弁護士コラム

2017.12.11

勝手に離婚届を出されてしまったら

勝手に離婚届を出されてしまったら

<ご相談者さまからのご質問>

 先日,妻がいきなり離婚したいと言ってきて,離婚届にサインするように迫ってきました。私としては妻と離婚する気はなく,離婚届にサインをする意思はありません。私がサインをしなければ離婚は成立しないので,何もしなくても問題はありませんよね。

<弁護士からの回答>

 相手方が一方的に離婚を迫っている場合には,自分の知らないところで相手方が勝手に離婚届を提出してしまう可能性があります(そんなこと現実にあるわけないと思われている方もいらっしゃると思われますが,離婚届を勝手に出してしまわれる方は意外に多くいらっしゃいます。)。協議離婚はお互いが合意をしていないと成立しないので,勝手に離婚届を提出されたとしても後で覆すことは可能ですが,皆様の想像以上に時間や手間がかかる作業になります。そこで,今回は2回にわたり,相手方に勝手に離婚届を出されることを防ぐことができる離婚届不受理申出制度についてご説明させていただきます。本日は離婚届不受理申出制度の説明に入る前に,そもそも離婚届が勝手に出されてしまうようなことがあり得るのかという点と,勝手に離婚届が出されてしまった際の対応等についてご説明させていただきます。

 まず,前提として,離婚届については,双方が離婚することに合意し,それぞれが離婚届に署名押印している必要があり,夫婦の一方が勝手に離婚届を作成し離婚届を提出したとしても,離婚に関する合意が存在しないため,離婚は無効になります。しかし,離婚届は必要事項を記載して役場に提出をすれば簡単に受理されてしまい,離婚届の筆跡が夫婦本人の筆跡であるかどうかの確認はされませんし,離婚届に押す印鑑は実印である必要はなく(印鑑証明も不要です。)認印で足ります。加えて,離婚届は(婚姻届も同様ですが,)夫婦がそろって提出する必要はなく,夫婦の一方だけでも提出することが可能となっております。

 このように離婚届については,離婚届が夫婦で作成されているかのような外形を作出すれば受理自体はしてもらうことが可能であるため,離婚することに反対されている夫婦の一方が勝手に離婚届を作成し,提出してしまうことは少なくありません。(ごく稀に当事務所にも,「勝手に作成して,提出してしまってはダメなのですか」とご質問いただくことはありますが,相手に無断で離婚届の署名を自分で行い,印鑑を押して提出することは,有印私文書偽造・同行使罪に該当する犯罪行為です(戸籍に間違った離婚の記録がなされると電磁的公正証書原本不実記録罪という犯罪にも当たります。)ので,くれぐれもお控えください。)。

 勝手に離婚届が提出されてしまった場合であっても,夫婦のどちらかに離婚する意思,もしくは離婚届を提出する意思がない以上,無効になります。

 この,法律上は無効な離婚についても,いったん受理されて離婚の記載がなされている戸籍について,役所の方がすぐに訂正してくれるということはありません。戸籍を基に戻すためには,家庭裁判所に対し,協議離婚が無効であることを確認する調停を申し立て,「合意に相当する審判」というものを得て,審判書(判決書のようなものです。)を役所届けでる必要があります。もっとも,この調停では相手が合意をしないと合意に相当する審判を出すことができないため,相手方が合意をしていない場合には,家庭裁判所に対し,協議離婚無効確認訴訟を行い,無効であることの判決を得る必要があります。

 このように,勝手に離婚届を提出されてしまったとしても,最終的には離婚を無効にするとはできるものの,それまでに多大な時間と労力(精神的,経済的な負担)がかかってしまいます。
 次回のブログでは,こうしたトラブルに巻き込まれないために,勝手に離婚届けを提出することが防ぐことができる。離婚届不受理申出制度についてご説明させていただきます。

2017.12.08

協議離婚のメリット・デメリット

協議離婚のメリット・デメリット

 <ご相談者様からのご質問>

 離婚届に書いてもらうだけで離婚が成立するのですね。簡単そうなので,自分でやってみようと思います。協議であれば弁護士に依頼する必要はありませんよね。

<弁護士からの回答>

 ご自身のみで相手方と離婚の話し合いをすることも,弁護士を代理人として相手方と離婚の話し合いをすることも協議離婚であることには変わりません。結論から言うと必ずしも協議離婚で弁護士に依頼しなければならないということはありません。しかし,弁護士に相談することなくご自身のみで協議離婚を進めると,協議中だけでなく,協議終了後にもトラブルが残ってしまう可能性が非常に高いといえます。本日は,協議離婚のメリット・デメリットを説明しつつ,協議離婚を進めていく上での注意点をご説明させていただきます。

