弁護士コラム

2023.09.01

転売に関する法規制

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皆さんは、子どものころ、トレーディングカード等で遊んだことはありますか??
私も小学校の頃は、友達とカードゲームにのめりこみ、レアカードや強いカードを手に入れるために、お年玉やお小遣いなどためていたお金をはたいていました。
しかし、成長していくなかで、集めたカードもどこにあるのか分からない状態になりました。
今思えば何であんなにも熱中していたのかと思ってしまうのは、年を取った証でしょうか。

私が子どものころは、欲しいと思ったカードやおもちゃなどは、お店に売ってあり、どこのお店を探しても買えないといったような事態はなかったように思いますが、最近ではいわゆる転売ヤーが登場したことにより、転売ヤーによって大量に商品が買い占められ、本当に遊びたい子どもたちの手に渡らないという事態が続いているようです。

このように転売ヤーなどという表現から転売自体にいい印象をお持ちでない方は少なくないと思いますが、法律で転売についてはどのような規制がされているのでしょうか。

まず、転売という行為事態は何ら違法な行為ではありません。
転売には一般的に、在庫を有した状態(仕入れた状態)で買い手を探す場合と、買い手からの注文が入った時点で、在庫を仕入れる場合(いわゆる「無在庫転売」というそうです。)がありますが、どちらも違法ではありません。

ただ、無在庫転売の場合には、契約が成立し、代金が支払われた後、商品を仕入れることが出来なかった場合には、代金を返還する義務がありますし、はじめから仕入れる意図がないにもかかわらず、買い手から代金を受け取った場合には詐欺罪として刑事罰の対象ともなってしまいます。

トレーディングカード

このように転売自体は法律上違法な行為ではないですが、中古品を安く仕入れて高く転売することをビジネスとしている場合には、古物商許可を得る必要があり、古物商の許可を得ることなく、刑事罰の対象となってしまうので注意が必要です。(これに対し、新品を転売する場合や仕入れずに自分で使用していたものを売却する場合には古物商許可は不要とされています。)。

また、商品とは若干異なるのですが、コンサート等のチケットに関しては、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(通称:チケット不正転売禁止法といいます。)という法律が、平成30年12月に成立しています(令和元年6月から施行されています。)

この法律では、要件を満たすチケットについて、不正転売(興行主の事前の同意を得ず、反復継続の意思をもって、販売価格を超える価格で転売する行為)を行うこと及び、不正転売を目的としたチケットの譲り受け(購入、仕入れ行為)を禁じており、これに違反した場合には刑事罰の対象となります。

平令和2年には、人気アイドルグループのチケットを不正に転売した者に対し、懲役1年6か月(執行猶予3年)、罰金30万円等の有罪判決がだされています。

なお、この法律では、不正転売されたチケットを購入した人を罰するものではありませんが、不正転売されたチケットを購入した人については興行主側で入場禁止などのペナルティが課せられる可能性があるため、本当に参加したいのであれば、正規(公式)のリセールサイト等から購入するのがよいでしょう。

物品の転売やチケットの転売は、その物を本当に欲しい人やファンの人に物やチケットが行きわたらなくなってしまうので、転売を行う人も節度をもって行ってほしいと思います。

 

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