内のお子さんたちは、父親(被相続人)と一切疎遠であったため、相続財産は不要であるとのことであり、相続分を全て依頼者に譲渡してもらうことが出来ました。

そして、海外にお住いの相続人の方と連絡をとり、丁重にサイン証明の取得を依頼したところ、協力していただけたため、相続人全員との間で遺産分割協議が完了しました。

相続人に海外にお住いの方がいらっしゃる場合には、通常の手続きとはことなる手続きが必要となりますので、相続を専門に取り扱っている当事務所に是非ご相談ください。

ご相談事例・解決事例の掲載について

事例回答はあくまでご参考となります。 実際にご自身のご相談で同じ結論になるかどうかは、個別の判断が必要となります。
当事務所の初回無料相談をご利用いただき、個別のご相談および弁護士からのアドバイスをお受けください。

※弁護士又は弁護士法人の場合、所属弁護士会を経て国税局長に通知することで、その国税局の管轄区域内において税理士業務を行っており、当事務所所属弁護士も通知届出を行っております。

相続セミナー動画でわかりやすく解説!

当事務所・弁護士法人菰田総合法律事務所は、博多マルイ5Fに相続のご相談に特化した相続LOUNGEを運営しています。
相続LOUNGEについては、公式サイトをご覧ください。⇒公式 相続LOUNGEサイト
相続LOUNGEでは、Youtubeチャンネルを開設し、弁護士による相続セミナー動画を配信しています。

遺産分割問題の専門サイト

当事務所では遺産分割問題の専門サイトを開設しています。 遺産分割の進め方や、どこで問題になりやすいか、解決事例などを掲載しておりますのでぜひこちらもご覧ください。
遺産分割の専門ページを作りました!
遺産分割の専門ページはこちらから https://law-komoda.jp/isanbunkatsu/

 

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2023.09.01

転売に関する法規制

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皆さんは、子どものころ、トレーディングカード等で遊んだことはありますか??
私も小学校の頃は、友達とカードゲームにのめりこみ、レアカードや強いカードを手に入れるために、お年玉やお小遣いなどためていたお金をはたいていました。
しかし、成長していくなかで、集めたカードもどこにあるのか分からない状態になりました。
今思えば何であんなにも熱中していたのかと思ってしまうのは、年を取った証でしょうか。

私が子どものころは、欲しいと思ったカードやおもちゃなどは、お店に売ってあり、どこのお店を探しても買えないといったような事態はなかったように思いますが、最近ではいわゆる転売ヤーが登場したことにより、転売ヤーによって大量に商品が買い占められ、本当に遊びたい子どもたちの手に渡らないという事態が続いているようです。

このように転売ヤーなどという表現から転売自体にいい印象をお持ちでない方は少なくないと思いますが、法律で転売についてはどのような規制がされているのでしょうか。

まず、転売という行為事態は何ら違法な行為ではありません。
転売には一般的に、在庫を有した状態(仕入れた状態)で買い手を探す場合と、買い手からの注文が入った時点で、在庫を仕入れる場合(いわゆる「無在庫転売」というそうです。)がありますが、どちらも違法ではありません。

ただ、無在庫転売の場合には、契約が成立し、代金が支払われた後、商品を仕入れることが出来なかった場合には、代金を返還する義務がありますし、はじめから仕入れる意図がないにもかかわらず、買い手から代金を受け取った場合には詐欺罪として刑事罰の対象ともなってしまいます。

トレーディングカード

このように転売自体は法律上違法な行為ではないですが、中古品を安く仕入れて高く転売することをビジネスとしている場合には、古物商許可を得る必要があり、古物商の許可を得ることなく、刑事罰の対象となってしまうので注意が必要です。(これに対し、新品を転売する場合や仕入れずに自分で使用していたものを売却する場合には古物商許可は不要とされています。)。

