弁護士コラム

2019.08.03

【不動産】専用部分で漏水事故が発生した時

8階建のマンションの3階に住んでいるのに、天井から水漏れが発生しています。最上階ではないので、雨漏りではなく上の階からの漏水だと思うのですが、どのように対応すればよいのでしょうか?

【事例】
マンションの305号室に居住するXは、天井からの水漏れにより、浸水の被害を受けました。管理組合へ相談し、水漏れの原因を調査した結果、Xの居室の真上にある405号室の専有部分からの水漏れであることが判明しました。
405号室にはSという人が居住をしています。

一軒家で天井から雨漏りが発生すれば、その理由はたいていが「雨漏り」なので、天井や屋根の補修さえしてしまえば問題は解決します。
ところが、マンションの最上階ではない部屋で漏水が発生した場合には、雨漏り以外の要因が想定されるため、問題を解決するための方法も、その原因によって全く変わってきます。

ケースによってどのような対応を取るべきか検討していきましょう。

1 Xは、漏水で被害を受けた今回の件について、誰に、どのような請求をすることができるのか

誰に対してどのような請求をすればよいかは、漏水の原因によって異なります。
例えば、Sが不注意で浴室に貯めていた水を溢れさせてしまった場合のように、単純にSの不注意であった場合であれば、Sに対して不法行為に基づく損害賠償を請求することが出来ます。

一方で、例えば405号室の排水設備が老朽化していたために漏水が発生し、Xの居室への浸水に繋がった場合であれば、Xは、不法行為に基づく損害賠償請求の他に、漏水が発生した当該居室の占有者本人には過失が無かったとしても、土地工作物責任に基づく損害賠償請求(民法717条1項)をすることが想定されます。

土地工作物責任では、危険物の占有者及び所有者に対しては重い責任を負わせるという危険責任の法理に基づいて、占有者に対しては中間責任、所有者に対しては無過失責任を定めています。

2 漏水事故が発生した当時、短時間で集中豪雨があったときには、原因をどのように考えるべきか。

漏水の原因が気象条件によるものであった場合には、建物の構造上大雨に弱かったのか、配水管が詰まっていたせいで水が溢れ出し、居室への漏水に繋がったのかといった細かい条件により対応が変わってきます。

いわゆる「大雨」の程度であれば、普通の建物であれば防げる程度であると想定されるため、大雨の時に漏水が発生した場合には、建物に何らかの瑕疵(防水設備が不十分であった、配水管が塵芥で詰まっており清掃・点検が不十分であった)の存在が想定されます。

一方で、近年各地で発生しているような豪雨の場合には、上述したような瑕疵の有無にかかわらず、漏水が発生することが考えられます。
こういった場合には、実際に発生した漏水による被害の程度が、上述のような瑕疵が存在したためにより大きいものになってしまったか否かを焦点に争うことが想定されます。
 

3 漏水の原因が、マンション建築当時からの構造上の問題であった場合は、誰が責任を取るのか。

漏水事故について、Sが土地工作物責任に基づき、Xに対し損害賠償を行った後に、実は今回発生した漏水事故は、マンションが建築された当時から存在していた瑕疵に起因するものであることが判明した場合には、どのような対応が考えられるのでしょうか。

まず、発生した漏水事故について、占有者ないし所有者(S)が土地工作物責任を果たした場合であって、損害の原因について他にその責任を負う者がいる場合には、Sは、この「責任を負う者(マンションの分譲業者や施工業者等)」に対し、SがXに対して賠償した内容について求償することが出来ます。

また、漏水の原因となった瑕疵が、いわゆる「隠れた瑕疵」であった場合には、Xは当該マンションの分譲業者(売主)に対して、瑕疵担保責任を請求することも考えられます。

瑕疵担保責任については、民法上は除斥期間を、当該瑕疵を発見した時から1年と定めており、宅建業法においては物件の引渡しから2年以内に制限されています。
一方、当該瑕疵が住宅の構造上主要な部分などの隠れた瑕疵であった場合には、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)によって、除斥期間は物件の引渡しから10年間とされています。

4 土地工作物責任の要件

以上のように、XはSに対して土地工作物責任に基づく損害賠償請求を行うことが出来る場合がありますが、ここからは、具体的に土地工作物責任の要件を検討していくことにします。

まず1つ目の要件として、「土地の工作物」からの被害が必要となります。この「土地の工作物」とは、土地に接着して、人工的作業を加えることによって成立した物をいい、マンションの建物がこれに該当することは明らかです。

例えば、マンションの漏水の原因が、漏水が発生した浴槽の防水が不完全であったことであった場合、この「浴槽の防水設備」は、マンションの一部であるため、「土地の工作物」に該当します。
そして、漏水の原因が排水設備の劣化にあった場合、この「排水設備」は「建物の附属物」に該当するため、建物と一体のものとして「土地の工作物」に含まれると解されます。

2つ目の要件として、「設置・保存の瑕疵」の存在が必要です。土地工作物の「瑕疵」とは、建物が通常備えるべき安全性を欠くことであり、工作物の設置当初から存在する瑕疵を「設置の瑕疵」、工作物が維持管理されている間に生じた瑕疵を「保存の瑕疵」といいます。

3つ目の要件は、「損害」の発生です。この「損害」は、実際に発生した者であることを必要とします。

そして、最後の要件が「因果関係」の存在です。前提として「事実的因果関係」が認められる必要があります。次に、特に気象条件等の不可抗力が影響した上での損害の発生の場合には、「相当因果関係」が問題となり、検討が難しくなります。

2019.08.02

定年後再雇用の企業リスク

今般、多くの企業が定年退職後の再雇用制度を導入しています。再雇用の前後で労働条件が全く同じというわけでは無く、特に再雇用後の賃金が下がるケースも多くなっています。

この様な労働条件の変化について、果たして、企業側は法的なリスクは無いのでしょうか?今回は再雇用制度の導入に伴う企業のリスクと対処方法についてご説明していきます。

1.高年齢者雇用確保措置について

政府は、平成25年に65歳までの安定した雇用を確保するため高年齢者雇用確保措置を実施し、定年を65歳未満に定めている企業に対し、「65歳までの定年の引上げ」、「65歳までの継続雇用制度の導入」、「定年の廃止」のいずれかの措置を実施する必要がある(高年齢者雇用安定法第9条)」と定めています。

高年齢者雇用確保措置の実施後は、継続雇用制度(再雇用制度)の導入を選択する企業が多くなりました。
継続雇用制度は労働者が希望すれば定年後も引き続いて雇用する制度となるため、定年を迎えた65歳未満の労働者が希望すれば継続して働くことが出来る環境が整っています。

2.労働契約法第20条のリスク

それでは、再雇用時の労働条件は従前と同一の条件で雇用する必要があるのでしょうか?それとも、企業が一方的に労働条件を定めることが出来るのでしょうか?

