
戸建てを新築している途中、隣人から「ブロックが境界を越えている」と指摘されたり、外構工事を始めたところ隣地のブロックや基礎が自宅敷地にはみ出していることが分かったりすることがあります。
このような境界ブロックのトラブルでは、すぐに撤去や工事のやり直しを決めるのではなく、まず境界・ブロック・施工内容のどこに問題があるのかを整理することが大切です。
本記事では、新築中や完成直後に境界ブロックの問題が起きた場合の確認事項と、隣人・施工会社への対応、弁護士へ相談するポイントについて弁護士が解説します。
第1章 新築時の境界ブロックトラブルは、まず何が問題なのかを整理する
1-1 隣地のブロックや基礎が自宅の土地にはみ出している疑いがある場合
新築工事では、これまで気付かなかった隣地のブロック塀の問題が、工事をきっかけに判明することがあります。
たとえば、外構工事を始めようとしたところ、施工業者から「隣地のブロックの基礎が敷地内に入っている可能性があります」と指摘されるケースです。
この場合には、本当に越境しているのかを確認したうえで、外構工事への影響や、隣人に撤去・移設を求める必要があるのかを検討します。
ただし、隣地のブロックが越境しているように見えても、自分の判断で撤去したり削ったりすることは避けるべきです。塀の位置と法的な境界が一致しているとは限らず、隣人の所有物であれば、その取扱いにも注意が必要だからです。
隣地のブロック塀が越境している場合の確認方法や撤去・移設については、以下の記事で詳しく解説しています。
隣地のブロック塀が境界線を越えていたら?|勝手に撤去できるか・解決方法を弁護士が解説
1-2 自宅側で新設したブロックが越境していると指摘された場合
反対に、外構工事を進めている途中で、隣人から「そのブロックはうちの土地に入っている」と指摘されることもあります。
この場合も、隣人から言われたというだけで直ちに越境が確定するわけではありません。まず土地の境界と実際の施工位置を確かめる必要があります。
そのうえで、実際に自宅側のブロックが境界を越えていた場合には、どのような経緯で施工位置が決まったのかを調べます。自分で施工位置を具体的に指定していない場合には、ハウスメーカーや外構業者がどの資料をもとに境界を判断し、施工位置を決めたのかを確認することになります。
1-3 どちらが越境しているのか分からない場合
実務では、隣人と施工会社とで、土地の境界について認識が食い違っているケースも少なくありません。
たとえば、隣人は「昔からあるブロックの中心が境界だ」と主張している一方で、ハウスメーカーは測量図や境界標をもとに、「境界はそれとは別の位置にあり、隣地のブロックが自宅の土地にはみ出している」と説明しているような場合です。
この場合、どちらかの主張を前提として工事を進めるのではなく、土地の境界と既存ブロックの位置関係を確認する必要があります。
第2章 境界ブロックの問題が起きたときに確認すべきこと
2-1 ブロックの位置だけで土地の境界を判断しない
隣家との間に昔からブロック塀があると、その中心や端が土地の境界だと思ってしまいがちです。
しかし、ブロック塀はあくまで土地上に設置された工作物です。以前の所有者が自分の敷地内に設置している場合もあれば、双方の共有物として境界線上に設置されている場合もあるため、塀の位置だけで境界を判断することはできません。
境界と塀の関係や、境界線上の塀の所有関係・費用負担については、以下の記事で詳しく解説しています。
2-2 境界に関する資料を確認し、分からなければ土地家屋調査士に相談する
土地の境界を確認するには、土地を購入した際の境界確認書や測量図、法務局に備え付けられている地積測量図、現地の境界標などが指標となります。
ただし、専門家でなければ、これらの資料から図面上の境界が現地のどの位置にあたるのかを正確に判断するのは難しいといえます。
そのため、越境の有無を判断する前提として、土地の筆界(登記上、一筆の土地と隣の土地を区切る公的な境界線)やブロックとの位置関係を正確に確認する必要がある場合には、土地家屋調査士に相談するのが一般的です。登記資料などの調査と現地の測量によって、土地の境界とブロックの位置関係を客観的に整理でき、その調査結果は、その後に隣人や施工会社と話し合う際の判断材料にもなります。
第3章 隣人との境界問題と施工会社との問題を分けて考える
新築時の境界ブロックトラブルでは、越境している側によって確認すべきことが異なります。
隣地の既存ブロックが越境している場合には新築工事への影響を確認し、自宅側で新設したブロックが越境している場合には、ハウスメーカーや外構業者の施工内容に原因がないかを確認する必要があります。
3-1 隣地の既存ブロックが越境している場合は、新築工事への影響を確認する
隣地の既存ブロックやその基礎が自宅の土地に越境していることが確認できた場合には、まず施工会社に、予定している新築・外構工事への影響を確認します。
予定どおり工事を進めるために隣地ブロックの撤去や移設が必要であれば、隣人に対応を求めることを検討します。一方、工事計画を変更することで対応できる場合には、変更による費用や工事内容への影響も踏まえて、どの方法をとるかを検討することになります。
