弁護士コラム

2026.03.13

2回目の自己破産はできる?免責から7年以内のケースや免責不許可事由への対処法を弁護士がわかりやすく解説


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2回目の自己破産はできる?免責から7年以内のケースや免責不許可事由への対処法を弁護士がわかりやすく解説

 

過去に自己破産を経験している方が、再び借金問題を抱えると、「自己破産を2回することはできないのではないか」と考えるかもしれません。法律上は2回目の自己破産の申立て自体が禁止されているわけではありません。ただし、前回の免責からの経過年数や、今回借金が増えた事情によって裁判所の判断は変わる可能性があります。

第1章 2回目の自己破産は法律で禁止されているのか

1-1 回数制限自体は法律に定められていない

自己破産の手続きを定めた「破産法」という法律には、回数の制限を設ける規定は存在しません。そのため、論理的には2回目、あるいは3回目であっても、支払不能の状態(債務を継続的に返済できない状態)にあれば、破産の手続きを申し立てること自体は可能です。
実際、病気による長期の療養や失業、あるいは予期せぬ経済情勢の変化など、一度目の破産後、生活の立て直しを図っていたにもかかわらず、本人の責任とは言い切れない事情で再び困窮してしまうケースはあります。

1-2 免責が受けられるかどうかが焦点

ここで重要なのは、「破産手続の開始」と「免責(借金をゼロにすること)の許可」は別物であるという点です。自己破産をする最大の目的は、裁判所に免責を認めてもらうことですが、2回目以降の破産においては、この免責のハードルが1回目よりも高くなる傾向にあります。
裁判所としては、一度借金をリセットされたにもかかわらず、短期間で再び同じ状態に陥った人に対して、安易に免責を許可するわけにはいかないからです。破産は、債権者(貸主)の犠牲の上に成り立つ制度であることを踏まえ、慎重に審査が行われることになります。

第2章 二度目の免責を受けるための「7年ルール」の仕組み

2-1 前回の免責確定から7年経過している場合

破産法252条1項10号には、前回の免責許可の決定から7年以内に再度の免責申立てがあった場合、原則として免責を許可しないという趣旨の規定があります。これを実務では俗に「7年ルール」と呼びます。
7年という月日は、一般的な生活再建を目指す上で十分な期間と考えられており、前回の破産から長期間経過している場合は、1回目と大きく変わらない条件で審査が進むこともあります。

2-2 7年経過していない場合に立ちはだかる「免責不許可事由」

前回の免責から7年が経過していない段階で再度の免責を申し立てる場合、それは法律上の「免責不許可事由」に該当し、裁判所に免責を認められない可能性があります。
もっとも、法律が一律に免責を認めないとしているわけではなく、特別な事情があれば、7年以内であっても免責を認める例外規定を設けています。この「例外」をどう認めてもらうかが焦点といえます。

2-3 期間の計算における注意点と確定日の確認方法

7年を数える起算日は、前回の破産手続きにおいて免責許可の決定が確定した日です。具体的には、裁判所が免責を認める決定を出し、その後、官報に掲載されてから約2週間が経過し、法的に異議を申し立てることができない状態になった日が「確定日」です。免責決定が出てから数週間後に確定するため、自分の記憶よりも数か月単位で期間がずれている場合があります。
正確な日付を確認するには、前回の破産事件の決定書を見返すか、紛失している場合は管轄の裁判所から事件番号を特定して確認する必要があります。

第3章 前回の免責から7年以内でも借金を解決できる可能性

3-1 裁判所の裁量によって免責が認められる「裁量免責」

たとえ7年以内であっても、裁判所が、再び免責を与えて再出発させるのが適切と判断した場合は免責が認められることがあります。これを「裁量免責」と呼びます。
実務上、2回目の破産であっても、誠実に手続きに協力し、現在の経済状況に陥ったことに合理的な理由があれば、裁量免責が得られる可能性はあります。

3-2 裁量免責を得るために必要な「やむを得ない事情」の具体例

裁判所が裁量免責を検討する際、重要視されるのが再び多額の負債を抱えた理由です。例えば以下のような事情は、考慮の対象となりやすい傾向にあります。

• 重い病気や怪我により、長期間働けず収入が途絶えた
• 自身の非がない形での失業や、予期せぬ解雇
• 家族の介護や医療費のために借り入れざるを得なかった
• 災害などの不可抗力によって生活基盤を失った

このように、本人の努力だけでは回避が困難な社会的・身体的理由が負債の主な原因である場合には、前回の破産から短期間での破産申立てであっても救済の余地が広がる可能性があります。

第4章 2回目の自己破産で評価される4つのポイント

4-1 前回の破産後に生活を立て直そうとする努力があったか

裁判所は、前回の破産から今回に至るまでの生活状況や経緯を確認します。破産直後から返済能力を超える借り入れを再開していないか、安定した収入を得る努力をしていたか、といった点です。
前回の自己破産で借金を整理する機会を得た後、どのように生活を立て直そうとしていたのかは、裁判所の判断材料の一つになります。

4-2 今回の借金が増えた直接的な原因は何か

借金が増えた理由も重要なポイントです。病気や失業、事業の失敗など本人の努力だけでは避けられない事情による場合と、浪費や過度な支出による場合とでは、裁判所の見方は大きく変わります。
2回目の破産では、借入れの経緯や生活状況について、より具体的な説明が求められることが多くなります。