多くの企業では、再雇用時の雇用形態を正社員から嘱託社員やパートタイマーなどの有期雇用労働者へと変更しています。
なお、雇用形態を変更するのであれば、業務内容等も雇用形態に応じて変化する必要がありますが、企業によっては雇用形態を変更し、賃金を下げるが、労働内容、範囲などが以前と全く同じ場合には労働契約法第20条に違反するリスクが存在します。

労働契約法第20条とは、有期雇用労働者と正社員との間で、労働者の義務の内容、業務に伴う責任、職務の内容及び配置の変更範囲に関して、不合理な差をつけることを禁止する法律です。

労働契約法第20条の趣旨は、再雇用の有期雇用労働者と正社員(無期雇用労働者)の待遇や労働範囲を同一に規定するというものではなく、あくまでも不合理な労働条件の相違や待遇の差があり、それらの点について労働者から裁判所へ訴えがなされた場合に労働契約法第20条に違反していると判断され、損害賠償を命じられるリスクが生じます。

3.無期転換ルールの特例制度について

前述した通り、多くの企業は定年後に再雇用を希望する労働者について、雇用形態を無期雇用から有期雇用に変更しながら継続雇用制度を運営しています。
しかしながら、有期雇用契約では、雇用期間が5年を超え、労働者から使用者に対し期間の定めのない無期雇用契約へ切り替えを求めた場合は、無期雇用へ労働条件を変更する必要があります(労働契約法第18条1項)。

例えば、60歳で定年を迎えた労働者を有期契約で65歳まで再雇用した場合、労働者は65歳になったときに(有期契約の開始から5年が経過した時点)無期転換申込権を取得することになります。
無期雇用となると、企業は雇用期間満了を理由に雇用を終了させることができないため、人件費の増額に繋がることが予測されます。

企業側は人件費の増加というリスクがあると積極的に継続雇用制度を運営しない可能性が大きくなるため、企業側のリスクを軽減するために有期雇用特別措置法(正式名は、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法といいます。)が設けられています。

有期雇用特別措置法では、企業が再雇用した有期労働者に対して、無期雇用転換の申込権発生までの期間において特例を設けた特別措置をとることができます。特別措置を行う場合には、労働局の認定が必要となりますが、有期雇用特別措置の申請が認定されると、無期転換ルールの対象から除外されます。
但し、有期雇用特別措置の制度を導入するには、企業が予め就業規則を整備し、有期雇用特別措置に適応した雇用契約書を作成することが重要です。

4.まとめ

今回は高年齢者雇用確保措置の実態と企業側のリスクについて説明を致しました。高年齢者雇用確保措置を実施により、定年を迎えた65歳未満の労働者は希望をすれば継続して働くことが出来る環境が整いました。

一方で、企業には、労働者からの再雇用の希望に対し、拒否をした場合は損害賠償を請求されるリスクや、再雇用をしたとしても有期雇用で5年以上が経過すると無期雇用へ雇用形態を変更する必要に迫られ人件費の増加に繋がるというリスクに直面しています。

なお、後者のリスクに対しては事前に、労働局から有期雇用特別措置法の認定を受けるなどの対策を講じることも可能なため、労働者との間でトラブルに発展する前に、事前にリスクに備えたいという方は、一度専門家へ相談することをお勧めします。

2019.08.01

ネットに書き込みをした人物を特定するには?その1

削除依頼申請では書き込みをした人物を特定することまではできません。相手を特定するには、以下に説明する開示請求という方法をとることとなります。

今回は、発信者情報開示請求と仮処分の方法についてご紹介します。

1.ネットの仕組みを理解して、開示請求を

(1)適切な手順を踏めば、情報開示は可能

個人情報や誹謗中傷の書き込みがされてしまった場合、必ず思うのが「誰が書き込みをしたのか」ということではないでしょうか。たとえ思い当たる人物が存在していたとしても、匿名で書き込みされている場合が大半であり、書き込みがなされた時点では人物を特定することは不可能です。

しかしながら、然るべき手順で各プロバイダへ情報の開示請求を行えば書き込みをした人物を特定することができます(これを発信者情報開示請求といいます)。

(2)まずはコンテンツプロバイダへ開示請求を

私たちがインターネットを利用する際、「プロバイダ」と呼ばれるネット接続サービスを契約することがほとんどかと思いますが、このプロバイダのことを正しくは「インターネットサービスプロバイダ(ISP)」と言います。

私たちは、このインターネットサービスプロバイダを通じて、様々なSNSや掲示板、情報サイトなどへアクセスしていることになります。

また、そのSNSや掲示板、情報サイトを運営している事業者のことを「コンテンツプロバイダ」と呼び、掲示板などに書き込んだ情報が保管されているサーバーを管理しています。

<インターネットの流れ>

コンテンツプロバイダが有している情報は、サーバーにアクセスされた履歴やIPアドレス、タイムスタンプと呼ばれるアクセスのあった時間の記録などが主になります。

IPアドレスは、書き込みをした人物が、どのインターネットサービスプロバイダと契約しているのかの手がかりになります。

しかし現在のIPアドレスというのは、一定時間経過すると新しい値がユーザーに割り振られてしまうため、それだけでは特定をすることができません。IPアドレスとともに、タイムスタンプも合わせることにより、「この時間にこのIPアドレスを与えられた人物が書き込みをした」という情報がコンテンツプロバイダへ開示請求することにより判明するのです。

2.コンテンツプロバイダへの開示請求の方法

コンテンツプロバイダへの開示請求の方法は、前回の記事の削除依頼と同様、テレコムサービス協会が提供している書式を用いてコンテンツプロバイダへ請求する方法と、裁判所へ仮処分の申請を行う方法の2通りがあります。

テレコムサービス協会が提供している書式は「発信者情報開示請求書」というもので、身分証明書の写しや印鑑証明書などを添付しコンテンツプロバイダへ郵送します。

ここで忘れてはならないのが、実際に書き込まれた時の状況が分かる証拠です。

画面のスクリーンショットや、その時表示されたWEBページをPDF形式で保存したものなど、そのサイトの特定の場所に書き込みされているという証拠も準備し合わせて送ります。

ですので、書き込みを発見した際には慌てずに、落ち着いてスクリーンショットを取ったりブラウザを用いて該当ページをPDF形式で保存するなど、証拠の確保を行いましょう。

次にそのサイトを訪れた際、どこに記載されていたのか辿れなくなってしまう場合もあるため、なるべく早い段階で保存します。

(例)google chromeには、印刷機能にPDFデータで書き出す機能があります。
保存した日時や当該URLなども表示することができ、有用です。

詳しい書き方などについては、プロバイダ責任制限法 関連情報WEBサイト
http://www.isplaw.jp/index.htmlを参照してください。

コンテンツプロバイダへ開示請求がされた場合、プロバイダ側はIPアドレス等の情報を開示してもよいか発信者へ尋ねることとなります。同意が得られない場合、開示することはできません。しかし、明らかに権利を侵害しているとプロバイダ側が判断すると、開示されることもあります。

