弁護士コラム

2019.03.11

【相談事例29】~迷惑動画問題②親の賠償責任は?~

【相談内容】

迷惑動画を投稿してしまうと、とても大変なのですね。息子にもくれぐれもしないようにしっかり言い聞かせておきます。
ひとつお聞きしたいのですが、万が一息子が迷惑動画を投稿してしまい、損害賠償をしなければならない場合、法律上親である私も賠償責任を負わなければならないのでしょうか。

【弁護士からの回答】

前回は、迷惑動画を投稿してしまったことによる、投稿者にどのようなリスクがあるのかについてご説明させていただきました。
今回は、親の法的責任についてご説明させていただきます。

1 誰が賠償責任を負うのか

結論からお伝えすると、迷惑動画を投稿したお子さんが賠償責任を負い、親御さんが賠償責任を負うことは原則として賠償責任を負うことはありません。

民法714条では、責任無能力者が不法行為を行った場合、監督責任者が賠償責任を負うと規定されており、お子さんが責任無能力者の場合には親御さんが責任を負うことになりますが、一般的に14歳以上のお子さんの場合には責任能力は認められると言われているため、アルバイトができるようなお子さんの場合には監督責任者である親が賠償責任を負うことはありません。

上記民法714条以外に民法上子どもが不法行為を行ったら親が賠償しなければならないと規定されているわけではないので、お子さん自身が賠償責任を負うことになります。

もっとも、親御さんはあくまでも法律上責任を負わないだけであって、アルバイトなどで働いていたお子さんが多額の賠償を行うことは困難であるため、事実上家族も支払いを余儀なくされてしまうのが通常だと思います。

2 身元保証契約

上記のように、お子さんが不法行為を行ったとしても原則として親御さんが賠償責任を負うことはありません。
もっとも、お子さんが入社するときに親御さんにおいて身元保証契約書等に署名・押印していた場合には、親御さん(身元保証人)も賠償責任を負う場合があります。
身元保証契約とは会社(使用者)が採用した労働者(従業員)の行為によって会社が被った損害を、本人にかわって保証する契約になります。

お子さんが入社する際には、とくに意識せずにこの身元保証契約書に署名・押印されている親御さんがほとんどであると思いますが、身元保証契約を締結した場合には迷惑動画の投稿に限らず、お子さんの職場での行為により親御さん自身も多大な賠償責任を負ってしまう可能性があることを理解する必要があるでしょう。

この身元保証契約ですが、法律により有効期間が定められており(身元保証に関する法律第1条、2条)、不法行為を行った時期が有効期間外である場合には賠償責任を負うことはありません。

また、使用者側から提示された賠償額については、その金額が適正な金額であるのかについては精査をすう必要がある場合もありますので、お子さんが入社の際に身元保証契約を締結しており、会社から賠償の請求をされた場合には、是非一度ご相談ください。

 

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