
交通事故で大切な方が同乗中に亡くなられた場合、ご遺族には悲しみと同時に「慰謝料は請求できるのか」「何を準備すればよいのか」といった不安が押し寄せます。加害者が運転者本人なのか第三者なのかによって法的な整理も変わり、判断が難しい場面も少なくありません。本記事では、慰謝料の基準、過失の考え方、必要となる手続きなどをできるだけわかりやすくお伝えします。
第1章 交通事故で同乗者が死亡した場合の慰謝料請求とは
1-1 同乗者死亡事故における慰謝料請求の基本的な仕組み
交通事故で同乗者が亡くなられた場合も、基本的な考え方は、一般的な死亡事故の場合と同じように不法行為に基づく損害賠償請求と整理されます。
民法上は、加害者が故意または過失によって他人の生命・身体に損害を与えた場合、その損害を賠償する義務を負うとされています。死亡事故では、亡くなられた方ご本人の精神的苦痛に対する死亡慰謝料と、ご遺族の精神的苦痛に対する慰謝料、そして逸失利益や葬儀費用などが問題になります。
同乗者事故の場合の特徴は、事故を起こした運転者と同乗者の関係性です。運転していたのが家族や友人であることも多く、責任を追及したい気持ちと人間関係を壊したくない思いがぶつかり、法律的な判断と感情の整理が難しくなることがあります。
そのため、まずは法的な枠組みを知った上で、「誰に、どのような範囲で請求できるのか」を落ち着いて整理していくことが大切になります。
1-2 慰謝料を請求できる遺族の範囲について
誰が慰謝料を請求できるかについては、法律上の考え方と、自賠責保険の運用上の考え方が参考になります。
自賠責保険では、死亡事故の場合の遺族慰謝料の請求権者(請求する権利を持つ人)を、原則として「被害者の父母・配偶者・子」としています。
裁判でも、おおむねこれと同じ範囲の近親者に、固有の慰謝料請求権が認められてきました。被害者と特別に密接な生活関係にあった方(たとえば、事実婚の配偶者など)については、個別事情によって慰謝料が認められることもありますが、事案ごとの判断になります。
また、ご遺族が複数いる場合でも、各人がそれぞれ別々に請求するという形もあれば、遺族の代表者がまとめて請求するという形がとられることもあります。どの方法が適切かは、相続関係やご家族の意向も踏まえて検討していくことになります。
1-3 加害者が運転者本人の場合と第三者の場合にどのような違いが生じるのか
同乗者死亡事故では、次のようなパターンが考えられます。
・運転者と他の車両の双方に過失がある事故
・運転者に過失がほとんどなく、相手方車両の過失が大きい事故
例えば、家族が運転する車に同乗していて事故に遭った場合、ご遺族は交通事故の相手方の加害者に対してだけでなく、運転者(家族)に対しても損害賠償請求を行うことが法的には可能と整理されます。
一方で、感情面では身内を加害者として扱うのかという重い問題が生じます。そのため、実務上は、どの保険をどの順番で利用していくか、保険会社とのやり取りをどのような整理で進めるかを、専門家と相談しながら進めることが少なくありません。
第2章 同乗者死亡事故の慰謝料額|基準と相場の考え方
2-1 自賠責基準・任意保険基準・裁判基準の違いについて
死亡事故の慰謝料には、大きく分けて次の三つの基準があります。
・任意保険基準
・弁護士基準(裁判基準)
自賠責基準は、法律に基づく最低限の補償額を決めたもので、他の基準と比べると最も低い金額になることが多いとされています。
任意保険基準は、各保険会社が独自に定めているもので、詳細は公表されていませんが、一般的には自賠責基準と弁護士基準の中間程度の金額になると説明されることが多いです。
弁護士基準(裁判基準)は、過去の裁判例を基に、裁判所でどの程度の慰謝料が認められてきたかを整理したものです。交通事故の実務で用いられている専門書に掲載されている水準で、弁護士が保険会社との交渉や裁判で参考にしている基準と考えていただくとイメージしやすいと思います。死亡慰謝料については、三つの基準のうち、弁護士基準が最も高額になるのが通常とされています。
2-2 死亡慰謝料の大まかな目安と遺族構成による変動
死亡事故の慰謝料は、同じ事故であっても、どの基準で算定されるかによって金額が大きく変わることがあります。ここでは、違いを理解していただくために、代表的な基準を例として示します。
まず「自賠責基準」では、死亡慰謝料はおおむね次のような枠組みで算定されます。以下は代表的な例です。
被害者本人分
400万円
遺族分
遺族の人数に応じて550万〜750万円程度
被扶養者がいる場合
200万円が加算されることがあります
一方、弁護士が交渉や裁判で参考にする「弁護士基準(裁判基準)」では、過去の裁判例をもとにした相場が用いられるため、自賠責基準より高い水準となることが多いとされています。たとえば、代表的な目安として、
一家の生活を支えていた方の場合
おおむね2,800万円前後
