弁護士コラム

2019.02.20

婚姻費用と養育費とは

【ご相談者様からのご質問】

夫からのモラハラ、パワハラが理由で夫との離婚を考えています。ですが、私は現在、専業主婦で働いておらず、子ども1人もおり、別居後や離婚後の生活が不安です。

夫から養育費などお金をもらうことができると聞いたことがありますが、具体的な内容をよく知りませんので教えていただけますか。婚姻費用と養育費は離婚後もどちらももらえるのでしょうか。

【弁護士からの回答】

離婚のために夫婦が別居したとしても、離婚が成立するまでの間は、夫婦であることには変わりはありません。また、未成年のお子さんがいる場合には、別居後も離婚後もお子さんの生活費などは負担していく必要があります。

そこで、今回から複数回にかけて離婚事件における生活費の問題、すなわち、婚姻費用や養育費についてご説明させていただきます。

今回は、婚姻費用と養育費の定義等総論的な内容についてです。

1 婚姻費用とは

婚姻費用とは、夫婦と未成年(未成熟)の子どもの生活費のことを言います。

民法760条では、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と規定されていることから、夫婦は、婚姻から生ずる費用、すなわち、生活費を分担することになります。

また、民法752条では、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と規定されている以上、夫婦である以上、収入がある方が他の配偶者を扶養する義務を負うことになります。

この点、夫婦や家族が同居している場合には、生活費の負担については問題になることはありません(数は少ないですが、同居しているが生活費を支払わないという場合もゼロではなく、その場合には同居していても婚姻費用が問題になることがあります。)。

もっとも、収入の少ない配偶者や子どもが別居している状況では、別居している状態で、婚姻費用(生活費)の分担について協議を要することになります。

2 養育費について

上記の婚姻費用は、簡単に言うと、収入の少ない方の配偶者と未成熟のお子さんの生活費のことを言いますが、離婚後は婚姻費用ではなく、養育費が問題となります。

すなわち、上記婚姻費用のうちの夫婦の扶養義務については、婚姻期間中のみ発生するものであり、離婚後は、夫婦ではなく、厳しい言い方にはなってしまいますが、他人になるため、元配偶者であったとしても、その配偶者自身の生活費を負担する必要はなくなります。

もっとも、夫婦間の関係は離婚により解消するものの、未成年のお子さんと夫婦との関係は、親の離婚に関係なく続いていくことになります。したがって、夫婦の離婚後は、収入のある配偶者が、未成年者の生活費を養育費という形で支払う必要があります。

ご相談者様の質問にあるように、婚姻費用と別に養育費がもらえるわけではなく、簡単に整理すると、離婚するまでは婚姻費用、離婚後は養育費というように、棲み分けがなされています。

婚姻費用や養育費にまつわる個々の問題については、次回以降でご説明させていただきます。

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