弁護士コラム

2018.06.05

有責配偶者について②~例外について~

<ご相談者様からのご質問>

主人の不貞が原因で夫婦関係が破綻している以上,有責配偶者として離婚が原則として認められないということは分かりました。でも,例外的に離婚請求が認められる場合もあると聞いたのですが,どのような場合でしょうか。

 

<弁護士からの回答>

 前回ご説明させていただいたとおり,不貞行為等婚姻関係を破綻させる原因を作出した有責配偶者からの離婚請求は原則認められません。もっとも,後の最高裁の判決により,例外的な要件のもと,有責配偶者からの離婚の請求が認められるようになりました。そこで,今回は,有責配偶者からの離婚請求が認められる要件についてご説明させていただきます。

 有責配偶者からの離婚請求が認められる要件について判断したのは,昭和62年9月2日の判決であり,

 ① 夫婦の別居が長期間であること

 ② 夫婦の間に未成熟の子が存在しないこと

 ③ 相手方配偶者が離婚により,苛酷な状況に置かれないこと

という,3つの要件を満たした場合には,有責配偶者からの離婚請求が認められると判断しています。

このように,例外的とはいえ,有責配偶者からの離婚請求が認められることになったのは,婚姻関係に対する裁判所の考え方に変化が見られたことが原因であると考えられています。

すなわち,有責配偶者からの離婚請求を一切認めていなかった,昭和27年の最高裁判決が出された時点では,自分で婚姻関係を破綻させておきながら,離婚の請求をすることは許さない(社会的正義に反する)という考え方が強く(これを「有責主義」と呼んでいます。),形だけでも婚姻関係を継続させることが望ましいと考えられていました。もっとも,上記昭和62年の最高裁判決では,結婚(婚姻)の本質を,両性(夫婦)が精神的肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあるとして,夫婦の一方にその意思がなく,共同生活の実体を欠き,回復の見込みがない場合には,戸籍だけの婚姻を存続させることはかえって不自然であるとして,婚姻の実体がなく回復が困難であると判断される場合には,夫婦関係は解消した方が良いという考え方(これを「破綻主義」といいます。)へ考え方を変えたと考えられています。

 有責配偶者の事例とは異なりますが,性格の不一致等で,別居に至り,別居の長期化を理由に離婚請求を求める際にも,裁判所は,従前よりも短期間の別居であっても離婚を認めるようになってきており,裁判所全体として破綻主義を採用しているのではないかと考えられています。

 もっとも,破綻主義を採用しているからといっても,有責配偶者からの離婚請求が認められることはあくまでも例外的な場合であることに変わりはありません(この点では,裁判所も「有責主義」を完全に排除しているわけではないといえます。)。次回は,上記でご説明した,各要件の具体的内容についてご説明させていただきます。

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