3.発信者情報開示仮処分の申請

このように、情報開示請求を行っても一概に開示されるとは言いきれません。ですので、裁判所による発信者情報開示仮処分を行うのが良いでしょう。

こちらも前回ご紹介したように、仮処分は通常より早く決定が下されることが多いので、専門家などに依頼するなどして、速やかに手続きを行いましょう。

また、仮処分にあたっては、早く決定を行わないと適切な措置ができなくなることを明記することがポイントです。インターネットの世界では、瞬く間に新しい情報がどんどん保存され積み重ねられ、放っておくと膨大なデータが蓄積することになります。

そのため、保存期間を過ぎた古い情報から定期的に削除されてしまうことが常であり、書き込まれた際のログ(記録)も期間が経過すると削除されてしまうことになります。ですから迅速に仮処分を行う必要性があることを説明するのです。

裁判所が開示の仮処分を決定したら、大半のコンテンツプロバイダは決定に従い情報の開示を行います。(削除依頼と同様、数十万円の担保金が必要です。)

これで、書き込みをした人物のIPアドレスとタイムスタンプという情報が得られることになります。

そして、これらの情報を用いて行うのが、インターネットサービスプロバイダへの契約者情報開示請求です。こちらについては次回、ご説明したいと思います。

4.まとめ

今回はコンテンツプロバイダへの開示請求についてご説明しましたが、前述したとおり、この後、インターネットサービスプロバイダへの開示請求も行わなければ、発信者の特定はできません。

何段階も手順を踏まなければなりませんが、請求の流れを把握しておけば、万が一トラブルにあった際も、まずは2.で説明したような「証拠の保存をする」という行動に移せるはずです。落ち着いて状況の判断をするようにしましょう。

2019.07.30

【刑事事件】捜査への協力の要否・強制捜査とはどんな捜査か

今回は、以前別の記事でご紹介した、警察官の行き過ぎた行為の報告先に関連して、捜査機関の種類や強制捜査がいかなるものであるか、また関連する刑事訴訟法の原則をご紹介します。

以前の記事を読むにはこちらから→警察(警察官)にクレームをお持ちの方へ

1.捜査機関

犯罪について捜査を行う権限と責務を有する捜査機関は、警察と検察、正確には、司法警察職員と検察官、検察事務官です。実際には、司法警察職員は一般司法警察職員と特別司法警察職員とに分けられており、この特別司法警察職員の中に、労働基準監督官など、専門の分野に限って捜査を行うことのできる者が規定されています。

刑事訴訟法(以下「刑訴法」といいます。)では司法警察職員は「犯罪があると思料するとき」、検察官は「必要があるとき」に捜査をすると定められています(刑訴法189条2項、191条1項)。

この規定からも分かりますが、犯罪捜査を行うのは第一次的には司法警察職員です。実際にも司法警察職員によって捜査が開始される事件が多いため、司法警察職員を「第一次捜査機関」、検察官を「第二次捜査機関」と呼ぶことがあります。

2.捜査の原則

(1)捜査関係者の心構え

捜査というのは、私人の私生活に踏み込み、権利侵害のおそれがあるものですので、必要最小限度の合理的なものに留めるべきとされています。
一方で、平和で安全な社会を守るために国民が捜査機関に付託した重要な作用ですから捜査についても尊重しなければなりません(刑訴法196条)。

また、捜査は、関係者の名誉、そして捜査の目的達成のためにも、秘密を守って捜査を行わなければなりません。これは、「捜査密行の原則」などといわれることもありまます(犯罪捜査規範第9条参照)

(2)捜査に必要な取調べ

刑訴法第197条1項本文では、「捜査については、その目的を達するために必要な取調をすることができる。」と定められています。
同条中の「取調」というのは、単に人から話をききとるといった取調べだけでなく、犯人の発見、証拠収集のためのすべての処分、すなわち捜査活動一般を指します。

既に述べたとおり、捜査はその性質上、任意であっても市民の私生活部分に公権力が介入するものです。
したがって、捜査機関は、私生活への介入を必要最小限度にとどめなければならず、これを裏返せば、市民の側は、捜査機関のする適法な取調べに対しては協力、少なくともこれを受忍しなければならない、ということになります。

このように、捜査に必要な取調べは、刑訴法が特に捜査機関に認めたものあり、捜査機関は、刑訴法に従って、適法な捜査を行わなければならないことはいうまでもありません。

3.強制処分に関する原則

(1)強制処分法定主義

以上の通り、捜査は、人の権利に対する侵害を必要最小限度に止めて謙抑的に行う必要があることが分かりますが、そのために捜査機関が有すべき必要な権限は刑訴法によって定められています。

そして、刑訴法197条1項但書は「強制の処分は、この法律に特別の定めがある場合でなければ、これをすることができない。」旨を定めています。これが「強制処分法定主義」と呼ばれるものです。

ここで、憲法では、逮捕・捜索・押収などの強制処分を行うには、原則として司法官憲、すなわち裁判官が発する令状が必要であると定められています(令状主義)。
刑訴法はこれを受けて、逮捕・捜索等の強制処分の要件を定めているわけですが、強制処分について単に「特別の法律の定め」を必要とするのではなく、刑訴法に定めがなければできないと規定する点できわめて厳格なものといえます。

(2)任意捜査の原則

強制処分に関する刑訴法197条1項但書と対比し、同項本文の規定(「捜査については、その目的を達するために必要な取調べをすることが出来る。」)は「任意捜査の原則」を指すものだというのが一般的な理解です(警察官に対する捜査規則である犯罪捜査規範99条は「捜査は、なるべく任意捜査の方法によって行わなければならない。」として、この原則を明示しています。)。

しかし、この「任意捜査の原則」というのは、常に任意捜査が強制捜査に優先する、すなわち、任意捜査で行える場合には、強制捜査を行ってはならないということを意味している訳ではありません。

例えば、逮捕・勾留という人身の拘束については、逮捕・勾留しなくても捜査の目的を達することができる場合に逮捕・勾留を認めてはならないのは当然でしょう。

しかしながら、任意捜査ができる場合には強制捜査を行うことが許されないとすると、強制捜査を行う前に相手に逐一捜査を承諾するかどうか確かめなければいけないことになり、これは、不合理です。

また、任意捜査が可能な場合であっても強制捜査によるべき場合もあります。犯罪捜査規範は、住居等については、たとえ住居主又は看守者の任意の承諾があっても任意捜査として捜査を行ってはならない、つまり住居等については、必ず強制捜査を行わなければならないと定めています(犯罪捜査規範108条)。
一見すると任意捜査の原則に反しているように思えるのですが、この規定は、当該捜索による住居主等に対する権利侵害の程度が決して小さくないことから、警察官が相手方にむりやり承諾させて捜査をすることがないように任意捜査を許さないことにしたものです。

4.強制捜査について

それでは、強制の処分(強制捜査)というのはどのようなものを指すのでしょうか。

【最高裁決定昭和51年3月16日】では、強制捜査を「個人の意思を抑圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味する」と定義しています。

