弁護士コラム

2023.10.12

119番通報の適切な利用について

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2019年12月に新型コロナウイルスの感染がはじまってから、もうすぐで4年が経過しようとしています。
一時期の感染拡大時には119番通報しても救急車が来られない等、医療現場もひっ迫した状態でした。
そんなコロナも今年にはインフルエンザと同じ第5類に分類され、ワクチン接種などもあり、以前の爆発的に感染が広まっていた時と比べると感染状況も収まってはいるようです。

しかし、先日、ニュースで、東京では現在119番通報がつながりにくいという状況が続いていると報じられていました。
そして、東京消防庁が、令和5年9月に「X(旧Twitter)」において、
『不要不急の電話については最後までお話を効かずに切断する場合があります。 他の緊急通報を優先するための措置ですので、ご理解をお願いします。』
という呼びかけを行ったことも報じられていました。
不要不急の119番通報の場合には、救急車が臨場しませんという呼びかけなら一般的にあるかなと思うのですが、電話を途中で切断する場合がありますという呼びかけをしている時点で、そもそも通報が非常に多いことに加え、不要不急でない通報も多く、現場はひっ迫しているのだなと感じます(ニュースでは、暑くて歩けない、虫が出たので何とかしてほしいなど、救急車をなんだと思っているのかというような通報があるようです。)。

客観的に救急車を呼ぶ必要がないのに119番通報してしまったとしてもそれだけでは何も罰則はありません。
しかし、呼ぶ必要がないという状況を超えて、そもそも、何もないにもかかわらず、ケガをした、体調が悪いなどといって119番通報する行為(要は嘘の通報をする行為です)は犯罪になります。

具体的には虚偽の事実を伝えて、消防署等の業務を妨害しているので偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立します。
また、消防法44条20号によって、火災の発生や傷病者(ケガや病気をした人)に関する虚偽の事実を通報した場合には、30万円以下の罰金等が課せられることが規定されています。

こうした犯罪行為はもってのほかですが、そうでない場合でも上記のように、タクシーや便利屋と勘違いしているような119番通報がなされることにより、本当に救急車を必要としている人のもとに駆けつけることができなくなってしまい、人命にかかわることにもなりかねないため、絶対にひかえていただきたいです。

もっとも、客観的には自分や家族の症状をみて、119番通報してもいいのかな通報を躊躇されてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方や119番通報してもよいのかわからないという方のために、消防庁において「救急安心センター」(♯7119)という事業を行っています。
この「♯7119」に電話すると電話口で医師、看護師、相談員が話を聞き、病気やケガの症状を把握したうえで、救急車を呼んだ方がいいか、急いで病院を受診した方がいいか、受診できる医療機関はどこか等を案内してくれます。

症状から見て明らかに問題がある場合には119番、そこまではないけど、どうすればいいかわからないという場合には♯7119というようにうまく使い分けて対応するように心がけたいですね。

 

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