配偶者や母親の場合
おおむね2,500万円前後
その他の場合
2,000万〜2,500万円程度
といった水準が挙げられますが、実際の認定額は個別の事情により増減する可能性があります。
また、慰謝料は基準だけで決まるものではなく、同乗者がどのような立場にあったか(家族構成、収入状況など)によっても、裁判所が認定する額が変わることもあります。亡くなられた方が家庭の収入を支えていたかどうか、ご遺族の生活への影響がどの程度かといった事情が考慮されることが一般的です。
2-3 葬儀費用や逸失利益など慰謝料以外に請求可能な損害
死亡事故では、慰謝料だけではなく、次のような損害も請求の対象となります。
・逸失利益(将来得られたはずの収入)
・死亡までの治療費や入通院慰謝料
・交通費や付添費用など
特に逸失利益は、被害者の年齢や職業、収入額などを基に、将来得られたであろう収入を推計して算定されます。ご遺族から見ると、数字に置き換えられてしまうこと自体がつらいと感じられることも多いのですが、現行の損害賠償制度では、お金という形で評価せざるを得ない場面が多いのが実情です。
その一方で、適切な計算を行うことで、将来の生活の不安を和らげる一助となることもあります。納得のいく形で話し合いを進められるよう、ご遺族側で内容を理解しておくことが役に立つ場合があります。
第3章 過失の有無によって何が変わるのか
3-1 同乗者の「自動車同乗減額(無謀な同乗)」が問題になる場面
同乗者死亡事故では、「好意で車に乗せてもらっていたから、慰謝料が減らされるのではないか」というご相談を受けることがあります。
かつては「好意同乗」を理由に慰謝料の減額が検討される裁判例もありましたが、現在の実務では、単に好意で乗っていたという事情だけをもって、直ちに減額すべきではないという考え方が一般的になってきています。
一方で、飲酒運転や極端な速度超過など、明らかに危険な運転状況であることを知りながら同乗した場合には、その事情も含めて過失相殺や減額が検討されることがあります。
3-2 シートベルト未着用が過失の判断に与える影響
同乗者がシートベルトを着用していなかった場合、事故の結果が重くなったと評価されることがあります。裁判例の中には、シートベルト未着用により車外に放り出され、死亡に至った事案で、同乗者側の過失が一定割合認められたものもあります。
もっとも、どの程度の割合で減額されるか、そもそも減額すべきかどうかは、
・事故の状況やスピード
・座っていた位置(前席・後部座席)
など、さまざまな要素を踏まえて判断されます。したがって、「シートベルトをしていなかったから必ず過失が認められる」「全て同乗者の責任になる」ということではなく、あくまで個別の事情を踏まえて、全体のバランスのなかで過失が検討されることになります。
3-3 飲酒運転や速度超過など重大な違反行為がある場合
飲酒運転や極端な速度超過など、重大な違反行為がある事故では、運転者の責任が重く評価されやすいです。
同時に、同乗者側がその危険性を知りながら自ら同乗したかどうかも重要な要素となります。例えば、飲酒の場に同席しており、運転者が相当量の酒を飲んでいたことを認識していた場合などは、「危険な運転を予想できたのではないか」と判断される余地が生じます。
ただ、実際の現場では、雰囲気の中で深く考えずに乗ってしまうことも多く、あのとき止めていればとご遺族が自らを責めてしまうこともあります。法的な評価と、ご遺族の感情は必ずしも一致しません。法的には、あくまで客観的な事情に基づいて過失の有無が検討されるという点を、頭の片隅に置いていただくことが一つの目安になるかと思います。
第4章 保険会社との示談交渉における注意点
4-1 保険会社の提示額が低くなることがある理由
保険会社から示談案が提示された際、思っていたより大幅に低いと感じられることがあります。
これは、多くの場合、保険会社が自社の任意保険基準や、場合によっては自賠責基準に近い金額を前提に提示しているためと考えられ、必ずしも弁護士基準での満額に近い金額が最初から提示されるとは限りません。そのため、ご遺族の側で基準の違いを知らないまま示談に応じてしまうと、結果的に本来よりかなり低い金額で合意してしまったという状況になるおそれがあります。
4-2 示談書に署名する前に必ず確認したいこと
一度示談書に署名・押印してしまうと、原則として後から大幅な変更を求めることは難しくなります。
示談書に署名する前には、少なくとも次のような点を確認しておくことが望ましいです。
・逸失利益や葬儀費用など、入るべき項目がすべて含まれているか
・今後一切請求しないといった内容の条項(清算条項など)が含まれていないか、または内容が妥当か
ご遺族にとっては、書類を見ること自体がつらいことも多いと思いますが、ここでの判断が将来の生活に直結することもあります。不安がある場合は、署名前に一度専門家に内容を見てもらうことが安心につながる場合があります。