そして、任意捜査においては有形力の行使は一切許されないとする考え方がありますが、判例その他の裁判例は、任意捜査においても一定の有形力の行使を認めています。上記最高裁決定では、任意捜査でも一切の有形力の行使が許されないわけではないとして、その限界を「必要性、緊急性なども考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される」か否かとしています。

【最高裁決定昭和51年3月16日】
「捜査において強制手段を用いることは、法律の根拠規定がある場合に限り許容されるものである。しかしながら、ここにいう強制手段とは、有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであつて、右の程度に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合があるといわなければならない。ただ、強制手段にあたらない有形力の行使であつても、何らかの法益を侵害し又は侵害するおそれがあるのであるから、状況のいかんを問わず常に許容されるものと解するのは相当でなく、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容されるものと解すべきである。」

5.まとめ

このように、刑事訴訟法では捜査の必要性と基本的人権の尊重が図られています。予め捜査機関による捜査を許容すべき場合を事前に知っておくことで、本来協力する必要性のない捜査については拒否することもできます。

また、もし任意の協力の名目のもと、具体的状況において個人の意思を抑圧するような捜査が行われてしまった場合は、当該捜査は強制捜査にあたり、令状がない限り違法ですから、速やかに専門家に相談のうえ、適切に対処してもらう必要があります。

2019.07.26

各種ハラスメントについて

皆さんは、「ハラスメント」という言葉をご存知ですか?よく問題になっているセクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどの単語は、耳にしたことがある方も多いかと思います。

今回の記事では、「ハラスメントにはどのようなものがあるのか?」「ハラスメント被害に遭った場合はどうしたら良いのか?」「ハラスメントが発生した場合に行為者・会社が問われる責任は何か?」についてご説明します。

1.ハラスメントの種類

ハラスメントとは、嫌がらせいじめのことです。近年、ハラスメントによるトラブルは増加しており、「〇〇ハラ」という言葉を見かける機会が増えてきました。では、ハラスメントには一体どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、代表的なハラスメントを取り上げてご説明します。

パワーハラスメント

パワーハラスメントパワハラ)とは、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりすることを指します。

<具体例>
・挨拶を無視されたり、会話をしてくれなかったりする
・蹴られたり、物を投げつけられたりする
・他の社員もいる中、大声でミスを責められる
・一人では終わらせることができない膨大な量の仕事を強要する

セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントセクハラ)とは、相手方の意に反する性的言動のことを指します。セクハラと聞くと、「男性の性的な言動によって、女性が被害に遭う」というケースを想像される方が多いかもしれません。しかし、「女性の性的な言動によって、男性が被害に遭った」という場合も、もちろんセクハラに該当します。また、同性に対する性的な言動もセクハラに含まれます。

<具体例>
・性的な関係を持つことを要求され、断ったところ解雇される
・上司に度々腰や胸を触られ、苦痛に感じて仕事への意欲が低下している

マタニティハラスメント

マタニティハラスメントマタハラ)とは、職場における妊娠・出産等に関するハラスメントのことを指します。

<具体例>
・妊娠したことを報告したことにより、「妊娠をしたのであれば辞めてもらう」、「もう昇進はできない」と言われる
・育児休業制度の利用を申出・取得したことにより、「休みを取るのであれば辞めてもらう」と言われる

スメルハラスメント

スメルハラスメントスメハラ)とは、体臭や煙草・香水などの匂いに関するハラスメントのことを指します。

<具体例>
・煙草の匂いがする従業員がいる
・生乾きの衣類を着ていることにより、衣類から匂いが発せられる従業員がいる

2.ハラスメント被害に遭ったら

では、実際にハラスメント被害に遭った場合はどうしたら良いのでしょうか?「ハラスメント被害に遭っていると感じるけれど、何をしたらいいのか分からない…」という方もたくさんいらっしゃるかと思います。

もし、ハラスメント被害に遭った場合は、以下の行動を起こしましょう。

(1)いつ、どこで、どのような被害に遭ったのか、近くに誰がいたかなどの具体的状況を詳細に残しておく

メモや録音などの方法によって記録を残しておくことで、後から事実確認をするときの証拠になります。
また、口頭で「ハラスメントをやめてほしい」という要求をして、それでも続くようであれば文書でもやめてほしい旨を申し入れることで、「ハラスメントが行われていたこと」、「やめてほしいと伝えたこと」を証拠に残すという手もあります。

(2)会社の窓口に相談する

人事部や、社内に相談窓口が設けられていれば相談窓口で相談しましょう。

(3)外部の相談窓口に相談する

社内に相談窓口が設けられておらず、社内に相談できる人がいない場合は、全国の労働局・労働基準監督署や、弁護士・社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。

3.ハラスメントが発生した場合の行為者・会社の責任

(1)行為者の責任

ハラスメント被害に遭った場合、被害者は行為者(ハラスメントを行った本人)に対して、不法行為責任に基づく損害賠償請求をすることができます。
また、ハラスメントの種類によっては、傷害罪や暴行罪、強制わいせつ罪などに該当し、行為者は刑事責任を追及される可能性があります。

(2)会社の責任

もし、会社がハラスメントを放置し、改善しなかった場合、会社は不法行為責任使用者責任債務不履行責任を負う可能性があり、その場合、被害者は損害賠償請求をすることができます。
また、被害者がハラスメントによりショックを受け、うつ病等の精神障害を発症した場合、労災申請をすれば、労働災害と認定される場合があります。この労働災害認定の頻度・程度によっては、会社について労働基準監督署の調査が行われたり、翌年以降の保険料が増額されたりします。

4.まとめ

本来であれば、会社が、職場でのハラスメントを防止するために対策を講じる必要があります。しかし、ハラスメント防止対策が十分になされていない会社も多く存在しています。
ハラスメントは、個人の尊厳や人格を不当に傷つける許されない行為です。会社がハラスメントを放置することは、従業員が十分な能力を発揮して働くことを妨げる上、職場秩序の乱れに繋がります。「ハラスメント被害に遭っていて辛いけれど、会社に相談しても対応してくれないから我慢するしかない…」と思っていらっしゃる方も、一人で悩まずに、まずは弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談することをご検討ください。

2019.07.25

意外と知らない会社法4「M&Aについて」

M&Aや、事業譲渡、合併など、詳しくは知らないけれど、言葉だけなら聞いたことがある、という方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、M&Aとその種類についてお話していきます。

1.M&Aとは

M&Aとは、いったい何のことでしょうか?
Mは、Mergers、Aは、Acquisitionsの略、つまりM&Aとは合併と買収の総称であり、2つの会社が1つの会社になったり、会社が他の会社の株式取得等により当該会社の経営権を取得することを意味します。
 
M&Aを行うねらいとしては、「業種の異なる会社を手に入れて、事業領域を拡大すること」「後継者問題の解決」「業界の再編」などがあります。
 
さらに、M&Aの代表的な手法として、「事業譲渡」「合併」「会社分割」「TOB」「MBO」「株式移転」「株式交換」などが挙げられますが、1ではまず、M&Aの進め方についてお話していきます。
 
