弁護士コラム

2020.06.12

【相談事例68】給付金の二重振込、自由に使っていいの??

【相談内容】

コロナウイルスの関係で1人あたり10万円の給付金がもらえるということで早速オンラインで申請手続きを行いました(妻と子供の3人家族です。)。
後日、通帳を記帳しに行くと給付金が入金されていたのですが、30万円ではなく倍の60万円が振り込まれていました。
明らかに二重振込だと思うのですが、市から振り込まれている以上、60万円全額を自由に使っていいのでしょうか。

【弁護士からの回答】

コロナウイルスの感染拡大により、国や自治体から様々な給付金や補助金の制度が創設されています。
もっとも、自治体も急遽大量の人に対して支給の手続きを行っている状況であるため、全国各地でご相談者様の事例のように二重給付がされている事例が多数ニュースで報道されております。

そこで、本日は、誤って二重に給付された給付金に関する法律問題についてご説明させていただきます。

1 入金処理がされる前について

自治体などが誤って二重に支給(入金処理)されてしまった場合、振込処理(入金記帳)前であれば、「組戻し」という手続きを利用することにより、誤って振り込んでしまった人が銀行に対し連絡することで、入金先の口座の名義人の同意なく振り込みを取り消すことができます。

これに対し、振込処理(入金記帳)がされてしまった後については、同じく「組戻し」という制度は使えるのですが、入金記帳後については、入金先の口座の名義人の同意が必要になります。

したがって、振込処理後に関しては、連絡先などがわからない振込先に対しては組戻しができなくなってしまうため、誤って振り込んでしまった場合には早急に組戻しの手続きを行ったほうがよいでしょう。

2 二重給付を引き出した場合の問題について

それでは、ご相談者様の事例のように二重給付であることを知りながらお金を引き出してしまった場合、どのような問題が起きるのでしょうか。

まず、誤って振り込まれた金額については、口座に入金されているものの、法律上口座の名義人のお金ではありません。
口座の名義人は、法律上の原因なく金銭を取得しているため、民法上の不当利得(民法703条)に該当します。

したがって、誤振込であること知りながら返金しなかったり、使い込んでしまった場合には、誤振込された金額に加え、返金するまでの利息も支払う義務を負うことになります(民法704条)。
もっとも、誤振込であることを知らずに引き出してしまった場合には、残っている金額(法律上「現存利益」といいます。)のみを返還すればいいのですが、誤振込であることを認識しないで使用するケースというのはあまり想定し難いため、誤振込であると気づいた場合には、直ちに入金者に連絡するのが適切です。

さらに、誤振込であることを知りながら、銀行の窓口で預金を引き出した場合には、法律上自分のものではない預金であるにも関わらずに、自分の預金であるかのように銀行員をだまして預金を引き出したことになるため、刑法上の詐欺罪(刑法246条1項)が成立します。

また、ATMで引き出した場合には、ATMは機会であり、だまされるということが観念できないため、最高裁の判例上、窃盗罪(刑法235条)が成立するという理解が確立されております。

したがって、誤振込であることを知りながら預金を引き出した場合には、窓口であってもATMであっても犯罪になってしまいますので、くれぐれもお控えいただき、誤振込であることを知った時点で早急に入金者に連絡するのが良いと思います。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。

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