 協議離婚の一番のメリットは,当事者が離婚することに合意をしている場合には,離婚届を作成し提出するだけ離婚が成立するため,ご質問にあるように時間がかからずに簡単に離婚することができる点があげられます。しかし,協議離婚というだけあって,当事者双方が離婚することに合意していない場合には協議離婚は一切認められないという点はデメリットといえるでしょう。したがって,相手方配偶者が頑なに離婚しないという意向が強い場合には協議を続けても離婚が成立する必要は高いとはいえないので,調停離婚,裁判離婚に移行するのが一般的です。

 協議離婚をすすめる際の注意点としては,当事者同士だけで協議をすすめようとすると,お互い感情的になってしまい,協議が進まない場合や,相手から一方的に言われるがままに進めてしまい,自分に不利な内容のまま離婚が成立してしまう可能性があります。離婚する際に一度決めたことを後々になかったことにしたり,覆したりすることは基本的にできません。安易に向こうからの提案に応じてしまうと取り返しがつかないことになってしまいます。また,離婚届以外に離婚協議書等を作成しておかないと,養育費や財産分与,お子さんとの面会交流などの離婚に付随する条件について,離婚後もトラブルに発展してしまう可能性があるので注意が必要です。
協議離婚の段階からであっても弁護士を代理人として入れることにより,相手方と感情的になることなくスムーズに協議を進めることが可能になるだけでなく,こちらに有利もしくは,不利にならないように協議を進めていくことが可能になります。

また,既に離婚の条件については問題なく合意に至っている場合であっても,法的に問題がない,離婚協議書を作成するためには,専門家である弁護士に相談し,協議書の作成を依頼することが必要です(離婚協議書については別の機会に改めてご説明させていただきます。)。
協議離婚を考えられている方は,是非一度,弁護士に離婚に至る経緯や希望する離婚の条件などをご相談ください。

2017.12.07

【交通事故】遭ってしまったら何割くらい弁償してもらえるの?過失相殺について知っておきたい基礎知識

交通事故には不注意で遭遇してしまうものから、注意していても遭遇してしまうものまでありますが、総じて交通事故は、予期せぬタイミングで起きるものです。

そのため、交通事故に遭遇するとどうすればいいか分からなくなってしまうもので、そのような状況で損害賠償責任が、休業損害が、後遺障害等級認定が、過失相殺が、と知らない用語で説明されても頭には入ってこないはずです。

そこで、今回は、交通事故でよく問題になる「過失相殺」についてご説明したいと思います。

1 過失相殺ってなあに?

過失相殺という言葉は、日常でも耳にすることもあるかと思いますが、正確には、被害者側に事故の発生や損害の拡大に落ち度がある場合、損害賠償額を減額する制度を言います。
この制度は、自分の責任に基づく損害を第三者に負担させるべきではないという公平の理念に基づくものとされています。

例えば、A車とB車が衝突し、A車にだけ100万円の損害が発生した事案で、それぞれの過失割合がA:B=2:8だとします。
この場合、お互いの過失割合を考慮したうえで過失相殺を行い、BはAに対して80万円を賠償すればいいことになるのです。

2 過失割合はどのように決まるの?

過失相殺は、本来裁判所の裁量によって、個々の事件ごとに判断することが可能なはずですが、交通事故は日々大量に発生しており、同じような交通事故について裁判官ごとに判断が異なるのは望ましくありません。
そこで、裁判所や弁護士の間では、過失割合について、別冊判例タイムズ第38号や財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通常、「赤い本」と言われています。)を参考にして判断されています。

これらの基準表では、事件類型ごとに図を作成し事故当事者の過失相殺割合が記載されています。具体的には、歩行者対自動車・単車、歩行者対自転車、自動車対自動車、単車対自動車、自転車対自動車・単車の類型及び高速道路上の事故類型が基準化されています。
しかも、類型ごとに提示された基準を修正する要素やその修正率等まで定められていますので、事案ごとのおおよその過失割合を知ることができます。

3 こんなとき過失割合はどうなるの?

それでは、具体的事案で過失割合がどのようになっているかご紹介したいと思います。ここでは、実際によく発生している追突事故、出会い頭の衝突事故、右折時衝突事故について見て行きたいと思います。

(1) 追突事故の場合

追突事故の場合、基本的には追突された側の車両には過失がなく、追突した側の前方不注意(道路交通法70条)や車間距離不保持(道路交通法26条)等の一方的過失によるものと考えられます。そのため、赤信号や一時停止の規制、渋滞で停止した車両に追突した場合、追突した車と追突された車の過失割合は100:0ということになります。

もっとも、追突された側の車が急ブレーキをかけた場合は話が別です。急ブレーキは、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、してはならないとされています。そのため、追突された側の車が急ブレーキをかけたために、追突してしまった場合、追突された側にも過失があると判断されることになります。
その割合は、速度違反の程度など具体的な事例にもよりますが、70:30くらいの場合が多いでしょう。

