弁護士コラム

2019.04.26

【相談事例44】会社の経費でポイントを貯めることは違法?

【相談内容】

会社を経営しています。従業員のことで相談なのですが、営業で外回りに行く従業員に対しては、車のガソリン代などは会社の経費で支給しています。

ガソリンのレシートを貰って、その金額を後日支給しているのですが、先日、従業員からもらったレシートを見ると、従業員がガソリンを入れる際に、自分のポイントカードを使ってポイントを貯めていたことが分かりました。

ガソリン代については会社が支給しているのにポイントは自分でもらうということは法的にも問題にならないのでしょうか?

【弁護士からの回答】

近年、コンビニやガソリンスタンド等様々な店舗などで購入金額に応じたポイントを付与し、たまったポイントを利用し割引などの特典を得るというサービスが行われています。

ご相談者様の事例では、ガソリンを入れる際のポイントという1回あたりのポイントの金銭的な価値はさほど高くはないものですが、これが長期間にわたり継続していく場合には大きな金額となっていくものであると思います。

また、ポイントと同様に、飛行機を利用した際にたまるマイル等の場合にも大きな金額となるのが通常です。今回は、経費を使用した場合のポイントの帰属に関する問題についてご説明させていただきます。

1. ポイントの所有者(権利者)は誰?

まず、会社の経費として支払った際のポイントが誰のものか(権利者は誰か)という点が問題になります。
ポイントが付与される前提となる代金等の支払が会社から支給されている点に着目すれば会社の物とも解される側面もあります。

もっとも、ポイントについては誰が代金を支払ったかという点は一切問題にしておらず、カードなどを提示した人に対して付与されるものである点からすると、カード等の所有者に帰属するとも考えられます。

このように、経費を使用して支払った代金際のポイントの帰属については、明確に誰に帰属するものであるかについては、決まっているものではありません。

2. 無断で自身のポイントにする行為は違法か?

では、ご相談者様の事例のように、会社に無断で自身のカードにポイントを貯める行為は法的に問題となるでしょうか。

結論からいうと、会社の就業規則等によって、明確にポイントやマイルが会社の所有(会社に帰属)することが規定されていない場合には、従業員が無断で自己のカード等を使いポイントを貯めていたとしても刑事のみならず民事上も法的責任を問うことは難しいでしょう。

上記のとおり、ポイントが誰に帰属するかについては、明確な基準があるわけでもない状況であることに加え、会社としてポイントの帰属に関して何ら明言していない以上、会社としても従業員が購入等をする際のポイントの帰属については、放置(放任)していたと捉えられてもやむを得ない状況とであるといえるでしょう。

したがって、就業規則などでポイントの帰属やルールについて何ら明言していない以上、自身のポイントカードにポイントを貯めた従業員には、業務上横領罪や、背任罪などの犯罪は成立せず、また、自身のポイントカードを使用したことを理由とする懲戒処分もすることは違法になってしまうでしょう。

3. 会社としての対策は??

他方で、就業規則等において、ポイントやマイルについては、会社に帰属するものとすることや、購入時には会社のポイントカードを使用する旨規定されている場合には、会社での経費で支払う際のポイントについては、会社に帰属することが明確に明らかになっているため、規定に反し、従業員が自身のカードを使用した場合には、規定違反を理由として懲戒処分を行うことも可能です。

また、業務上横領罪若しくは背任罪として刑事処罰の対象になる可能性もあります。

会社として、ポイントについては従業員に自由に与えてもよいというスタンスであるのであれば別ですが、会社として、ポイントについても会社の帰属としたい場合には就業規則などにその旨を明確に規定するとともに、従業員に対し、会社のカードを使い、自身のカードを使用しないようはっきりと伝えることが必要になります。

就業規則の作成や変更に際しては、専門的な知識も要する分野ですので、是非一度弁護士にご相談ください。

 

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