弁護士コラム

2017.12.22

離婚調停の管轄について

離婚調停の管轄について

<ご相談者からのご質問>

これまで東京で夫と子ども2人と生活していましたが,離婚を考えて子を連れて福岡市にある実家に別居してきました。離婚調停を申し立てることを検討していますがどの裁判所に申し立てる必要がありますか。東京の家庭裁判所に申立てなければいけないときには必ず裁判所まで行かないといけないのでしょうか。

 <弁護士からの回答>

 ご結婚され同居されているご夫婦であっても,離婚を考え,別居する際には,仕事の関係で,近隣に引越しをされる方もいれば他県にあるご実家に帰られるかたもいらっしゃります。このように,離婚を前提として別居をする際に,当事者が別々の県や地域等で生活を行うようになると,離婚調停について,どこの裁判所に申し立てなければいけないかという点で問題になることがあります。そこで,本日は,離婚調停をどこで行うかという管轄の問題についてお話しさせていただきます。

 離婚調停は,家庭裁判所に申し立てを行うのですが,どの家庭裁判所でも自由に申し立てをすることができるというわけではなく,法律上,原則として離婚調停は相手方の住所地を管轄する(取り扱う)裁判所に申し立てをしなければなりません(家事事件手続法245条1項)。したがって,ご質問された方の場合には,原告として家庭裁判所へ申し立てる必要がありますが,他方で,相手が離婚調停を申し立てる場合には,反対に福岡家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。

 このように,原則は相手方の住所地を管轄する裁判所に申し立てる必要があるのですが,例外的に別の場所でも認められる場合があります。その例外の1つが,当事者が合意をしている場合には,当事者の住所に関わらず,全国どこの家庭裁判所であっても調停を行うことができます。当事者が管轄に合意することを合意管轄といい,当事者が合意している場合には,通常,管轄合意書という当事者が管轄について合意していることを証する書面を作成し,申立書等の書類と一緒に合意した裁判所に申し立てることになります(家事事件手続法245条2項,民事訴訟法11条2項,3項)。

 また,相手から合意を得られない場合であっても,法律上,「事件を処理するために特に必要があると認めるとき」に限り,管轄外の家庭裁判所であっても調停を起こすことが可能となります(裁判所が職権で自ら事件を処理することから「自庁処理」といいます(家事事件手続法9条)。)どういった場合に自庁処理が認められるのかについて,一律の基準があるわけではないのですが,例えば幼い子どもがおり調停に出席する際に預けることができる人がいない場合や,経済的な事情や,病気等で遠隔地の裁判所に赴くことが困難になる場合などを主張していくことになります。特に離婚の際にお子さんの親権について争いになっている場合には,後日お話ししますが,家庭裁判所の調査官がお子さんの様子を自宅に訪問するなどして確認するケースがあり,調査を容易にすることができるという点も自庁処理を希望する際には主張すべき事由になります。

 とはいえ,調停は本来相手方の住所地で行うべきものであるため,自庁処理が認められるためには,相当な理由がないと認められません。また,自庁処理を行うかの判断を決める際には必ず相手方の意見も聞かなくてはならないため,相手方側の都合から自庁処理に反対する場合には,原則通り相手方の住所地で調停が行われることになると考えておいた方がよいと思います。

 相手方の住所地での調停を行うとなっても必ず調停に出席しなければならないわけではなく,弁護士を代理人につけていれば弁護士のみ調停に出席することも可能ですし,場合によっては,電話会議システムにより実際に裁判所に行かなくても電話にて調停に参加することも可能な場合があります。もっとも,代理人がついている場合であっても,離婚が成立する際には必ず本人が裁判所へ行き裁判官の面前で離婚することや他の条件について間違いがないかを確認することが求められているので少なくとも1回は裁判所に赴く必要があります。
 どの裁判所に申し立てるべきかという問題は非常に専門的な問題でもあるので,是非一度弁護士にご相談ください。

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