弁護士コラム

2018.06.07

有責配偶者について④~離婚を実現するためには~

【ご相談者様からのご質問】

私の不倫が原因で妻とは別居して4年になります(子どもはいません。)。これまで妻に対しては,生活費以外に給料のほとんどを渡していましたし,今,住んでいる私名義の不動産についても妻に譲ろうと考えています。さすがに,これ以上妻と一緒にいることは考えていないのですが,やはり,離婚の原因が私にある以上,離婚は認められないのでしょうか。

 

【弁護士からの回答】

 これまで,有責配偶者からの離婚請求が認められる要件についてご説明させていただきましたが,ご相談者様の事例のように,別居期間が若干短い等のように,離婚請求が認められる要件を充たさない場合であっても,直ちに離婚自体をあきらめなければならないわけではありません。そこで,今回は,離婚を実現するために考えられる方策についてご説明させていただきます。

 

 これまでご説明してきた,有責配偶者からの離婚の請求が認められないのは,あくまでも,訴訟での場面に過ぎません。したがって,有責配偶者であっても,協議により相手方が離婚することを承諾した場合は,離婚が成立することになります。

 したがって,有責配偶者において離婚を実現するための一番の方策は,協議により離婚を成立させることがもっとも重要であると考えられます。

 もっとも,現在は,インターネットの発展や,弁護士による無料法律相談の機会等が増えたことにより,有責配偶者からの離婚請求は原則として認められないということを,事前知識として有している方も少なくありません。したがって,協議により離婚を成立させるためには,相手方に対し,現時点で離婚に応じた方がよいと思っていただく必要があります。そのためには,相手方へ提示する離婚に関する給付(慰謝料や財産分与)や養育費等について,相場以上の金額や,法律上認められている以上の割合を提示する必要があると考えられます。特に,相手方配偶者が女性の場合には,離婚後の生活の安定が確保されるかについては,非常に不安になっていることが通常であるため,養育費の金額や,住居に関する条件(住宅ローンの支払いをこちらが行い,相手方に無償で住まわせることや,ときには住宅ローン完済後に不動産の名義を相手方に譲ることも検討した方がよいかもしれません。)については,相手方の要望に沿った形での条件に応じる必要があると思われます。

 もっとも,相手方としても,不貞行為等を行った本人からの提案では,感情的な対立もあって素直条件を提示しない場合も多いと思います。したがって,代理人である弁護士を通じ,相手方の希望する条件を出してもらうことから始めるべきであると考えます。

 相手方の配偶者ともしても,代理人を選任したことで,こちら側が離婚することに本気であると考えますし,今後,調停→裁判になった際の経済的,精神的負担等を考えて,離婚を前提とした話し合いを行ってくれる可能性が高まります。

 また,協議による,解決が困難であるとしても必ずしもあきらめる必要はありません。これまで,説明してきた有責配偶者からの離婚請求が認められるための要件については,すべての要件を充たしていないと必ず離婚が認められないものであると判示した裁判例もあるのですが,すべての事情を総合的に考慮して判断するため,1つの要件を充たさないとしても,離婚の請求が認められるとした裁判例もあります。有責配偶者からの離婚請求が認められないのは,それを認めることが信義に反するという大前提からすれば,各要件にとらわれずに,総合的に判断し,離婚請求が信義に反していないのであれば離婚請求が認められると考えるべきであると考えが一般的になっています。現に,裁判例では,不貞期間や,不貞回数などの有責性の程度や,相手方配偶者にも破綻に至る原因がある場合,離婚を拒否する理由が単に,有責配偶者に対する敵対心しかない場合など,様々な事情を総合的に考慮して,離婚が認められるか否かを総合的に判断しているため,1つの要件を充たさないからといってあきらめる必要はないと考えています。

 もっとも,各夫婦の別居に至るまでの事情は千差万別であるため,離婚を実現されたい場合には,これまでの夫婦生活に関する事情等さまざまな事情をお伺いする必要があるため,是非,一度弁護士にご相談ください。

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