(2) 出会い頭事故の場合

次に出会い頭事故の場合をご説明します。ここでは、信号機による交通整理の行われていない同幅員の交差点で自動車同士が出合い頭に衝突した場合を見てみたいと思います。

このような交差点では一般的に左方車が優先とされているだけで(道交法36条1項1号)、それ以外に特別の優先関係がある訳ではありません。しかし、見通しのきかない交差点では、左方車は減速しない限り、自分が優先されていることに気付けないのですから、あまり左方優先を重視すべきではありません。また、同幅員の交差点においては、両車ともに徐行義務があります(道路交通法42条1項)。そのため、過失割合の判断にあたっては、両車が減速したか否かが重要となってきます。

具体的には、両車が同じくらいの速度だった場合、過失割合は左方車:右方車=4:6となります。左方車が減速したのに、右方車が減速しなかった場合、さらに左方車が有利となり、過失割合は2:8となります。これに対して、左方車が減速せず、右方車が減速した場合、過失割合は逆転し、6:4となります。

なお、これらはあくまでも基本割合なので、見通しのきく交差点だったか、夜間だったか、どちらかに著しい過失があるといえるか等により、割合が変動することになります。

(3) 交差点で右折車と直進車が衝突

交差点で右折車と直進車が衝突した場合についてご説明します。ここでは、直進車・右折車共に青信号で侵入した場合を検討しましょう。

この場合、右折車は直進車の進行を妨げてはなりません(道路交通法37条)。そのため、右折しようとした場合に、直進車が存在し速度や方向を急に変更しない限り両者が接触するおそれがあるときには、直進車が右折車に対して優先関係に立ちます。もっとも、直進車が優先されるとしても、右折する車両に注意する義務を有することには変わりがありません(道路交通法36条4項)。

したがって、直進車と右折車の過失割合は、通常、2:8となります。
もっとも、右折車が徐行をしていなかったり、ウィンカーを出していなかったりする場合、右折車に不利に、他方、直進車に時速15キロメートル以上の速度違反やその他の著しい過失がある場合などは直進車に不利に修正されることとなります。

4 過失割合を争う方法

過失割合を争う方法を簡単にですが説明させて頂きたいと思います。

過失割合は、通常、事故時の状況に基づいて判断されることになります。そのため、過失割合を争う場合、事故時の状況のうち自分に有利な事情を積極的に立証して行くことが必要になります。
裁判所が別冊判例タイムズ38号を参照して過失割合を判断することが多いことからしますと、ここで考慮されている事情のうち自分に有利なものを立証することが重要になると考えられます。具体的には、ドライブレコーダーの映像や目撃者の話などから事故時の状況を客観的に立証して行くことになります。

では、それは自分で簡単にできるかと言うとそういう訳ではありません。別冊判例タイムズ38号の類型はどうしてもモデルケースにすぎませんので、実際の事故にぴったり合致しているとは限りません。そのような場合には、類似する事故態様でどのような過失割合が認定されているのか過去の裁判例を調べてみることも必要になるでしょう。

5 まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、交通事故における過失相殺について簡単にご説明させて頂きました。

過失割合を争うには、先程も申しました要因別冊判例タイムズ38号における過失割合の知識だけでなく、証拠の収集方法など様々な知識が必要になってきます。自分で保険会社や弁護士と交渉するとなると、どうしても知識的に専門家に劣ってしまうから、保険会社からの提案を鵜呑みにしてしまい、思わぬ損をすることもあります。
そのため、実際に自分の事件ではいくらくらい弁償してもらえるのか弁護士に相談してみることをお勧め致します。

2017.12.06

協議離婚について

協議離婚について

<ご相談者様からのご質問>

  協議離婚とはどのようなものですか,離婚するためには何が必要になりますか。

 <弁護士からの回答>

  日本では離婚の約90%が協議離婚により成立します。したがって,現在離婚を考えられている方のほとんどが協議離婚による離婚を進めていく形になります。本日は,協議離婚するための方法についてご説明させていただきます。

  民法では,「夫婦は,その協議で離婚をすることができる。」と規定されています(763条)。このように,裁判所を使うことなく,協議(話し合い)により離婚することを協議離婚といいます。当事者が離婚することに合意をした場合には,離婚届けを作成します。

 

離婚届には夫婦それぞれの署名押印を行い,本籍地等の必要事項を記載するとともに,証人2名(法律上制限はありません。どなたでもなれます。)にも署名押印をしてもらう必要があります。離婚届が作成し終えたら,役場に離婚届を持参して提出し,役場にて離婚届が受理されれば離婚が成立することになります。
 

