弁護士コラム

2021.09.15

皇室の一時金辞退できるのか?一時金の法的根拠は??

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結婚式のイメージ2017年9月に、現在の天皇陛下(当時の皇太子)の弟である秋篠宮殿下の長女である眞子内親王と小室圭さんの婚約が発表され、同時期にお2人での婚約の会見が行われました。

私もそうですが、世間一般の皆様もその会見を見たとき、そのままご結婚されるのだろうと思われたと思います。

ところが、その後、小室さんのお母様と元婚約者との間の金銭トラブルが報じられたことを契機に、連日ニュースやワイドショーでもこの問題が報じられるようになり、お2人の結婚及び結婚に関する行事の延期が発表されました。

その後、小室さんが2018年夏に、アメリカの弁護士資格取得を目指し、ニューヨーク州にあるフォーダム大学に入学したり、秋篠宮殿下が婚約の条件として、「多くの人が納得し喜んでくれる状況」が必要であると述べ、小室さん側に金銭トラブル等について「それ相応の対応」を求められ、2020年には小室さんから合計28枚にも及ぶ文章が公開されたり、眞子内親王も「結婚は私たちにとって生きていくために必要な選択」と結婚に向けた強いお気持ちを公表され、結果として秋篠宮殿下も結婚をお認めになるなど、様々出来事がおきました。

そして、先日、お2人が年内に結婚される予定であることや眞子内親王において、結婚により皇室を離れる際に支給される一時金の受け取りを辞退する意向であることがニュース等で報じられるようになりました。

調べるイメージ私としては、結婚はお2人が結婚を希望しているのであれば、他の人があまりとやかく言うべきではなく、お2人がご結婚されるのであれば、とてもおめでたいこであると思いますが、ニュースやテレビ番組では、眞子内親王が一時金の受け取りを辞退する意向であることが盛んに報じられるなか、そもそも受け取りを辞退することが法的にも可能であるのか、前例がないとのニュースを見かけたため、私もできる限り調べてみることにしました。

まず、皇室の身分等に関して規律している「皇室典範」という法律の第12条一では、「皇族女子は天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。」と規定しており、結婚に伴い、皇室を離れることになっています。

そして、一時金の支給について記載している法律を調べると、「皇室経済法」という法律があり、その法律の6条1項では、「皇族費は、皇族であった者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出するものとする。」と規定されており、「皇族であった者としての品位」を保持するために支給されるものであること分かりました。

しかし、「皇室経済法」には、この一時金の放棄や支給しない場合については規定されておらず(そもそも、一時金を辞退するという事態を想定していなかったのでしょう。)、結局、一時金を辞退することが可能か否かについては、この「皇室経済法」の解釈次第ということになります。

上記6条1項では、「支出するものとする。」と規定されており、受け取る側の意思に関わらず支出されるように規定されているため、この条文を素直に読むと、一時金の受け取りを辞退することは認められない様にも思えます。

また、一時金については、品位を保持するために支出されるものであるため、支出されなくても品位を保持することが十分に可能であるという場合には、支出されないという解釈も可能かもしれませんが、これも今まで必ず支給されてきたことからすると、今回の場合にこの解釈をすることで支給しないということは難しいのではないかと思います。

したがって、一時金の受け取りを許可するためには、この「皇室経済法」の解釈を大きく変更(個人的には、法律改正と同じ程度の大きな変更だと思います。)がなければ認められないのではないかと思います。

いずれにせよ、どのような判断がなされるかについて、今後も注視していきたいと思います。

 

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