M&Aを行うと、今まで全く関係のなかった会社が自社のものになったり、関連会社、子会社になったりします。
その時、もしM&Aの対象企業に不祥事などの問題があったら、自分たちの会社は、多大な損失を被ったり、社会の信頼を失ったりすることになりかねません。

そうならないためにも、M&Aを行おうとしている側の企業は、買収の対象となる企業の精査を行います。これを「デューデリジェンス(DD)」といいます。
 
このデューデリジェンスも様々な種類が存在し、財務デューデリジェンス、税務デューデリジェンス、法務デューデリジェンス等があります。

例えば、財務デューデリジェンスでは、対象先会社の財務状況を調査します。また、法務デューデリジェンスでは、紛争可能性の有無、知的財産権の登録の有無などについて調査します。

これらを行った結果、何かしらの問題がみつかった場合には、M&Aの中止、もしくは問題を解決するといった判断が必要となります。

2.事業譲渡とは

1で、M&Aには様々な種類があるとお話しましたが、2ではM&Aのうち、「事業譲渡」についてお話します。

事業譲渡とは、言葉の通り、自社の一部、またはすべての事業を他社に譲渡することを言い、ここで言う「事業」とは、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産を指し、取引先、ノウハウなど利益を生むもの全てを指します。

事業譲渡を行うことが決定すると、基本合意契約を締結し、買い手が売り手の事業調査「デューデリジェンス」を行います。問題がなければ、最終的な事業譲渡契約を締結します。

仮に、事業譲渡の対象が譲渡会社の事業の全部、または一部だった場合、譲渡会社は株主総会の特別決議が必要となります。

ここまで完了すると、譲受会社は名義変更手続や、許認可の手続を行い、事業譲渡の効力発生日を迎えて初めて手続が完了となります。事業譲渡に要する期間としては、早くて3ヶ月、時間を要する場合だと半年~1年かかる場合もあります。

大まかな流れだけを聞くと、簡単にできるもののように感じますが、実際はもっと多くの段階を踏まなければなりませんし、株主総会で事業譲渡に反対する株主がでてきて、スムーズに進まない可能性もあります。ですが、事業譲渡を行うことで様々なメリットを得ることもできますので、事業譲渡を考えている企業は是非前向きに検討してみてください。

3.合併とは

2に続き、3ではM&Aの代表的手法のひとつである「合併」についてお話します。

まず、合併には「吸収合併」と「新設合併」が存在します。
「吸収合併」とは、ある会社が別の会社のすべてを吸収することを言い、この場合、吸収する側の会社のことを「存続会社」、吸収される側の会社のことを「消滅会社」と呼びます。吸収合併をした場合、消滅会社は解散し、存続会社は消滅会社のすべてを受け継ぐことになります。

次に「新設合併」とは、合併する各会社は解散し、新しく会社を作り、新設会社に各会社の全ての資産を移すことを言います。この場合、新たに会社をスタートすることとなり、手間がかかります。そのため、合併をするほとんどの場合は、吸収合併の形がとられます。

2つの合併の共通点としては、様々な商品やサービスを取り扱うことができるようになる、事業領域を広げることができる、などが挙げられます。

では、新設合併では手間がかかる、という理由以外に吸収合併を選ぶ理由は何でしょうか?
吸収合併の場合、存続会社は消滅会社のすべての権利義務を受け継ぎますので、免許の再申請などの必要がなく、課税対象も合併後に増加した分のみとなるため、新設会社と比べてコストを抑えることが可能となります。

さらに、親会社が子会社を吸収合併した場合だと、子会社は今まで以上に新しい商品やサービスの開発に資金を投資し、それが世の中に出て広まることで、親会社にとっても、信頼度の向上、売上のアップなど沢山のメリットが発生することになります。

4.まとめ

今回は、M&Aとその種類についてお話しました。
ただ単にM&Aと言っても、実は多くの種類が存在しますし、一見簡単そうに聞こえるものでも、M&Aが完了するまでには、デューデリジェンスを行ったり、各種申請、届出を行ったりと、時間、手間がかかるものばかりです。

ですが、M&Aを行うことで事業領域の拡大や、売上のアップなどメリットも多く発生しますので、まずはM&A、その種類を知って、チャレンジしてみてください。

2019.07.24

【交通事故】保険会社から治療費を打ち切られてしまった際の対応について

まだ通院が必要だと思っているのに、保険会社から治療費の支払いを打ち切られた場合、どの様に対応したら良いのでしょうか?通院することを止めてしまうのか、自分でお金を支払って通院するしかないのでしょうか。
今回は、保険会社から治療費の支払いを打ち切られたときの対応についてご説明致します。

1 基本的な治療費の負担と期間について

人身事故に遭い、被害者が病院で診療をしてもらった場合、病院へ対する治療費の支払義務は患者である被害者にあります。
しかし、加害者側が任意保険に加入している場合、任意保険会社は被害者が通院している病院へ直接治療費を支払うという運用が一般的です。このように、任意保険会社が病院へ直接治療費を支払う場合は、基本的に被害者が窓口で治療費を支払うことはありません。

しかし、任意保険会社によっては、まず被害者側が治療費を立て替え、後日任意保険会社に立替金を請求するように、提案されることがあります。そのような場合、後々治療費について加害者側と争いになると『治療費が支払われない』というリスクもあります。
任意保険会社から立替払いの提案がなされた場合には、早い段階で任意保険会社が直接病院に支払うよう交渉をすることが、後々のリスクを回避することに繋がります。

また、加害者が任意保険に加入していない場合には、被害者の加入する健康保険を利用し、一時治療費を立て替えた後に加害者の加入している自賠責保険に請求することになります(被害者請求と言われる手続きです。)。ただし、当面の費用が必要な場合には、損害賠償額の一部を仮渡金(*1)として請求することができます。なお、自賠責保険では傷害の場合120万円が上限であることに注意が必要です。


*1 仮渡金…
通常の立替金請求方式だと、自賠責から保険金が支払われるまでには、「被害者が治療を終え、必要書類を揃えて自賠責に請求を行い、自賠責による審査を経たうえでの支払い」となるため、一定の日数を要します。しかし、支払いがなされるまでの期間、経済的に困窮してしまう方もいるため、その様な方を救済するために仮渡金の制度が設けられています。

2 保険会社からの打ちきりを延期してもらえないのでしょうか?

