弁護士コラム

2019.07.26

各種ハラスメントについて

皆さんは、「ハラスメント」という言葉をご存知ですか?よく問題になっているセクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどの単語は、耳にしたことがある方も多いかと思います。

今回の記事では、「ハラスメントにはどのようなものがあるのか?」「ハラスメント被害に遭った場合はどうしたら良いのか?」「ハラスメントが発生した場合に行為者・会社が問われる責任は何か?」についてご説明します。

1.ハラスメントの種類

ハラスメントとは、嫌がらせいじめのことです。近年、ハラスメントによるトラブルは増加しており、「〇〇ハラ」という言葉を見かける機会が増えてきました。では、ハラスメントには一体どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、代表的なハラスメントを取り上げてご説明します。

パワーハラスメント

パワーハラスメントパワハラ)とは、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりすることを指します。

<具体例>
・挨拶を無視されたり、会話をしてくれなかったりする
・蹴られたり、物を投げつけられたりする
・他の社員もいる中、大声でミスを責められる
・一人では終わらせることができない膨大な量の仕事を強要する

セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントセクハラ)とは、相手方の意に反する性的言動のことを指します。セクハラと聞くと、「男性の性的な言動によって、女性が被害に遭う」というケースを想像される方が多いかもしれません。しかし、「女性の性的な言動によって、男性が被害に遭った」という場合も、もちろんセクハラに該当します。また、同性に対する性的な言動もセクハラに含まれます。

<具体例>
・性的な関係を持つことを要求され、断ったところ解雇される
・上司に度々腰や胸を触られ、苦痛に感じて仕事への意欲が低下している

マタニティハラスメント

マタニティハラスメントマタハラ)とは、職場における妊娠・出産等に関するハラスメントのことを指します。

<具体例>
・妊娠したことを報告したことにより、「妊娠をしたのであれば辞めてもらう」、「もう昇進はできない」と言われる
・育児休業制度の利用を申出・取得したことにより、「休みを取るのであれば辞めてもらう」と言われる

スメルハラスメント

スメルハラスメントスメハラ)とは、体臭や煙草・香水などの匂いに関するハラスメントのことを指します。

<具体例>
・煙草の匂いがする従業員がいる
・生乾きの衣類を着ていることにより、衣類から匂いが発せられる従業員がいる

2.ハラスメント被害に遭ったら

では、実際にハラスメント被害に遭った場合はどうしたら良いのでしょうか?「ハラスメント被害に遭っていると感じるけれど、何をしたらいいのか分からない…」という方もたくさんいらっしゃるかと思います。

もし、ハラスメント被害に遭った場合は、以下の行動を起こしましょう。

(1)いつ、どこで、どのような被害に遭ったのか、近くに誰がいたかなどの具体的状況を詳細に残しておく

メモや録音などの方法によって記録を残しておくことで、後から事実確認をするときの証拠になります。
また、口頭で「ハラスメントをやめてほしい」という要求をして、それでも続くようであれば文書でもやめてほしい旨を申し入れることで、「ハラスメントが行われていたこと」、「やめてほしいと伝えたこと」を証拠に残すという手もあります。

(2)会社の窓口に相談する

人事部や、社内に相談窓口が設けられていれば相談窓口で相談しましょう。

(3)外部の相談窓口に相談する

社内に相談窓口が設けられておらず、社内に相談できる人がいない場合は、全国の労働局・労働基準監督署や、弁護士・社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。

3.ハラスメントが発生した場合の行為者・会社の責任

(1)行為者の責任

ハラスメント被害に遭った場合、被害者は行為者(ハラスメントを行った本人)に対して、不法行為責任に基づく損害賠償請求をすることができます。
また、ハラスメントの種類によっては、傷害罪や暴行罪、強制わいせつ罪などに該当し、行為者は刑事責任を追及される可能性があります。

(2)会社の責任

もし、会社がハラスメントを放置し、改善しなかった場合、会社は不法行為責任使用者責任債務不履行責任を負う可能性があり、その場合、被害者は損害賠償請求をすることができます。
また、被害者がハラスメントによりショックを受け、うつ病等の精神障害を発症した場合、労災申請をすれば、労働災害と認定される場合があります。この労働災害認定の頻度・程度によっては、会社について労働基準監督署の調査が行われたり、翌年以降の保険料が増額されたりします。

4.まとめ

本来であれば、会社が、職場でのハラスメントを防止するために対策を講じる必要があります。しかし、ハラスメント防止対策が十分になされていない会社も多く存在しています。
ハラスメントは、個人の尊厳や人格を不当に傷つける許されない行為です。会社がハラスメントを放置することは、従業員が十分な能力を発揮して働くことを妨げる上、職場秩序の乱れに繋がります。「ハラスメント被害に遭っていて辛いけれど、会社に相談しても対応してくれないから我慢するしかない…」と思っていらっしゃる方も、一人で悩まずに、まずは弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談することをご検討ください。

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