弁護士コラム

2025.05.27

リベンジ退職とは?

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リベンジ退職とは?

 

先日、4月5月は退職代行サービスへの問い合わせが増えているとのニュースを目にしました。5月で連休が入り、一切仕事をしなくなると、いわゆる5月病という形で仕事へのモチベーションが下がってしまったり、このままここで働いていいのだろうかなどと悩んで、退職を決意するという人が多いのではないかと報じられていました。

ニュースでも議論されていましたが、昭和や平成の頃は、退職するという状況がきわめてまれであり、終身雇用制度の前提として、多少の不条理があっても我慢して働き続けるというのが当たり前だったのが、最近では転職することが当たり前というような風潮になってきているため、退職される方が多いのではないかとのことでした。

そんな中、最近、「リベンジ退職」という言葉が流行っているとこれまたニュースで報じられていました。「リベンジ退職」とは要約すると、会社に悪感情を持った従業員が、会社に迷惑をかける形で退職することを指すそうです。そのニュースの中ではリベンジ退職について、様々なケースが紹介されていたので、各ケースで法律上どのような問題があるのか解説していきたいと思います。

ケース1 優秀になって退職

 
そのケースでは、会社の対応などに不満を持ち、やめることを決意した従業員の人が、そこから約2年、必死に仕事を頑張り、とても優秀になり、会社での重要なポスト等を任される段階になって退職するというものでした。会社はとても重要なポストについている従業員が退職されては困るため、退職を慰留したのですが、結局その人は退職し、きちんと引継ぎはなされたものの、その人が担っていたポストをこなせる人材がおらず、会社が混乱したということでした。

このケースでは、法律上問題となる場面は何ら存在しません。このポストについたから退職できないなという決まりは一切無く、退職については、民法に基づく期限内に退職の意思を伝えれば何ら問題なく退職することができます(個人的にはやめるのを決意してから何年も働けるのであれば、そのまま働き続けた方がいいのではないかとも思いました。)

ケース2 繁忙期に退職

 
そのケースでは、退職を決意した人が、その会社で、一番の繁忙期のさなかに退職を申し出て退職をしたというもので、人員不足などにより会社が混乱したというものでした。

このケースも上記と同様繁忙期に退職してはいけないという決まりは一切ありません。民法672条では、期間の定めのない社員(一般でいうところの正社員)は退職する2週間前に申し出ることが必要であり、繁忙期であっても退職を申し出てから2週間経過すると退職が認められます。

よく、会社から人手不足になってしまうので、やめられては困るなどということが言われますが、厳しい言い方になってしまいますが、人員不足はあくまでも会社側の責任であるので、人員不足を理由として退職を止めることはできないのです。

ケース3 SNSに投稿

 
そのケースでは、会社を退職した従業員が、匿名でSNSで「会社がパワハラをしている」「下請けいじめをしている」などと、事実に反する投稿を行うというものが紹介されていました。

このケースは退職云々ではなく、単純に名誉毀損行為であり、犯罪かつ損害賠償の対象になるケースです。近年では匿名で投稿していても、発信者情報開示請求などにより投稿者を割り出すことが可能になっているため、会社に対して何か悪感情を持たれている場合であってもこのような行為はくれぐれもお控えいただいた方がいいでしょう。  
※もっとも、本当にパワハラを受けていたり、給料が支払われていない等会社が違法行為を行っている場合には、弁護士に相談いただいたり、労働基準監督署などに相談することは何ら問題ありません。

 

今回は、リベンジ退職についてケースごとにお話しさせていただきました。立つ鳥跡を濁さずという言葉があるように、やめる際には、少しでもお世話になった会社に迷惑をかけないようにという考えが一般的かと思ったのですが、最近の人の感覚は少し違うようで、少し残念だなという気もしています。

 

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