弁護士コラム

2020.04.08

【相談事例61】婚活アプリでのトラブル①

【相談内容】

婚活アプリで知り合った男性と交際をしていました。
男性とは約2年程度交際しており、私の両親も挨拶しており、彼からは、「そのうち自分の両親にも相談する」と言われており、私も真剣に結婚を考えていました。

しかし、彼のSNSをたまたま見つけて中を見たところ、彼が既婚者であることが分かりました。
これまで2年もの間裏切られていたのかと思うと彼を許せないため、慰謝料請求を行いたいと思っています。

【弁護士からの回答】

婚活という言葉が一般的に知れ渡るようになり、最近では、ご相談者様のように婚活アプリを使って婚活を行う方も増えていると思います。

婚活アプリでは、知り合うまでに相手の情報を詳しく知ることができないケースも多く、既婚者であるにも関わらず独身を装って女性と会う男性も少なくないと聞きます。
そこで、今回は、既婚者であるにも関わらず独身と偽って交際をした男性に対する慰謝料請求等についてご説明いたします。

1 交際関係の解消は原則自由

まず、婚約状態になっている場合は別ですが(婚約破棄に関しては別の機会にご説明させていただきます。)、単に交際している状態を解消する場合には、原則として慰謝料は発生しません。

交際関係は、一般的に、婚約関係と違い、法的に保護される関係であるとは認められていないため、他に好きな人ができたという理由などで交際関係を解消した場合であっても、恋愛自体は自由であることから、原則として元交際相手に対して慰謝料の請求は認められません。

2 貞操権侵害を理由とする慰謝料請求

もっとも、ご相談者様の事例のように、既婚者であることを秘して交際関係(性的関係)に至った場合には、貞操権を侵害されたとして、慰謝料請求が認められる場合があります。

既婚者であることを秘している場合だけでなく、全く結婚する意思がないにもかかわらず、結婚をすることを約束し、交際関係を継続していた場合にも認められる場合があります。

この貞操権侵害に関する慰謝料請求に関しては、事案の具体的な内容を踏まえ、「貞操権を侵害された」と認められるような場合でなければ認められないものであり、その認定は非常に複雑であることに加え、認められる金額についても、交際期間、その間の交際内容、妊娠・中絶の有無などで大きく変化しうるものであるため、慰謝料請求を検討されている方は是非一度弁護士にご相談ください。

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。

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