<ご相談者様からのご質問>
性格の不一致が原因で夫と離婚したいと決意し,半年前に別居をしました。これまで当事者同士での話し合いでも家庭裁判所での離婚調停においても,何回も期日を重ね協議を続けてきましたが,夫が離婚に応じてくれず,結局調停も不成立になってしまいました。
この場合,もう裁判をするしかないのでしょうか。
<弁護士からの回答>
当事務所にも,調停が不成立になったので,裁判したいということでご相談いただく方も少なからずいらっしゃいます。しかし,裁判を提起するとなると,調停のように簡単に申し立てることができず,費用がかかり,また,離婚が成立するために長期間かかってしまうケースもあるため,調停が不成立になったからといって,直ちに裁判に移行するかどうかについては,慎重に判断する必要があります。
そこで,今回は,調停が不成立になった場合の今後の進め方についてご説明させていただきます。
法律上離婚調停が不成立になった場合に自動的に離婚訴訟に移行するような仕組みにはなっていません(これに対し,婚姻費用調停,養育費調停,面会交流調停,財産分与調停などは,調停が不成立になった場合には自動的に審判に移行することになります。)。また,調停が不成立になった場合には必ず訴訟を提起しないといけないと決まっているわけではありません。さらに,離婚調停の申し立てについて回数制限や期間制限が設定されていることもありません。
したがって,離婚調停が不成立に終わった場合に今後考えられる選択肢としては,①協議離婚を行う,②再度離婚調停を行う,③離婚訴訟を提起するという3つの方法が考えられます
この,3つの選択肢についてどれを行うのが適切であるかについては,離婚調停を申し立てるに至った理由・原因,別居期間の長さ,子どもの有無,財産状況,調停が不成立になった経緯(条件面が折り合わないのか,感情的なもので不成立になったのか)等様々な事情を考慮しなければ判断することはできません。たとえば,相手方の不貞が原因で離婚調停を申し立てたものの,相手方が頑なに離婚に応じないような場合には,裁判に移行しても早期に離婚が認められる可能性もあるので,離婚訴訟に移行することも選択肢として十分に考えられると思います。また,相手方から生活費(婚姻費用)をもらっていない場合には,婚姻費用を支払ってもらうために婚姻費用調停を申し立てるのに併せて再度離婚調停を申し立てるという選択肢も考えられます。
ご相談者様のケースでは,性格の不一致が原因で別居しており,まだ別居期間が半年しか経過していない状況では,直ちに離婚訴訟を提起しても,離婚が認められない可能性が十分に考えられます。そこで,別居期間を離婚が認められる程度まで延ばすという点からも,協議離婚や再度調停を申し立てるということも十分有効な選択肢として考えられると思います。調停でも駄目であったのだから今さら話し合いなんかしてもしょうがないと思われるかもしれませんが,離婚事件ではひょんなことから相手方の考えが変わったりします。代理人としてお手伝いさせていただく中でも,少し条件面で譲歩したり時間を置いたりすることで,相手方の気持ちが柔軟になり,弁護士も予期していない形で早期に離婚が成立することも多くあります。
いずれの選択肢を採るにしても,一度調停を申し立てて第三者を入れても話し合いが成立していない状況です。基本的に当事者のみではスムーズな解決が困難な状況になっているため,代理人である弁護士を通じて進めるべきであることは間違いありません。是非一度,これまでの経緯も含めて弁護士にご相談ください。