弁護士コラム

2019.02.20

面会交流について⑦

【ご相談者様からのご質問】

面会交流を拒否すると、間接強制としてお金を払わなければならないのですね。

ただ、逆を言えば、間接強制のお金だけ払っていれば子どもを相手に会わせなくても済むのですね。

【弁護士からの回答】

面会交流について、合意した内容や、審判で決定した面会交流の内容を頑なに実施しない方は少なからずいらっしゃいます。

これまで何度もお伝えしているとおり、面会交流についてはあくまで子の福祉の観点から実現すべきであるとして裁判所も判断を行っています。また、未成年のお子さんと離れて暮らす非親権者にとって、お子さんとの交流を実現するという利益は法的にも保護に値する利益であると認められています。

したがって、正当な理由なく面会交流を実施しない場合には、上記の間接強制以外の不利益を被る可能性があるため、今回ご説明させていただきます。

1 親権者変更

正当な理由なく、面会交流を拒否し続けることは、お子さんと非親権者の親との交流を阻害し続けていることになるため、親権者の適格性を欠くと判断されてしまったとしてもやむを得ないでしょう。

もちろん、面会交流を拒否したことのみをもって親権者変更が認められるというわけではありませんが、少なくとも、親権者変更の判断において、従前の親権者にとって不利な考慮要素となってしまうことは間違いありません。

2 慰謝料請求

上記のとおり、面会交流を実施することは親の利益として法的な保護に値する利益になります。

したがって、正当な理由なく面会交流を拒否したことにより上記利益を害することになった場合には、親権者害された非親権者の精神的苦痛を慰謝料という形で賠償する義務があります。

どの程度の慰謝料が支払われるかについては、具体的な相場があるわけではないのですが、面会できない期間、お子さんの年齢などを考慮して判断されることになりますが、裁判例では「長男が7歳から10歳に成長する大切な時期に交流できなかった原告(長男の父)の精神的苦痛は相当大きい」などとして、相手方(元妻)らに対し合計100万円の支払い義務を認めたものもがあり、長期間、面会交流を拒否することで、多額の賠償責任を負うことも否定できません。

3 最後に

離婚に伴い、夫婦であった当事者の関係を、離婚後も円満な関係を継続することは原則として難しいと思われますが、夫婦が離婚したとしても、お子さんにとって親であることにはかわりはありません。

親権者の方には面会交流はあくまでもお子さんのために実施するものであるということをきちんと理解して面会交流を実施する必要があります。

もっとも、一度面会交流について合意に至ったのちに、状況が変わり、従前の面会交流を維持すべきでない場合もあります。

その際には、再度面会交流調停などを申し立てる必要があるため、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

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