弁護士コラム

2019.04.16

【社会保険】事業所の加入条件と手続き方法

事業所の健康保険・厚生年金保険の登録はお済みですか?
「よし、役員も従業員も社会保険に入ってすぐ保険証発行してもらおう!」と思っていても、事業所の社会保険加入手続きから行わないと、個人の社会保険加入手続きはできません。
この記事では、協会けんぽの事業所の加入のことをまとめていますので、ぜひ、参考にしてみてくださいね。

1.事業所の加入条件

社会保険に加入出来る事業所のことを、『適用事業所』といいます。
適用事業所には『強制適用事業所』と『任意適用事業所』があります。
これらはどのような違いがあるのでしょうか?

①強制適用事業所

事業主や従業員の意思にかかわらず、必ず社会保険に加入しなければいけない事業所を強制適用事業所といいます。以下のいずれかの場合は、強制適用事業所になります。

ア)常時1名以上の従業員を使用する法人の事業所
 ※報酬を受けている役員が1人でもいれば、その法人は強制適用事業所となります。
 ※外国人経営であっても、法人の事業所は強制適用事業所となります。

イ)常時5人以上の従業員を使用する適用業種の個人事業所
 ※適用後に5人未満になっても、一時的なものであれば、引き続き強制適用事業所となります。
 ※強制適用事業所として申請後、事業内容の変更や従業員が減ったとしても、喪失とはならず継続となります。
 ※適用業種か非適用業種かは後述の図を参照。

②任意適用事業所

強制適用とならない事業所のうち、社会保険の適用を受けたい場合に、申請により社会保険の適用を受けることができる事業所のことを任意適用事業所と言います。
任に適用事業所となるためには、被保険者となるべき者の2分の1以上の同意が必要です。
※もし上記同意を得ても、事業主は、任意適用に認可申請を必ずする必要はありません。
※強制適用から除外されていても、任意加入を認めることにより健康保険の適用を可能にするものです。

<適用業種とは>
下記、非適用業種以外の事業

<非適用業種とは>
農林水産畜産業、飲食店、理容、ホテル・旅館、料理店、映画館、その他娯楽、士業、宗教業

③適用の単位は?

加入に関して、会社単位ではなく事業所単位となります。
営業所が複数ある場合は、それぞれの営業所ごとに社会保険が適用されます。

しかし!!指揮監督や報酬の支払いなどが本社で行われていて、事業所としての独立性が認められない場合などは、それぞれの営業所ごとに適用されるのではなく、本社のみでかまいません。
本社の社会保険に加入することになります。

2.手続き方法

区 分 内 容
強制適用事業所 任意適用事業所
提出先 管轄の年金事務所
提出方法 郵送、電子申請、窓口持参
必須書類

◆健康保険・厚生年金保険 新規適用届

◆被保険者資格取得届(個人の資格取得届も同時に提出します)

◆口座振替を希望するときは『保険料口座振替納付(変更)申出書』の申請が必要です。

   ◆任意適用申請書
添付書類
※管轄によって違いますのでご注意ください
1.法人事業所
・法人登記簿謄本(コピー不可)
・法人番号が分かる書類(コピー可)
 法人番号指定通知書、国税庁の公表サイト、等
2.個人事業所
・事業主世帯全員の住民票(コピー不可)
※登記簿謄本と住民票は、提出日から遡って90日以内に発行されたものを提出
・事業主世帯全員の住民票(コピー可)
・任意適用同意書
(従業員の2分の1以上の同意を得たことを証する書類)
・実際の所在地が登記上と異なる場合は、賃貸者契約書のコピー
家族加入 ・健康保険 被扶養者(異動)届
・国民年金 第3号被保険者資格取得届
手続き期間 申請より20日~1か月程度
手続き完了後 1.年金事務所より届く書類
・適用通知書(事業所の手続き完了書類)
・資格取得確認及び標準報酬決定通知書(役員・従業員の手続き完了書類)
2.1週間程で協会けんぽより保険証が事業所宛に郵送されます。

 

3.社会保険料控除と納付(例4月1日新規適用日とする)

①被保険者からの控除

通常は、資格取得日の翌月に支払う給与から社会保険料の控除を開始します。
(4月分の社会保険料を5月に支払う給料より控除)
控除する保険料額は、標準報酬月額決定通知書の記載を基に保険料額表で確認します。

②事業主の納付

新規適用日の翌月末日(4月分を5月末)が第1回納付日です。
事業主は、被保険者から徴収した社会保険料に事業主負担分を合わせて納付します。
『納付書(領収済通知書)』3枚複写の納付書が届きます。
※口座振替申請書を提出しても、申請が完了するまでは、納付書での納付となります。

4.まとめ

事業を始めて忙しいのに!と、思ったことでしょう。社会保険の強制適用に当てはまる場合は、必ず加入しなければなりません。
事業を始めても、「まだ従業員雇っていない」「役員報酬もこれからの業績で決めるからまだ」という場合はすぐに加入しなくてもいいので、しっかり要件を確認して、加入手続きを行いましょう。

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