弁護士コラム

2022.07.21

中高年のSNSトラブル

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一昔前はインターネットを見るのは、パソコンでというのが常識というよりもパソコン以外に手段はありませんでした。
しかし、現在はこのブログもそうですが、インターネットやSNSを見る手段として、ほとんどの方がスマートフォンを活用されているのではないでしょうか。
実際、日本国民のどのくらいの人がスマートフォンを使用しているのかはわかりませんが、若い人だけでなく、高齢の方もスマートフォンを使用しているということは珍しくありません(今年88歳になる私の祖母もスマートフォンを使用しており、LINEでメッセージをくれます。頻繁に誤字があるのですが、それもとても微笑ましく感じます)。

しかし、スマートフォンが普及する前と比較し、SNSにまつわるトラブルは年々増えてきています。
特に、中高年の方のトラブルは非常に増加してきており、消費生活センターに寄せられる50歳以上のSNS関連のトラブルの相談は、2010年の145件から、2019年には4745件と30倍以上増加しているとのことでした。

中高年のSNSトラブル

SNSのトラブルと聞いて思い浮かぶのは若者という認識であったため、中高年の方のトラブルが増加しているというのはとても驚きました。
こうした中高年の方のSNSのトラブルが増えている理由として、これまでインターネットなどに触れる機会が乏しかった方がスマートフォンを購入することで、正しいインターネットの知識(ネットリテラシー)が不足したままSNSを使用することが原因であると考えられています。

例えば、何気ない日常(いきつけの喫茶店や、近所の公園の様子、自宅からの風景)を投稿することで、住所を公にしてしまうことや、子供や孫などの入学式や受験について学校名がわかるような投稿をしてしまうなど、自分の近しい人の個人情報を無断で公開してしまうということが多いそうです。
実際、中高年の方が「今、●●に旅行に来ています」と投稿したことで、自宅にはいないことが知られてしまい、空き巣に入られてしまったという被害もあるそうです。SNSに慣れている方ですと、旅行から帰宅した後に、旅行の投稿を行うなど、トラブルにならない投稿の仕方を心得ています。

中高年のSNSトラブル

SNSに慣れていないため、正しい情報と誤った情報の取捨選択ができず、根拠のないフェイクニュース等に影響されてしまったり、通常の投稿にまぎれて存在する広告の投稿等を不用意にクリックをし購入してしまい、知らぬ間に多額の請求や身に覚えのない請求が来ることもあるそうです。

さらに、近年問題となっているのが、他人の名誉を毀損する投稿や侮辱する投稿を行ってしまうことで、刑事罰や民事上の損害賠償の請求を受けることになってしまうことです。
いわゆる炎上している人物に対して、自身の正義感からか行き過ぎた投稿をしてしまうようです。
名誉を毀損されたり、侮辱された人から発信者情報開示請求により、発信者を特定すると、加害発言をしていた人の多くは中高年の方だったということもあったそうです。

SNSの活用により、現実のコミュニティーとは異なる場での交流などが可能となり、中高年の方の生きがいになっているという点はとても良いことであると思いますが、十分なネットリテラシーがないままにSNSを活用してしまうと、トラブルに巻き込まれてしまう危険性が少なくありません。
とくに、インターネット上にあげてしまった情報は、いわゆるデジタルタトゥーともいわれ、完全に消去することできなくなってしまいます。
ご自身でSNSとの付き合い方に不安をお持ちの場合には、お子さんや身近な人に相談したうえで上手に活用してもらいたいと思います。
また、万が一SNSでのトラブルに巻き込まれてしまった場合には、早急に弁護士にご相談ください。

 

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