弁護士コラム

2018.01.08

調停に代わる審判

<ご相談者様からのご質問>

夫と間で離婚調停を行っています。離婚すること,親権者についても合意をしており,財産分与等の問題も解決していますが,養育費の金額だけ折り合いがつきません。私としては夫から提示されている金額では納得できないのですが,正直なところ裁判官がきちんと判断してくれた金額であればその金額で妥協したいと考えています。この場合,当事者間で合意ができていない以上,裁判をするしかないのでしょうか。あまり時間をかけたくありません。

<弁護士からの回答>

離婚調停は,離婚することだけでなく,当事者が調停で協議してほしいと考えている離婚に関する諸条件についても合意に至らなければ離婚自体も調停では成立することはできません。調停で成立することができない場合,原則として裁判を行う必要があります。しかし,裁判を起こして離婚を成立さえるためには時間や費用がかかります。ご相談者様の事例のように,せっかく養育費以外について合意できたのにも関わらず,ご破算にして裁判にしてしまうのは,双方にとってメリットは少ないでしょう。そこで今回は,調停に代わる審判という少し変わった調停の終わりかたについてご説明させていただきます。

 ご相談者様の事例のように,養育費以外の条件に付いてはすべて当事者で合意が成立している場合,調停を成立させる方法としては,まず,養育費については離婚調停では合意せずに後日当事者間で協議,もしくは別途養育費調停を申し立てるという方法が考えられます。もっとも,相手方において養育費も含めてでないと合意できないという意向がある場合には,この方法を採ることはできません。

 そこで,このような場合には,調停に代わる審判という制度が利用される場合があります。調停に代わる審判とは,①調停委員会の調停が成立しない場合であり,②家庭裁判所が審判をするのを相当と認める場合に③調停員会を組織する家事調停員の意見を聴き,④当事者双方のための衡平に考慮し,一切の事情をみて,⑤当事者双方の申立の趣旨に反しない範囲で,家庭裁判所の裁量的な判断を行うことを言います(家事事件手続法284条)。法律上調停に代わる審判を行うためには上記の①~⑤の要件を充たしている必要があります。

 したがって,ご相談の事例の場合にもわざわざ調停を不成立にして,訴訟をするよりも,養育費の金額については,裁判官の判断にゆだねるため,調停に代わる審判の制度の利用を検討した方がよいと考えられます。
 調停に代わる審判の特徴としては,①調停に代わる審判が出された後には調停の取下げができないこと,②調停に代わる審判の告知が公示送達(当事者の所在が分からない際に行われる通知の方法です。)では行えないこと,③相手方へ告知ができない場合には取り消さなければならないことがあげられます。

 調停に代わる審判が出されると,審判書が当事者双方に送達されます。調停に代わる審判は,いわば家庭裁判所から解決案を提示して当事者を納得させようとする特徴を有しており,裁判と異なり,裁判所が強制的に判断するものではありません。したがって,調停に代わる審判は,審判書が送達された日(告知された日)から2週間以内に書面によって異議申立てがなされた場合には,調停に代わる審判の効力が失われることになります。なお,告知された日から2週間以内に異議申立てが出されない場合には,調停に代わる審判が確定し,審判書についても調停調書と同じように執行力を有することになります(調停に代わる審判により成立する離婚を「審判離婚」といいます。)。

 このように,調停に代わる審判は,相手方が異議申立てをしてしまうと,効力がなくなってしまうものなので,いかなるケースにも使えるようなものではありません。当事者間でごく僅かな金額の違いで合意ができていない場合や,相手方への感情的な理由により,体裁上合意をしたくはない場合には,異議申立てが出される可能性が少ないため,調停に代わる審判が有効とされています。

 なお,離婚,離縁に関する調停以外の調停の場合には,当事者双方が調停に代わる審判に服する旨の共同の申し出がなされた場合には,異議申立てができないと認められています。
 このように,離婚に関する些細な条件の違いにより話し合いにより解決が困難な場合には調停に代わる審判という方法により早期に離婚が成立する可能性が残されていますが,当事者同士のみで調停を進めている場合には,一方当事者に弁護士が代理人として入ることで,きちんと相手方を説得し,調停による解決を図ることも可能です。また,調停を継続すべきかそうでないかという点については非常に専門的な問題であるため,条件で揉めている場合には是非一度弁護士にご相談ください。

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