弁護士コラム

2024.04.11

ホテルのキャンセル料について

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皆さんは旅行で泊まる際のホテルはどういった基準で選ばれますか?
私も妻も、旅行の際、観光で外を回るよりも部屋でのんびりしたい派のため、子どもが産まれるまでは、部屋重視で探していました。
しかし、子どもが2人もいるとずっと部屋でじっとしているわけにはいかないので、近くに遊ぶところはないかや、遊ぶところが備わったホテルかなど子ども目線で宿を探すようになりました。
ホテルを予約する際に、注意して見るのが、キャンセル料が発生する日がいつかという点です。
小さい子どもがいるため、直前に高熱になった場合に備え、いつからキャンセル料が発生するのかという点については、子どもがうまれてからしっかり確認するようになりました。

先日、とあるインフルエンサーがSNSで、「ホテルのキャンセル料金を払わなくする方法」というタイトルで動画を投稿したことが物議を醸しているとのニュースを目にしました。
そのニュースによると、キャンセル料が発生する日になったら、宿に連絡して、宿泊日予定日をキャンセル料が発生しない日まで後ろ倒しにして(要は、宿泊日を変更して)、その後、キャンセルを行うという方法でした。

ホテル

まず、キャンセル料については、予約する際のページなどに、宿泊予定日の7日前の時点では20%、5日前の時点では30%、3日前の時点では50%、当日や無断キャンセルの場合には100%というように段階を追って発生するという仕組みになっていることが多いです。
このような規定(「キャンセルポリシー」といいます。)は、宿泊業者側が、キャンセルにより通常発生する損害の賠償を規定したものであるとして、消費者契約法上有効な契約となっています。

そして、キャンセル料が発生する期間に、宿泊予定日を変更するという行為は、もとの契約をキャンセルし、新たに宿泊予約をするという行為ですので、法律上、前の契約をキャンセルした時点で、キャンセル料が発生することになります。予約した人は宿にキャンセル料を支払う義務が発生します。

したがって、上記インフルエンサーが動画で紹介している方法は、宿側が、宿泊日を変更するならキャンセル料を支払わないでよいという善意での対応を逆手に取ったものです。(背景としてコロナウイルスが原因で宿泊を延期したいという申出をした際に宿側の善意でキャンセル料を請求していないというようなことから、変更にすればキャンセル料を払わなくて済むと考えたのではないかとニュース出は記載されていました。)。

現に、ニュースでは、この動画を見た、ある宿が、日程変更の場合には、必ずキャンセル料を請求するという厳格な運用にする方針であると記載されていました。

台風等の天災などでどうしてもいけなくなってしまったという場合もあり、そのような場合には、宿も、キャンセル料を請求することはかわいそうということで、今までは柔軟に対応していただいていたということも多いと思います。

しかし、あくまでのそのような対応は宿側の善意です。そういったことが続くことにより、宿側もどのような理由であっても絶対にキャンセル料を請求するというような対応にならざるを得なくなってしまうかもしれないため、それを逆手にとってキャンセル料を不当に免れるような行為は、絶対に控えてもらいたいと感じました。

 

執筆弁護士紹介 後藤祐太郎

 

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