弁護士コラム

2025.12.15

交通事故で腰椎捻挫に…慰謝料はいくら?後遺障害や通院期間による違い・請求の進め方を弁護士が解説


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交通事故で腰椎捻挫に…慰謝料はいくら?後遺障害や通院期間による違い・請求の進め方を弁護士が解説

 

交通事故で腰を強く打ち、痛みやしびれが続き、不安を抱える方は少なくありません。腰椎捻挫は見た目からは分かりづらい症状であるため、周囲の理解が得られにくく、つらい思いをする方が多いのも実情です。この記事では、腰椎捻挫の慰謝料相場、後遺障害等級との関係、通院期間による扱いの違い、示談交渉で注意すべき点などを、弁護士の視点から分かりやすく解説します。

第1章 交通事故による「腰椎捻挫」とは?症状と治療の基本

交通事故で腰に強い痛みが残り、「腰椎捻挫」と診断される方は多くいらっしゃいます。しかし、腰椎捻挫は見た目ではわかりづらいこともあり、周囲に理解されず、保険会社とのやり取りでも軽く扱われてしまうことが少なくありません。
法律的に評価されるのは、痛みがいつから、どの程度続き、日常生活や仕事へどのような影響が生じているかという点です。事故直後の行動や治療の受け方がその後の補償内容に直結するため、早い段階で正確な知識を持つことが重要です。
まずは、腰椎捻挫の特徴と、それが補償の判断にどのように関係してくるのかを整理します。

1-1 腰椎捻挫の特徴と、損害賠償額の判断で重視されるポイント

腰椎捻挫は、レントゲンやMRIを受けても異常が画像で確認しづらいため、そのつらさを十分に理解してもらえないことが少なくありません。
補償の面で特に知っておきたいのは、「痛みがどのように続き、生活に何が起きているか」が判断に大きく関わるということです。
保険会社とのやり取りでは次の点が特に重視される傾向があります。

・症状がいつから続いているか
・治療が適切に行われていたか
・診療記録に症状が一貫して残っているか

症状の経過をできるだけ正確に残していくためにも、まずは、なるべく早い段階で受診することが大切といえます。

1-2 腰椎捻挫とむち打ちを併発した場合に意識したい点

交通事故では、腰と首に同時に負荷がかかるケースが多く、腰椎捻挫とむち打ちを併発する方が少なくありません。併発した場合、次の点を特に意識する必要があります。

部位別に症状を伝えること

診療記録は部位ごとに記録されるため、「首と腰のどちらにどの症状があるか」を分けて説明することが大切です。

後遺障害の判断が複雑になることがある

併発していても、後遺障害等級は原則ひとつにまとめられるため、

・どの症状が主として残っているか
・生活への支障がどの部位で強いのか

といった点が評価の中心になります。

一貫した通院・症状の説明がより重要になる

首だけ、腰だけ、と一部の症状が記録に残っていないと「症状が無かった/軽かった」と受け取られることがあります。
症状が複数あるほど生活への負担は大きくなりますが、その実態が記録に残らないと適切な評価がなされないことがあるため、早い段階で意識しておきたいポイントといえます。

第2章 腰椎捻挫と後遺障害等級:認定の考え方と押さえておきたい視点

2-1 後遺障害等級とは(判断の枠組み)

後遺障害等級とは、治療を続けても症状が十分に改善せず、事故による影響が残っていると判断された場合に検討されるものです。
痛みやしびれといった神経症状がどのような内容で、どの程度続いているか、その症状が診療記録や検査結果などと整合的に結びついているかという点がみられ、その判断は、以下のような要素から行われます。

後遺障害等級を判断する要素の例
・診療記録に症状が継続して記載されているか
・検査結果や医師の所見との整合性はどうか
・症状が日常生活にどの程度の支障を生んでいるか

痛みを抱えながら生活を続けていても、通院間隔が空いてしまったり、症状を細かく説明できなかったりすると、記録上、症状の強さや継続が十分に伝わらないことがあります。そのため、診察の際には痛む動作や生活で困っている場面をできる範囲で具体的に伝え、無理のない範囲で定期的に受診することが大切になります。