4-3 過失割合が争いになることが多い理由とその背景
同乗者死亡事故では、「誰の過失をどの程度と考えるか」が争いになりやすいです。
たとえば
・同乗者がシートベルトを着けていなかった
・飲酒の有無や速度超過の程度について見解が分かれる
といった場合、保険会社側は「被害者側にも一定の過失がある」と主張し、賠償額の減額を求めることがあります。
ご遺族から見ると、なぜ亡くなった側の責任を言われなければならないのかと強い違和感や怒りを覚えられることもあります。このギャップが、交渉の長期化や精神的な負担につながることも少なくありません。
法的には、「どのような点を過失として評価するのか」「どこまでが合理的な範囲なのか」を過去の裁判例なども踏まえて検討していくことになります。感情面と切り離して整理することは容易ではありませんが、その役割を弁護士などの専門家に委ねることで、ご遺族ご自身の負担を軽くするという考え方もあります。
第5章 慰謝料請求までの流れと必要書類
5-1 事故発生から請求までの全体の流れ
同乗者死亡事故の大まかな流れは、次のように整理できます。
・警察による現場検証、加害者への捜査
・自賠責保険・任意保険への連絡
・葬儀や各種届出
・損害の整理(治療費、葬儀費用、逸失利益、慰謝料など)
・保険会社との示談交渉
・示談がまとまらない場合は調停・訴訟
ご遺族としては、事故直後から葬儀、各種手続きと、時間的にも精神的にも余裕のない中で多くのことに対応しなければならず、どこまで何をすればよいのかが見えにくくなりがちです。
時系列で整理していくこと、可能であれば早い段階で第三者のサポートを得ることが、結果的にご遺族の負担を軽減することにつながる場合もあります。
5-2 死亡事故で特に重要となる資料について
慰謝料や損害賠償を求める際には、事故の状況や損害の内容を裏付ける資料が重要になります。代表的なものとして、次のようなものが挙げられます。
・実況見分調書や供述調書などの刑事記録(必要に応じて)
・診断書、死亡診断書
・葬儀費用の領収書
・被害者の収入を示す資料(源泉徴収票、確定申告書など)
これらの資料は、一度にそろえる必要があるわけではありませんが、時間が経つにつれて取得が難しくなるものもあります。どの資料が必要になるかは事案によっても異なるため、早めに専門家に相談し、何を、どの順番で集めていけばよいかを確認しておくと安心です。
5-3 慰謝料請求に関わる時効と、その起算点について
交通事故の損害賠償請求には時効があります。
現在の民法では、人身損害に関する損害賠償請求権について、原則として「損害および加害者を知った日の翌日から5年」とされています。死亡事故の場合には、多くのケースで「死亡した日の翌日」から5年間が目安となりますが、加害者の特定時期など個別の事情によって異なることもあります。
一方、自賠責保険に対する被害者請求などは、別途3年の時効が適用されるとされており、損害賠償請求の時効とは起算点(数え始める時点)や期間が異なります。
いずれも、時効が完成してしまうと、原則としてそれ以降は請求が認められなくなるおそれがあります。もっとも、時効の進行を一時的に止めたり、リセットしたりする手続き(時効の完成猶予・更新)が用意されており、内容によっては対応が可能な場合もあります。
事故直後から時効のことばかりを意識する必要はありませんが、「あまり長期間放置してしまうと、法律上の権利を行使できなくなる場合がある」という点だけは、頭の片隅に置いておかれることをおすすめします。
第6章 弁護士に依頼する意味と費用の目安
6-1 慰謝料の増額が期待できる場面について
弁護士に依頼することで、慰謝料などの賠償額が結果的に増えるケースがあります。
これは、多くの場合、弁護士が弁護士基準(裁判基準)を前提として交渉を行うこと、また、過去の裁判例等を踏まえた主張立証が可能になることによるものです。
もちろん、どの程度の増額が見込めるかは事案によって大きく異なりますし、必ず増えると言い切れるものではありません。増額できるかどうかというよりも、ご遺族が後になって悔いが残らないよう、提示額の妥当性を冷静に判断するための役割として受け止めていただくと分かりやすいかもしれません。
6-2 専門家が関わることで心身の負担が軽くなる理由
ご遺族にとって、事故直後の保険会社とのやり取りや書類の確認は、想像以上に重い負担となることがあります。連絡が来るたびに事故を思い出してしまう方も少なくありません。
そうした中で、法的な手続きや保険会社との調整を弁護士が担当することで、
・必要な確認事項が明確になること
・ご遺族が一人で判断し続ける状態から少し離れられること
などによって、精神的な負担を軽減できることがあります。法律的な判断を弁護士などの専門家に委ねることで、ご遺族が自分を責め続ける時間を少しでも減らせる場合もあります。
6-3 弁護士費用の一般的な算定方法と依頼の流れ
