弁護士コラム

2018.01.19

控訴・上告について弁護士が解説

<ご相談者からのご質問>

  妻から離婚したいと言われて別居が始まりました。自分としては離婚など到底考えておらず,調停でも裁判でも離婚を争ってきましたが,先日,判決が出され離婚が認められてしまいました。自分としてはどうしても離婚はしたくありません。何か方法はありませんか。

 <弁護士からの回答>

  家庭裁判所での判決が確定してしまうと,法律上離婚が成立してしまい,それ以上離婚について争うことはできなくなってしまいます。そこで,今回は,離婚訴訟における不服申立制度である控訴と上告についてご説明させていただきます。

 日本の裁判は三審制という制度を採用しており,第一審である家庭裁判所での判決に不服がある場合には,高等裁判所に対し控訴することができます。控訴をするためには,高等裁判所宛の控訴状という書面を第一審の家庭裁判所に提出する必要があります。控訴状の提出は,第一審の判決書が送達された日の翌日から起算して14日(2週間)以内に行う必要があり,その期間を徒過してしまうと,第一審の判決が確定してしまうので注意が必要です。
 控訴状を提出してから50日以内に,不服申し立ての具体的な理由(控訴理由)を記載した書面(控訴理由書といいます。)を提出します。控訴審においても第一審と同じ流れて進むのですが,実際には,控訴理由書の記載内容で結論が決まってしまうので,控訴理由書がとても大事になってきます。

 法律上控訴理由についえては制限されていないので,第一審の事実認定の誤り(事実誤認),法解釈の誤りに加え,新しい証拠が見つかった場合にも主張することが可能です。
 なお,控訴審での判断に納得が行かない場合には最高裁判所に不服申立を上告として行うことができますが,上告理由には法律上制限があり,憲法違反等の場合しか認められないため,離婚訴訟については,事実上,争う場合には控訴審までになります。
 もっとも,既に第一審で裁判官が第一審で現れているすべての資料をみて判断している以上,控訴審にて第一審の判断が覆る可能性は高くありません。
 どのような場合に結論が覆るかについては一概にはいえませんが,第一審の判決後に新たな有力な証拠が見つかった場合や,法的評価や事実評価に著しい誤りがあると認められるような場合でなければ,結論が変更するということはないでしょう。

 また,先ほど述べたとおり,控訴審では,控訴理由書でどれだけ説得的な主張や立証が行えるか否かで結論が大きく左右されるものです。したがって,控訴理由書の作成には,一審判決をよく読み込み,裁判所がどういった理由で判決を出しているのか,その理由に不合理な点はないか,その判断を覆すことができるような証拠が他にないか等を判断する必要があり,高度に専門的な作業になります。
 したがって,離婚訴訟において一審判決について納得ができない場合には,なるべく早く弁護士にご相談ください。

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