2-2 腰椎捻挫で検討される主な等級(14級9号・12級13号)

腰椎捻挫で検討されることが多い後遺障害の等級には次の2つがあります。

14級9号(局部に神経症状を残すもの)

画像で明確な異常が確認できない場合でも、痛みやしびれが一定程度続いていることが、診療記録などから確認できる場合に検討される等級です。

12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)

神経学的検査などで異常がみられるなど、症状を裏付ける医学的所見が確認できる場合に検討される等級です。
腰椎捻挫は画像上の異常が乏しいことが多く、事案によっては14級9号が検討される場面が比較的多いといえます。

第3章 腰椎捻挫の示談金はどう決まるのか

交通事故で腰椎捻挫になった場合、最終的に受け取ることになる金額は、一般に「示談金」と呼ばれます。ここでは、示談金と慰謝料の違いを整理したうえで、腰椎捻挫の場合にどのような考え方で金額が判断されるのかを順に説明します。

3-1 示談金とは何か? 示談金と慰謝料の違い

交通事故の話し合いでは、「慰謝料」という言葉がよく使われますが、実際に示談で合意するのは「示談金」という総額です。
示談金は、慰謝料だけでなく、事故によって生じたさまざまな損害をまとめた金額を指します。

慰謝料

事故による痛みや通院の負担など、精神的な損害に対する賠償

示談金

慰謝料を含め、治療費や休業損害、後遺障害がある場合の逸失利益などを合算した最終的な合意額
(逸失利益…事故にあわなければ得られたはずの収入や利益など、将来の収入減に関する部分)

3-2 腰椎捻挫で示談金の対象となる主な損害 (入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益)

腰椎捻挫で示談金の中身として問題になる主な損害は、次のようなものです。

入通院慰謝料

事故後の痛みや通院による制限、生活上の不便さなど、治療期間中の精神的負担を補うもの

後遺障害慰謝料

治療を続けても痛みやしびれが残り、後遺障害等級が認定された場合に検討の対象となる

逸失利益

後遺障害が認められ、事故により将来の収入に影響が生じる場合に検討される
これらの損害がどの程度認められるかは、事故後の症状の経過や診療記録の内容、生活や仕事への影響の伝わり方などを総合的に考慮して判断されます。

3-3 示談金の金額を左右する算定基準 (自賠責基準・任意保険基準・裁判基準)

示談金の金額は、「どの基準で算定するか」によって大きく異なります。
一般に用いられる基準には、次の3つがあります。

自賠責基準

最低限の救済を目的とした基準で、金額は比較的低め

任意保険基準

保険会社が内部で用いている基準で、自賠責基準よりは高い傾向

裁判基準(いわゆる弁護士基準)

過去の裁判例をもとにした基準で、最も高い水準になることが多い
示談交渉では、どの基準を前提に金額が提示されているのかを確認することが重要になります。

3-4 保険会社の提示額はどのように算定されているのか

示談の相談では、「提示された金額が思っていたより低かった」と感じる方が少なくありません。これは、多くの場合、保険会社が任意保険基準をもとに金額を算定しているためです。
金額の高い・低いだけを見るのではなく、まずは「どの基準が使われているのか」を確認することが大切です。

3-5 示談のタイミングと症状固定 ― 保険会社からの連絡を受けたときに注意すべき点

示談は、症状固定(それ以上治療を続けても大きな改善が見込めないと判断される段階)を一つの目安として進められることが多くあります。実際の場面では、通院中に相手方の保険会社から「そろそろ治療を終えてはどうか」「症状固定ではないか」といった連絡を受けることも少なくありません。
しかし、その時点で示談に進むべきかどうかは慎重に判断する必要があります。治療を続ける必要があるかどうかは、保険会社ではなく医師が判断するものです。保険会社からの連絡だけをもとに治療の継続や示談を決めてしまうと、症状が十分に把握・評価されないまま手続きが進んでしまう可能性もありますし、タイミングによっては後遺障害申請ができるかどうかや、示談金として合意する内容に影響が及ぶ可能性もあります。
相手方保険会社から症状固定による示談提示を受けた場合には、症状や治療の見通し、日常生活に残っている支障について医師とよく相談したうえで検討することが大切です。