 また,ご夫婦の間に未成年者のお子様がいらっしゃる場合には,お子様の親権者を父か母のいずれかにすることについても夫婦間で話し合い,離婚届に記入する必要があります。したがって,離婚すること自体は合意に至っているものの,お子さんの親権者について父と母どちらにするかについて,まだ話がまとまっていない段階では,協議離婚は認められません。
 このように,未成年者のお子さんがいらっしゃる場合には親権者を決める必要がありますが,それ以外の条件(養育費,面会交流,財産分与等)については,離婚するだけであれば,夫婦間で合意している必要はありません。
 ご相談者様の中にはとにかく離婚したいという思いが強く,とりあえず離婚届だけますは書いてもらってあとのことについてはその後話し合えばいいと考えられている方もいらっしゃいます。

このようなお考えが決して正しくないということではありませんが,一般的に離婚の諸条件について離婚する際に取り決めをしておかないと,後々深刻なトラブルに巻き込まれてしまう可能性が高いです。今回は話が長くなってしまったので,次回に協議離婚のメリットやデメリットや注意点をお話させていただきます。

2017.12.04

離婚とは

離婚とは

<ご相談者様からのご質問>

夫との離婚を考えていますが,離婚をするためには,何をすればいいのかわかりません。離婚するにはどのような進め方があるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

当事務所にも,離婚するために何をすればいいのかわからないと言ってご相談に来られる方は少なくありません。そこで,本日は,離婚するための方法からご説明いたします。

離婚するための方法としては,大きく分けると①協議離婚,②調停離婚,③裁判離婚という3つの方法があります(厳密にいうと④審判離婚という方法もあるのですが,審判離婚により離婚が成立するケースはほとんどありません。)。
どの方法を選択したとしても,最終的に離婚が成立しそれに伴う身分関係の変更等の法的効果が発生することに変わりはありません(離婚が成立した際の法的効果については,別の機会にご説明させていただきます)。

しかし,どの方法を選択するかにより,当事者のみで離婚が成立するのか(裁判所を利用せずに離婚が成立するのか),離婚が成立するまでの時間がどのくらいかかるのかといった点で大きく異なってきます。そして,それに伴い,各方法にはそれぞれメリットとデメリットが存在するため,どの方法を選択するのかということは非常に重要になってきます。

また,どの手続きにより離婚を進めるべきかという判断は,一律にマニュアル化しているわけではありません。ご相談者様の経済状況,お子さんの有無,親族との関係,相手方との同居の有無,相手方に離婚したい旨伝えているか,相手方が離婚に応じているか否か,相手方との感情的な対立関係が深刻化していないか等,ご依頼者様がおかれている状況に応じて,最適な手段を模索していく必要があります。

ご質問されている方のように,そもそも,どうやって離婚を進めていくかについても悩んでいる方の場合には,まずは,離婚を考えられるに至った経緯や現在の状況についてお気軽にご相談ください。お話を聞きながら,最適な手段を一緒に考えていければと考えております。
以後のブログでは,離婚するための各方法について,それぞれの特徴や,メリット,デメリット等をご説明させていただきます。

2017.12.01

離婚問題について

離婚問題について

昨今は,結婚した夫婦の3組に1組が離婚するという時代になっており,一度結婚して家族になったとしても,様々な理由・経緯により離婚という道を選ぶ方がとても増えています。

結婚する際には,婚姻届を作成し,提出するだけで夫婦としての身分関係が成立しますが,離婚するとなると,結婚するときのように簡単に物事が進むとは限りません。

そもそも,相手方が離婚に応じないというケースも少なからず存在します。
また,相手方が離婚には応じたとしても,未成年のお子さんの親権者について夫婦間で争い,親権者がようやく決まったと思ったら,今度は,養育費,面会交流について意見がまとまらない。
お子さんがいない夫婦でも,慰謝料を払う,払わないで揉め,これまでためていた貯金,生命保険,自動車,不動産はどう分けるのか,年金はどうなるのか・・・・・

このように,離婚となると結婚するときと異なり,単に離婚届を作成してすべて解決というケースはほとんどなく,離婚に付随する様々な問題を解決していく必要があります。

このブログを読まれている方の中には,既に離婚することを決意されている方,離婚するかどうか迷われている方,配偶者より離婚したいと言われたばかりの方,家庭裁判所から書類が届いてどうしたらいいか分からない方等様々であると思いますが,少なくとも離婚という人生が大きく変わる場面に直面されているのだと思います。

このブログでは,家事事件に関して九州トップクラスの相談件数・取扱件数を有する当事務所の弁護士として,皆様からの疑問に答えつつ,離婚にまつわる問題や具体的な手続きの流れを説明し,離婚という場面に直面されている皆様にとって,道標となり,新しい人生のスタートをお手伝いできればと考えております。

2017.11.08

小規模個人再生手続とは?

小規模個人再生手続とは?

