離婚解決事例:元配偶者からの慰謝料請求を排斥した(勝訴判決を得た)解決事例
ご相談事例
再婚後、元夫より私と今の夫に慰謝料請求の訴状が届きました
- 相談者…1年前に協議離婚が成立、元夫より慰謝料請求
- 相手方…元夫
- 今の夫…相談者の元夫より慰謝料請求
元夫とは6年前に結婚したのですが、元夫からのDVやモラハラがあったため、元夫に離婚したいと告げ別居しました。
はじめは離婚に反対していた元夫ですが、別居から半年たったころ、元夫も離婚すると言ったため、離婚の条件(子どもの面会や養育費など)について協議を数か月かけて行い、1年前に協議離婚が成立しました。
別居してから精神的に不安なときがあり、友人の男性に相談しており、友人も親身に対応してくれたため、次第に恋愛感情が芽生えてきました。
そして、元夫が離婚すると言ってから、籍を外すまでの期間に男女の関係になりました。離婚後、その男性と結婚したのですが、先日、元夫から、私と今の夫に対し、不貞行為を理由とした慰謝料請求の訴状が届きました。
籍を外す前に関係を持ってしまったこと、とても軽率だったと反省しています。やはり、籍が抜けていない以上、慰謝料を払わなくてはならないのでょうか。
弁護士の対応
まず、依頼者の方に届いた訴状や証拠を確認しました。すると、どうやら元夫は、離婚する前に興信所を雇っていたようであり、元夫と離婚する前に、2人でホテルに入る様子が写されていました。こうなると、離婚が成立する前に他の男性と関係を持っているため、慰謝料を払わなければならないように思えるかもしれません。
ここで、不貞行為による損害賠償の仕組みについて説明します。ここでいう損害とは、精神的苦痛、すなわち、慰謝料のことをいいます。不貞行為を原因とする損害賠償請求(慰謝料請求)の場合、不貞行為により、円満な夫婦関係が破綻するに至ったため、精神的苦痛を被ったため慰謝料を請求することができることになります。
したがって、性行為の前に夫婦関係が破綻している場合には、すでに別の原因で夫婦関係が破綻した後に関係を持っているため、性行為が原因で夫婦関係が破綻するに至ったわけではないとなるので(法律用語では、「因果関係(原因と結果の関係)がない」ということになります。)、結果として慰謝料請求は認められないということになります。
そこで、訴訟では、当職が代理人として、肉体関係があったことは間違いないが、それは、夫婦関係が破綻した後のものであり、因果関係がないため慰謝料を支払う義務がないと主張を行いました。そして、離婚協議中であったことの証拠として当事者が離婚の条件面について協議を行っているLINEのやり取りなどを提出しました。
結果として、判決では、原告(元夫)からの慰謝料請求は一切認められず、完全な勝訴判決を得ることができました。
今回の事例では、慰謝料請求が認められないという結論になりましたが、やはり、離婚が成立していない間に男女の関係になってしまうという時点で、原則としては慰謝料を支払わなくてはならなくなるため、男女の関係になるのは後々のトラブルを防ぐためにも、きちんと離婚が成立してからの方がよいでしょう(感情的な人だと、離婚が成立した後に関係をもっていた場合であっても、「離婚前から関係があったはずだ」と言って慰謝料の請求をしてくる人も少なくありません。)。
また、離婚で相談に来られる方の中には、他の方と交際している事実などをなかなか言い出せないという方もいらっしゃいます。後々相手方に知られてしまうと不利なってしまうケースも少なくないため、ぜひ弁護士には言いづらいことであっても、すべてお話しいただけると良いかなと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
子どもがお店の物を壊してしまったら?
小さいお子さんがいらっしゃるご家庭だと、買い物の際、お子さんが、お店の食べ物を勝手に触ってしまったりしないかヒヤヒヤしてしまうのではないでしょうか。 私にも5歳と2歳の子どもがいるのですが、家族でパン屋に行った際(最近家族でパン屋巡りにハマっています)などには、子どもたちが陳列されているパンを勝手に取らないかいつもヒヤヒヤしながら見守っています。幸いにして、子どもが食べ物を触ったりしたことは今までないのですが、もし子どもが触ってしまい、食べ物がダメになってしまった場合や、お店の物を壊してしまった場合には、法的にはどうなるのでしょうか。
子どもの責任?親の責任?
