弁護士コラム

2019.04.26

【相談事例42】子どもの不法行為で親が賠償責任を?

【相談内容】

子どもがこの春から小学校に進学します。
新しい環境で頑張ってほしいと思っているのですが、子どもが他のお子さんをケガさせたり、物を壊してしまったりしたときには親が賠償責任を負わなければならないと聞きました。本当でしょうか。何か対策はないでしょうか。

【弁護士からの回答】

未成年の不法行為と親の賠償責任については、以前迷惑動画の投稿に関するコラムの中でも少し書かせていただきましたが、4月からお子さんが小学校に進学するかたもいらっしゃると思いますので、改めてご説明させていただきます。

お子さんの行為であっても、多額の賠償義務が発生する場合は少なくありませんので注意が必要です。

1. お子さんの行為で多額の賠償責任が発生

小学校に進学するとなると、お子さんの活動範囲も増えることに伴い、お子さんの行為がきっかけでさまざまなトラブルに発生する可能性は否定できません。

例えば、お子さんが自転車に乗るようになり、お子さんの不注意で自転車で歩行者に衝突し、歩行者が転倒し死亡してしまった場合には数千万円という多額の賠償義務が発生することなども珍しくありません。

2. 子どもの不法行為の賠償責任

では、お子さんが起こした不法行為については誰が賠償責任を負うのでしょうか。

民法712条では、「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」と規定しており、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能(責任能力といいます。)がない場合には、不法行為責任を負わないとしています。

この責任能力の有無については、具体的なお子さんの状況などを考慮して事例ごとに判断されるものなのですが、おおむね11歳~12歳程度のお子さんであると責任能力がないと判断されるのが一般的です。

そして、責任能力がないと判断された場合の賠償義務については、民法714条1項に規定があり、

「前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」

と規定しており、未成年者を監督する法定の義務を負う者、すなわち通常の家庭であれば、親権者である両親が賠償責任を負うことになります。

714条1項ただし書きには、「監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったとき」には賠償義務を負わないとされており、従前、このただし書きの規定が適用される場面はほとんどなかったのですが、近年事例に即して、ただし書きが適用された最高裁判所の判例も出てきております。

3. 親としてできる対策は?

とはいえ、原則として責任無能力の未成年のお子さんが起こした不法行為については、親権者のご両親が賠償責任を負うことになります。
上記のとおりお子さんの行為であっても多額の賠償義務を負う可能性は少なくありません。

また、お子さんの自転車での事故については、自動車の任意保険の対象とはなりません。
そこで、親としてできる対策として、個人賠償責任保険に加入することをおすすめします。

個人賠償責任保険は、通常の医療保険や生命保険などにセットで特約として入れることができ、わずかな保険料で高額な賠償を補填することができるため、是非、個人賠償責任保険にも加入をご検討ください。

 

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