一般的に、症状固定時期までの治療費については、必要かつ相当なものとして、交通事故と相当因果関係のある損害となります。
しかし、例外的に「必要性がない」、又は「相当性がない」治療費については、交通事故と相当因果関係の認められない損害として、支払義務が生じません。

そして、症状固定後の治療費は原則として損害賠償の対象とはなりません。
症状固定とは、傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果を期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達した時をいいます。
要は、治療しても、治療しなくても症状が変わらなくなった状態のことをいいます。

特にむち打ちなど軽傷であることが比較的多い症状の場合、任意保険会社は事故後6か月を目途に被害者側に治療の打ち切りを促してきます。
しかしながら、治療の打ち切りの提案があったとしても、引き続きの治療が必要な状態であれば治療は継続すべきであり、その治療費も加害者側から支払われるべきものです。

もし、治療費を打ち切られてしまうと、被害者が治療費を負担しなければならない危険がありますので、保険会社から打ち切りを提案された場合には、担当の医師に治療継続の必要性を書いてもらった診断書を作成してもらうなどして、粘り強く治療の継続を訴えるべきです。
弁護士が入って治療継続の必要性を具体的に説明すれば、保険会社が継続に応じてくれる場合もあります。

3 打ち切りをされてしまった場合、何も手段はないのでしょうか?

被害者が治療の継続を希望しても保険会社が治療費の支払いを打ち切る決定をした場合はどの様に対応したら良いのでしょうか?
最初に行うべきことは自賠責保険へ仮渡金を請求することです。しかし、自賠責保険が支払ってくれる金額には上限がありますし、必ずしも支払いに応じてくれるわけではありません。
その場合、考えられる手続きは①裁判所に損害賠償金の仮払いを求める仮処分を申し立てる、②自己負担で治療を継続して後日支出分を損害賠償請求する、③症状固定診断を経て後遺症認定申請を行う、の3通りです。

まず、①の仮払い仮処分とは、交通事故の問題が最終的に解決するまでの間、一定額の治療費や生活補償費を加害者側から被害者側に支払ってもらう裁判所の命令です。
仮とはいえ加害者に実際の支払いを命じるものになるため、相当の基準をクリアする必要があります。
具体的には、「訴訟で被害者側に勝訴の見込みがあること」、「被害者とその家族の生活が困窮し、生存を維持するうえで仮処分が不可欠であること」が認められなければならず、これらは被害者側で証明しなければなりません。

また、仮払い仮処分で請求できるのは、基本的に治療費と最低生活補償費であり、休業損害・慰謝料等の仮払いは難しいです。このように、①の実現は容易ではなく、得られる利益も限定的です。
しかし、裁判所の仮払い仮処分命令が出ると強制執行をすることも可能となり、加害者の家財道具(家や車)、事業をやっていれば機械や商品などの動産を差押え、競売にかけ現金にすることができます。

次に、②③の手続きですが、②は「後日加害者あるいは保険会社が支払いを拒否するリスクも抱えて治療を継続する」というものです。③は治療の継続を諦めることを意味します。

いずれの手続きを選択すべきであるかは、事故で負った傷害の程度、打ち切り時点での回復状況、担当医師の意見、被害者の生活状況等一切の事情を考慮して判断することになり、極めて専門的な知識、経験が求められます。

4 まとめ

今回は、保険会社から治療費を打ち切られてしまった際の対応についてご説明しました。
急に打ち切りを言い渡されると、これからどうしていけばいいのだろうと不安になられる方も多くいらっしゃると思います。

事故に対する保険会社の対応に不安や不満をお持ちの方は、弁護士等の専門家に一度ご相談されてみることをお勧めします。

2019.07.23

営業職に潜む企業リスク

営業職は、外回りなどにより外勤の時間が多いことから、正確な業務時間の把握が難しいため適切な残業代の算出が難しくなります。
そのため、残業代の代わりとして営業手当を支給している企業も多く存在します。今回はこの様な対応について生じる企業側のリスクについて説明します。

1.営業手当とは

営業職は仕事の成果に応じて報酬が支払われる成果主義であるという考え方から、適切な残業代を計算していない企業が多く存在します。
しかしながら、労働基準法では法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた時間外労働時間に対して残業代を支払わなければならないと定められています。

つまり、営業手当を残業代の代わりに支払っているからといって、残業代を支払わなくて良いということにはなりません。
仮に営業手当を固定残業代として支給している場合、何時間分の残業代に相当するのか従業員へ明確に示す必要があります。
そして、固定残業代に相当する時間数を超える時間外労働が発生した場合、企業側は残業代を支払う義務が発生します。

2.事業外のみなし労働時間制

多くの企業は、労働時間の把握が難しい営業職に対し、労働時間の計算が容易になることから「事業場外のみなし労働時間制」を取り入れています。

【事業場外のみなし労働時間制】
実際の労働時間にかかわらず、会社以外の場所で仕事をする場合に始業時刻から終業時刻までの所定労働時間を労働したものとみなし、業務を行う上で通常の所定労働時間を超えた労働が必要となる場合においては、業務を行うために必要とされる時間を労働したものとみなして取り扱う制度のこと。

この制度を利用すると、従業員が事業場外において実際には所定労働時間より多く働いていたとしても、所定労働時間が労働時間数とみなされるため残業代の支払いが不要になります。

しかしながら、ここで企業が注意しなければならないのは、「事業場外のみなし労働時間制」を取り入れているからといって、残業代を一切支払わなくて良くなるということではない点です。

労使協定で定めた労働時間や、従業員との間で定めたみなし労働時間を超えた労働時間が発生している場合には、実労働時間に対する残業代を支給する必要があります。また、深夜勤務手当、休日勤務手当などについても通常通り支給しなければならないため、気を付けましょう。

「事業場外のみなし労働時間制」が認められる前提として、事業場外で業務を行い、会社の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難なときという要件を満たしている必要があります。

例えば、電話で上司からの指示を受けながら業務を行っている、上司に対して業務報告を行っている場合では、企業の指揮監督が及んでいる状態であると言えるため「事業場外のみなし労働時間制」の適用が認められず、未払残業代が発生するリスクがあります。

事業場外のみなし労働時間制を採用している企業は、実際の労働状況が制度を利用できる要件を満たしているか確認をすることが大切です。

3.労働時間性について

労働時間を算定する前提として、具体的にどこまでの範囲を労働時間と認定するのでしょうか?業務中の待機時間、又は従業員が自宅へ仕事を持ち帰り作業を行っていた場合でも労働時間に含まれるのでしょうか。  

労働時間に該当するか判断するうえでも、前述したように使用者の指揮監督が及んでいたか、黙示の業務命令が行われていたかという点が重要になります。

よって、業務中の待機時間については、従業員が常に稼働可能な状態で待機していると状態であるため、従業員は指揮命令下にあった判断され労働時間に該当する可能性があります。
労働時間であると判断された場合、例え待機時間であったとしても企業は従業員に対して賃金を支払う必要があります。

それでは、企業側が特段の指示をしていないにも関わらず、従業員が自宅へ仕事を持ち帰り作業を行っていた場合は自宅での業務を行った時間に対し賃金を支払う必要があるのでしょうか?