第4章 腰椎捻挫の慰謝料請求の流れと必要な資料

腰椎捻挫は見た目では分かりづらい怪我であるため、症状の経過や生活への支障をどのように整理するかが、慰謝料を検討する際の判断材料に影響します。
ここでは、事故後から慰謝料の算定・検討に至るまでの流れまでの流れと、その過程で何を準備しておくとよいかを説明します。

4-1 事故後から慰謝料算定までの一連の流れ

腰椎捻挫の場合、慰謝料の算定に向けては、概ね次のような流れで対応が進みます。

① 事故直後の受診

痛みが軽くてもできる限り早い受診が必要です。どの症状が、いつ、どのように出たのかが記録されるため、入院・通院慰謝料を検討する前提資料になります。

② 通院を継続し、症状を医師に伝える
・動かしたときの痛み
・姿勢を保ちづらい状況
・生活や仕事で支障が出ている場面

こうした点を説明することで、診療記録に症状の経過が残りやすくなり、慰謝料算定時に症状の継続性を判断する材料になります。

③ 治療の経過を踏まえた評価

治療期間や通院状況、症状の推移を踏まえて、入通院慰謝料の対象となる期間や程度が検討されます

④ 症状固定後の判断

治療を続けても改善が見込めないと判断された場合には、後遺障害慰謝料の対象となるかどうかが検討されることがあります。

⑤ 慰謝料額の算定

上記の経過や資料をもとに、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料について、どの程度の金額が考えられるかが整理されます。

⑥ 慰謝料の交渉・請求

算定された内容を前提に、相手方保険会社に対して慰謝料の請求や交渉が行われます。

⑦ 交渉がまとまらなかった場合の対応

話し合いによる解決が難しい場合には、訴訟などの法的手続を検討することもあります。

4-2 慰謝料請求にあたって重要となる資料

慰謝料を検討する際には、次のような資料が重要になります。

資料名 内容・目的
診断書 事故によって腰椎捻挫と診断されたこと、症状の内容を確認するための基本資料
診療記録(カルテ) 症状の経過、通院頻度、治療内容などを把握し、症状の継続性を判断する資料
通院の領収書・交通費の記録 通院にかかった交通費や診療費の自己負担分を実費として請求するための資料
事故証明書 交通事故が発生した事実を公的に証明する資料
事故状況が分かる資料 事故現場や車両損傷の写真など、事故態様や衝撃の程度を説明するための資料
休業損害に関する資料 仕事を休んだことによる収入減を請求する際に用いる資料(休業証明書、給与明細等)
後遺障害診断書 症状が残った場合に、後遺障害慰謝料を検討するための資料

4-3 後遺障害申請と慰謝料との関係

腰椎捻挫で症状が長く続く場合には、後遺障害の申請が検討されることがあります。
後遺障害等級が認定されるかどうかによって、後遺障害慰謝料を請求できるかも変わります。
後遺障害の申請方法には、「被害者請求」「事前認定」の2つがあります。
被害者請求は、被害者自身が必要書類を整えて申請する方法であり、事前認定は、相手方保険会社が書類を取りまとめて申請手続きを進める方式です。
いずれの方法を用いる場合であっても、症状がどのように続いているか、日常生活にどのような支障が出ているかが、診療記録などに適切に残っているかが判断するうえで重視されます。

第5章 腰椎捻挫の慰謝料請求で問題が生じやすい場面と対処の考え方

5-1 通院が途切れてしまった場合に起こりやすい誤解

仕事や家庭の事情で通院が続けられない方も多くいらっしゃいます。
ただ、通院の間隔があいてしまうと、資料上は「症状が軽くなっていたのでは」と受け取られることがあります。
そのため、診察時には、痛みが続いていたことに加えて、なぜ通院が途切れてしまったのかという通院できなかった事情も可能な範囲で説明し、記録に残してもらうことが大切です。