弁護士費用については、できるだけ事前に知っておきたいという方が多くいらっしゃいます。死亡事故の損害賠償請求では、事務所ごとに料金体系が異なるものの、次のような考え方が用いられることがよくあります。
・報酬金(増額した部分や獲得した賠償額に応じて発生する費用)
・実費(郵送費、資料取得費など)
最近では、交通事故案件について相談料や着手金を無料にしている事務所も増えており、まずは「この金額は適正なのか知りたい」といったお問い合わせが可能な環境が整ってきています。
依頼の流れとしては、
・費用や見通しの説明
・委任契約締結
・資料収集と損害額の検討
・保険会社との交渉
・必要に応じて調停・訴訟へ移行
といった順序で進むことが一般的です。
費用の話は、ご遺族にとって決して軽いテーマではありません。だからこそ、無理に依頼を前提とせず、不安な点を率直に相談できる環境があること自体が大切だと感じています。
第7章 同乗者死亡事故に直面したご遺族が押さえておきたいこと
7-1 早い段階で避けるべき対応や誤解されやすい点について
同乗者死亡事故のご相談を受けていると、「その場の勢いで示談書に署名してしまった」「保険会社から『この金額が限界です』と言われ、比較検討しないまま受け入れてしまった」といったお話を伺うことがあります。
事故直後は、心身ともに追い込まれていることが多く、冷静な判断を求められても難しい状況が続きます。その中で、次のような点は、できる範囲で意識していただけるとよいかもしれません。
・内容を十分理解できていない段階で、示談書に署名しない
・「身内だから請求できないのではないか」と早合点しない
・保険会社の「これで最後です」という説明を、そのまま唯一の選択肢と受け止めない
また、慰謝料を請求することは、運転していた家族や友人を責めることになるのではないかと感じられることも多いのですが、法的には、保険からの支払いによって一定程度カバーされる仕組みもあります。誰かを責めるというより、これからの生活を守るために必要な手続きと捉えることも一つの考え方です。
7-2 今後の見通しを立てるために確認しておきたい事項
今後の生活や手続きの見通しを立てるためには、少なくとも次のような点を整理しておくと、少し先のイメージが見えやすくなります。
・現在までにどのような書類に署名しているか
・保険会社とのやり取りの中で、これからどのような段階があるか
・今後の時効までのおおまかな期間
これらをすべてご自身で把握する必要はありませんが、少なくとも「何がわからないのか」を一緒に整理していくことで、先の見通しを立てやすくなります。必要に応じて、弁護士などに現状を整理するためだけに相談するという選択肢も考えていただいてよいかと思います。
第8章 まとめ|大切な方を失われたご遺族へ
8-1 本記事の内容の振り返り
本記事では、交通事故で同乗者が亡くなられた場合の慰謝料請求について、
・慰謝料額の考え方(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)
・同乗者側の過失が問題となる場面
・保険会社とのやり取りで注意したいこと
・請求までの流れと時効
・弁護士に依頼する意味と費用の目安
などを、できるだけ具体的にお伝えしてきました。
8-2 今すぐ取り組むべきことと手続きの優先順位
同乗者死亡事故に直面された直後は、何から手を付ければよいのか分からなくなることが自然な反応だと思います。
その中でも、
・必要に応じて、事故証明書など最低限の資料を確認しておくこと
・保険会社からの書類や説明を、無理のない範囲で保管しておくこと
が、今すぐできる範囲の対応として考えられます。
示談や賠償額の詳細については、少し気持ちの整理がついてから、第三者を交えて検討していくという順番でもかまわないことが多いです。
8-3 専門的なサポートが必要な場合の相談先について
同乗者死亡事故の問題は、法律・保険・感情面が複雑に絡み合い、ご遺族だけで抱え込むにはあまりにも重いテーマになりがちです。
弁護士法人Nexill&Partners那珂川オフィスでは、交通事故のご相談に限らず、税理士・社会保険労務士・司法書士・行政書士など、グループ内の他士業とも連携しながら、ご遺族の今後の生活も含めたサポートを行う体制を整えています。「いきなり大きな請求をしたいわけではなく、今の状況や保険会社からの提示額が妥当かどうかだけ知りたい」といったご相談も多く寄せられています。
大切な方を失われた直後に、無理に決断を急ぐ必要はありません。
もし専門的な支えが必要だと感じられましたら、どうぞお気軽にご相談ください。ご事情を丁寧にお伺いしながら、今後どのような選択肢があり得るのかをご一緒に考えていければと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。