この問題については具体的な状況によって判断が分かれる部分ではありますが、企業側が明確な指示を行っていない場合でも、従業員がその業務に対応しなければ何らかの不利益が課される可能性があるときには、従業員は労働から解放されていないと見なされ、指揮命令下にあったと判断される可能性もあります。

以上の通り、実際に業務を行っていたかという点や、明確な業務命令の有無だけで判断されるわけでは無いということについて注意することが大切です。

4.まとめ

営業手当を残業代の代わりとして支給していることや、営業は成果主義だから残業を支払わないという事は何の法的根拠にもなりません。
また、事業場外のみなし労働時間制について、残業代を支払わなくて良い制度という間違った認識を元に制度を取り入れていた場合、後に従業員から未払残業代を請求される可能性があります。

自社の労働時間の管理体制について見直しを行い、社労士や弁護士などの専門家に相談しながらリスクを洗い出すことは、安定的に継続した企業運営に繋がります。一度自社の労働管理体制を検討されてみてはいかがでしょうか。

2019.07.22

【離婚問題】離婚後に受けられる各種補助について

離婚を考えていても、特に子供がいると金銭的な心配からなかなか離婚に踏み切れない方は数多くいらっしゃいます。離婚の際には財産分与、毎月の養育費、場合によっては慰謝料を得ることもありますが、相手が本当に支払ってくれるか不安という場合も多いでしょう。

今回は、離婚後に受けられる公的な補助についてご説明します。なお、紹介する金額等はいずれも令和元年6月現在のものです。

1.児童扶養手当

児童扶養手当は、父母の離婚などにより、父又は母と生計を同じくしていない児童のいるひとり親家庭等の保護者に支給される手当で、ひとり親家庭の生活の安定と自立の促進を通して児童の福祉の増進を図ることを目的とした制度です。

(1) 対象者
対象年齢 18歳に到達した日以降の最初の年度末まで
該当する児童
  • 父母が離婚(事実婚を含む)を解消している
  • 父又は母が死亡した
  • 父又は母が法令に定める重度の障害の状態にある(年金障がい等級1級程度)
  • 父又は母の生死が不明
  • 父又は母に1年以上遺棄されている
  • 父又は母が法令により1年以上拘禁されている
  • 父又は母が裁判所からDV保護命令を受けている
  • 母が未婚のまま子供を産んだ場合
支給対象外
  • 児童の父又は母が婚姻の届出をしていなくても事実上の婚姻関係(内縁など)にある
  • 申請者又は児童が日本国内に住所を有しない
  • 児童が里親に委託されている
  • 児童が児童福祉施設等に入所している
  • 公的年金給付等を受給しており、その額が児童扶養手当の額と同額以上である
  • 申請者及び扶養義務者などに定められた額以上の所得があるとき
(2) 支給額
子供の人数 全部支給 一部支給
1人 42,910円 10,120円から42,900円(所得に応じて決定)
2人 53,050円 15,190円から53,030円(所得に応じて決定)
3人 59,130円 18,230円から59,100円(所得に応じて決定)
4人以上 以降、1人増えるごとに第3子の加算額が加算

2.児童手当

児童手当は、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長を図ることを目的とした制度です。

子供を養育している人に対し手当を支給するものなので、離婚した家庭に限られず、要件を充たせば受けられます。

(1) 対象者

15歳到達後の最初の3月31日までの間にある児童を養育する者

(2) 支給額
対象となる児童の年齢等 児童1人あたりの月額
3歳未満(3歳の誕生日の属する月まで) 15,000円
3歳~小学生 第1子、第2子 10,000円
第3子以降* 15,000円
中学生 10,000円
所得制限限度額以上の場合 5,000円

*「第3子以降」とは、18歳の誕生日後の最初の331日までの養育している児童のうち、3番目以降の児童をいいます。

(3) 所得制限限度額

世帯の合算所得ではなく、受給資格者と配偶者それぞれ単独の所得で判定し、所得の高い方が受給資格者となります。

控除額は様々なものがあるため、収入額は控除前の額としておおよその額となります。

扶養親族等の人数 所得制限限度額 収入額の目安(控除前)
0人 622万円 833.3万円
1人 660万円 875.6万円
2人 698万円 917.8万円
3人 736万円 960.0万円
4人 774万円 1002.1万円
5人 812万円 1042.1万円

 

3 特別児童扶養手当・障害児福祉手当

精神又は身体が障がいの状態にある20歳未満の児童について、児童の福祉の増進を図ることを目的として、手当を支給する制度です。

・支給額
重度障がい児(1級) 1人につき 52,200円
中度障がい児(2級) 1人につき 34,770円

 

4 生活保護制度

生活保護は、資産や能力等全てを活用してもなお生活に困窮する者に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保護し、その自立を助長する制度です。

・扶助内容
生活を営む上で生じる費用 扶助の種類 支給内容
日常生活に必要な費用
(食費、被服費、光熱費等)
生活扶助 基準額は、①食費等の個人的費用②光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出。特定の世帯には加算(母子加算等)
アパート等の家賃 住宅扶助 定められた範囲内で実費を支給
義務教育を受けるために必要な学用品等 教育扶助 定められた基準額を支給
医療サービスの費用 医療扶助 費用は直接医療機関へ支払い(本人負担なし)
出産費用 出産扶助 定められた範囲内で実費を支給
就労に必要な技能の習得等にかかる費用 生業扶助 定められた範囲内で実費を支給
葬祭費用 葬祭扶助 定められた範囲内で実費を支給

 

5 母子(父子)福祉資金貸付金

母子家庭の母等が、就労や児童の就学などで資金が必要となったときに、都道府県、指定都市又は中核市から無利子又は低金利で貸付を受けられる資金です。

母子(父子)家庭の母等の経済的自立を支援するとともに生活意欲を促進し、その扶養している児童の福祉を増進することを目的としています。貸付資金の種類により、無利子の条件が異なりますので、事前に確認する必要があります。

なお、文字通り本制度は貸し付けを行う制度ですので、返済の必要があります。

6 母子(父子)家庭自立支援教育訓練給付金

母子家庭の母又は父子家庭の父の主体的な能力開発の取組みを支援することを目的とした制度です。

雇用保険の教育訓練給付の受給資格を有していない人が対象教育訓練を受講し、修了した場合、経費の60%(上限20万円、12000円を超えない場合は支給対象外)が支給されます。

支給については、受講前に都道府県等から講座の指定を受ける必要があります。

(1) 対象者

対象者は、母子家庭の母又は父子家庭の父であって、現に児童(20歳に満たない者)を扶養し、以下の要件を全て満たすことが必要です。
・児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあること
・雇用保険法による教育訓練給付の受給資格を有していないこと
・就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、当該教育訓練が適職に就くために必要であると認められること

(2) 対象となる講座

・雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座
・その他、上記に準じ都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座

 

7 母子(父子)家庭高等職業訓練促進給付金

母子家庭の母又は父子家庭の父が看護師や介護福祉士等の資格取得のため、1年以上養成機関で修業する場合に、修業期間中の生活の負担軽減のため、高等職業訓練促進給付金が支給されます。