まず、お店の物を壊してしまった場合には、民法709条に基づき、物の価格について、賠償する義務を負います。もっとも、民法712条では、
「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」
と規定されているので、未成年者かつ、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能(責任能力といいます。)がない場合には、お子さん自身が責任を負うことはありません。その代わり、民法714条により、監督義務者(お子さんである場合には親権者である親など)が賠償する義務を負うことになります。 この責任能力については、未成年者ことに個別具体的に判断されるのですが、一般的には、11~12歳までは責任無能力であると判断されることケースが多いです。 したがって、小学校高学年くらいまでのお子さんの場合、親に支払う義務が発生し、中学生などになると、未成年者であるお子さん自身に賠償義務が発生することになります。 もっとも、現実には、お子さん自身が資力が無い場合も多いためいずれの場合でも親が支払うということになると思います。
払わなくてよいのはお店側の善意
こういった、お子さんのトラブルの際に、親が「子どものしたことなので」といって、支払いを免れようとする場合もあるかもしれませんが、上記のようにお店側は賠償請求することが出来る権利があります。したがって、「子どものしたことなので」というのはあくまでもお店側の善意として発せられるべき発言であって、親としてはきちんとお店に謝罪して、弁償する提案をするべきであると思います。 また、お子さんに対しても、親がきちんと謝罪して、弁償する姿を見せることで、自分がしてしまったことがいけないことであると実感し、反省するようになるのではないかと思います。 自分も親となって、子どもがトラブルを起こさないということが一番ではありますが、もし、お店に迷惑をかけてしまったような場合には、親としてきちんと責任をとることも大事なのではないかなと感じました。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
相続放棄をする理由
当事務所は、相続を専門として取り扱っているため、日々相続に関する様々なご相談が来ます。 その中で、相続放棄をしたいというご相談も非常に多くいただいています。
みなさんは、相続放棄をしたいと考えてご相談に来られる方はどんな方が多いと思いますか?今回は、相続放棄を行う理由等についてご説明させていただきます。
相続放棄とは?
まず、相続放棄について簡単に説明します。
相続とは、ある人が亡くなった時に、亡くなった人の財産を特定の人(相続人)が引き継ぐ(承継する)制度をいいます。
そして、相続放棄とは、相続人が、被相続人からの上記財産の承継(相続)を拒否する制度です。
相続放棄をすることで、相続人は初めから相続人ではなかったことになるため、被相続人からの財産の承継をしないことになります。
相続放棄をする理由
まず、法律上、相続放棄をする理由に制限はありません。
したがって、どのような理由であっても相続放棄をしたいと考え、相続放棄の申立を家庭裁判所に行うことにより(相続放棄の申述といいます)をすることで、相続放棄をすることが可能となります(なお、相続放棄は、「相続の開始があった」後にする必要があるので、被相続人の生前に相続放棄をすることはできません。)。
例えば、被相続人の財産が何億円もあるという状況であっても、相続放棄をすることは可能になります。
以下では、よくある相続放棄の理由についてご説明させていただきます。
マイナスの財産の方が大きい場合
先ほど、相続とは、被相続人の財産を承継する制度とお伝えしましたが、財産とは、プラスの財産だけではありません。 借金などのマイナスの財産も相続することになります。
そして、被相続人の財産について、マイナスの財産の方が大きい場合やマイナスの財産しかない場合には、相続人がマイナスの財産を受け継ぎ、借金などを返済しなければならないことになってしまいます。
こういった場合には、相続放棄をすることで、債務の返済義務を免れることができます。 相続放棄をする理由で一番多いと感じています。
管理が困難な財産がある場合
上記のような、マイナスの財産ではないものの、例えば、離島にある山林などのように、売却も困難であるような不動産の場合には、遠隔地に住んでいる相続人からすると、毎年固定資産税のみ発生する不動産となり、マイナスの財産と大差ない財産となってしまいます。
このような財産を相続してしまうと、自分の配偶者や子どもなどの家族にも迷惑をかけてしまうため、相続放棄をすることで、このような不動産を承継することを防ぐことができます。
相続人間の関係性が悪く争いになるのを避けたい場合
