弁護士コラム

2018.01.23

相続とは何か・・・

<ご相談者さまからのご質問>

  知り合いで,相続に関する問題でもめている人がいると聞きましたが,そもそも相続について何も知りません。相続って何ですか。相続が発生するとどういうことが起きるのですか。

<弁護士からの回答>

 ご親族がお亡くなりになられた方は必ず相続に直面されていますが,実際にそういった場面にならないと相続に関して意識することはないと思います。そこで,今回は,相続に関する具体的な内容の説明に入る前に,相続とはという一般的な事柄についてご説明させていただきます。

  相続とは,自然人(法人ではない法人格のことをいいます。)の財産などを様々な権利・義務を他の自然人が包括的に承継することをいいます。
  包括的に承継するため,贈与契約のように特定の財産等を譲り受けるというような選択はできず,すべての財産を譲り受けることになります。また,権利(財産)だけでなく義務,すなわち債務(負の遺産)も承継することになります。

 民法上,「相続は死亡によって開始する。」(882条)と規定されており,かつ,「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」(896条本文)と規定されています。死亡した人の財産上の地位を承継する人のことを相続人といい,相続される財産,権利,法律関係の旧主体(死亡した人)を被相続人といいます。したがって,日本における相続とは,被相続人の死亡により,被相続人の権利・義務が包括的に相続人に承継されることをいいます。
 この死亡には,実際に死亡が確認された場合だけでなく,失踪宣告や認定死亡等法律上死亡していると扱われる場合であっても相続が開始することになります(失踪宣告,認定死亡については別の機会にご説明させていただきます。)。

 相続によって承継される権利・義務ですが,すべての権利・義務が承継されるわけではありません。民法では「被相続人の一身に専属したものは、この限りでない(権利・義務が承継されない)。」(896条但書)と規定されており,一身専属的な権利・義務については相続されないとされています。この一身専属的な権利・義務の具体的な内容としては,使用貸借契約における借主の地位(民法559条),委任契約における委任者・受任者たる地位などがこれにあたり,死亡しても相続されません。また,養育費を支払う義務については一身専属的な義務なので,死亡によりその義務が相続されることはありません(養育費に関する相続の問題は専門的な問題があるため,別の機会にご説明させていただきます。)。
 今回は,相続一般について,相続が発生するとどういうことが起きるのかについえご説明させていただきました。次回は誰が相続人になるのかという問題についてご説明させていただきます。

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