【Aさんの相談】
借金を繰り返した結果、現在負債額が約500万円に膨れ上がり、毎月10万近く弁済に充てていますが元本は一向に減りません。各債権者と交渉して任意整理を進めていましたが、全く応じてくれない債権者がいて行き詰まっています。毎月給与は安定して入っているため、長期間の弁済猶予をもらえれば返済できるのではないか考えているのですが、もう破産するしかないのでしょうか。破産以外で何か債務整理の方法があれば教えて下さい。

 借金で苦しんでいるものの、色々な事情で「破産だけは避けたい」と考えられる方は多いと思います。無収入で返済の見込みが全く立たなければ破産を検討せざるを得ないでしょうが、Aさんのように安定した収入がある方には、その他の債務整理の方法である個人再生手続について検討する余地があります。そこで今回は、当該手続について福岡の弁護士がご説明していきます。

1 小規模個人再生手続とは?

 小規模個人再生手続とは、将来において反復継続的に収入の見込みがある場合に、今後の収入を原資に3~5年以内での返済計画を立て、裁判所が許可した返済計画に基づき弁済を継続すれば、残りの債務は減免されるという手続です。破産と異なり免責の制度はないため、負債がゼロになることはありませんが、原則として最低弁済額の返済ができれば残りの債務は免除されるため、大幅な債務の圧縮(元本カット)が可能となります。また、裁判所を通じた法的手続であるため、任意整理の場合と異なり、返済計画に反対する債権者がいても、再生計画が適法に可決・認可されれば、反対債権者も強制的に返済計画に組み込まれることになります。
 以上の通り、個人再生手続きは、任意整理や破産にはない大きなメリットがある制度といえます。

2 要件は?

 個人再生手続を利用する場合は、①債務総額が5000万円以下であること、②債務者は個人であり、将来において反復継続的に収入を得る見込みがあることの2つの要件が必要になります。なお、①の債務総額5000万円には、住宅ローンの負債や抵当債務等の被担保債権額は含まれません。
 また、②については、収入が安定していれば問題がないため、年金や生活保護でも問題ありません。また、パートやアルバイトでも問題ありません。
 なお、再生手続は、破産する前段階の手続ですので、破産のおそれがあるか又は事業の継続に著しい支障を来たすことなく弁済期にある債務を弁済できない状態にあるということは手制度利用の前提となります。

3 支払総額はどのくらいになるの?

 個人再生手続を利用した場合、大幅な債務の圧縮が可能ですが、最低弁済基準額は以下の通り決まっています。

債務総額 最低弁済額
3000万円超~5000万円いか 債務総額の10分の1以上の額
3000万円以下

①債務総額の5分の1

or

②100万円(※①or②のいずれか多い額の方)

 たとえば600万円の負債がある人は、最低弁済額は120万円となりますので、120万円を3年以内で返済する計画を立てる形になります。

4 再生計画の認可・遂行

 再生手続によって債務の減免を実現させるためには、再生計画案を裁判所に提出し、債権者に可決され、裁判所の認可を受ける必要があります。
 再生計画案が可決される要件としては、①議決権者の頭数による過半数の賛成と②議決権総額の2分の1以上の議決権を有する債権者の賛成の2要件を満たす必要があります。
 たとえば、債権者がA,B,C,Dの4人おり、それぞれ、100万、100万、100万、400万円の債権を有しているとします。ここで、誰か2人が再生計画案に反対すると、過半数の賛成が得られないため、再生計画案は否決となります。
 また、A,B、Cは賛成しても、Dが反対している場合は、議決権総額(今回だと700万)の2分の1以上を有する債権者の反対があることになり、この場合も否決となります。
 なお、再生計画が可決され、認可が下りると、再生計画案通りに権利変更が生じ、債務者は再生計画通りに分割弁済を遂行すれば、残りの債務は免除となります。しかし、弁済が滞ったりすると、再生計画の認可が取り消されてしまいますので、返済計画については必ず実現できる内容で組み立てる必要があります。

5 再生計画の終了

 小規模個人再生手続は、再生計画の認可の決定が確定すると、その時点で手続は当然に終結します。

6 最後に

 再生手続は、任意整理手続と比べると、元本カットが受けられる点で債務の大幅な減免が可能となり、メリットの大きい制度です。しかし一方で、一度決まった再生計画については、数年間かけて責任をもって履行しなければならないため、確実に弁済できる計画を立てる必要があります。再生手続を利用される方の中には、途中で返済計画通りに返済ができなくなり、最終的に破産手続に移行される方も少なくありません。また、再生手続で申立てを行ったけれども、再生計画の認可が下りず、途中で破産手続に移行するケースもあります。その場合は、手続が二度手間になり、余計な費用もかかってしまうため、手続き選択をする上では、破産手続に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

2017.11.07

貸金返還請求訴訟中に相手方が破産した場合,現在進行中の裁判はどうなるのでしょうか?

貸金返還請求訴訟中に相手方が破産した場合,現在進行中の裁判はどうなるのでしょうか?

