弁護士コラム

2018.02.24

婚姻を継続しがたい重大な事由について~各論~

婚姻を継続しがたい重大な事由について~各論~

<ご相談者様からのご質問>

  よく,性格の不一致が原因で離婚するなんてことを聞くのですが,性格の不一致という法定離婚原因はありませんよね。性格の不一致が原因で離婚できるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

 前回は,法定離婚原因の1つである「婚姻を継続しがたい重大な事由」について,総論的な内容をお話しさせていただきました。今回から数回にかけて,「婚姻を継続しがたい重大な事由」になりうる具体的な事情についてご説明させていただきます。

1 性格の不一致

日本での離婚原因(離婚に関する紛争に至った原因(理由)のことを意味し,法定離婚原因とはことなります。)の約半数をしめるのが,この性格の不一致というもので,ワイドショーなどでも,芸能人夫婦が性格の不一致により離婚等と報道されることもあり,身近な言葉として認識されているのではないかと思います。
 しかし,単に性格の不一致ということだけで,「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するということはほとんどありません。夫婦とはいえ,生まれも育ちもことなる他人同士である以上性格や価値観が異なるのは当然であり,一度夫婦になった以上,単に性格や価値観が違うということのみでは離婚は難しくなります(ワイドショーで報じられている離婚については,協議離婚(当事者の合意)により離婚が成立している場合であるのがほとんどなので,性格の不一致が原因で離婚ができるとの誤解を生んでしまっているのかもしれません。)。性格の不一致については,あくまでも離婚を巡る問題に至ったきっかけ(入り口)に過ぎず,その後の夫婦関係が悪化し,修復不可能になっていることを主張,立証しなければ,離婚は認められることはないでしょう。その意味で,性格の不一致はそれ単体で主張することは少なく,後述する,別居期間に関する主張を合わせて主張を行うのが一般的です。

2 長期間の別居

 以前にもお伝えした通り,夫婦関係すなわち,夫婦の共同生活関係が破綻し,その修復が困難な場合に「婚姻を継続しがたい重大な事由」が存在すると認められることになります。そして,夫婦が別居している場合には,共同生活関係がなく,その状態が長期間にわたって継続している場合には,もはや,共同生活関係を修復することは困難であると判断されることになります。したがって,裁判所において上記要件を判断する際には,夫婦の別居という事実の有無及び別居期間がどの程度存在するのかという点は非常に重要な考慮要素となります。

 どのくらい,別居期間が長期になれば,婚姻関係が破綻していると認められるかについては,一律の基準があるわけではありませんが,以前は,5年程度別居期間が必要であると考えられておりましたが,最近では,2~3年程度で離婚を認める裁判例も存在している状況です。もっとも,上記裁判例においても単に別居期間のみを根拠に離婚を認めたわけではなく,以前お伝えしたように,それ以外の諸般の事情を考慮して判断しているため,離婚訴訟においても,単に別居期間が長期であることのみを主張するのではなく,別居に至った経緯や,別居期間中の経緯(復縁の申出がなされたかいなか等)を詳細に主張する必要があります。

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