弁護士コラム

2018.06.21

手抜き工事の際の損害賠償請求について

【相談事例⑥】

5年前の新築で家を購入しました(売主は,施工主とは別です。)。雨漏りや水道から水が漏れたりするのは欠陥ではないのでしょうか?他にも1年もせず壁にヒビが入っていたり,リビングの扉が閉まりにくくなったり,廊下も歩くとミシミシと音を立てるようになりました。

 建てた大手メーカー(施工主)の対応が悪く,何かと修理代を請求されます。明らかに手抜き工事をされているのではないかと思い,苦痛を感じています。

このようなケースは損害賠償を起こすことは難しいのでしょうか?

 

【弁護士からの回答】

 せっかく購入した新築で,こういったトラブルが生じてしまうと,生活していく上で,とても大変な思いをされるだけでなく,気持ちとしてもいい思いはしないでしょう。今回は,不動産の欠陥に関するトラブルについてご説明させていただきます。

 

1 請求できる法的根拠

  まず,不動産を購入(売買契約)した場合に,目的不動産に瑕疵(欠陥)が認められた場合には,売主に対し,瑕疵担保責任として損害賠償や,修繕費用の請求が認められます。また,欠陥について,施工主の過失が認められた場合には,不法行為に基づく損害賠償請求を行うことができます。

 

2 瑕疵担保責任について

売買契約における瑕疵担保責任については,瑕疵が「隠れた瑕疵」であることから必要になります(民法570条),隠れた瑕疵とは,買主が通常の注意力をもって発見することができない欠陥をいいます。具体的には,雨漏り,シロアリなどの虫食い,土壌汚染,基礎工事の傾き,土壌汚染などについては,隠れた瑕疵に該当することに争いはありません。この隠れた瑕疵が認められた場合には,買主は,瑕疵について,たとえ売主に全く過失がなかったとしても,損害賠償等を請求することができます(無過失責任)。もっとも,この瑕疵担保責任については,期間制限があり,引渡しの日から10年間(売主が宅建業者の場合には,引渡しの日から2年間)で時効になってしまいます。また,上記期間内にあっても,瑕疵を発見してから1年以内に行使をしなければ,損害賠償は認められません。

このように,宅建業者から購入する場合には,購入後,2年を経過した時点で発覚した瑕疵については,損害賠償等が認められないことになってしまいますが。新築の不動産の基礎構造の部分に関する瑕疵については,「住宅の寝室確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき,宅建業者であっても,引渡し時より10年間は瑕疵担保責任を負うとされています。したがって,ご相談者様の場合でも,新築を購入している以上,売主は,10年間は瑕疵担保責任を負うため,修理費用については,本来であれば売主が負担すべき費用であると思われます。もっとも,瑕疵を発見してからすでに1年以上経過している部分については,請求することができないため,瑕疵を発見次第,早急に弁護士にご相談ください。

 

3 不法行為責任について

今回のご相談者様の事例では,施工業者である大手メーカーにおいて,手抜き講義がなされた可能性が否定できません。もっとも,売買契約自体は,メーカーとは別の売主との間で行っており,買主であるご相談者様とメーカーとの間には,直接の契約関係は存在しません。もっとも,平成19年7月16日最高裁判決では,建物の建築に携わる設計者,施工者及び工事管理者(「設計・施工者等」)は建物の建築にあたり,契約関係にない居住者等に対する関係でも,当該建物に建物としての安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を負うとして,設計・施工者等がその義務に違反して建築された建物に,「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」があり,それにより,居住者等の生命,身体,財産が侵害された場合には,不法行為責任を負うと判断しました。また,「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」については,平成23年7月21日最高裁判例において,居住者等の生命,身体,又は財産を危険にさらすような瑕疵であるとし,かつ,現実的に危険をもたらしている場合に限らず,当該瑕疵を放置すればいずれは生命,身体,財産に対する危険が現実化することになる場合もこれに該当すると判断しました。

したがって,ご相談者の事例の場合にも,雨漏りや建物の歪み等について,その瑕疵の程度の問題はありますが,場合によっては,「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」に該当すると認められる場合には,売り主だけでなく,施工主の大手メーカーに対しても不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。なお,不法行為に基づく損害賠償請求については,「損害及び加害者を知った時」から3年間若しくは,不法行為の時から20年経過したときには請求することができませんが,瑕疵担保責任よりも,請求できる期間が有利になります。

いずれにせよ,不動産の瑕疵の問題については非常に専門的な事項が多々損害するため,是非一度弁護士にご相談ください。

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