弁護士コラム

2019.05.31

意外と知らない会社法3~会社の設立~

世の中に数多く存在している「会社」ですが、それらは、どのようにして誕生するのでしょうか?

1. 「定款」の作成

会社を設立するためにはいくつかの手続きが必要になってくるのですが、その流れにはどのようなものがあるのでしょうか?

手続きの最終段階である登記が完了するまでには、大きく分けて4つの過程があり、その1つ目が「定款」の作成です。「定款」とは、会社を運営していく上で必要な基本的規則を定めたもので、「会社の憲法」と呼ばれるものになります。
これを、「発起人」と呼ばれる会社の設立を企画し、会社の経営を担っていく人物が作成し、会社の定款に認証を与える権限を有する「公証人」の認証を受けることになります。

定款の内容として、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の記載が必要で、これらの記載がないと定款の認証を受けることが不可能、つまり定款が無効となってしまいますので気を付けましょう。

・絶対的記載事項:定款に必ず記載しなければならない事項
(項目)会社の目的、商号、本店の所在地、出資額、発起人の氏名・住所、発行可能株式総数

・相対的記載事項:定款に定めなければ効力が生じない事項
(例)現物出資、財産引受、発起人の報酬・特別利益など

・任意的記載事項:定款ではなく、他の方法で定めても良いもの。会社法の規定や公序良俗に違反しない限りは定款で定めることが可能
(項目)定時株主総会の招集時期、役員の数、事業年度(決算期に関する事項)

2. 資金を集める

2つ目は、会社の資本金を集めることです。
「資本」とは一般的に、事業を行うために必要なお金のことですが、会社法で言う資本とは、「設立」又は「株式の発行」に際して株主となる者が、株式会社に対して「払込み」「給付」をした「財産の額」のこと(会社法第445条参照)つまり、会社の財産を確保するために株主から払込み、給付をされたお金のことになります。

会社にある程度の財産がないと、取引先の業者や銀行など、会社からお金を払ってもらう、返してもらう立場の人々に、お金が返ってこないのではないかという不安を与えかねませんし、信用の度合いも低くなってしまします。ですので、初めにある程度の資本金を集めておき、安心して取引を行えるようにしておく必要があるのです。
 
では、用意する資本金の最低額はいくらなのでしょうか?
平成18年に会社法が施行されるまでは、「最低資本金制度」という制度により、有限会社を設立するには最低でも300万円、株式会社だと1,000万円の資本金を用意しなければなりませんでした。しかし、会社法ができたことにより、「最低資本金制度」は廃止され、現在は設立時の資金が0円でも設立ができるようになったのです。

厳密に言うと、出資額を0円にすることはできません。しかし、例えば20万円出資したとして、登録免許税や定款の認証手数料に20万円使ったとなると手元には1円も残らないことになります。つまり、会社の資金が0円となるのです。
一般的には、会社の設立費用に20万円強かかりますので、それ以上の金額は資本金として会社に最初から入れておくケースが多いです。

3. 会社経営陣の選任と登記

定款の作成、資金集めが終わると今度は会社の経営陣を決定します。
まず経営陣とは、取締役、監査役、会計参与を総称して表す言葉のことで、簡単に言えば会社役員のことです。選任する際に気を付けることとして、取締役や監査役は、誰でもなれるわけではないということです。以下の人はなることができません。

【取締役の欠格事由】(会社法第331条参照)
一 法人
二 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
三 この法律若しくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)の規定に違反し、又は金融商品取引法第197条、第197条の2第1号から第10号まで若しくは第13号、第198条第8号、第199条、第200条第1号から第12号まで、第21号若しくは第22号、第203条第3項若しくは第205条第1号から第6号まで、第15号若しくは第16号の罪、民事再生法(平成11年法律第225号)第255条 、第256条、第258条から第260条まで若しくは第262条の罪、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成12年法律第129号)第65条 、第66条、第68条若しくは第69条の罪、会社更生法(平成14年法律第154号)第266条 、第267条、第269条から第271条まで若しくは第273条の罪若しくは破産法(平成16年法律第65号)第265条 、第266条、第268条から第272条まで若しくは第274条の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
四 前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

上記の欠格事由に該当しない人を、1でも出てきた発起人が選任し、選任が終わると、発起人は選任決定書を作成します。
そして、最後に登記を行います。必要書類を揃え、本店所在地の管轄法務局に登記申請を行います。不備がなければ、申請から1週間ほどで登記が完了し、会社が誕生します。

4. まとめ

今回は、会社を設立するために必要な流れをおおまかに説明しました。
実際に会社を設立するとなると、印鑑を作成したり、誰から出資を募るかを決定したり、書類を集めたりと、様々な準備が発生しますので、まずは、登記までの流れを把握し、必要な準備を始めていきましょう。
その後、出資金をいくらにして、どのようなビジネスを行っていくか等は、専門家に相談しながら進めて行くことをお勧めします。

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