弁護士コラム

2018.07.02

賃貸人に退去を求められたら

【相談事例⑪】

これまでテナントを借りて10年以上中華料理屋を行っておりました(賃貸借契約の更新を繰り返してきました。),先日オーナーより,建物取り壊しを理由に,7か月後に来る契約期間満了後は,契約の更新はしないので,店舗の移転を求められました。契約期間後には,出ていくしかないのでしょうか?

 

【弁護士からの回答】

 賃貸借に関する立退きの問題は,ご相談者様のように賃借人からのご相談のみならず,賃貸人の方からもご相談をいただくことがございます。通常,契約期間が満了した場合には,契約は終了するのが通常ですが,賃貸借契約の特性上,契約の終了に関しては,賃借人の保護が図られています。

 

1 借地借家法の適用

 賃貸借契約に関しては,民法に規定されており,存続期間に関しては,民法604条にて,上限を20年と設定しており,かつ更新をすることができるとだけ規定されております。この民法を前提とすると,合意により賃貸借の契約期間が満了した際には,当事者で更新に関する合意が整わなければ,契約は終了し,賃借人は建物を明け渡さなくてはいけなくなります。もっとも,賃貸借契約は,賃借人の住居として生活の本拠である場合や,ご相談者様のようにその場所で事業を営んでおり,生活をささえるための場所となっていることが多いため,賃借人を保護すべき契約であると考えられており,民法の特別法(民法の規定より優先して適用されます。)として借地借家法という法律があり,この借地借家法により,賃借人が保護されています。

 

2 建物賃貸借契約の更新について

 まず,建物賃貸借契約の更新については,借地借家法で,契約期間の定めがある場合において,当事者が,期間満了の1年前から6か月前までに更新しないという通知をしなかった場合には,従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされると規定しています(26条)。したがって,賃貸人が,契約満了の1年前から6か月前までに更新しないと通知した場合には,同一条件で更新したものとみなされることになります。もっとも,更新後の賃貸借契約は,期間の定めのない契約と扱われるため(26条),賃貸人は,解約の申し入れができるようになり,解約の申し入れが認められると,申し入れの日から6か月が経過することで,賃貸借契約が終了することになります(27条)。

 

3 更新拒絶,解約申し入れの要件

 では,ご相談者様の事例のように,適切な期間内に,賃貸人から更新拒絶の通知がなされた場合や,期間の定めのない契約になった後に,解約の申し入れをし,6か月が経過した場合には,自動的に,賃借人は退去しなくてはならないのでしょうか。

 この問題についても借地借家法に規定があり,更新拒絶や,解約の申し入れについては,「正当な事由」がある場合でなければ,認められないと規定されています(28条)。したがって,ご相談者様の事例でも,この正当な理由が認められない場合には,賃貸借契約の更新拒絶は認められる,契約は更新されることになります。

 では,借地借家法28条の「正当な事由」の有無についてはどのような事情が顧慮されるのかについてですが,今回は文量が多くなってしまったので,次回にご説明させていただきます。

WEB予約 弁護士法人菰田総合法律事務所アプリ
事務所からのお知らせ YouTube Facebook
弁護士法人菰田総合法律事務所 弁護士×税理士 ワンストップ遺産相続 弁護士法人菰田総合法律事務所 福岡弁護士による離婚相談所