弁護士コラム

2018.04.10

特別縁故者について②

<ご相談者様からのご質問>

内縁関係の夫が先日亡くなりました。夫に法定相続人はいないのですが,この場合,特別縁故者として夫の財産を受け取れると聞きました。どのような手続きを行えばいいのでしょうか。

<弁護士からの回答>

前回ご説明したとおり,法定相続人がいない場合には,被相続人の財産は原則として国庫に帰属することになりますが,特別縁故者と認められた場合には,被相続人の財産を特別縁故者として取得することができます。
 今回は,特別縁故者の要件と財産を取得するための手続きについてご説明させていただきます。

1 特別縁故者の要件

 前回も若干ご説明しましたが,特別縁故者になることができる人物は,民法958条の3に規定されており,

 ①被相続人と生計を同じくしていた者
 →内縁関係のように夫婦と同等の生活を送っている場合や,事実上養子と同様の関係にある人が該当することになります。

 ②被相続人の療養監護に務めた者
 →病気やケガなどで療養する必要がある人に対して看護や介護を行った人も特別縁故者に該当することがあります。もっとも,看護師や介護士等職業上看護等を行うことが予定されている者については特別縁故者に該当しないことになります。

 ③その他被相続人と特別の縁故があった者
 →上記①もしくは②に同等の関係があると認められるような人については特別縁故者に該当することになります。なお,特別縁故者は自然人に限定されることはなく,法人(公益法人,学校法人)についても認められます。例えば,被相続人が生前に,経営者として組織の発展に深く関わっていた法人においては,特別縁故者として財産の承継が認められる場合があります。

2 特別縁故者になるための手続き

  特別縁故者になるためには,前提として相続人が存在しないことが必要になります。そこで,別の機会にご説明させていただきますが,まずは,家庭裁判所に対して,相続財産管理人の選任の申立を行う必要があります。相続財産管理人が選任されると,相続財産の調査だけでなく,相続人が存在するかどうかの調査を行うことになります。この調査において,相続人が存在しないことが確定して初めて特別縁故者の申立をすることができます。
  特別縁故者として財産の承継を希望する場合には,家庭裁判所に対して,特別縁故者の申立と相続財産分与請求を行う必要があります。

当該申立がなされると,家庭裁判所において,申立人が特別縁故者に該当するかどうかを判断し,特別縁故者に該当するとの判断がなされると,被相続人の財産を相続することができます。

  なお,上記の特別縁故者の申立は,相続人が存在しないことが確定してから3か月以内に申し立てる必要があり,3か月を過ぎてしまうと申立が認められなくなってしまうので注意が必要です。
  相続財産管理人の申立や特別縁故者の申立て関しては提出すべき資料の収集や,特別縁故者に該当することを証明する必要があるなど,専門的な事柄であるため,特別縁故者として財産の承継を希望される場合には,是非一度,弁護士にご相談ください。

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