上記2つのように、相続すべき財産が存在しない場合だけでなく、十分な相続財産がある場合であっても相続放棄をするという方はいらっしゃいます、相続財産を相続するためには、相続人全員で、遺産分割協議を行う必要がありますが、相続人間の関係性が悪く、話し合いや争いごとをしたくないと思う場合には、相続放棄をすることで、相続人ではなくなるため、相続人間の紛争から逃れることができます。
もっとも、相続人間の話し合いについては、代理人として弁護士をつけることで本人が対応しなければならないという事態は避けられるため、是非弁護士にご相談ください。
その他
相続放棄をされる方の多くが上記3つの理由のどれかですが、あまりないレアケースとして、相続税の支払をさけるためという理由で相続放棄をする人もいらっしゃいます。
例えば、相続財産の換価が難しいが広大で非常に価値の高い不動産しかない場合には相続税は発生するものの、その相続税を納税するための資金(現金)がないという場合があります、そういった場合には、相続放棄を行うことで、相続人でなくなるため、相続税の申告義務を免れることができます。
最後に
このように、相続放棄は、負の財産の承継を防ぐことができたり、相続人間の不要な争いから逃れることができたりなど、メリットも多いのですが、その反面、プラスの財産についても取得することができなくなってしまいます。
相続放棄については、戸籍の収集や申立書作成等の手間もかかるうえ、そもそも相続放棄すべきかという点も検討しなければならないため、相続でお悩みの方は、是非、当事務所にご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
店内撮影禁止に違反したらどうなる??
皆さんは外食に行かれる際には、口コミサイトやSNSを参考にされたりするでしょうか?? 私の家族では、最近、うどんにとてもはまっており、休みの前の日などには、どのうどん屋に食べに行こうかと妻と話して、色々な口コミサイトやSNSの情報を調べたりしています。その際、一番重視しているのは口コミの内容ではなく、投稿されている料理の写真を見て、おいしそうか、食べてみたいかというのを決めているように思います。また、小さい子どもがいるため、店内の写真などをみて、カウンターだけの店ではないかなどを調べています。
このように、お店を決めるうえで、料理の写真等はとても重要であるため、SNSで写真や動画をアップしていただいている方にはとても感謝なのですが、最近お店に行くと、「店内写真撮影禁止」や撮影やSNSの投稿の関するお願いなどの文書が掲示されているお店もよく見かけるようになりました。
では、この「写真撮影禁止」に違反して撮影を行った場合法的にはどのような問題があるのでしょうか。
まず、店内や料理を撮影すること自体で、何ら犯罪が成立することはありません(しかし、立ち入り禁止の箇所に立ち入って撮影した場合などには、住居侵入罪等が成立する可能性はあります。)。これは、店側が「写真撮影禁止」という文書を掲示していたとしても、犯罪にはなりません。
では、「写真撮影禁止」と書かれていても写真をとってもよいかというとそういうわけではありません。店内の写真撮影を許可するかしないかについては、施設(お店)の管理権を有しているお店側が事由に決めることができるので、お店の方は、写真撮影をしているお客さんに写真を撮影しないよう注意をすることができます。さらに、店側の判断として、注意したとしても撮影を止めない場合や、何度も撮影している人の場合、退去を要求したり、今後の出入りを禁止したりすることができます。さらに退去の要求にも応じない場合には、刑法130条後段の不退去罪が成立する可能性があります。また、トラブルで店側の業務を妨害した場合には威力業務妨害罪が成立する可能性もあります。ここまで来ると単なる写真撮影で逮捕されてしまう可能性もあります。
さらに、店の様子を撮影することで、他のお客さんの容姿が映ってしまうこともあり、それを無断でSNS等にアップしてしまうと、プライバシー権や肖像権の侵害として、損害賠償請求されるなどトラブルに巻き込まれてしまうリスクがあります。
このように、店内の撮影については、撮影だけで犯罪になるということはありませんが、お店のスタンスとして、撮影を禁じている場合にはトラブルにならないようにお店のルールには従った方がいいと思います。他方、お店の側としても料理などをSNSで宣伝してもらうことで、集客につながるという点もあり、写真をとることを許可したいと考えている場合もあると思います。その場合には、トラブルを未然に防ぐために、写真撮影やSNSへのアップに関するルールなどをあらかじめ文章にしてお店に掲示していただくのが良いと思います(そういったルールに関する文章の作成について弁護士に依頼されたい場合にはお気軽にお問い合わせください。)。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
弁護士が解説!売掛金について
最高のピッチング
皆さんは、野球が好きですか?
