弁護士コラム

2017.05.28

破産するにも費用がかかる?申立時に残しておくべき金額とは?

破産もタダではできません。破産するには,裁判所に申立てを行い,裁判所で破産相当かの審理を行い,破産を認める場合には,公告手続きをしなければならないため,破産するためには,申立時に一定額の費用を裁判所に納める必要があります。また,破産申立手続は,債務額や資産を調査し,膨大な書類を取り揃えて申立てを行うため,弁護士等の専門家が申立てを代理することが一般的ですが,その場合は裁判所に納める上記費用とは別に,申立費用として弁護士費用も必要となります。そこで,今回は,破産する場合に,どのような費用がどれくらいかかるのかについてお話ししていきます。

1 破産するときにかかる一般的な費用

⑴申立てにかかる弁護士費用

 破産申立てを弁護士に依頼する場合にかかる費用です。弁護士費用については,法律に定めはなく,弁護士ごとに金額設定や支払方法も違います。ですので,詳しくは相談する先の弁護士事務所にご確認いただくことになりますが,破産の弁護士費用としては,個人の場合は着手金として20万~50万円くらい,報酬金についてはとらないところも多いようです。また,事業主や法人破産の場合は,事業規模によりますが50万円~数百万円必要とするところが多いようです。

⑵裁判所に納める費用(予納金)

裁判所に納める費用がいくらかかるかについては,各裁判所によって違いますので,以下では,某裁判所の運用基準をご紹介致します。なお,正確な金額については,各裁判所や弁護士に直接お問い合わせください。
①印紙代 1500円
申立時に申立書に貼る収入印紙です。
②郵便切手代 4000円程度
 各裁判所によって変わります。また,破産開始決定の通知等を債権者に郵送する必要があるため,債権者の人数によっても金額は異なってきます。
 目安としては,債権者数×82円+α円となります。
③官報公告費
 破産開始決定の事実を官報に掲載する費用となります。これは,管財事件か同時廃止事件かによっても異なりますし,管財事件の場合も法人か個人かでも異なってきますが,だいたい1万円強くらいかかります。
④管財費用
 管財事件になった場合は,管財人となる弁護士(※申立手続を依頼する弁護士とは別の弁護士です)に支払う報酬が必要になります。この管財費用がどのくらいかかるかについては,法律で決まりはなく,各裁判所によって運用基準が異なりますし,事案の複雑さ等に応じて金額も増減します。
 某裁判所では,以下のような基準を採っています。
・債権者数が50人未満 基準額20万円
・債権者数が50人以上200人未満 基準額50万円
・債権者数が200人以上 基準額150万円
※なお,上記はあくまで目安であり,事案の複雑さに応じて増額されます。

2 費用が準備できない場合は?

以上の通り,破産するにも諸々の費用がかかりますが,予納金が準備できない場合,申立て自体が却下されてしまいます。つまり,予納金が貯まるまで事実上破産はできないため,予納金相当額は最低限残しておく必要があります。この点は,なるべく早期に弁護士に相談に行くことで解決できる場合が多いようです。例えば,現時点では弁護士費用や予納金が手元にないものの,ある財産を処分すれば資金が捻出できる,債権者への支払いをストップすれば資金を貯めることができるというケースが多いです。そのため,早期に弁護士に相談し,資金計画を含めて手続を進めて行きましょう。
なお,弁護士費用の準備が困難な方については,日本司法支援センター(通称法テラス)という弁護士費用の立替支援を行っている国の機関がありますので,法テラスが利用できる場合には,申立にかかる弁護士費用や実費については,法テラスが立て替えをしてくれます。あくまで立て替えですので,最終的にはご自身で負担することになりますが,通常は一括払いが要求される弁護士費用を,法テラスを利用すれば月々5000円~1万円の範囲での分割払いが可能となり,生活保護受給者の場合は,分割払いまで免除される場合もあります。ですので,お困りの方は一度法テラスを検討されることもいいでしょう。

3 まとめ

 以上の通り,破産するにも費用がかかります。破産のご相談に来られる方の中には,ギリギリまで頑張り続け,資金も底をついて相談に来られる方がいますが,そのような場合,予納金や弁護士費用が準備できず,すぐに申立てができないケースもあります。
 また,申立て費用を捻出するためにお金を金融機関から借りてくる方もいますが,破産申立て直前に第三者からお金を借りる行為は,免責不許可事由に該当する可能性が高く,不用意に行うことは禁物です。
 そのため,破産をお考えの方は,まずは早いうちに一度弁護士に相談して,破産すべきかどうかだけでなく,費用をどのように捻出するか,申立の時期をいつにするか等を含めて相談をされるのがいいでしょう。
 

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