【Aさん】
私は,Bさんに100万円を貸していましたが,一向に返済してくれないため,先日貸金返還請求訴訟を提起しました。Bさんは,裁判において,「100万円は贈与だから返す必要はない金だ。」と主張して貸金の存在を争っています。契約書はなく,次回が証人尋問予定となっていましたが,本日,Bさんの弁護士から,Bさんが破産する予定である旨の連絡がありました。訴訟係属中に相手方が破産した場合,現在進行中の裁判はどうなるのでしょうか。

今回は,訴訟係属中に相手方が破産した場合,裁判はどうなるのかについて福岡の弁護士がご説明していきたいと思います。

1 相手方破産で係属中の訴訟は中断する?

相手方が裁判の途中で破産した場合,裁判の内容によっては進行が中断します。破産手続が開始されると,平時の場合と異なり,多数の債権者が破産者の限られた財産を奪い合う事態となりますので,破産法は,全債権者に対する平等弁済の要請から,破産手続き開始決定と同時に債権者の個別的な権利行使を禁止しています。その結果,破産者に対して裁判を通じて支払いを請求している場合には,裁判手続が中断することになります。
以上の通り,裁判手続が中断する理由は,全債権者に対する平等弁済の趣旨ですから,全ての裁判が中断するわけではなく,配当の対象となりうる破産者の財産に関わる訴訟(これを,「破産財団に関する訴訟」と言います。)のみが中断します。
そのため,破産財団に関する訴訟とは無関係な訴訟,例えば,親子関係不存在確認訴訟等の身分関係訴訟や,刑事事件などについては中断しません。なお,離婚訴訟については,離婚請求のみの場合は純粋な身分関係訴訟ですので中断しませんが,財産分与や慰謝料請求を伴う場合には,その部分については「破産財団に関する訴訟」にあたりますので中断することになります。

2 中断した裁判はどうなるの?

①係争中の請求権が破産債権の場合

 通常の民事訴訟では,裁判の中で,契約書等の書証を提出したり,尋問で契約時の状況を証言する等して,請求中の権利(Aさんの場合は貸金)が存在することを主張・立証していきます。
 しかし,破産手続きの場合は,まずは債権者全員に債権の金額や内容,優先順位等を書面で届出(自己申告)してもらい,その結果を破産管財人が確認・調査するという手順を踏みますので,破産管財人の調査が終わるまでは,裁判手続が中断します。
 そして,調査の結果,請求権の内容や金額等について異議なく認められた場合には,もはや係属中の裁判は無意味ですので当然終了となり,債権の金額と存在が確定します。
 他方で,債権の内容や金額等について破産管財人や他の債権者から異議が出た場合には,異議を主張する者を当事者に加えて裁判をする必要があるため,中断中の裁判が復活することになります。この場合,Aさんのようにまだ1審の途中で,請求中の権利について何ら判決も出ていない場合には,Aさんの方で異議を述べる相手方を被告に加える申立てをする必要があります。逆に,既に第1審で貸金について認容判決が出ていたが,相手方が控訴して控訴審の途中で相手方が破産したような場合であれば,異議を述べた者(管財人や他の債権者)の方で裁判を続行する手続きをとる必要があるとされています。
 そして,最終的に判決で債権額が確定されることになります。 

②係争中の権利が破産債権ではない場合

 たとえば,Aさんが,今回の訴訟で,Bさんに対し,100万円だけでなく,過去にBさんに貸したまま返されていないブランド品の時計についても返還を求めていたとします。この場合,AさんがBさんに対して時計の返還を求める権利は,Aさんの「所有権に基づく引渡請求権」ですので,破産債権ではありません。このように,所有権に基づく引渡請求権や所有権確認の訴え等,破産債権に関しない請求権の訴訟については,中断中の訴訟は破産管財人が引き継いで継続することになります。よって,Aさんは,管財人を被告に切り替え,時計の返還を求める訴訟を続行することになります。

3 訴訟で権利が確定した場合

 係争中の権利の存在が,最終的に裁判で確定した場合,当該権利が破産債権の場合は,破産債権者表に記載され,配当を受ける権利が認められます。もっとも,結局は破産債権のため,財産が残っていれば配当を受けられますが,財産がない場合や免責決定が出てしまえば,せっかく訴訟で勝ち取っても回収できないのが現実です。

4 まとめ

 以上の通り,訴訟係属中に相手方が破産した場合,破産財団に関する訴訟は中断し,破産手続の規律に服することになります。破産債権に関する訴訟の場合は,結局は裁判で勝ち取っても,配当が回ってこない可能性も多いにありますので,その後の手続をどのように進めるかについては,一度破産手続に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

2017.11.06

個人再生手続で決まった再生計画の履行が難しくなりました。どうすればいいでしょうか?

個人再生手続で決まった再生計画の履行が難しくなりました。どうすればいいでしょうか?

