弁護士コラム

2019.05.06

知っていれば役に立つ!経費のこと5 ―食べ歩きは経費になる?―

業務には直接関係ないけれど「経費」にしたいもの、自己負担でもいいけれど、金額も大きいし、できることなら「経費」にしたいもの、ありますよね。
もちろん、業務と関係ないお金は、その事業のための経費ではありませんので、経費化できる訳はありません。
あくまで、業務との関連性について説明ができないと、経費化はできませんのでそこは悪しからず。

1.業務に関係のない本や雑誌を読んでいます

業務を行っていくなかで様々な情報を集めるために、専門書や経済新聞など、仕事に直接つながるような本や新聞を読むことがありますよね。けれど、専門的な文書ばかり読んでいても、偏った情報が集まりやすいため、たまには仕事とは全く関係のない分野の本や雑誌を読むこともあると思います。

そんなとき仕事の分野とは関係ない、一般的な本や雑誌などを購入するために使った費用は経費になるのでしょうか?

答えは、「なる」です。仕事に関係のない本や雑誌を読んだって、役に立ちそうな情報は得られないでしょ!と思ってしまいそうですが、関係のない内容だからこそ、得られるものがあるのです。

もちろん、専門分野の本を読むことで知識が深まったり、新しいことを知ったりすることもたくさんありますが、それでは視野が狭くなってしまいます。
そこで、いつもとは違った分野の本や雑誌を読むことで、新しいアイデアを思いついたり、今まで疑問に思っていたことが解決したりすることがあるのです。

これら本や雑誌の購入費は、「新聞図書費」として「経費」にできるのですが、条件として「従業員なら誰でも、いつでも読めるようにしておく」ことが必要となります。

もちろん、マンガを買って経費にするとなれば、そのマンガを購入することがどのように業務上必要なのか説明が付かないといけませんので、なかなか難しいと思われます。
ご自身のビジネスとの兼ね合いで、どのような書籍なら業務上の必要性ありと説明できそうか考えてみてください。

2.食べ歩きをしています

飲食店を経営しています。フレンチのお店なのですが、今度新しいメニューを開発するにあたってヒントを得るために、和食やイタリアン、中華など様々なジャンルのお店で食べ歩きをしています。

さて、こんな場合、食べ歩きに使った費用は「経費」になるのでしょうか?
経営しているのはフレンチのお店ですが、1でお話ししたように、自分とは異なった分野に触れることで、新しいアイデアを思いつくこともあります。そのため、この場合は「研究開発費」や「研修費」、「調査費」として「経費」にすることができます。

しかし、ただ食事をしただけと思われないように、お店で食べた料理の分析や、新しいメニューの案をレポートとして残しておくことが必要となります。
細かくレポートを作成することが難しい場合は、実際に行ったお店でパンフレットなどをもらい、そこに味や、何か参考になったことなど、メモを残しておきましょう。

つまり、書籍の箇所でご説明した通り、使ったお金がどのように業務上必要となるのかの説明ができなくてはならないということです。税務調査を受けた際、「なるほど、そういうことであれば確かに必要な経費ですね。」と調査官に思わせられるかがカギとなります。

3.結婚式を挙げます!

結婚式を挙げることになりました。招待しているのは取引先の方々ばかりです。この場合、結婚式にかかる費用は「経費」にすることができるのでしょうか?

招待しているのが取引先ばかりの場合、仕事の延長のようなものなので、「経費」にしたいところですよね。しかし、結婚式は個人的なものになるので、「経費」にすることができないのです。
もし、結婚式をビジネスにしているのならば「経費」にすることが可能なのですが、該当する人はなかなかいないため、ほとんどの場合は自己負担で式を行うことになります。

では、取引先の結婚式に招待されたときのご祝儀はどうでしょうか?
これは、「経費」にすることができます。1年に数回など、頻度が少ない場合であれば、自己負担だとしてもそこまで金額は大きくならないですが、取引先が多かったり、これから増えていったりすると式の頻度も増え、自己負担が厳しくなってきますよね。

そのため、ご祝儀に関しては「接待交際費」として「経費」にすることができます。
ただし、誰の結婚式に参列したのか、どのような立場で招待されたのかなど、後で説明しないといけない場面が訪れたときのため、招待状を残しておくことを忘れないようにしてください。

また、会社から自社の従業員に対してご祝儀を支払った場合は、「福利厚生費」として「経費」にすることができますが、社内で規定を作成し、金額に関しては地域相場を意識したものにしましょう。
従業員に対するお祝いなので、他の会社よりも高い金額を払ってあげたいと考えたとしても、税務署は全額を経費と認めてくれないかもしれません。
その場合は、一部が否認されたとしても仕方ありませんので、その腹積もりでご祝儀を払ってあげるようにしてください。

4.まとめ

今回は、ご祝儀や食べ歩きで使った飲食代など、一見「経費」にできないようなお金のことについてお話をしました。直接業務には関係なくても、新しいアイデアのヒントや問題解決につながるものであれば「経費」にすることが可能なので、これを利用して視野を広げ、仕事に役立てていきましょう!

何かお金を使う際は、業務との関連性を意識しながら、経費化できそうかどうか検討しましょう。そして、迷った際は、税理士に相談するようにしましょう。

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