弁護士コラム

2019.04.26

【相談事例43】4月1日生まれは早生まれなのはなぜ?

【相談内容】

私の息子は4月2日が誕生日で6歳になりました。
来年から小学校に通うことになるのですが、息子より1日早く4月1日に生まれたお友達は、今年から小学校に通うので、学年が違ってしまい少しかわいそうです。

気になったのですが、どうして4月1日生まれと4月2日生まれで学年が変わってしまうのでしょうか。
どうして3月31日と4月1日というような、ちょうどよいところで区切っていないのでしょうか。

【弁護士からの回答】

4月に入り、お子さんが小学校に入学される方も多いと思います。
今回は法的なトラブルに関するものでなく、豆知識といった内容にはなりますが、4月1日生まれのお子さんが早生まれになる理由についてご説明させていただきます。

1.小学校へ進学するのはいつから?

学校教育法22条では、保護者は、子どもが「満6才に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから」小学校へ通わせる義務があると規定しています。

そして、学校教育法施行規則では、「小学校の学年は、4月1日に始まり、翌年3月31日に終る。」と規定されております。上記各規程だけを見てもどういったことになるのかについては分かりづらいと思いますが、簡潔にいうと、「満6歳になった日の次の日以降で最初に来る4月1日」に小学校に進学することになります。

この内容だけ素直に読むと、4月1日生まれの子は、4月1日に満6歳になるのだから、その次の日(4月2日)以降で最初に来る4月1日は翌年の4月1日になり、4月1日生まれの子は早生まれにならないのではないかとも思われるのですが、実際はそうではありません。

2.人はいつ年を取るのか?

人がいつ年を取るのかについてですが、それに関して規定している法律があります。

年齢計算ニ関スル法律という明治時代に制定された法律に規定されており、年齢については生まれた時間にかかわらず、生まれた日を1日目として起算するとされています。

また、上記法律で準用されている民法143条2項により、出生日(起算日)に応答する前日をもって満了することになります。

簡単な言葉で言うと、年を取るタイミングは、生まれた日ではなく、「生まれた日の前日の午後(夜)12時」となります。

午後12時は、翌日の午前0時と時刻的には同じですが、すくなくとも年を取る瞬間は、厳密には、誕生日の前日ということになります。

話はそれますが、うるう年の2月29日生まれの人はよく4年に1度しか年を取らないなどと冗談で言うことはありますが、法律上は、誕生日の前日(2月28日)の午後12時に年を取っていることになります。

3.日本で一番多い誕生日は4月2日??

上記の年を取るタイミングを進学するタイミングに当てはめると、4月1日生まれの人が年を取るタイミング、すなわち満6歳になるタイミングは、3月31日の午後12時ということになります。

そして、小学校に進学するタイミングは、満6歳になった日(3月31日)の翌日以降で最初に来る4月1日であり、「以降」とはその日も含まれますので、4月1日生まれの子は早生まれとなり、4月2日生まれの子よりも1年早く小学校に進学することになります。

厚生労働省の統計では、1985年から2015年までの間では4月2日が誕生日である人が日本では1番多いとされています。

これは、本当は3月末や4月1日に出産した人であってもお医者さんなどが気を利かせ、4月2日生まれとする出生証明書等を出して、4月2日生まれとして出生届を出すことが多いからではないかと言われています。

進学については年齢という一律の基準により判断すべきという点は原則ではありますが、個人的には、同じ年齢であってもお子さんの成熟や個性は様々であるため、進学に関しても柔軟に対応することができる仕組みを考えてもよいのではないかなと感じております。

 

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