弁護士コラム

2019.04.26

【相談事例49】大量の小銭での代金の支払いは認められる?

【相談内容】

先日、コンビニでの料金の支払いに大量の1円玉を出して支払いを行おうとしてレジの人を困らせるような動画が投稿されているのを見ました。

こういった動画も迷惑動画の類だと思うのですが、大量の小銭により支払いを求めた場合、代金額を支払っている以上、店側は大量の小銭を受け取らなくてはならないのでしょうか。

【弁護士からの回答】

最近ニュースを見ていると、次から次へと迷惑動画に関する問題が取り上げられているのを見ると、なぜこのような迷惑な行為がやむことがないのかと疑問に思ってしまいます。

ご相談者様のおっしゃられるように、今回の動画(「1円玉会計」などと呼ぶそうです。)についても迷惑動画といえるでしょう。
このような大量の小銭を用いた支払いについて店側は支払いを拒否することができるのかについてご説明させていただきます。

1. 日本における通貨について

日本における通貨(貨幣)に関し規定した法律として、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律というものがあり、日本における通貨の単位を円とすること(2条1項)、通貨とは、貨幣及び日本銀行券(紙幣のことです)であること(2条3項)などが規定されています。

なお、余談になりますが摩耗などにより流通に不適当となった貨幣や、汚染、損傷その他の理由により使用することが困難となった紙幣については、上記法律や日本銀行法により、無償で交換することができるとされています。

2. 貨幣の通用限度

では、代金の支払いに関しては、貨幣(小銭)をいくら使用してもよいのでしょうか。
民法402条1項では、

「債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。」

と規定されており、「1万円札で支払う」などと特定されていない場合には、債務者(代金を支払う人)は各種の通貨(1万円札、千円札などの紙幣や貨幣)を債務者の選択に支払い支払うことができます。

もっとも、さきほどご説明した、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の7条では、「貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。」と規定しています。

つまり、同一の貨幣は20枚までは通貨として通用するが21枚以上になると通貨として通用しないことになります。

したがって、通貨として通用しない以上店側は、同一の効果を21枚以上提出してきた場合には、その効果での支払いを拒否することができるようになります。ちなみに、紙幣の場合には、通用限度はなく、どれだけ高額な金額であっても紙幣で支払う場合には枚数制限はありません。

貨幣のみ通用限度が設定されている理由としては、貨幣はそもそも代金の支払いなど決済を簡易にするために用いられるものであるところ、迷惑動画にあるように大量の貨幣での支払いを認めてしまうと、簡易な決済を阻害することになりかねないため、通用限度を設定しています。

したがって、迷惑動画のような嫌がらせのように大量の小銭で支払いをしようとしている場合には、店側としては毅然とした態度で貨幣での支払いを拒否することで差し支えありません。

もっとも、小さいお子さんが少しずつもらった小銭をためて代金を支払にくるというようなほほえましい場面には、店側として21枚以上の同一通貨を受け取ること自体は問題ないため、柔軟に対応してあげるのがよいのではないかと思います。

 

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