また、入学時の負担軽減のために、高等職業訓練修了支援給付金が支給されます。

(1) 対象者

対象者は、母子家庭の母又は父子家庭の父であって、現に児童(20歳に満たない者)を扶養し、以下の要件を全て満たすことが必要です。

・児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあること
・養成機関において1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること
・仕事又は育児と修業の両立が困難であること

(2) 支給額

〇高等職業訓練促進給付金
【支給額】            月額100,000円(市町村民税非課税世帯)
                 月額70,500円(市町村民税課税世帯)
【支給期間】           修業期間の全期間(上限3年)

〇高等職業訓練修了支援給付金
【支給額】            50,000円(市町村民税非課税世帯)
                 25,000円(市町村民税課税世帯)
【支給期間】           修了後に支給

(3) 対象となる資格

対象となる資格は、就職の際に有利となるものであって、かつ法令の定めにより養成機関において1年以上のカリキュラムを修業することが必要とされている者について都道府県等の長が指定したものです。

例として、看護師、介護福祉士、保育士、歯科衛生士、理学療法士などがあります。

 

8 まとめ

以上のように、離婚後に子供を養育しながら受けられる公的扶助制度には様々なものがあります。離婚後に手当を受けながら生活することができ、また、たとえ婚姻中に仕事をしていなくても、離婚後に給付金を受けながら資格を取得すれば、安定した職業に就くことも可能です。

本当は離婚したいにもかかわらず、金銭的に不安という点だけで何年も我慢してしまうのは、ご本人にもお子様のためにも良い環境とは言えないかもしれません。

弁護士や最寄りの役所等に相談しながら、前向きに新しい生活についても考えてみることをお勧めします。

 

2019.07.19

クレジットカードが不正利用されたときの対処法

クレジットカードは手元に現金が無い時にも買い物をすることが出来るとても便利なものです。
しかし、クレジットカードを落としてしまったり、カード情報が漏れてしまったりすると、第三者に不正利用される恐れがあります。
今回は、クレジットカードの不正利用についてお話していきたいと思います。

1.不正利用の手口

クレジットカードの不正利用には数々の手口が存在します。以下、不正利用の種類について簡単に説明していきたいと思います。

  • ①クレジットカードの盗難

財布の盗難等によりクレジットカードが第三者の手に渡ってしまうと、他人に悪用されてしまう恐れがあります。具体的には、サインレス決済が可能な店舗での利用や、クレジットカード裏のサインを真似て、クレジットカードの持ち主になりすまして利用されてしまうことが考えられます。

  • ②フィッシング詐欺
  • フィッシング詐欺とは、会員制ウェブサイトや有名企業を装い、偽のウェブサイトへのURLリンクを貼ったメールを送りつけ、偽のホームページに誘導し、受取者の利用しているアカウントや暗証番号、クレジットカードの会員番号等の個人情報を入力させて盗み出す手口です。
  • クレジットカードの情報を抜き取る場合「カードの有効期限が近いです」や「カードが無効になっています」等ともっともらしい理由をつけて情報を入力させます。
  • ③スキミング
  • スキミングとは、スキマーと呼ばれる機械で、クレジットカードの磁気データを不正に読み取り、複製カードを作成して、それ使用する犯罪行為のことをいいます。
  • 具体的な方法としては、目を離したときにクレジットカードを一時的に抜き取って情報のみをスキマーで盗み、再びカードを戻すという方法もあれば、会計時に、支払い用の機械(スキマー細工済み)にクレジットカードを通したときに、カード情報のみを盗むという方法もあります。
  • ④ネットショッピング詐欺

ネットショッピング詐欺とは、架空のネットショップを立ち上げて、架空の商品を販売し、購入画面で顧客のクレジットカードの情報を入力させることで情報を盗みだす行為をいいます。ネットショップも商品も架空なので、購入した商品が届くことはありません。

販売されている商品が相場に比べて格安であったり、日本語やフォントなどが不自然であったりするサイトは、ネットショッピング詐欺のサイトである可能性があります。ですので、ネットショッピングを利用する場合は十分に注意しましょう。

次は実際に不正利用に遭った場合に、どのように対処したらよいかをご説明します。

2.不正利用に遭ったときの対処法

クレジットカードの不正利用(盗難・紛失)に気づいたら、すみやかに以下の手順で対処しましょう。

①クレジットカード会社への連絡

不正利用に気づいたら、ただちにクレジットカード会社へ連絡をし、利用停止の手続きを取りましょう。クレジットカード会社に連絡をすることで、クレジットカードは利用停止となるため、被害の拡大を防ぐことができます。

また、併せて、本当に不正利用なのかどうか、クレジットカード会社による調査が行われます。調査の結果不正利用だと判明したら、後述する盗難保険の申請を行いましょう。 

  • ② 警察に連絡をする

クレジットカード会社への連絡が済んだら、次は警察に連絡し、被害届を出しましょう。

被害届を出すと、警察から受付番号を発行してもらえるので、カード会社に再度連絡し、番号を伝えましょう。 

  • ③ カードの再発行

不正利用されたカードは二度と使用できなくなるので、クレジットカードを再発行する必要があります。再発行後は再び紛失や盗難に遭わないように取扱いには十分に注意しましょう。 

クレジットカードは現金とは違い、盗まれたとしても上記のように利用停止の手続きを取ることができるので被害の拡大を防ぐことが可能です。もしクレジットカードの不正利用被害にあってしまっても、落ち着いて対処しましょう。

次に、クレジットカードの盗難や不正利用に遭ったときの補償サービスについてご説明したいと思います。 

3.盗難保険とは?

ほとんどのクレジットカード会社のカードには、盗難保険というサービスがついています。盗難保険は、クレジットカードが不正利用された日から60日以内にカード会社に連絡をし、不正利用だと判明すれば被害全額を補償してもらえる制度です。

盗難保険を適用させるには、不正利用から60日以内にカード会社に連絡をしなければならないので、利用から61日以上経過して不正利用に気づいた場合は、補償の対象外となってしまいます。普段から注意してクレジットカードの利用明細の確認を行いましょう。

ただし、実は不正利用された場合であっても、盗難保険が適用されず、補償が受けらえない以下のようなケースも存在しますので、ご注意ください。 

4.盗難保険が適用されない場合

クレジットカードの盗難・不正利用発覚から60日以内にクレジットカード会社に連絡をしたとしても、補償を受けられないのは、以下のようなケースです。

・暗証番号が推測しやすい誕生日や車のナンバーである場合

・カードの裏面に署名をしていない場合

・暗証番号が第三者にも分かるようになっている場合
(カード裏面に暗証番号をメモしている・財布に暗証番号が書かれたメモを入れている場合など)

・家族や友人など近しい間柄の人物による利用の場合

・カードを他人に預けていた場合

・天災に起因する不正利用の場合

・警察に届出を出していない場合

このような場合は、クレジットカードの所有者にも非があるとみなされてしまうので、盗難保険が適用されません。ですので、クレジットカードを利用する際には常に危機感を持ち、セキュリティ対策をしておきましょう。

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