3-2 自宅側の新設ブロックが越境している場合は、施工会社にも問題がないか確認する
自宅側のブロックが境界を越えていた場合には、隣人との関係でどのような対応が必要かを確認する必要があります。一方、ハウスメーカーや外構業者が施工位置を決めていた場合には、これとは別に、施工会社にも問題がないかを確認する必要があります。
まず、実際の施工位置と、建物の配置図や外構図面を照らし合わせます。そもそも図面上の施工位置が誤っていた「図面の問題」なのか、図面上の施工位置は正しいものの、図面とは異なる位置に施工された「工事の問題」なのかを確認します。
あわせて、誰が境界を確認し、誰が施工位置を決めたのかも整理します。
第4章 工事への対応と費用負担を整理する
境界や越境の状況、トラブルの原因を確認できたら、その結果をもとに、工事をどのように進めるのか、撤去・再施工などの費用を誰が負担するのかを整理します。
4-1 問題となっている箇所の工事は、対応方針を決めてから進める
境界との関係が問題になっている箇所について、そのまま工事を進めると、後から撤去や再施工が必要になり、費用や工期への影響が大きくなる可能性があります。
そのため、施工会社に、境界トラブルがどの工事に影響するのかを確認し、問題となっている箇所については対応方針を決めてから工事を進めるとよいでしょう。
後から施工位置や工事の進み具合について争いになることも考えられるため、問題が分かった時点の現場を写真や動画で記録しておくことも大切です。
4-2 撤去・移設・再施工の費用は、トラブルの原因に応じて負担関係を確認する
境界ブロックのトラブルによって撤去や移設、再施工が必要になった場合には、その費用を誰が負担するのかも確認する必要があります。
費用負担は、トラブルの原因によって異なります。
隣地の既存ブロックが越境していた場合
隣地の既存ブロックやその基礎が越境している場合には、まず、ブロックの撤去・移設について隣人にどこまで対応を求められるのかを確認します。
また、越境によって当初予定していた工事を変更する必要があり、追加費用が発生する場合には、その費用を誰が負担するのかも個別に検討する必要があります。隣地のブロックが越境しているからといって、工事変更によって生じた費用のすべてを当然に隣人へ請求できるとは限らないため、発生した費用の内容や原因を確認することが重要です。
ハウスメーカーや外構業者の設計・施工に問題があった場合
自宅側のブロックについて、施工会社が境界の位置を誤って認識してブロックの施工位置を設定したり、図面とは異なる位置に施工したりしたことが原因で越境している場合には、施工会社に撤去や再施工などの対応を求められる可能性があります。
この場合には、工事請負契約や外構図面、施工前の打合せ内容などを確認し、撤去・再施工の費用を施工会社にどこまで負担してもらえるのかを確認します。
施主が施工位置を指定していた場合
施主自身が境界付近の施工位置を具体的に指定し、施工会社がその指示どおりに施工していた場合には、施工会社に撤去・再施工の費用を求められるとは限りません。
4-3 確認した事実関係をもとに隣人や施工会社と話し合う
隣人や施工会社と話し合う際は、第2章・第3章で確認した境界に関する資料や測量結果、施工図面、実際の施工状況などをもとに、事実関係を整理したうえで対応方針を伝えることが大切です。事実関係が十分に整理できていない段階で「撤去します」「こちらには問題がありません」などと結論を出すと、後から別の事実が分かった場合に、不要な撤去や費用負担を引き受けることになったり、隣人との話合いが難しくなったりする可能性があるためです。
そのうえで、隣地の既存ブロックが原因であれば隣人と、施工会社の設計・施工に問題がある場合には施工会社と協議することになります。
当事者同士の話合いで対応方法や費用負担について合意できない場合には、法的にどこまで対応を求められるのかを整理するため、弁護士への相談が有効になることがあります。
第5章 境界ブロックのトラブルを弁護士に相談するタイミング
5-1 撤去・再施工や費用負担で相手と見解が分かれたら相談する
隣人が撤去・移設に応じない、施工会社が再施工や費用負担を拒むなど、対応方法や費用負担をめぐって意見が分かれた場合には、早めに弁護士への相談を検討しましょう。
問題を抱えたまま工事を進めると、完成後に撤去・再施工が必要となり、費用や工期への影響が大きくなることがあります。まずは事実関係を整理し、相手にどこまで対応を求められるのかを法的に確認することが重要です。
5-2 境界ブロックのトラブルはNexill&Partners那珂川オフィスへご相談ください
Nexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスでは、境界に関する資料や施工内容、これまでの経緯を確認し、隣人や施工会社にどのような対応を求められるのかを整理します。
当事者同士では話合いが進まない場合や、隣人・施工会社のどちらに対応を求めるべきか判断に迷っている場合には、お気軽にご相談ください。
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