弁護士コラム

2022.05.10

WEB(ウェブ)で離婚調停成立可能に

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令和3年12月から、東京・大坂・名古屋そして福岡において、離婚調停や遺産分割調停など家事調停について、対面ではなくWEBで調停を行う運用が開始されました。

それまでも、遠隔地の裁判所に調停を申し立てた際には(通常、家事調停は相手方が居住する住所地に申し立てを行う必要があるからです。)電話会議システムといって遠隔地にいる人が依頼している弁護士の法律事務所まで行き、そこで電話で調停に参加するという手続きが行われてきました。

しかし、その電話会議システムを利用しても、これまでは離婚調停において話し合いがまとまり、離婚が成立するという場面では当事者双方が裁判所に出廷しする必要がありました。

2021年9月24日、福岡地方裁判所にて、特定危険指定暴力団の工藤会のトップ2名に対し、死刑判決と無期懲役判決が言い渡されました。

これは、離婚という身分関係に関わる重大な決定のため、本当に離婚することで問題ないかという意思確認については、裁判官が対面して慎重に判断すべきであるという考えに基づくものでした。

そのため、遠隔地に住んでいる方や配偶者のDVを受けてきた方も、離婚の成立の際には相手方と遭遇してしまうのではないかという不安のなか、わざわざ裁判所へ行く必要がありました

何年も離婚事件に携わってきたなかで、面会交流や養育費の調停は対面ではなく電話会議システムで成立させることは可能であるにも関わらず、この離婚成立の時だけ裁判所へ行かなければならないということをとても不合理であると考えていました(失礼な個人的見解ではありますが、実際に裁判官が対面で慎重に離婚の意思を確認しているかと言われると、あまりそうとは思えませんでした。)。

しかし令和4年1月26日、政府が離婚調停に必要な意思確認について、従来の対面だけでなくウェブ会議でも可能にする方針を固めたとの発表がありました。
調停手続などを規律した「家事事件手続法」という法律を改正する法案を国会に提出予定とのことです。

政府が離婚調停に必要な意思確認について、従来の対面だけでなく、ウェブ会議でも可能にする方針を固めた

最高裁判所で出されている司法統計では、離婚調停の成立件数が年間で約1万6000件~2万2000件にも上る状況で、対面での意思確認を継続していくことも事実上困難になったのかもしれません。

このように、調停成立の際にわざわざ裁判所へ行く必要がなくなったことで、遠隔地の裁判所で調停を申し立てる人やDVの被害者の方も、裁判所に行かなくても安心して離婚が成立することができるため、とても良い改正であると思います。

当事務所も家事事件を多く取り扱っている事務所として、今後も家事事件に関するニュースについては積極的にお知らせしていきたいと思います。

家事事件での法律無料相談は菰田総合法律事務所の那珂川オフィスまでお気軽にお問い合わせください。

 

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