5-2 症状を医師に十分伝えられていなかった場合の影響

診察の際に症状が十分に伝わっていないと、記録上では症状が弱いように受け取られてしまうおそれがあります。
医師に症状を伝える際には、「痛い」「つらい」と伝えるだけでなく、どの動作をすると痛みが出るか、痛みが出る頻度やタイミング、痛みが出る日と出ない日の差がある、など具体的に説明しておくことで、症状の実態が診療記録に残りやすくなりなります。

第6章 弁護士が関わる意義:適切な評価につなげるために

腰椎捻挫のように、症状が見えにくいけがでは、治療経過や生活への支障がどのように記録されているかで補償の判断が分かれることがあります。
事故後の状況をご自身だけで整理しようとすると、不安を抱えたまま決断を迫られてしまう場面もあるため、必要に応じて弁護士のサポートが役に立つことがあります。

6-1 慰謝料額の検討と判断材料の整理

慰謝料を検討する際には、通院期間の長さだけでなく、症状の経過、診療記録の内容、日常生活や仕事への支障がどのように評価されているかなど、複数の要素を総合的に確認する必要があります。
弁護士が関わることで、提示された金額がどの基準に基づくものなのか、どの点が評価されているのかを整理しながら確認することができ、現時点で判断すべき点や、追加で確認しておいた方がよい事項が明確になります。

6-2 後遺障害等級申請における視点の補強

後遺障害の申請では、診療記録や検査結果と症状の説明が一致しているかが大きな判断材料になります。しかし、日常でどれほどの支障が生じているかは、記録だけでは伝わりにくく、申請の段階でどこを補足すべきなのかが分からないまま進んでしまうこともあります。
必要な資料が揃っているか、症状の経過がどのように評価されそうかといった視点を確認しながら進めることで、後になって、この点も伝えておけばよかったと悔やむ場面を減らすことにつながります。

6-3 示談のタイミングを冷静に判断する

示談は原則やり直しができないため、時期を誤ると、症状が残ったまま補償が不十分に終わってしまうことがあります。弁護士が状況を丁寧に振り返りながら進めることで、この段階で示談に応じてしまってよいのかどうかを落ち着いて検討しやすくなります。

第7章 まとめ:腰椎捻挫は症状が伝わりにくいため、丁寧な対応が必要

7-1 記事全体の要点整理

腰椎捻挫の補償を検討する際に特に意識しておきたいのは次の点です。

・症状がいつから続いているかが診療記録から確認できること
・生活や仕事で困っている場面を診察時に伝えておくこと
・示談の時期を焦らず、治療の見通しを確認しながら進めること
・後遺障害申請を検討する場合は、早めに必要な資料を把握しておくこと

7-2 事故後に自身で確認しておきたい点

・痛みの変化や生活への支障を、診察時に可能な範囲で伝えられているか
・通院が難しい時期があった場合、その事情を医師に説明できているか
・保険会社からの連絡内容に、不安や疑問が残っていないか
・示談に進む前に、現在の症状と治療の見通しを整理できているか

こうした点を振り返ることで、事故後の判断をより落ち着いて進めやすくなります。

7-3 不安が続く場合の相談先について

腰椎捻挫の対応は、症状が見えづらいがゆえに、補償の判断でも誤解が生じやすい場面があります。
判断に迷ったときや、示談や後遺障害の申請をどのように進めればよいか悩むときは、早めに相談先を確保しておくことが安心につながります。
私たち弁護士法人Nexill&Partners(ネクシル・アンド・パートナーズ)那珂川オフィスでは、これまで多くの交通事故相談を受けてきた経験をもとに、事故後の状況整理や補償の検討について丁寧にお話を伺いながら進めています。不安な点を一緒に整理し、どのような進め方が適切かを検討することもできますので、気になる点や不安が残る場合には、いつでもご相談いただければと思います。

 

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