弁護士コラム

2018.01.15

離婚訴訟と損害賠償請求訴訟

<ご相談者様からのご質問>

   夫の不貞が原因で離婚を決意しました,調停では夫は,不貞は認めているものの,離婚したくないとの主張を続けていたため,調停は不成立になりました。不貞相手の女性に対しても慰謝料を支払うよう求めていたのですが,不貞相手の女性は払いたくないとの主張を続けています。夫とは早期に離婚したいし,不貞相手の女性には,不貞をして家庭を壊した責任をきちんととってもらいたいと考えているので,それぞれ裁判をしたいと考えています。
   それぞれの裁判は別々に起こさないといけないのですか。

 <弁護士からの回答>

   配偶者の不貞が原因で離婚に至るケースに関しては,相手方配偶者に対してだけでなく,不貞行為を行った相手方に対しても離婚に至ったことによる損害賠償(慰謝料)の請求をすることが可能です。今回は,離婚訴訟と,不貞相手に対する損害賠償請求訴訟を提訴する際の方法についてご説明させていただきます。

   まず,離婚訴訟については,人事訴訟として,地方裁判所ではなく家庭裁判所に訴えを提起しなければなりません(人事訴訟法4条1項。当事者間で,地方裁判所に提訴すると合意していても合意管轄は認められません。)。また,不貞行為の相手方に対する損害賠償請求訴訟については,当該訴訟単体で提起する場合には,請求する金額にもよって異なりますが,地方裁判所若しくは簡易裁判所に提起することになります。
   では,離婚訴訟と損害賠償訴訟を同時に提起する場合には,どの裁判所に提起することになるのでしょうか。この場合に,上記と同様に,家庭裁判所と地方裁判所(簡易裁判所)のそれぞれに提起しなければならないとなると,同じ不貞行為について問題としており,争点や証拠が共通しているにも関わらず別々の裁判所が取り扱うことになってしまうため,当事者にとっても不利益ですし,裁判所にとっても良いことはありません。

   そこで,人事訴訟法では,「人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求」については,家庭裁判所に対し1つの訴えの提起で足りるとされています(17条1項)。したがって,ご相談者様の事例であっても,離婚の原因となった,配偶者と相手方の不貞行為によってよって生じた損害賠償(慰謝料)請求訴訟は,家庭裁判所に対し,離婚訴訟とともに,1つの訴訟で提起することができます。

   また,最初に離婚訴訟を提起し,しばらくしてから,不貞相手に対し損害賠償請求訴訟を提起する場合であっても,離婚訴訟が係属している(行われている)裁判所に対し提起することができます(17条2項)。
   逆に,先に損害賠償請求訴訟を地方裁判所若しくは簡易裁判所に提起し,後から離婚訴訟を提起する場合には,訴訟の当事者が,地方裁判所若しくは簡易裁判所に対し申し立てを行い,裁判所が相当であると判断した場合には,損害賠償請求訴訟を家庭裁判所へ移送し,1つの事件として処理すること(訴えの併合といいます。)ができます(人事訴訟法8条1項,2項)。

   このように,離婚訴訟と損害賠償請求訴訟については家庭裁判所にて1つの事件として処理することができますが,離婚だけでなく,相手方からもきちんと慰謝料を取りたい場合には,専門家に依頼し,きちんと裁判で主張立証を行うことが必要不可欠ですので,是非一度弁護士にご相談ください。

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