また、商品とは若干異なるのですが、コンサート等のチケットに関しては、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(通称:チケット不正転売禁止法といいます。)という法律が、平成30年12月に成立しています(令和元年6月から施行されています。)

この法律では、要件を満たすチケットについて、不正転売(興行主の事前の同意を得ず、反復継続の意思をもって、販売価格を超える価格で転売する行為)を行うこと及び、不正転売を目的としたチケットの譲り受け(購入、仕入れ行為)を禁じており、これに違反した場合には刑事罰の対象となります。

平令和2年には、人気アイドルグループのチケットを不正に転売した者に対し、懲役1年6か月(執行猶予3年)、罰金30万円等の有罪判決がだされています。

なお、この法律では、不正転売されたチケットを購入した人を罰するものではありませんが、不正転売されたチケットを購入した人については興行主側で入場禁止などのペナルティが課せられる可能性があるため、本当に参加したいのであれば、正規(公式)のリセールサイト等から購入するのがよいでしょう。

物品の転売やチケットの転売は、その物を本当に欲しい人やファンの人に物やチケットが行きわたらなくなってしまうので、転売を行う人も節度をもって行ってほしいと思います。

 

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2023.08.28

相続解決事例:遺留分侵害額請求、預金の引き出し(不当利得返還請求事件)

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ご相談事例

遺言が長男にすべて財産を相続させるという内容でした。自分が一切もらえないことに納得できません。
相談内容

  • 相談者…長女(依頼者)
  • 被相続人…母
  • 相続人…長男、長女(依頼者)の2名

父の死後、父が公正証書遺言を作成していること及び、遺言の内容として、長男にすべて財産を相続させるとなっていることが判明しました。

また、父は従前認知症になっており、長男が預貯金を管理していたのですが、認知症で病院で寝たきりの状態になっている時期に父名義の預貯金から多額の預金が引き出されていることが判明しました。
父の面倒は長男が見ていたのですが、自分が一切もらえないことは納得できません。

弁護士の対応

まず、ご相談者様には、遺留分という相続人に認められている最低限の相続財産があるところ、上記遺言は全てを長男に相続させるという内容になっており、ご相談者様の遺留分が認められない(侵害されている)状態になっていたので、代理人として直ちに、長男に対し、遺留分侵害額請求の内容証明郵便を送付しました。

また、預貯金の引き出しについては、銀行から取引履歴を取得し、使途が不明な預金を精査し、長男に対し、不当利得返還請求を行いました。
長男にも代理人が就任し、代理人間で協議を行うことになりました。
不動産の評価額や、出金した預金の使途などが争点となりました。

不動産の評価額について

双方が不動産の査定書を提出して金額を争いましたが、こちらの査定額の方が適切であると説得的に出張したところ、相手の弁護士もこちらの査定金額で合意し、結果として遺留分として請求できる金額を増額することができました。

預金の引き出しについて

預金の引出した店舗の場所や医療記録などを精査し、長男による引き出しであると追及すると、使い込みであることを認めたため、交渉により早期に返還が認められました。
遺留分侵害額請求については請求できる期限があることや、不動産の評価額や過去の贈与などにより請求できる金額が大きく異なってくるため、ノウハウを有した専門家に依頼することが必要不可欠です。

預金の引き出しについては、様々な論点があり、こちらも通常の法律事務所ではなく、相続を専門に取り扱う弁護士に依頼することが必要不可欠です。
遺留分や預金の引き出しでお困りの方は、できるだけ早く当事務所へご相談ください。

ご相談事例・解決事例の掲載について

事例回答はあくまでご参考となります。 実際にご自身のご相談で同じ結論になるかどうかは、個別の判断が必要となります。
当事務所の初回無料相談をご利用いただき、個別のご相談および弁護士からのアドバイスをお受けください。

※弁護士又は弁護士法人の場合、所属弁護士会を経て国税局長に通知することで、その国税局の管轄区域内において税理士業務を行っており、当事務所所属弁護士も通知届出を行っております。

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2023.08.25

はみ出た木の枝は切ってもいい??