私は、サッカーも野球も好きですが、どちらかというとサッカーの方が好きだったのですが、今年のWBCの感動的な試合を見て、野球も捨てたものじゃないなと再評価していました。
野球では、バッターよりも投手に注目することが多く、日本だけでなくメジャーリーグの有名なピッチャーの動画などをよく見ています。
よく、野球好きの人と話すときに、「最高のピッチング」とは何かということが話題になったりします。その際に出てくるのが「81」と「27」という数字です。「81」という数字は、全てのバッターを3球三振で仕留めた場合3球×3アウト×9回=81球で試合を終わらせることが出来るというものです。ピッチャーだけの力で試合を終わらせることが出来るという意味では理想なのかもしれません。
これに対し、「27」という数字は、全てのバッターを、ゴロやフライなどでアウトにした場合には、1球×3アウト×9回=27球で試合を終わらせることができます。私個人的には、1球で仕留める技術がかっこいいため、こちらの方が理想のピッチングというような気がしています。
この、理想的ピッチングの「27球」というものですが、もっと少なくすることはできないのかと友人と話していたことがありました。最近メジャーリーグで大谷選手が申告敬遠を何度もされているのを見て、「申告敬遠の場合球数はどうなるのか」と思い、調べてみることにしました。
日本のプロ野球のルールなどをまとめたものとして、「公認野球規則」というものがあります(アメリカのプロ野球のルールを翻訳したものに、日本独自の注釈などが盛り込まれているそうです。)。この「公認野球規則」によると、申告敬遠(規則では「故意四球」というようです)の場合、投手の投球数には加算されないとされています。 そうすると、最も少ない球数で試合を終わらせるためには、申告敬遠を2回してノーアウト1塁、2塁の状態で、次のバッターに対し1球でトリプルプレーをとることで、1球×9回=9球で試合を終わらせることが、理屈上可能になります。
9球で試合を終わらせることは絶対にありえないでしょう。また、そもそも27球で試合を終わらせるというのも夢物語であると思います(ちなみに、日本のプロ野球で9回完投の最小投球数は、71球だそうです)。ですが、今まで歴史を塗り替えてきた大谷選手やこれから出てくる選手がそいった理想をかなえてくれるのではと思うだけでとってもロマンがあっていいなと思ったりします(前置きが長くなってしまいましたが、以下法律のお話をさせていただきます。)。
ホストクラブの売掛金について
さて、本題に入りたいと思います。
最近ニュースで、歌舞伎町のホストクラブで将来的に店での売掛けをなくすことを目指すというニュースがありました。会社や、事業をされている方には、この「売掛け」という言葉になじみはあるかもしれませんが、一般の方ですと、あまり聞いたことがない言葉かもしれません。
「売掛金」とは、会計上の用語で、「これから支払われる予定のある代金」を意味する勘定科目のことをいいます。簡単に言うと、ものを買って代金の支払いを後払いすることを売掛といいます。 この「売掛」という言葉のもととなっている「掛売」という言葉は、江戸時代の会計帳簿には記載されており、この頃の商取引は基本的に代金をその場で支払わず後で受け取る「掛売」で行われていたようです。「掛」という言葉はなにかの途中であることを意味するものであり、代金が支払われていない状態は、売買という取引が完了していない(途中である)ことから「売掛金」という言葉が使われるようになったそうです。
先程のニュースでは、ホストクラブにおいてこの売掛を辞めることを目指しているとのことですが、誤解がないようご説明すると、売掛という支払い方法が悪いというわけではありません。商取引は迅速性が求められ、かつ、扱う金額も高額になるため、コンビニの支払いのように都度都度現金でその場で払うことが求められると、迅速な商取引が阻害されてしまいます。
ホストクラブで問題になっているのは、ホストクラブでは、お客の女性が支払う能力がないことを知りながら、何百万円もする高額なお酒を、売掛金として入れさせ、支払いを強要し、多額の借金をさせたり、風俗業界で強制的に働かせたりの悪質な行為をしている点が問題となっています。