4-3 浪費・ギャンブル・換金行為など免責不許可事由の有無

ギャンブルや過度な浪費、またクレジットカードで購入した商品をすぐに売却して現金化する行為(いわゆる換金行為)なども法律上の「免責不許可事由」とされています。
これらの事情があっても裁判所の判断によって免責が認められる(裁量免責)場合もありますが、2回目の破産ではより慎重に判断される傾向があります。

4-4 家計資料や通帳の動きから見える誠実性と不自然な点の有無

2回目の破産手続では、裁判所に提出する資料の内容も丁寧に確認されます。通帳の不自然な入出金、特定の人への優先的な返済、財産の隠匿などがないかがチェックされます。
破産手続では、財産や借入れの状況を正確に申告することが前提となるため、資料の整合性や説明の誠実さも重要な判断材料になります。

第5章 2回目の自己破産特有のデメリット

5-1 原則として管財事件となり費用が発生する

自己破産には、比較的簡易な「同時廃止」と、破産管財人が選任される「管財事件」の2種類があります。
1回目の破産で目立った財産や問題がなければ同時廃止で済むことが多いですが、2回目の破産は、その経緯を精査する必要があるため、原則として管財事件となります。
管財事件になると、裁判所に納める予納金(少なくとも20万円程度)が必要となり、金銭的な負担が増えます。

5-2 破産管財人による調査が1回目よりも詳細かつ慎重に行われる

管財事件になると、裁判所から選ばれた弁護士(破産管財人)が、あなたの家計状況や財産を徹底的に調査します。
数か月間にわたり、管財人と定期的に面談を行い、通帳の内容や生活状況について細かく回答しなければなりません。こうした手続きは精神的にも時間的にも大きな負担となりますが、管財人の業務に対して誠実に協力することが免責許可を得るための重要なポイントとなります。

第6章 自己破産が難しい場合に検討すべき代替案

6-1 借金の元本を減額できる可能性がある「個人再生」

2回目の自己破産で免責許可が得られそうにない場合に検討されるのが個人再生です。
借金をゼロにはできませんが、元本を圧縮し、それを数年かけて返済する計画を裁判所に認めてもらう手続きです。
自己破産のような7年ルールの制約が緩く(一部の形式を除く)、住宅ローンがある場合には自宅を維持できる可能性がある点もメリットといえます。

6-2 将来利息をカットして無理のない返済を目指す「任意整理」

裁判所を通さず、各債権者と個別に交渉して将来の利息を免除してもらう手続きです。
借金の元本自体は減りませんが、返済の負担を減らし、完済までの道筋を立てることができます。官報に名前が載らないため、周囲に知られるリスクを抑えたい場合に適していますが、安定した収入があることが条件となります。

第7章 【FAQ】2回目の自己破産に関するよくある質問

Q1. 前回の自己破産と同じ弁護士に依頼しなければなりませんか?

A1. いいえ、別の弁護士に依頼しても問題ありません。

前回の破産手続きを担当した弁護士である必要はなく、ご自身が信頼できると感じる弁護士を自由に選ぶことができます。むしろ、前回の経緯を客観的に分析してもらうために、別の視点を持つ専門家へ相談することも一つの選択肢です。前回の事件番号や当時の書類が残っている場合は、どこの法律事務所に依頼するにせよ、それらの資料を共有することで手続きがスムーズに進みます。

Q2. 2回目の自己破産をすると、ブラックリストの期間は延びますか?

A2. 前回の登録期間とは無関係に、新たに一定期間登録されます。

いわゆるブラックリスト(信用情報機関への事故情報登録)の期間が、2回目だからといって加算されて長くなるというルールはありません。前回の破産から時間が経ち、一度情報が白紙に戻っていたとしても、今回の破産によって再度登録が行われるため、その期間は新たな借り入れやクレジットカードの作成が制限されます。

Q3. 家族に内緒で2回目の自己破産を進めることは可能ですか?

A3. 同居のご家族がいる場合、完全に隠し通すのは困難といえます。

2回目の破産は管財事件となる可能性が高く、家計全体の収支を証明するために同居家族の給与明細や通帳の写しの提出を求められることが一般的です。また、裁判所や管財人からの郵送物や、財産状況の調査の過程で家族の協力が必要になる場面も多くあります。無理に隠し続けることは手続き上のリスク(不誠実と見なされる等)にもつながるため、弁護士と相談の上で、適切な説明のタイミングを検討することをお勧めします。

Q4. 前回の破産時に免責されなかった借金は、今回まとめて整理できますか?

A4. いいえ、前回の免責対象外となった債務は原則として免責されません。

自己破産では、すべての借金が免責されるわけではありません。税金や養育費、婚姻費用など、生活を支えるための支払い義務は法律上、非免責債権とされ、破産をしても支払い義務が残ります。今回の破産で免責の対象となるのは、原則として前回の破産確定の後に新たに借り入れなどによって生じた負債が中心となります。

第8章 一人で悩まずに再出発への道を探しましょう

2回目の自己破産は、1回目よりも法的なハードルが高く、裁判所の審査も厳しくなる傾向があります。しかし、事情を整理し誠実に対応することで、法的な解決の道が見つかります。後悔や話しづらさから現状を放置し、給与の差し押さえなどの取り返しのつかない状況になる前に専門家に相談することが大切です。
私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)グループは、弁護士だけでなく、社会保険労務士や税理士、司法書士、行政書士が一体となったワンストップ体制を整えています。単に借金を整理するだけでなく、その後の生活基盤を整えるための幅広いサポートを提供することが可能です。債務整理でお悩みの方はご相談ください。

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