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先月の話ですが、息子も幼稚園で、七夕会があったらしく、短冊がついた笹の葉を持って帰ってきました。

短冊には幼稚園の先生が願い事を書いてくれたらしく、「やきゅうがじょうずになりますように」と書いてありました。
去年は、「おいしゃさんになれますように」と書いてあったのですが・・・・来年はなんて書いてあるか楽しみです。

子どもが持って帰ってくる笹の葉はとても小ぶりでかわいらしいのですが、これが、実際に生えている樹木となると、とてもかわいいでは済まないもんだとなってきます。

当事務所にも何度か相談に来られる方もいらっしゃるのですが、隣の家から木の枝等がはみ出てきているのを勝手に切ってもよいのかという問題があります。

住宅

この相談の回答ですが、以前までですと、「はみ出ていても他人の所有物なので勝手に切ってはいけません。①まず、撤去してくださいと交渉し、ダメであれば②訴訟を提起して、判決をもらってから③強制執行の申立てをすることで初めて切ることがになります。」というものであり、最終的な解決までに費用や労力がかかってしまうため、諦めるという方も少なくありませんでした。

このように、隣地から樹木等がはみ出ており、迷惑をしているという案件は全国でも多数あり、隣地だけでなく、公道にはみ出ている場合には道路の安全も害されることになってしまい、社会的な問題にもなっていました。

しかし、令和3年4月に民法改正法案において(令和5年4月1日から施行となりました。)、民法233条に新たな条項が追加されました。
それは、土地の所有者は、竹木の所有者に対し枝を切除するよう請求できるということを原則(233条1項)としつつ、一定の場合には、土地の所有者が、竹木の所有者の許可なく、はみ出した枝を切除することができるようになりました(233条3項)。 具体的には、次のいずれかの場合には、土地の所有者が枝を切除することができるようになりました。

①⽵⽊の所有者に越境した枝を切除するよう催告したが、⽵⽊の所有者が相当の期間内に切除しないとき
②⽵⽊の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき
③急迫の事情があるとき

つい先日、道路(市道)にはみ出した枝について、市が樹木の所有者に対し、何度も連絡したが応じてもらえなかったため、市において、道路にはみ出した樹木を切除したというニュースがありましたが市が行った措置の根拠となる法令がこの改正された民法233条3項となります。

このように、民法の改正により、一定の場合には土地の所有者が裁判を起こすことなく、はみ出した枝を切ることができるようになりました(切るために要した費用については、本来であれば樹木の所有者が負担すべき費用であるため、樹木の所有者に請求できると考えられています。)。

もっとも、はみ出していればすぐに切っていいというものではなく、上記①~③のいずれかの場合に該当する必要があります。
後々にトラブルにならないようにするために、弁護士に書面の作成の依頼や、代理人としての対応の依頼など検討された方がいいと思いますので、隣地の樹木などでお困りの方はぜひご相談ください。

 

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2023.08.10

【青少年健全育成条例】夏休みに多発!子どもだけの外出について

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子どもたちは夏休みに入りましたね。
夏休みといえば夏祭りがありますね。
私は、福岡に住んで約7年になるのですが、昨年始めて家族で放生会(ほうじょうや)に行きました。
息子は初めての縁日だったのでとてもはしゃいでいました。
途中で買ったチョコバナナを落とし泣いており、他のお菓子で釣ろうとしてもずっと泣いていたので、もう一度チョコバナナを買ってあげると、少し恥ずかしかったのかはにかみながら今度は落とさず食べていました。

今年も行くことを予定していますが、今度は初めから落とさずに食べて欲しいなと思います。
お祭りとなると、夜に活気がで出すイメージがありますが、夜に子どもだけで出歩いていたり、親がついていても夜に子どもを連れまわしたりすることは法的に問題はないのでしょうか。
また、夜といっても何時までなら大丈夫なのでしょうか。