このようなホストクラブにおいて売掛が禁止された場合には、お客の女性も、自分の支払い能力に見合った利用(要は、自分の持っているお金の範囲でのみの利用)をすることになるので、利用する女性の方から被害者を防ぐことができるのではないかと言われています(個人的には、そうなると、消費者金融で借り入れを強制したり、違法な闇金などからお金を借りさせたりして、支払わせるというような手法が横行してしまうような気もしています。)。
他方、こうしたホストクラブではない通常の商取引においても売掛金に関するトラブルは頻繁に生じています。具体的には、買い主から売掛金が支払われない状態で、新たに取引を行い、売掛金の額が高額になったが、買い主からいっこうに代金が支払らわれないというトラブルです。
このような場合、売主側は、買い主に代金の支払いを請求し、任意での支払いに応じない場合には、裁判で支払うよう求める必要があります。もっとも、売掛金を支払えない会社がめぼしい財産を持っている可能性はあまり高くないため、回収ができないということも少なくありません。 売主側としても、支払われるべき代金が支払われていない状態で更に取引をする場合には、代金を一部でも支払わない場合にはその後の取引には応じないなどの対応を行う必要があると思います。とはいえ、数カ月後に代金支払いの目処が立つので先に商品を納品してほしいなどといった要請もあるかもしれません。その際には、相手が代金を支払われないリスクがある前提で対策をする必要があります。
具体的には、連帯保証人をつけてもらう。物的担保(不動産に抵当権を設定するなど)を求める。後々強制執行をする対象(預金口座、取引先等)の情報を教えてもらうなどが考えられます。 当事務所にご相談いただく経営者の方の多くは、ずっと取引を続けていたがいっこうに支払ってくれないというタイミングでご来所されるのですが、その時点では、売掛金を回収できない可能性のほうが高いため、可能であれば、上記のように一部未払が発生している時点などで、ご相談いただくことで、連帯保証契約や強制執行ができる情報を聞くようアドバイスするなど、適切なサポートができると思います。
また、当事務所の「フレックス顧問®契約」にて顧問契約をしていただいている方の場合には、個別の売掛金回収についても、毎月の顧問料以外に別途弁護士費用を頂戴しませんので、弁護費用を考慮して依頼を躊躇することがなくなります。売掛金だけでなく、日頃から相談したいことがあるなどという場合にはぜひ、顧問契約をご検討ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
初詣の参加は業務??
新年あけましておめでとうございます。
昨年の7月からこっそりジムに通ってダイエットをしていました。
7月からはじめて、年末の時点で12Kg減量することができました。
年末の事務所全体の忘年会で、久しぶりの博多の本店の人たちと会ったのですが、皆さんが「瘦せた!」というリアクションをしてくれていたのがとてもうれしかったです。
今年は引き続き減量を続け、リバウンドしないようにしたいと思っています。
なんとなく今年の抱負を述べましたが、新年にまつわる法律の話をしようと思います。
皆さんは初詣に行かれましたでしょうか。
福岡市ですと、櫛田神社等に毎年多くの方が参拝に来られているのを見かけます。 また、仕事はじめの1月4日などには、スーツ姿の方が、多く参拝し、商売繁盛の祈願されているのも見かけます。
では、この初詣を会社の営業時間に従業員の方に参拝することを強制することはできるのでしょうか。
会社の営業時間に初詣という行事に参加することを要求する行為は、一種の業務命令に該当します。
この点、労働基準法第3条では「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と規定しています。 したがって、宗教上の理由で、初詣に行きたくないという人に対し、初詣を強制すること、断った場合に欠勤扱いとすること、査定などで不利に取り扱うことは、従業員の方の信教の自由(憲法20条2項)を侵害する行為として違法となります。
したがって、初詣の参拝については、業務時間外に参加不参加を自由に選ぶことができるような形、すなわち業務ではない形で参加を募る方がよいのではないでしょうか。
