弁護士コラム

2018.03.20

離婚後の年金について

【相談事例②】

 年金分割について教えて欲しいです。夫と離婚をして,2年7か月になります。離婚する際に,年金について何も話さないまま,離婚し,結婚していた期間は9年ですが,その間,第3号被保険者でした。自分が勉強不足で離婚してすぐに合意分割の手続きをしていないことに気づき,慌てて調べると離婚成立した翌日から換算して,2年経過してしまうと請求手続きが出来なくなるとの事でした。そうなった場合,結婚していた間の年金は全く含まれなくなるのでしょうか?

 

【弁護士からの回答】

  結論から申し上げますと,現時点で2年以上経過しているため,年金分割は認められず,婚姻期間中に相手方が支払った厚生年金保険料の分割を受けることができません。年金分割については離婚に関する記事において,詳しくご説明させていただきますが,今回は,離婚に伴う,各種請求権の時間的制限についてご説明させていただきます。

 

1 年金分割について

 年金分割とは,夫婦が婚姻期間中に支払った厚生年金保険料を当事者の合意や審判等で定められた割合で分割する制度のこといい,これにより,会社員,公務員などの第1号被保険者が配偶者である第3号被保険者であっても,第1号被保険者である者が支払っていた厚生年金保険料の一部(原則は半分になります。)を自ら支払ったことになります。

 この年金分割を求める権利(「分割請求権」といいます。)については,厚生年金法や厚生年金法施行規則にて,離婚が成立した日から2年間以内に,分割割合を決めて年金事務所に申請をする必要があります(2年以内に調停や審判を申し立てるだけではなく,調停や審判で解決し,その結果をもとに,年金事務所へ申請する必要があるので注意が必要です。)。したがって,2年が経過する前に調停や審判等を申し立てていない以上,ご相談者さまのケースでは年金分割は認められません。

 

2 財産分与について

 財産分与とは,婚姻期間中に夫婦で協力し取得した財産を離婚時に分与割合に応じて分配するものですが,財産分与請求権については,離婚と同時に請求することもできますが,離婚後に請求することもできます。もっとも,離婚後に財産分与を請求する際には期間制限があり,民法768条2項により,離婚後2年以内に家庭裁判所に財産分与調停を申し立てなければ財産分与請求を行うことはできません。

3 慰謝料請求

相手方配偶者が不貞行為を行った場合等,相手方の不法行為が原因で離婚する場合には,慰謝料請求を行うことができます。慰謝料請求は不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条,710条)の行使ですので,民法724条により「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から」3年間で消滅時効にかかってしまいます。したがって,不貞行為が原因で離婚に至った場合には,離婚という損害を知った時点(離婚が成立した日)から3年間以内に行使する必要があります。この点,不貞行為が発覚した時点と離婚が成立した時期が離れており,不貞行為が発覚してから3年以上経過しているが,離婚日は3年が経過していないという場合には,不貞と離婚との因果関係(原因と結果の関係をいいます。)が問題になってきますが,それについては離婚のコラムにおいて詳しくご説明させていただきます。

4 養育費及び面会交流について

 夫婦の間に未成年のお子さんがいる場合には離婚時に親権者を夫婦のどちらかに定めなければいけません。その際,監護していない親(非監護親)は原則として,子の生活費として養育費を支払わなければなりません。他方で非監護親は未成年のお子さんと面会交流できる権利を有しています。

 この養育費を請求することができる権利と面会交流を請求できる権利については,財産分与や慰謝料と異なり,2年や3年などの期間制限はなく,原則として,子が成人(20歳)に達するまでの期間であればいつでも請求することができます。もっとも,養育費について今まで相手方から支払ってもらえなかった分について,過去にさかのぼって支払うよう求めたとしても,原則としてさかのぼっての請求は認められず,請求した時点からの分しか認められないことの方が多いため,養育費を請求したい場合には早めに弁護士等に相談された方がよいでしょう。

5 まとめ

 このように,離婚にまつわる各種の請求権については,それぞれ期間制限が設けられています。離婚の際にこれらの権利についても解決していれば問題はありませんが,離婚時には何ら対応していない場合には,期間が過ぎてしまうと,期間制限があることを知らなかったとしても請求することができなくなってしまうため,早めに弁護士にご相談いただくのが良いでしょう。

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