夏祭り

青少年の夜間の外出等について規定してものとして、各都道府県ごとに定められている青少年健全育成条例というものがあります。
この条例では、各都道府県ごとに定めは違いますが、例えば福岡県青少年健全育成条例では、
福岡県青少年健全育成条例
と規定がされています。
なお、この深夜の定義ですが、各都道府県ごとに異なっているので、気になる方はご自身のお住いになられている都道府県の条例を確認されてみてください。

つまり、保護者は深夜に外出させないよう努める義務(努力義務)にとどまっています。
また、青少年健全育成条例では、深夜に出歩いている子どもを規制対象にしていないため、子どもたちだけで出歩いたとしても条例違反にはなりません。

では、子どもだけで出歩いていいかというとそうではなく、警察官が危険だと判断した場合には、出歩いている子どもを補導することになります。
明確な定めはないですが、警察官の補導も、青少年健全育成条例を基準として、補導を行っているようであるため、夜に子どもたちだけで出歩くのは避けるべきでしょう。
なお、午後11時より前であっても警察官が危険と判断した場合には補導の対象になることがあるため注意が必要です。

また、保護者が同伴している場合であっても、あまりにも遅い時間に子どもと一緒にいる場合には、補導ではなく職務質問などがなされる可能性もあります。
そもそも、あまり遅い時間に出歩くこと自体、お子さんに育成にとってよいことではないため、できるだけ控えた方がいいですね。

 

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2023.07.21

熱中症における労務管理

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7月に入り、暑さがますます強くなってきましたね。
息子が幼稚園に通っているのですが、いつも幼稚園が終わると、近くに公園でお友達と遊びたがります。
天気予報で最高気温のニュースを見るたび、妻は、「この気温の中、外で遊ぶのかしら・・・」と戦々恐々としています。
ちなみにこの記事を書いている今日は、お友達がみんな習い事等で公園に行かなかったため、無事、自宅へ直帰できたそうです。

このような暑い日に気をつけなければならないのが、熱中症です。
たかが熱中症と侮っていると、重症になってしまい、特に高齢の方の場合には熱中症が原因でお亡くなりになってしまうこともあるので非常に注意が必要です(ご高齢の方の場合、暑いと感じなくなり、エアコンを使わないで日中も過ごす方がおり、室内で熱中症になられる方も少なくないようです。)。

熱中症については仕事をしているときにも問題となります。

熱中症における企業側の労務管理

法律上、労働安全衛生法や労働安全衛生規則、労働基準法施行規則等において、多量の高熱物体を取り扱う業務の場合や、暑い場所や多湿の場所での屋内作業の際には、法定労働時間外に2時間を越えての就業を禁じていたり、18歳未満の年少者の就業を禁じており、日常的に暑い環境に置かれている業務について、熱中症などの疾病にならないよう対策がされています。

上記のような業務以外にも、会社の営業や、現場作業の方、外での警備、引越業務等熱中症になる可能性が高い業務は色々あると思います。
こういった業務を行う従業員が業務中に熱中症になってしまった場合、その熱中症に「業務起因性」が認められた場合、労災事故となります。

それだけではなく、企業において、従業員の熱中症対策を一切行っていなかった場合には、いざ、従業員が業務中に熱中症になった場合、労災になるだけでなく、安全配慮義務違反として損害賠償の対象になるリスクがあるので注意が必要です。

そのような事態を避けるためにも、気象情報の確認、熱中症警戒アラートの確認、単独作業を避け、こまめな水分、塩分の補給を促すなどの管理が必要になってくるでしょう。
企業が対策すべき熱中症の予防については、厚生労働省から通達やマニュアルがあるため、気になる方はご確認ください。
年々気温が高くなり、熱中症のリスクも増えてきていると思いますので、働かれる方も、会社もみんなで注意しておいたほうがいいと思います。

 

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