また、業務時間に行う場合にも、参加した人だけでなく、参加しない人に対してもきちんと賃金を支払う必要があることや、参加しない人を不利益に取り扱うことは違法であるため注意が必要です。
近年では、多様性が企業にも求められる時代になっているため、業務命令や会社の仕組みづくりの際にも考慮が必要ですので、経営者の方でご不安なことがあれば是非ご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
離婚解決事例:有責配偶者からの依頼で早期の離婚を実現した解決事例
ご相談事例
不倫していたのは自分であり、悪いのは分かっているのですが、離婚はできるのでしょうか。
- 相談者…職場の同僚と1年以上前から不倫の関係
- 相手方…妻
- 子…3歳
私は、5年前に妻と結婚し、3歳の子どもがいるのですが、職場の同僚と1年以上前から不倫の関係にあり、先日、妻に不倫関係がばれてしまい、現在別居しています。 不倫していたのは自分であり、悪いのは分かっているのですが、妻とはこれまでの夫婦仲が良かったわけではないため、離婚をしたいと考えています。 ネットなどでは、不貞等悪いことをした側からの離婚請求は認められないなど書いてあるのですが、離婚はできるのでしょうか。
弁護士の対応
ご相談者様のおっしゃる通り、不貞等の原因を作った人(判例などでは、「有責配偶者」と呼ばれています)からの離婚請求は裁判では原則認められていません。
例外的に認められる場合があるのですが、別居期間が同居期間に比して極めて長期間であることや、離婚することで、不貞された配偶者が経済的、精神的に苛酷な状況に置かれないことなどという極めて難しい要件でなければ認められません。
もっとも、この有責配偶者からの離婚請求が認められないのはあくまでも裁判での場合であり、相手方の配偶者が離婚に応じる場合には協議離婚で離婚が成立することになります。
不貞をしてしまった場合に、離婚を実現するための方法としては①不貞行為前に、夫婦関係は破綻していたと主張することで有責配偶者であることを争うという方法と②有責配偶者であることは認め、配偶者に協議離婚に応じてもらうよう働きかけるという方法が考えられると思います。
この点、①については、単に夫婦仲が良くなかったという程度では認められず、具体的な離婚協議を行っている場合や、別居などをしている場合など限られた場合にのみ認められるものです。
本件でのご依頼者さまの場合も、夫婦仲が良くなかったという程度では、婚姻関係が破綻しているとは認定されないため、②の方針で進めることにしました。
具体的には、配偶者の方に連絡し、本人は不貞を認めてはいるが離婚を考えていることを伝え、原因を作ったのはこちらであるためできる限りの対応はしたいということを伝えました。
そして、進めていくうちに配偶者が不貞相手の女性からすでに慰謝料を受領していることが判明しました。
別の機会にでもご説明させていただきますが、不貞相手の一方から慰謝料を受け取った場合、他方からの慰謝料請求の額に影響することになります。
そういった法律上の仕組みなどを説明しつつ、相手方の配偶者の気持ちや感情的な話にも耳を傾けることで、はじめは、感情的になっていた相手方も次第に話し合いに応じるようになり、結果として、慰謝料や養育費について、相場よりも多い金額で、できる限り支払うということで、相手方も納得したため、調停や裁判をすることなく、協議離婚で解決することができました。
このように、離婚の原因を作ってしまった有責配偶者であっても、相手方の配偶者が協議で離婚に応じてくれる場合には、離婚は可能となります。
しかし、やはり、婚姻中に不貞をしてしまったという自身の落ち度についてはしっかり認め、相手方にできる限りの誠意を見せるというような姿勢は必要なのかなと思います。
どのような進め方で行くのが良いのかという点は、具体的な事情をお伺いした上でないと判断はできませんが、離婚でお悩みの方は是非ご相談ください。
ご相談事例・解決事例の掲載について
事例回答はあくまでご参考となります。 実際にご自身のご相談で同じ結論になるかどうかは、個別の判断が必要となります。
当事務所の初回無料相談をご利用いただき、個別のご相談および弁護士からのアドバイスをお受けください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
これって証拠になりますか??