【Aさんの相談】
私は、1年前に弁護士さんに依頼し、小規模個人再生手続を利用して債務整理を行いました。現在も、そのときに決まった弁済期間3年の再生計画に基づいて債務の弁済を継続しています。しかし、3か月前に追突事故に遭い、怪我の影響で仕事を続けることができなくなり、先日退職となりました。現在、新しい仕事を探していますがまだ見つかっておらず、このままでは再生計画で決めた債務の弁済が難しくなりそうです。この場合、一度決まった再生計画の内容を変更してもらうことはできるのでしょうか。

 個人再生手続は、返済計画を原則として3年以内としており、長期の計画になることが多いため、再生計画遂行中に事情が変わり、返済困難な事態に陥ることも少なくありません。そのため、民事再生法は、再生計画の変更やハードシップ免責の制度を設け、一定の場合には債務の返済計画の変更や残債務免除を認めています。そこで、今回は、これらの制度について福岡の弁護士がご説明していきたいと思います。

1 再生計画の変更

 再生計画で決まった内容については、計画通り弁済していくことが原則です。しかし、再生計画の認可決定があった後、やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となった場合に限り、再生計画の内容を遂行可能なものに変更すること(再生計画の変更)が認められます(民再234条1項)。ここでいう「やむ得ない事由」とは、当初の再生計画の認可時にそのような事情が予想されていれば計画の内容が異なっていたのであろうと思われるような客観的事由であることを要します。
 なお、変更といっても、既に成立した再生計画の返済総額を変更することはできず、弁済期間の延長のみ可能です。(延長により毎回の弁済額が減ることになります。)延長期間は2年が上限となっており、それ以上の延長はできません。
 再生計画の変更を行うためには、債務者において変更の申立てをする必要があります。申立後は、再生計画の成立のための手続と同じ手続を踏むことになります(同条2項)。

2 ハードシップ免責

 ハードシップ免責とは、再生計画に基づいて誠実に債務返済を継続し、大半を返済し終えた状態で、債務者の帰責事由なく再生計画の履行が極めて困難になった場合に、裁判所が、債権者の意見を聞いた上で、債務残額の免責を認める制度です。適用要件は以下の3つです。
【 要件 】
①再生債務者の責めに帰することができない事由により、再生計画の遂行が極めて困難になったこと
※「極めて困難」とは、再生計画変更の要件である「著しく困難」よりも困難の度合いが高いものをいうため、再生計画の変更手続で足りる場合は、要件を満たしません。
②免責決定することが再生債権者の一般の利益に反するものでないこと
※破産手続に移行して配当を受ける方が債権者にとって利益がある場合には、免責決定することは再生債権者の一般の利益に反するため、この要件を欠きます。
③計画弁済を要する各再生債権について4分の3以上の額の弁済を終えていること
【 手続 】
ハードシップ免責を受けるためには、債務者がその旨の申し立てを行う必要があります。
申立てが行われると、裁判所は、債権者の意見を聞いた上で、免責又は申立て棄却の決定をします。免責の決定が確定すると、債務者は、残債務について責任を免れることになります。なお、

3 再生計画の変更もハードシップ免責も認められない場合は?

⑴ 再生計画の取消し

 再生計画の不履行は、再生計画の取消事由に該当します。そのため、債権者から再生計画取消を求める申立てがなされ、裁判所が申立てを認めた場合には、再生計画は取り消され、再生計画で変更された債務は原状に復することになります。(再生計画でカットされた元本等が復活します。)
なお、個人再生手続は、通常の民事再生手続よりも簡易な手続で再生計画を策定しているため、通常の民事再生手続と異なり、債権者は、再生計画に記載された債務に基づいて強制執行をすることはできません。

⑵ 破産手続への移行

  再生計画の取消しがなされ、その時点で破産開始原因が存在する場合は、裁判所は、職権で破産手続に手続を移行させることができるとされています。
  もっとも、実務上、裁判所が職権で破産手続に移行することは少なく、通常は、債務者の申立てにより破産手続に移行します。

4 本件の場合

 本件では、交通事故という不慮の事故により、仕事も辞めざるを得ず、返済が難しくなったということですので、やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難になったといえ、再生計画の変更手続ができる可能性が高いでしょう。

5 まとめ

  以上の通り、再生計画認可後の事情の変更に応じて一定の場合には計画の変更や免責手続が認められます。いずれの場合も、債務者からの申立てが必要となりますので、各手続が利用可能かどうかについては、民事再生手続に詳しい専門家弁護士に相談され、手続きを依頼されることをお勧めします。

2017.10.20

破産手続開始決定が出るまでの間に,債務者の財産を保全する手段とは?

破産手続開始決定が出るまでの間に,債務者の財産を保全する手段とは?

