弁護士コラム

2019.03.11

【相談事例28】~迷惑動画問題①どのようなリスクが?~

【相談内容】

今度大学に入学する息子が飲食店でアルバイトすることになったのですが、最近、ニュースでコンビニや飲食店の従業員による迷惑動画が取り上げられているため、他人事ではないと感じてしまいます。
自分の息子に限ってそのようなことはないとは思うのですが、もし、息子が職場で迷惑動画を撮影し、その動画が流出することになってしまった場合、息子や私たちにどのようなリスクがあるのでしょうか。

【弁護士からの回答】

ここ数日、コンビニや飲食店の従業員が、店内の商品や食材等を雑に扱う様子などを撮影されたいわゆる迷惑動画がネット上に公開、拡散され、話題になっています。
先日、迷惑動画を撮影した従業員に対し、勤務していた店舗を経営する企業が、法的措置を講ずると発表したこともあり、軽い気持ちでふざけて撮影し、投稿した動画により、多大な迷惑や損害を被ることについては、知れ渡っているのではないでしょうか。

そこで、今回は、迷惑動画を撮影し投稿したことによりどのような法的責任が発生するのかについてご説明させていただきます。

1 刑事責任

店の従業員が、店の商品や食材を雑に扱った動画を撮影し公開することにより、そのお店ではそのように雑に商品を扱い提供させているという虚偽の情報を世間一般に公開している形になるため、迷惑動画を撮影し、公開する行為は、偽計業務妨害罪若しくは信用棄損罪(刑法第233条)が成立する可能性があります。
このように、軽はずみな気持ちで迷惑動画を投稿してしまうだけで、悪質な場合には逮捕されてしまう可能性があることは理解する必要があると考えています。

2 損害賠償責任

上記のように、従業員が違法な行為を行っている以上、不法行為として従業員には迷惑動画を行ったことにより、店舗(企業)が被った損害を賠償する民事上の責任を負うことになります。

賠償額として店の信用低下による売り上げ減少額にとどまらず企業の株価下落による損害まで請求できるのかという、不法行為と損害との因果関係の問題があり、今後の裁判例の蓄積を待つ必要はありますが、数百万円単位での賠償額が認められたとしても不自然ではありません。

3 その他の損害

迷惑動画を投稿した従業員については、解雇等懲戒処分を受けてしまうことは当然ですが、それ以外に怖いのが、ネット上で本人の氏名、住所、大学、家族、交友関係等の個人情報が特定されてしまうところにあると思います(個人情報の特定に関しては別の機会にご説明させていただきます。)。

いったんネット上に公開された個人情報については、削除することは事実上不可能であり、一生残ってしまうことになってしまうため、軽はずみに投稿してしまうことにより、取り返しのつかない事態になってしまうため、迷惑動画の投稿は絶対に辞めた方がよいでしょう。

 

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