弁護士の仕事と切っても切り離せないものが「証拠」です。 辞書的な意味の「証拠」とは、「ある命題の真偽や存否を判断する根拠となるもの」をいいますが、法律用語としての証拠とは、「証拠方法」「証拠資料」「証拠原因」という3つ場面で使われています。
証拠方法とは
「証拠方法」とは、事実を認識するための資料をもたらす有形物のことを差し、簡単にいうと、裁判官が事実を認定するための資料である人や物のことです。
⇒「証拠方法」という意味での証拠が、一般の人がイメージする証拠と同じであると思います。
証拠資料とは
「証拠資料」とは、上記証拠方法の具体的な内容のことを指します。 上記証拠方法が人の場合にはその人の具体的な証言内容が証拠資料となり、証拠方法が文章であればその記載内容が証拠資料となります。
証拠原因とは
「証拠原因」とは、証拠資料のうち裁判官が心証形成(判断材料のことをいいます。)に採用したものをいいます。
このように、裁判では、証拠方法から認定される証拠資料について、裁判官が証拠原因として採用した内容に基づいて、事実の有無が判断されます。
裁判において、証拠をもとに事実有無が判断される以上、弁護士としては交渉段階から常に証拠について検討を余儀なくされるため、証拠とは切っても切れない関係なのです。
よく、相談に来られる方の質問で一番多いと言っても過言ではない質問が「これは証拠になりますか」という質問です。
この質問を質問の内容通りに回答すると、多くの場合「証拠にはなりますが、証拠の強さは別問題です」という回答になります。
例えば、夫が不貞していると疑っていて、夫と他の女性の親密なやり取りのLINE画像がある場合、こちら側(妻方)として立証(証明)したい事実は、夫とその女性との間の不貞行為(性行為)の事実です。
そして、裁判所が事実認定をする場合には、基本的に当該証拠の証拠資料内容及びそこから合理的に推認される事実のみを認定します。
簡単にいうと、例えば、上記のLINEでのやり取りの具体的な内容(証拠資料)が「大好きだよ」「また、会いたいね」というやり取りのみの場合、裁判所としては両者が好意を持っていたこと(「大好きだよ」)や前に会っていたことがあること及びまた会いたいと思っていること(「また会いたいね」)、総じて、両者が親密であるという事実のみを認定します。
一般の方の感覚からすると、上記のようなやり取りをしている時点で、不貞をしていると強く疑うと思うのですが、裁判所の判断としてはこのLINEのやり取りでは、両者が親密であることは認定できるがそれを越えて不貞行為(性行為)を行ったという事実までは認定できないと判断すると思われます。
他方、LINEのやり取りの内容が「また、ホテルに行こうね」という内容である場合には、ホテルに行った事実が認定され、ホテルに行ったということは合理的に考えて性行為を行ったと認定されることになるでしょう。
また、「また、○○(性行為)しようね」というやり取りの場合、以前に性行為をしないとこのような発言はなされないとして性行為の事実を認定されることになるでしょう。
このように、証拠の有無と証拠の強さ(証明力といいます。)は別問題になります。
なので、安易に証拠があるから勝てるという風に判断されるものではないため、証拠を入手したと思われた場合には請求や問い詰める前に、弁護士に一度相談することをお勧めします。
また、弁護士に相談する際には、関係があると思われる資料はご自身で取捨選択するのではなく、全てお持ちいただいた方がいいと思います。
ご本人では証拠にならないと思ったものでも、弁護士からすると調査によって証拠となると思われるものも少なくありません。
例えば、不貞相手の名前や住所が分からず、車のナンバーのみ分かっている場合であっても、弁護士に依頼して弁護士会を通じ、陸運局に当該ナンバーの車両の所有者の名前や住所を調べることで、慰謝料の請求が可能になる場合もあります。
これが、証拠になるのか、どれくらい強いのだろうか(ようは、裁判で勝てるのかどうか)とご不安になられた場合には、是非一度ご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
棺をのぞき込んで死亡!?