【債権者Aさんの相談】
先日,取引先であるB社から突然,「B社は破産する予定です。今後は破産手続を弁護士に依頼する予定であり,弁護士から後日通知をしますので,取り立てはお控えください。」との通知が来ました。そのため,私は取り立てを中止し,B社の弁護士からの通知が届くのを待っていました。しかし,噂によると,同じ通知を受けた他の債権者C社は,通知を受けた後も引き続きB社に取り立てを行い,債権を一部回収したと聞いています。私は,B社から言われた通り,取り立てを中止していたのに,他の債権者は取り立てを継続して弁済を受けるなんて不公平です。B社の破産手続開始決定はまだ出ていないようですが,私もC社と同様に,取り立てをして弁済を受けていいのでしょうか?また,破産手続開始決定が出るまでの期間,他の債権者の取り立てを禁止し,債務者の財産を保全する手立てはありませんか?

1 破産手続開始決定前の財産の保全について

裁判所から破産手続開始決定が出ると,債権者は個別に権利行使することが禁止され,取り立てや強制執行はできなくなります。破産法は,このように,破産手続開始後の債権者の個別的権利行使を禁止し,債務の引き当てになる財産を確保しています。しかし,裏を返せば,破産手続開始決定が出る前の債権者の権利行使は原則として制限されていません。
しかし,これでは,破産するという噂を聞きつけた債権者が一斉に取り立て行為を行い,破産手続開始決定が出た時点では財産が何もないという事態に陥ってしまう可能性があります。(今回の債権者Aさんのように,敢えて取り立てを中止していた債権者が損を被ってしまう結果になります。)しかし,それではあまりにも不公平です。そこで,今回は,破産手続開始決定が出る前の時点においても,債権者の権利行使を制限し,債務者の財産を保全する手段について,お話ししたいと思います。

2 破産手続開始前に債務者財産を保全する手段

⑴ 債権者の権利行使の制約

①他の手続の中止命令等(破産法24条)

裁判所は,破産手続が申立てられた場合で必要と認める場合には,中止命令を発令することによって,破産手続開始前であっても,債権者による強制執行や仮差押え,仮処分,財産関係の訴訟手続等を中止することができます。これは,債権者の個別的権利行使禁止の時期を,中止命令の発令によって破産手続開始決定前に前倒しする手続です。ですので,中止命令が発令されれば,取り立てや差押えはできなくなり,万が一これに反して弁済を受けた場合には,後々管財人から否認(取消)され,受領した財産は返還しなければなりません。

②包括的禁止命令(破産法25条)

裁判所は,①の中止命令を個別に発令するのでは財産の保全が十分に行えないような場合には,包括的禁止命令を出すことによって,全ての債権者に対して,強制執行等の禁止を命じることができます。これは,例えば,ネット通販のように全国に債権者が散らばっており,個別の債権者に対して中止命令を発令しても対処できないような場合を想定しています。①の中止命令は,債権者ごとに個別に出されるものですが,②の包括的禁止命令は全ての債権者に対して出されます。
⑵債務者の財産処分権の制約

③債務者の財産に関する保全処分(破産法28条) 

裁判所は,破産手続開始の申立てがあった場合には,破産手続開始決定が出るまでの間,債務者の財産に関し,処分禁止の仮処分や弁済禁止の仮処分等,財産に関する保全処分を命じることができるとされています。財産の処分や弁済禁止等の仮処分が出た場合,その名の通り,債務者は勝手に財産処分や弁済をすることができず,これに反した弁済については原則として無効となります。なお,弁済を受領した債権者が,債務者に弁済禁止の仮処分等が発令されていたことを知らずに弁済を受けていた場合は,例外的に弁済は有効になります。

④保全管理命令(破産法91条)

 裁判所は,債務者が法人の場合で,債務者の財産管理が失当であり又は債務者の財産確保が特に必要な場合には,保全管理命令を発令して,保全管理人を選任し,債務者の財産管理を任せることができるとされています。これは,債務者による財産の散逸を防ぐ趣旨で認められている制度です。

⑶ 小括

 以上の通り,破産手続開始前において,債権者の権利行使や債務者の財産処分権を制限する手段はいくつかあります。なお,いずれも,裁判所に対して破産手続を申し立てていることが必要であり,単なる破産予定という状態では利用できません。また,利用する場合は,利害関係人の申立て又は裁判所の職権発動が必要になります。

3 まとめ

以上の通り,破産手続開始決定前であっても,一定の場合には,債権者の権利行使を制限したり,債務者の財産処分権を制限することによって債務者財産を保全する手段が準備されていますので,Aさんのような悩みをお持ちの方は,一度弁護士にご相談されることをお勧めします。(なお,本事例では,破産手続予定であり,まだ申立てに至っていないため,①~④の手続きはできません。しかし,C社に対する弁済は,破産する通知を出した後に行われているので,否認対象行為として管財人から取消される可能性が高いでしょう。)

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