弁護士コラム

2019.07.25

意外と知らない会社法4「M&Aについて」

M&Aや、事業譲渡、合併など、詳しくは知らないけれど、言葉だけなら聞いたことがある、という方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、M&Aとその種類についてお話していきます。

1.M&Aとは

M&Aとは、いったい何のことでしょうか?
Mは、Mergers、Aは、Acquisitionsの略、つまりM&Aとは合併と買収の総称であり、2つの会社が1つの会社になったり、会社が他の会社の株式取得等により当該会社の経営権を取得することを意味します。
 
M&Aを行うねらいとしては、「業種の異なる会社を手に入れて、事業領域を拡大すること」「後継者問題の解決」「業界の再編」などがあります。
 
さらに、M&Aの代表的な手法として、「事業譲渡」「合併」「会社分割」「TOB」「MBO」「株式移転」「株式交換」などが挙げられますが、1ではまず、M&Aの進め方についてお話していきます。
 
M&Aを行うと、今まで全く関係のなかった会社が自社のものになったり、関連会社、子会社になったりします。
その時、もしM&Aの対象企業に不祥事などの問題があったら、自分たちの会社は、多大な損失を被ったり、社会の信頼を失ったりすることになりかねません。

そうならないためにも、M&Aを行おうとしている側の企業は、買収の対象となる企業の精査を行います。これを「デューデリジェンス(DD)」といいます。
 
このデューデリジェンスも様々な種類が存在し、財務デューデリジェンス、税務デューデリジェンス、法務デューデリジェンス等があります。

例えば、財務デューデリジェンスでは、対象先会社の財務状況を調査します。また、法務デューデリジェンスでは、紛争可能性の有無、知的財産権の登録の有無などについて調査します。

これらを行った結果、何かしらの問題がみつかった場合には、M&Aの中止、もしくは問題を解決するといった判断が必要となります。

2.事業譲渡とは

1で、M&Aには様々な種類があるとお話しましたが、2ではM&Aのうち、「事業譲渡」についてお話します。

事業譲渡とは、言葉の通り、自社の一部、またはすべての事業を他社に譲渡することを言い、ここで言う「事業」とは、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産を指し、取引先、ノウハウなど利益を生むもの全てを指します。

事業譲渡を行うことが決定すると、基本合意契約を締結し、買い手が売り手の事業調査「デューデリジェンス」を行います。問題がなければ、最終的な事業譲渡契約を締結します。

仮に、事業譲渡の対象が譲渡会社の事業の全部、または一部だった場合、譲渡会社は株主総会の特別決議が必要となります。

ここまで完了すると、譲受会社は名義変更手続や、許認可の手続を行い、事業譲渡の効力発生日を迎えて初めて手続が完了となります。事業譲渡に要する期間としては、早くて3ヶ月、時間を要する場合だと半年~1年かかる場合もあります。

大まかな流れだけを聞くと、簡単にできるもののように感じますが、実際はもっと多くの段階を踏まなければなりませんし、株主総会で事業譲渡に反対する株主がでてきて、スムーズに進まない可能性もあります。ですが、事業譲渡を行うことで様々なメリットを得ることもできますので、事業譲渡を考えている企業は是非前向きに検討してみてください。

3.合併とは

2に続き、3ではM&Aの代表的手法のひとつである「合併」についてお話します。

まず、合併には「吸収合併」と「新設合併」が存在します。
「吸収合併」とは、ある会社が別の会社のすべてを吸収することを言い、この場合、吸収する側の会社のことを「存続会社」、吸収される側の会社のことを「消滅会社」と呼びます。吸収合併をした場合、消滅会社は解散し、存続会社は消滅会社のすべてを受け継ぐことになります。

次に「新設合併」とは、合併する各会社は解散し、新しく会社を作り、新設会社に各会社の全ての資産を移すことを言います。この場合、新たに会社をスタートすることとなり、手間がかかります。そのため、合併をするほとんどの場合は、吸収合併の形がとられます。

2つの合併の共通点としては、様々な商品やサービスを取り扱うことができるようになる、事業領域を広げることができる、などが挙げられます。

では、新設合併では手間がかかる、という理由以外に吸収合併を選ぶ理由は何でしょうか?
吸収合併の場合、存続会社は消滅会社のすべての権利義務を受け継ぎますので、免許の再申請などの必要がなく、課税対象も合併後に増加した分のみとなるため、新設会社と比べてコストを抑えることが可能となります。

さらに、親会社が子会社を吸収合併した場合だと、子会社は今まで以上に新しい商品やサービスの開発に資金を投資し、それが世の中に出て広まることで、親会社にとっても、信頼度の向上、売上のアップなど沢山のメリットが発生することになります。

4.まとめ

今回は、M&Aとその種類についてお話しました。
ただ単にM&Aと言っても、実は多くの種類が存在しますし、一見簡単そうに聞こえるものでも、M&Aが完了するまでには、デューデリジェンスを行ったり、各種申請、届出を行ったりと、時間、手間がかかるものばかりです。

ですが、M&Aを行うことで事業領域の拡大や、売上のアップなどメリットも多く発生しますので、まずはM&A、その種類を知って、チャレンジしてみてください。

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