当事務所は、相続事件を専門に取り扱っている事務所ですので、日々、相続に関するご相談が非常に多く寄せられます。
相続が発生するということは、ある方がお亡くなりになっています。
そして人がお亡くなりになると、葬儀が執り行われます。
先日、この葬儀に関連して、とても驚いたニュースがありました。
葬儀において、火葬、埋葬などを行う前にご遺体を保存するための棺で二酸化炭素中毒による死亡事故が起きており、消費者庁と国民健康センターが注意喚起しているとのことでした。
このニュースのタイトルを見たときに、霊的なもので、亡くなられた方が、家族を道連れにしてしまったのかと思いましたが、ニュースの中身を見ると、棺の中には、ご遺体の状態を保つためにドライアイスが入っていることがあり、換気されていない部屋などで、棺を覗き込んだ際に、気化した高濃度の二酸化炭素を吸い込んだことが原因でなくなっているとのことでした。
通常、空気中にも二酸化酸素は存在するのですが、その割合は、わずか0.03%しかありません。 しかし、この二酸化炭素の濃度がわずか3%の環境になると、その環境に長時間いると呼吸困難やめまいなどの症状が出始め、濃度が30%になるとほぼ即時に意識を失ってしまうそうです。
冷凍食品やケーキの保管などで頻繁に使うドライアイスでこんな事故が起きてしまうことがあるとはとても驚きましたが、消費者庁などが注意喚起をしている以上、めったに起きない事故というものではないのではないかと思います。
こうした注意喚起がなされている以上、葬儀場等を運営する会社においては、葬儀の主催者や参列者に対し、貼り紙などで棺をのぞき込まないように注意喚起したり、換気を徹底するなどして、最悪の事態が起きるのを防ぐ義務があり、そのような措置を怠り、事故が発生した場合には、損害賠償責任を追うことになると思います。
お葬式は人がお亡くなりになって、決して楽しい行事ではないため、そのような場でさらなる悲しいことが起きないように、注意したいですね。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
119番通報の適切な利用について
2019年12月に新型コロナウイルスの感染がはじまってから、もうすぐで4年が経過しようとしています。
一時期の感染拡大時には119番通報しても救急車が来られない等、医療現場もひっ迫した状態でした。
そんなコロナも今年にはインフルエンザと同じ第5類に分類され、ワクチン接種などもあり、以前の爆発的に感染が広まっていた時と比べると感染状況も収まってはいるようです。
しかし、先日、ニュースで、東京では現在119番通報がつながりにくいという状況が続いていると報じられていました。
そして、東京消防庁が、令和5年9月に「X(旧Twitter)」において、
という呼びかけを行ったことも報じられていました。
不要不急の119番通報の場合には、救急車が臨場しませんという呼びかけなら一般的にあるかなと思うのですが、電話を途中で切断する場合がありますという呼びかけをしている時点で、そもそも通報が非常に多いことに加え、不要不急でない通報も多く、現場はひっ迫しているのだなと感じます(ニュースでは、暑くて歩けない、虫が出たので何とかしてほしいなど、救急車をなんだと思っているのかというような通報があるようです。)。
客観的に救急車を呼ぶ必要がないのに119番通報してしまったとしてもそれだけでは何も罰則はありません。
しかし、呼ぶ必要がないという状況を超えて、そもそも、何もないにもかかわらず、ケガをした、体調が悪いなどといって119番通報する行為(要は嘘の通報をする行為です)は犯罪になります。
具体的には虚偽の事実を伝えて、消防署等の業務を妨害しているので偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立します。
また、消防法44条20号によって、火災の発生や傷病者(ケガや病気をした人)に関する虚偽の事実を通報した場合には、30万円以下の罰金等が課せられることが規定されています。
こうした犯罪行為はもってのほかですが、そうでない場合でも上記のように、タクシーや便利屋と勘違いしているような119番通報がなされることにより、本当に救急車を必要としている人のもとに駆けつけることができなくなってしまい、人命にかかわることにもなりかねないため、絶対にひかえていただきたいです。
もっとも、客観的には自分や家族の症状をみて、119番通報してもいいのかな通報を躊躇されてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方や119番通報してもよいのかわからないという方のために、消防庁において「救急安心センター」(♯7119)という事業を行っています。
この「♯7119」に電話すると電話口で医師、看護師、相談員が話を聞き、病気やケガの症状を把握したうえで、救急車を呼んだ方がいいか、急いで病院を受診した方がいいか、受診できる医療機関はどこか等を案内してくれます。
症状から見て明らかに問題がある場合には119番、そこまではないけど、どうすればいいかわからないという場合には♯7119というようにうまく使い分けて対応するように心がけたいですね。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。