弁護士コラム

2017.12.12

離婚届不受理申出制度

離婚届不受理申出制度

 <ご相談者からのご質問>

 離婚届を勝手に出されてしまうこともあるのですね。
 勝手に離婚届を出されないようにするにはどうすればいいのですか。

<弁護士からの回答>

 前回のブログでは,勝手に離婚届を提出されてしまうと,それを元に戻すまでにとても苦労するということをお話しさせていただきましたが,今回は,相手に勝手に離婚届を提出されることを事前に防ぐための制度である,離婚届不受理申出制度についてご説明させていただきます。

 離婚届不受理申出とは,役所に対し,配偶者が提出する離婚届を受け付けないで欲しいと申し出ることにより,申出後に配偶者が離婚届を提出したとしても役所にて離婚届を受理しなくなる制度です。
 不受理の申出は,離婚届不受理申出書(役場の戸籍係か,市区町村によっては,役所のホームページからダウンロードできます。)。の必要事項を記入し,基本的に届出をする人の本籍地に提出することで不受理の申出が受け付けられます。
 なお,不受理の申出に関しては,特定の人から提出された離婚届のみ不受理にするのか,誰が提出したかにかかわらず,一律に不受理にするのかについて選ぶことができます。

 この不受理申出の制度は,自分が作成していないのに,相手が勝手に離婚届を作成し,離婚届が提出されることを防ぐことができるだけでなく,その場の勢いに任せて一度は離婚届に署名押印をしてしまった後に,冷静に考えてやはり離婚したくないと考えを改められた場合には,この不受理申出をしておくことで,離婚が成立することを防ぐことができます。

 したがって,過去に離婚届を作成されたことがあり,いつ相手方に出されてしまうかわからないような状態の方はなるべく早く不受理の申出をされた方が良いと思います。
 この不受理申出の制度ですが,あくまでも協議離婚において,勝手に離婚が成立することを防げるのであって,不受理の申出をしていても,調停や裁判などで離婚が認められた場合には,調停調書や判決書等を役場に持参することにより離婚が成立してしまいます。

 また,一度,不受理申出をすると,その申出は取り下げるまではずっと有効になります(以前は,市区町村に受理されてから6か月間という有効期限があったのですが,法律の改正により,平成20年5月1日以降の申出については有効期限が廃止されました。)。したがって,一度不受理申出をした後に,夫婦で離婚することに合意し離婚届を提出することになった場合には,不受理申出を取り下げる必要があります(取り下げは,必要事項を記載した取下書を役場に提出することで可能です。)。

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